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<<   作成日時 : 2005/05/03 19:36   >>

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楽器の書棚 (8) 2005/5/3

クラリネットという楽器をごぞんじでしょうか?

中学・高校など、ブラスバンド(吹奏楽)で編成数の多い楽器です。 わたしも大学時代、応援団・吹奏楽部で2ndクラを吹いた時期がありました。

オーケストラにおける第一〜第三バイオリンの代わりに、ブラスバンドではクラリネットのパートが受け持っているようですね。

そのクラリネット、誕生当時は、現代(モダン)クラリネットのように黒色のグレナディラ (African blackwood) でなく、リコーダーなどと同じく、黄楊 boxwood でつくられたようです。

アンソニー・ベインズ(文献集ご参照)によると、発明者はデンナー Denner で、前身のシャリュモーを改良したみたい。黄楊製でケーンを付け、キーは頭部近くにたったの2つ。

クラリネットは、閉管楽器のため、その長さに比してずいぶん低い音が出ます。 オーボエやトラベルソと比べても長さにして半分で十分。

最低音を出すため全部の指を塞いだとき、定在波の最も振動する「腹」と振動しない「節」との関係を見ると分かります。

開管のトラベルソが、開口部である歌口近くで「腹」、左手人差し指あたりで「節」、足管の出口で「腹」となるのに対し、閉管のクラリネットでは、リードが閉じる部分で「節」、そしてベル開口部でいきなり「腹」。

木管の最大実行長を使い、「腹」−「節」−「腹」で最低音を出すトラベルソに対し、実行長がその半分で、「節」−「腹」で決まり、同一の周波数(ピッチ)の定在波ができるからです。 通常のBbクラリネットでは、トラベルソとほぼ同じ長さですから、 d' ではなくて、1オクターブ低い d となります。

フォトは、初期のクラリネットを復製したもの。 キーも前後あわせて、たったの2つ。

とてもかわいらしく、アルトリコーダぐらいの長さです。 それでもって、最低音はbb。 めずらしい高音F管です。

初期のクラリネットは、現代(モダン)のように、バレルとマウスピースとが必ずしも分かれていません。 フォトも一体型ですが、いかんせん、マウスピースは他のオリジナルのクラリネットと同じく、とっかえひっかえの運命なのか、失われて博物館でも一緒に保存されてないことも多そう。

フォトのマウスピース(バレル一体型)もしかり。現存していません。 そこで、わたしは、現代の製作家が復元・寄贈されたものの外形を計測をさせていただき、本体の計測データ図面とともに復元しました。

ベイト・コレクションでも実物と比較し、館長の前で、わたしの楽器の音出しもしてみました。

クラリネットは移調楽器ですね。 しかも、トラベルソと違って、オーバーブローイングでオクターブ(8度=2倍)高くなるのではなく、閉管独特の1オクターブ半(12度=3倍)へジャンプします。

このため、楽器の調子を呼称するに、全指閉じた最低音で表記するトラベルソ(D管)やオーボエ(C管)とは、チョット違った工夫が必要です。

トラベルソでの左手だけのG音、アルトリコーダーでのC音を出す音の指での実音で呼称するようです。 この移調楽器での呼称の複雑さに加え、バロックピッチが現代(モダン)と異なるので、復元製作したクラリネットのピッチ測定を行って、楽器の調を言い当てるとき、頭がぐちゃぐちゃに混乱します・・・。

実測では、A=415Hz(a'=415Hz)に近くてF管であり、ベイトコレクションの公開データと同じ。 

ご参考までに、いわゆる開放G音における、クラリネットの管の通称と実音との対比を記します:

Ab管=e"b F管=c" Eb管=b'b D管=a' C管=g' Bb管=f' A管=e' Abダモーレ管=e'b Gダモーレ管=d' バセットホーンF管=c' Ebアルト管=bb Bbバス管=f Aバス管=e Ebコントラバス管=Bb Bbコントラバス管=F Bbサブコントラバス管=F'

混乱のきわみですが、そういえばブラスバンドの譜面、BbクラリネットでしたのでBbで記されていました。 トランペットもホルンなども移調楽器だそうで、それぞれの調で記譜されたもの同士で演奏していたんだなあ・・・。

さいごに、クラリネットとはちいさなクラリーノ(トランペット)の意味だそうです。

【コピー】

材質: 欧州黄楊 boxwood 真鍮製のキー No.9804
     全長445.9mm(マウスピース89.2mm含む) A=415Hzあたり

【オリジナル】

所蔵: オックスフォード大学 音楽学部 ベイトコレクション #429
製作: ウィレムス I.B.Willems Sr. ブラッセル 1720-1740ごろ
楽器: F管クラリネット 黄楊 boxwood 真鍮製のキー

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
最低音でA=440Hz近くと記しましたが、再測定したところA=415Hzであり、記述を削除し、訂正しました。
woodwind 図書館長
2005/05/07 16:37
クラリネットは複雑な楽器ですね。
このあとのブログではブリッジが出てきますが、本当にフィンガリングが複雑に思えます。トラベルソのオクターブによるフィンガリングの違いにも身体が慣れるのに時間がかかっているのに!
この後のブログ、右下のコメントボタンが認証のみになっていてコメントできなかったので、こちらにコメントしました!
オーボエ好き
2005/05/09 18:44
オーボエ好きさん、こんにちは。ブログの新しい機能で、「認証のみ」を受付けるサービスがあり、それを選んでしまいました。それを、外しましたので、またコメントもお願いします。
バロック/クラシカルクラリネットとベーム式とでもすこし運指が違うみたいだし、ほんとに混乱しますよね。
woodwind 図書館長
2005/05/09 21:30
こんばんは。

この楽器は、シャリュモーではないのですか?
シャリュモーとバロゥク・クラリネットの違いが分かりません。

テーレマンの「2つのシャリュモーのコンチェルト ニ短調」が
大好きで、機会があればやってみたいです。

それから、バロゥク・クラリネットで、
オゥボエの曲は吹けないのでしょうか?

モダンのエーラー式クラリネットを
やってみたいと時々思います。

A管の楽器なら、415Hzの楽器と合わせられそう。
わたにゃん
2007/12/17 17:58
わたにゃんさん、こんばんは。
●シャリュモーは、クラリネットの前身と言われています。1オクターブ強の音域らしく、確かにテレマンにはシャリュモーが出てきます。
●フォトは、初期のクラリネットです。形は似ていますが、シャルモーと違ってベルが付いているでしょう。シャルモーの足管は、リコーダーそのものの。クラリネットの発明により、3オクターブも出ますが、最低音域はシャルモー音域と呼ばれ丸く太い低い音色はシャルモーの原理と同じためそう付けられていると思います。
●クラリネットでオーボエ曲が吹けるか?・・は、吹けるものもあると思いますが、それぞれ適したように作曲されていると思いますので・・でも試みも新しい発見があるかも。
●A管で半音下がるからですか?移調楽器のクラリネットのBb楽譜をそのままA管で、と言うわけですか?とにかくクラリネットは、移調群が多すぎてこんがらがります。
woodwind 図書館長
2007/12/19 22:46

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