バロック木管図書館 woodwind

アクセスカウンタ

zoom RSS 同心円をなす木管ばかりなのでしょうか

<<   作成日時 : 2005/05/01 01:13   >>

トラックバック 0 / コメント 6

画像
楽器のつくり方 (14) 2005/5/1

木管とは木の管。

管の内径(ボア)と外径(外形)とが、同心円を描くものが普通です。

まず円ですが、円は形の中の基本です。 さらに同心円だと、輪切りにしたとき管の厚みが一定となるのため、便利なことが多いのです。

木目は、外形を削ってみてはじめて現れるもの。 気に入った板目の模様を前面するとか、線が平行に走る柾目(まさめ)面ですっきりさせてみようかなど、自由な楽しみも円形ならでは。

もっとも、加工後も木の乾燥による変形を考慮して、柾目、板目のいずれを前面にするか、の議論もありますが、これまで見た限りでは、作者によりまちまちです。

木管の種類によっては、全体、あるいは一部が、円形をなさないか、一見してなさないように見えるものがあります。

フォトは、ぬボーっとした新種の楽器だろうか?

いいえ、普通のリコーダーです。 でも、どこかが普通と違う。

そう、これはくちばし(マウスピース)部分が未完。 くちばしは、一見、特殊な形状ですが、木工旋盤で切削したすぐあとの工程では、フォトのように同心円を描きます。 このあと、くちばしに加工します。

同様に、クラリネットのマウスピースもしかり。 一見、特殊な形をしています。 ところが、それも旋盤で切削したばかりの途中の段階では、同心円をしています。 それを、後から削ってゆきます。

しからば、同心円でないものはないのか?

あります。 以下のようなものです:

@ファゴット(バスーン)のベル以外の管: ウィング・ジョイント(左手指おさえ部分が翼のよう)、バット・ジョイント(楕円の外形の中に2本の上り・下りのテーパー内径あり)、ロング・ジョイント(キー・台が付く)

Aラケット(ランケット): 合計10本の内径が、円筒の外形の中にあり、行ったりきたりで忙しい構造となっている。

これら、同心円でないものの加工は、手順をよく考えないと精度よく加工できない難しさがありそう。 それに比べりゃ、フォトのようなリコーダーは単純ですかね。

ところで、もう一度、フォトをよーく見てください。

なにやら、模様が見られますね。 これは、欧州黄楊 European boxwwod にしばしば見られる、杢(もく)で、木を切ると現れる特異な縞模様です。

円径の木管の場合は、ぐるっと見渡し、杢(もく)が美しく見える面を表に選ぶことも、また木目が美しく見える角度にあえてずらすことなんかも、楽器つくりの楽しみの一つなのです。

あなたも木管をつくって見たくなりましたでしょうか。 切ってみてはじめて現れる、「内に宿す美」に魅せられますよ・・・。



テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
どの面にトーンホールや歌口をあけようかいろいろと考えていますが、
見た目以外に面の取り方による音や性能への影響ってどんなのが考えられるのでしょうか?
YA○○HAは縦に目が通っている面を前にしているようですが、これは割れを考慮してだということです。
また木の末と元のどちらを歌口にするかも考えています。角材になったときにこれを見定めるのは大きい木になってしまうと難しいですね。今のところわからずにいます。
オーボエ好き
2005/05/02 19:27
なにごとも長所あれば短所もあり。割れより、楽器の縮みによる歌口や指穴へピッチが変わってしまう影響があるとの記述を読みました。楽器のつくり方(3)のように同心円の直角方向は縮みが少。この意味からは、板目を前面にすればよいか。事実、楽器の書棚(5)で紹介し文献集にも載せました方のT.Lotは、柾目でなく板目を前面としています。わたしが、ベイト・コレクションで自分の目で確かめたものではR.Potterが、下管を除き他は板目。わたしのメック社製のアルトリコーダ#439も板目。ただそうかと思って目の前のカタログを見ましたら#439は柾目なんですね。反対です。さらにカタログでは、テナー#449aはこんどは板目になっています。さて、何を、誰を、信じますか?十分乾燥していればどちらも狂わないけど、実際は使用のたびに水分を含みますので・・・わたしは、最後はフィーリングで決めています。柾目や板目だけでなく杢(もく)を含めた模様の、「視覚に訴える何か」です。実際、その角度でトラベルソを構えたとき、目から入るフィーリング上、どうしても受入れられない模様があり、それを避け、もっとも感じの良いものを探しています。
woodwind 図書館長
2005/05/03 12:18
なるほどぉ。大手メーカでも特に考えていないのかもしれませんね。
確かに視覚からの影響もありますね。
オーボエ好き
2005/05/03 13:00
こんなのもありました。ローズウッド種でトラベルソの頭部管を作ったときの話。木目はまっすぐでなく、節ではないけれども広葉樹特有のぐねぐね曲がって生育するため、不思議な模様がいっぱい。なぜか鳥かなにかの「眼」のような模様があるのです。それを見ると、落ち着かない。ところが、丁度、歌口の位置にあったのです。そこで、逆に、その「眼」の所に穴をあけてみると、その気になる「眼」がなくなり、今度は逆に、歌口をカーブして取り囲むような感じのいい落ち着きを見せたのです。この例では、板目が前か、柾目が前かの議論など、どこかに吹っ飛んでしまっていました・・。
woodwind 図書館長
2005/05/03 13:22
おぉっ!
そんなチャンスに巡り会いたいものです。
R.Potterの下管だけが板目でないというのが示唆にとんでいるような気がしています。
もしや音孔をそろえれば全て板目だったのではないでしょうか?
オーボエ好き
2005/05/03 15:16
きっとチャンスに巡り合うと思います。種々試みてください。
木目がはっきりしない木とか、見えない木(エボニーとかグレナディラなど)では、逆に、このような楽しみも減少するんでしょうね、実際。
woodwind 図書館長
2005/05/03 17:01

コメントする help

ニックネーム
本 文
同心円をなす木管ばかりなのでしょうか バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる