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zoom RSS イミテーションでも美しい象牙です

<<   作成日時 : 2005/05/16 00:36   >>

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楽器のつくり方 (15) 2005/5/16

バロック木管には、象牙のリング(マウント)が施されたものとか、象牙の装飾で飾られたもの、あるいは象牙でできたマウスピースや頭部管などもあります。

象牙(アイボリー)は、文字通り、象の牙。 古今東西、ずっと装飾品などに用いられてきました。

とても緻密なことから、精密加工に適します。 中国の装飾品には、まるまる1本の象牙に山水画風の微細な彫刻など、見かけますよね。

楽器の装飾でも、たとえば、18世紀オランダのリヒター家のつくるオーボエなどは、銀の装飾ばかりか、象牙の彫刻の入った装飾マウントなどでも飾られています。

この装飾ですが、やはり木管の接合部分の強化を目的として用いられ、その部分に装飾が施されたと考えられます。

トラベルソなどの木管は、水分を含むと膨張して割れの原因となります。 とくに各ジョイントの糸巻きによる接合部分は、段差のため水がたまりやすいのです。 このジョイントのソケットの木の厚さは、わずか1mmぐらいのものもあり、象牙のマウント(リング)で補強しました。

でも、現在、象牙はワシントン条約により、輸出入が禁止(制限)されていますね。

フォトは、トラベルソの頭部管 Head joint と、足管 Foot joint の接合部分のために、象牙のリングをつくり、仮にはめてみたもの。

象牙と言っても、じつは、イミテーションの象牙。

プラスティック製ですが、本物にとてもよく似ています。 象牙独特の縞模様などもあり、磨くと、やはり本物と同じように光沢が出ます。

装飾の目的では、これで十分。 絶滅の危機にある動物の愛護・保護の精神にかなっています。

つくり方は、まず、イミテーション象牙の丸材を、旋盤のチャックに結わえ、最終のマウントのリング面が直角になるように切り落とします。 こうしないと、はめたとき隙間ができるのです。 そして求める内径の穴をあけます。 最後に、望む長さのところで、切り落とします。

フォトのように、各ジョイントのソケット部分を、このイミテーション象牙がぴったりはまる寸法に旋盤で加工します。

この後、象牙リング(マウント)を各ジョイントにはめ込み接着して乾燥させます。 安定してから、木部と象牙部分とをいっしょに外形削りを行うと、みごとに段差なく仕上がります。

各ジョイントと、象牙リングのそれぞれを仕上げてから、はめ込む方法もありますが、その場合は段差なくつくるのがむつかしいのではと想像します・・・・・。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
象牙を先に接着しておくから、きれいに仕上がるわけだったのですね。
Bizeyのトラベルソは1720製には象牙、1740製にはシルバーで補強しているものがありますが、シルバーの場合は図面を見ても明らかに段差があったのでこれは同様の方法は難しいのですね。
イミテーション象牙は私のトラベルソにも使われていますが、本当にプラスティックとは思えませんね。聞くところによるとリコーダーでは象牙リングを施すと音色が良くなり息を吹き込むときの抵抗感が増すそうですが、トラベルソではそのような効果が出たというのを聞いたことがありません。
リコーダーとトラベルソはよく似ていると思いますが、象牙の効果が異なるのはどうしてなのでしょう?
オーボエ好き
2005/05/16 10:31
銀では無理ですよね。やはり、はめ加工ですよね。
象牙による抵抗感が増す件ですが、物理的意味が分かる気がします。
これまでのわたし記事は、音響特性を説明するのに、あえて、どの材質でも、音出しのための「支え」が理想であることを前提にしています。ところが実際は、旋盤の切削で「支えが何より重要」と言ったのと同様に、木管が定在波をつくるとき、自身が音の振動を十分耐えられなければ、その音は作れず、スペクトルは分散しぼけた柔らかい音になると思います。逆に、グレナディラやエボニーでは、しっかり自分自身を「支える」ので単一の正弦波が出やすく明確な音になると思います。象牙も硬く、自身の支えが演奏者にとっては、「抵抗感」というか「下支え」的安心感のあるきちっとした音色がでるものと想像しています。ボール紙でリコーダを作っても、きっと明確な音にならない気がします。
woodwind 図書館長
2005/05/16 22:43
象牙の効果は科学的に解明されそうですね。
オーボエは強い抵抗感をもつ楽器ですが、
他の楽器でも適度な抵抗感「支え」が重要なんですね。
単一の正弦波と遠鳴りは関係があるのでしょうか?
一般にグラナディラやエボニーは大きいホールへの適応を考慮されているモダン楽器に多く使われていますね。
オーボエ好き
2005/05/17 13:43
そうですね。「遠鳴り」と「側鳴り」も関係するかもしれませんね。側鳴りで、全てのスペクトルの総合音量を感じて大きくても、ホールに吸収され得るる遠鳴りでは、吸収される高調波分布によって聞こえ方が違うのでしょうか。リコーダの象牙の件、象牙でなくても、木の材質がメープルとグレナディラではずいぶんと違うことを多くの愛好家が経験していますよね。
woodwind 図書館長
2005/05/17 21:16
リコーダーの件は全くおっしゃる通りです。材質による違いは大きいです。
面白いのはリコーダーに象牙をつける場合、象牙がついている箇所は管体の部分にすぎないのに全音域の音色に効果を及ぼすと言うところです。
もしかしたら足部管だけに象牙をほどこすと低音域の音色を充実させると言うように部分によって効果の及ぶ音域があるかもしれません。

ここからは仮説ですが、リコーダーの場合、息は管体に対してまっすぐ入っていきますが、トラベルソは歌口内部で左右に分散されてから管体に入っていくと言う流れですね。言い換えると管体内部でのエアーの流れる速度、密度、気圧などがトラベルソの方が低いのではないかと考えています。つまり管体材質の影響を十分引き出すには、管体内部の振動を伴ったエアーの量が十分でなくてはいけないのではないでしょうか?そのためリコーダーでは象牙の効果をはっきり感じられるのに対し、トラベルソではさほど感じられないのかもしれません。
足部管の内径を小さくしたり、歌口を大きくしたりすれば、象牙の効果は大きく現れるかもしれません。
オーボエ好き
2005/05/18 13:30
どうもお久しぶりです、なんちゃってチェロ弾きです。
以前テレビで卵を使って人工象牙を作る方法を紹介していたな・・・と思い検索したら出てきました(人工ベッコウもありました)。試されたことあります?旋盤で加工出来るような強度のものが出来れば仕事に使えるのでやってみようかなと思うのですが。
なんちゃってチェロ弾き
2005/05/18 16:16
オーボエ好きさん、こんばんわ。わたしにとって、まだまだ研究すべきことが見つかり楽しい限りです。ところで、トラベルソは開管。どういう意味かというと、息の流れが出るのが足管とか下管の指穴だけではなく、吹き込んだ「歌口からも」出ていると言うことですよね。2つに分かれた息が、上管内に入り定材波ができること自体、内径にて反射されて唇に帰って来ているのですよね。リコーダも同じですが、そのウィンドウェイは狭くて長く、柔らかな唇への反射より、ブロックや、四角い開口部分へ向かうのがほとんどではないでしょうか。リコーダのウィンドウェイも、ずいぶんとノウハウがありそうですね。ウィンドウェイの真ん中あたりで厚さが膨らんでいますね。微小の世界の話ですが。
なんちゃってチェロ弾きさん、お久しぶりです。ベイトコレクションの管長は、わたしの復元の高F管のクラリネットがすぐ眼に入りました。寸法測定させてもらってから、1ヶ月だったか後には持参したと記憶します。そのため、材を十分乾燥できずに曲がってしまったのですが・・。卵の殻の件、とても面白いですね。Webで調べたら本当にありました!
woodwind 図書館長
2005/05/21 00:23

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