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zoom RSS 同心円の確保は、仮想の中心点の生かし方が決め手

<<   作成日時 : 2005/04/22 23:07   >>

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楽器のつくり方 (12) 2005/4/22

木管の外形と内径つくりの要点のひとつに、「同心円」の確保があります。

外形に対し、ボア(内側の穴のこと)が同心円となることが望ましい。 同心円であれば、管の厚さが一定で、逆に、同心が外れると、管の厚さが不均一となります。

トラベルソの上管(アッパー・ミドル・ジョイント)でのテノンとか、下管(ロワー・ミドル・ジョイント)のソケットなども、外形とかボアに対して同心円を確保したい。

では、いかにして同心を保てるのでしょう?

その鍵を握るのは、旋盤や冶具・工具の精度も関係するでしょうが、それ以上に、手順すなわち作業工程に大きく依存します。

早い話、丸材の中心に正確に穴があけられるでしょうか?

丸材の両端に、その中心が残っておりれば、それを元に円錐状で先端がとがったセンタで両端を挟み、旋盤で外側を削ることにより、同心円確保の元となるチャックへの取り付け部分ができます。

ヘッド・ストックのチャックに取り付け、反対側のテール・ストックにはセンターを利用して押さえ、「中心を確保」しながらチャックを締め付け、さらにブレ防止で固定すれば、中心にガイド穴などをあけられますね。 

ところが、ガイド穴自体、深い穴掘りですから、シェル・オーガーとか、とくに細いドリルでは、(鋼鉄製とは言え)曲がって進み、その結果、中心に正確に穴をあけるのが実際上難しくなります。

それじゃどうするか?

発想を逆にします。 「外形には頼らず、内径に着目」します。

ガイド穴なり、拡大穴を基本とし、その仮想の中心を生かして、両側を円錐形のセンターで結わえ、外形加工をします。そうすることで、仮想中心に合った内径と、それを基準とする外形とが同心円となります。

要は、作業工程の順序(段取り)をよく考えることです。

でも、そのようにできない工程も種々出てきます。 これらの場合も、工夫次第で改善できます。

フォトは、クラリネット・ベルの穴あけ(穴ぐり)工程。 

段階状の穴が見えますね。 フォーストナー・ビットの径の異なる何種類かをとっかえひっかえています。 

とがったビット先端は、「中心をつかまえる」役目をしています。 ところが、径の小さなビットで、先に深く穴あけをすると、「中心がなくなってしまい」、大きなビットにとって、中心手がかりがなく、すべって、同心でない状態で切削が始まり、中心がずれてしまいます。

これを避けるには、径の大きなものを先にあけて、少し進みます。

ビット先端の中心のえぐりが残っている状態で、次に、少し径の小さなものに替えて進めます。

さらに、小さな径のものへと進めると、同心円の基準である「中心」のえぐりが、とっかかりとして最後まで残るので、同心に切削できるってなわけ・・・・。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ベルの内径加工はどうやってするのかなぁと思っていましたが、
ドリルの使い方が大から小へと逆だったんて!
ベルの最終仕上げは、やはりリーマですか?
オーボエ好き
2005/04/23 09:52
オーボエ好きさん、こんにちは。いつも、コメントありがとうございます。同じように興味をいだいているだろう読者のみなさまの、疑問なり、ご意見を代表されているように感じます。ベルの最終仕上げですが、仕上げの前に、削りが必要です。木工旋盤のバー(横のバーの刃物台)は、通常ベッドに平行して置きまが、ベル内径削りではベッドに直角に置き、のみの一種で平らにします。このとき、スクレーパーというのもうまく使うとツルツルにできます。ただし、この直角の作業「押さえ」が効かず難しいです。ベルリン楽器博物館で、おそらくベル用と思われるリーマを発見。でも通常、ベルは一番はしに「縁取り」があり、中の方が内径が大きいので、リーマも一部しか使えませんね。
woodwind 図書館長
2005/04/23 12:01
なるほど!
そういえばFlothやGrandmannのオーボエのベルは「縁取り」が存在してました。
最後はてで仕上げるということになるのですね。
オーボエ好き
2005/04/24 19:35
「縁取り」どころか、オーボエ・ダモーレやオーボエ・ダカッチャ、コーラングレなどは、洋梨形のベル(この場合ベルと呼ぶには変か)となっており、独特のこもった音を作ります。この洋梨形のベルの空洞は、つぼとか徳利のように、おちょぼ口の中に大きな空洞となっており、とてもリーマの世界の話ではないです。手で仕上げるという意味では、そうです。木工旋盤による木のつぼの製作家は、この空洞を仕上げるのです。それなりのノウハウがあります。
woodwind 図書館長
2005/04/24 22:42

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