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zoom RSS 木管の命、内径を「掘る」にはロングドリルが必要です

<<   作成日時 : 2005/04/16 22:48   >>

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楽器のつくり方 (11) 2005/4/16

木管の内径をつくってゆきましょう。

楽器のつくり方(5)のように、角材をまるく削ります。その丸材となったものをチャックに結わえます。
 
金工旋盤用のチャックは、3爪とか4爪があり、それぞれ任意のサイズの丸材、角材を結わえます。

ところが、木工旋盤のチャックは、一般にその用途がボウル(お皿)加工などですから、結わえる部分が固定サイズとなっています。 たとえば、1インチ=25.4mm とかで、この場合、25mmプラスマイナス1mmぐらいが許容範囲です。

この木工用チャックを用いる場合、丸材の片側を25mmの径となるよう加工します。 その後、チャックに結わえて、楽器のつくり方(6)のようにガイド穴をあけます。

次に、ガイド穴をあけたものを、必要なサイズの内径に向けて、ドリルとかビットを選びます。 このとき、径の小さなものから始め、だんだんと径の大きなものへと進めます。 いきなり目的の大きな径のドリル加工をすればよさそうですが、それでは、とても力が必要で無理だからです。

さらに、木管は内径がテーパー状になっていますから、階段状になるように、最初は径の小さなもので奥深くまで、次第に径の大きなもので浅いところで止める、といった工程とします。

フォトは、トラベルソの頭部管(Head Joint)をつくっているところ。

頭部管の場合は、内径がテーパー状ではないので、太い穴を最後まで通してあけますが、この場合でも、やはり径の小さなものからはじめ、最後に最大径のドリルを使います。

通常の木工では、板への穴あけは一般用ドリルを用いますが、それほど長いドリルではありません。 でも、木管では、穴を「あける」というより、穴を「掘る」というイメージとなり、ロングドリルでの作業ということになってしまいます。

フォトでは、木工旋盤の右側のテール・ストック tail-stock にドリルチャックを取り付け、それにロングドリルを装着した図です。

テール・ストックは、ベッド bed に固定しますが、テール・ストックには可動式の筒部分があり、右手で回転させると左右にスライドするようにできています。 このメカニズムを利用して、ドリルを左に進め、穴を掘ってゆくこととなります。

でも、スライド量は、最大で50mm程度のものが一般ですので、ここまで進んだあとは、テール・ストック自体をベッド上で左にスライドさせて固定しなおします。

その後は、可動部分の筒を元の右いっぱいに引っ込め、再びスライドさせ、これを繰り返して、穴を掘り進めることとなります。

そして、次に、少しだけ径の大きなロング・ドリルに取替えて、最初の工程へ戻り、これを繰返します。 (実際には、少し掘り進んだら次第に径を大きくし、進んだら小さなものから再度始めて、掘り進めるほうがうまく行くのですが、イメージを説明するためこのように表現しておきます)

「木なんて柔らかいものなんだろう?」ってお考えのあなた、とんでもございません。

石のように硬い、硬材(ハード・ウッド)を甘く見るわけにはゆきません。

工場での金属加工では、摩擦熱で刃物がなまるのを避けるため、どくどくと流すようにオイリングが必要です。硬材の木工加工では、オイリングこそしませんが、それに近いです。

摩擦熱で、エボニーなど、油断するとすぐにヒビが入ります。 摩擦熱で煙も出ます。 削りクズは管の中で燃えますので、ドリルを抜いた後の真っ赤な削りぐずのかたまりが床に落ちて、火事にならないよう、またあわててそのまま手でつまむと火傷をしますので注意が必要です。 膨張した木と膨張したドリルが内側でがスタックし、旋盤のモーターが唸り始めます。 スタックしたままのロングドリルは、抜けません。 1年近く、抜く方法を考え、あげくの果てやっと抜けた、という経験もあります。

楽しい木管つくりの各工程を通し、外形つくりは楽しいですが、内径つくりは、緊張と根気と安全確保の連続です・・・・・。

木管の命は、内径。

外見の外形に気をとられがちですが、楽器つくりでも、やはり内径つくりが命です。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、ドリルがたくさん必要なんですね。
画像は鉄鋼用ドリルですか?
私は木工用ドリルで内径を広げようとしたら上手くいきませんでした。
12mmぐらいのした穴を開けて後はじっくりリーマーで作業するというわけにはいかないのですね。
オーボエ好き
2005/04/18 09:19
じっくりとリーーマーで作業することはできると思います。ただし、リーマーに依りますし、12mmから、たとえば19mmまでずっとリーマーで頑張るの、手動では大変。一方、機械ならば、リーマーでなくドリルと変わらない。フォトは、木工用ドリルです。ただし種類として、オーガーではありません。うまく行くかは、単にドリルの種類だけでなく、工作の手順とか、他のビットとの併用など、作業方法によります。なんせ、フォトのように、ロングドリルは長いですので、歯の部分がチャックから遠くて暴れます。いかに、同心円上に異なる径のドリルやビットで、重ねて加工できるかが課題となります。最初に短いフォストナービットで、ガイドする穴広げを行い、そのガイド穴に、同径のロングドリルに付け替える、などの手順によりうまく行く確立が高まります。
woodwind 図書館長
2005/04/19 01:04

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