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zoom RSS 快適な切削は、適切な回転数から

<<   作成日時 : 2005/05/22 02:50   >>

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楽器のつくり方 (16) 2005/5/22

木工旋盤をみてゆきましょう。

木工旋盤は、木を削るもの。 これを切削(せっさく)と言います。

では、切削っていったいなんでしょう。 ミクロに見ると、原子レベルで結合されているものをひき剥がすこと。 金属における切削は、一般には均一な構造をもつ原子格子から、引き剥がします。

でも、木工の切削では事情が少し異なります。 木は細胞がつながっており、また年輪があります。縦横で均一ではありません。 木目に平行に切削する場合と、木目に直角では事情が異なります。

木の板を切るとき、鋸(ノコ)を用いますが、鋸には「縦引き鋸」と「横引き鋸」の2種があります。 日曜大工のレベルでは、1本で、片方が縦引き、もう一方が横引きの刃(歯)を付けたものが使われますね。 横引き鋸の刃(歯)は、細かく角度も大きい。 縦引き鋸ではその逆。

面白いことに、奈良の法隆寺の建立時、大木を縦引くのに、大鋸を用いるのではなく、引き割っています。 木(この場合針葉樹)はくさびを打ち込みますと、竹を割るのと同様に、縦に見事にきれいに割れるそうです。

あくまで、木目に沿っているので自然な力を維持し、五重の塔の機構を支えるのです。 1000年以上も支えています。 現代では、大型電動鋸で直線状に移動させて切りますので、必ずしも木目のながれではなく、無理やり逆らった直線となりますね。

話を、木工旋盤による木管楽器の削りに戻しましょう。

木管の外形削りでは、木目に直角な、いわゆる横引きに近い状態となります。 回転させていますので、刃を当てると、次々と木目を横切ります。

大工さんが柱を鉋(かんな)がけするのを見たことがありますか。 なんとまあ、すばやく、しかも非常に薄く、シューーーーーと長く削ることでしょう。

削られるのは真っ直ぐの柱ですが、厳密には木目に平行ではなく、いわゆる順目と逆目とがあります。 大工さんは、これを見極めて順目で削ります。 そうしないと表面が、がさがさとなります。

ところで、切削には「押さえ」が重要です。

逆目では、木の木目にくさび状の刃が食い込み、削られる木の不均一性のため自身に「押さえが利かず」割れてしまうからです。 法隆寺建立の木割りと同様に。

大工さんの鉋がけのスピードですが、あまりゆっくりではうまくゆかず、逆に早いと滑って削れないでしょう。 適切な、スピードがありそうですね。

木工旋盤における経験では、削るられる木の「表面での切削速度」として20〜30フィート(6〜9m)/秒がよいみたい。 標準として、中間の25フィート(7.5m)/秒における、旋盤の理論回転数を求めてみましょう。 旋盤の回転数は、毎分の回転数 rpm で表します。

材の直径により、同一の回転数でも表面切削速度は変わりますので注意が必要ですね:

・直径1インチ: 理論値 5,728 rpm、 実用値 3,000 rpm、 実速度 13フィート/秒
・直径2インチ: 理論値 2,864 rpm、 実用値 2,500 rpm、 実速度 22フィート/秒
・直径3インチ: 理論値 1,909 rpm、 実用値 1,800 rpm、 実速度 24フィート/秒

直径が大きいと、同一回転数でも、刃のあたる木の円周が長く、表面速度が増します。 実際、径の大きなものは、直感として「恐ろしく」感じます。

これらは、鉋がけに相当する仕上げ時のものであり、ケースバイケースで速度を落します:
 
@両端を結わえないとき、A直径が大、B表面がでこぼこ、C節や欠損など材が不均一

【例】 角材から丸材へ削る場合は、最初は丸に比し四角は√2=1.4倍もあり、また、でこぼこの最たるもので、さらに、硬材ハードウッドは広葉樹のため節などもあります。

  A、B、Cの条件が重なりますね → 半分以下とします。

【例】 ガイド穴あけや穴広げでは、大きなトルクが必要で、また微妙な手のコントロールができるよう最低速度から試みるのもよいと考えます。

フォトは、わたしの木工旋盤の回転数を替えるための機構で、主軸受け(ヘッドストック)を開いた様子です。 モータ直結の軸に径の異なる3つのプーリーがあり、主軸受けの、やはり3つのプーリー(大きさの順番は逆です)にベルトを掛け直し、回転数を替えるようにします。

450 rpm/ 950 rpm/ 2000 rpm

トラベルソつくりの場合、角材は1.5インチを用いますので、わたしは、ほとんど 950 rpm 固定で作業していますが、穴あけでは 450 rpm も使用します。 ちなみに、 2000 rpm というのは、早くて、すこし「怖い」と感じるぐらいです。

いずれにせよ、旋盤による木工加工: 「安全第一」で行うよう心がけています。

   

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
woodwind様の木工旋盤はベルトの掛け替えが簡単にできそうですね。
私のは上下にベルトがかかっており、下のモーター部分には手が届かないのでベルトの掛け替えが少しばかり面倒です。
材の不均質のため、削っている最中にチャックから外れて飛び出したりするので、
特に木口の面を出すときは削り量も少なくして慎重に作業しています。
オーボエ好き
2005/05/22 09:22
オーボエ好きさん、こんにちは。わたしの旋盤では、各部のネジ締めが簡素になるよう、レバー方式に改良されています。ベルト替えのときも、レバー操作で緩め、プーリーからベルトを外します。
「チャックから外れて飛び出す」件ですが、そのときテールストックからの芯押さえ(センター)はないのでしょうか?
わたしは、芯押さえにより飛び出さないようにしておき、木口面を出しています。もちろん円錐形のセンターですから、中心部にいたる最後まで突っ切ることはできないまでも、幅1.5mmくらいの突っ切りバイトを用い、ほぼ最後まで処理できています。飛び出すことはありません。
woodwind 図書館長
2005/05/22 21:30
ご指摘通り芯押さえを外して作業している状態です。
金属用のバイトで木材を削る場合の刃の付け方がわからず、
木工旋盤用のバイトを刃物台に固定して使っているのです。
まだまだおっかなびっくりで作業をしているので、工夫が足らない状態です。
突っ切りバイトは持っているのですが、未だ使ったこともありません。
次回チャレンジしてみます!
オーボエ好き
2005/05/23 11:01
いわゆる金工・木工旋盤をお使いなのでしょうか?刃物台というのは金工旋盤のことと思いますが。その場合、木工旋盤用のチゼルなどを取り付けているのでしょうか。金工旋盤での作業はしたことはありませんが、旋盤の基本は、回転軸の高さを基準にして刃を合わせることと思います。木工旋盤では、その高さを意識し、あとは木の削られ方の様子を見ながらコントロールします。同時に、刃の当てる角度が問題です。これら2つの要素:高さと角度は、刃物台では自由度が少ない気がします。木管を金工旋盤で作業している様子が示されている、他のサイトもありますが、角材の荒削りの段階から使用しているかどうかは分かりません。なお、わたしが表現しました、突っ切りバイトは金工用のものとは異なり、パーティショニング・ツールといって木を切断するものです。また、追って、刃物なども連載してゆきます。
woodwind 図書館長
2005/05/27 22:28
金工旋盤で木工切削作業をしている状態です。
刃物台はご指摘通り金工用のものです。
突っ切りバイトは木工用のもののことだたんですね。
まだまだ私にはたくさんの知識が必要なようです。
次のネタも楽しみにしております。
オーボエ好き
2005/05/29 22:02
ネタを楽しみにされると、とてもうれしくなります。実は新ネタ一覧表をつくり、40位のアイテム出しをしています。この中で、旋盤で使うドリルとか、リーマーの続きなど、工具に関するものも取上げる予定です。
woodwind 図書館長
2005/05/30 00:51

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