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zoom RSS 美しい木管は、よく切れる刃物から生まれます

<<   作成日時 : 2005/05/28 15:04   >>

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楽器のつくり方 (17) 2005/5/28

木管楽器の外形づくりでは、ノミを用います。 

ノミは、大工さんが鉋(カンナ)や鋸(ノコ)と同じくらい頻繁に使用する刃物ですね。 

木工旋盤で用いるノミは、わたしたちが、普段よく見かけるものと、姿形も、使い方も違います。 刃で切削すること自体は同じですが、手加減するころあいが異なるのです。 

大工さんは、木材を固定し、ノミを押したり、台尻を玄翁(かなづち)で叩きます。 押す力や勢いなど、早さとか角度とかを 「主体的に」 変えることができます。

ところが、木工旋盤では、ノミの刃を固定させます。 木材の方が、向こうからやって来るのです。 主導権は、回転する木材の方が持っており、こちらは、やや 「受身に」 ならざるをえません。

回転する木材ばかりか、刃物の特性をよく理解しないと、@刃物がはねられる、A刃物が食い込む、Bとくに丸のみではシーソーの原理で思わぬ方向に勝手にすべったりで、それまで削ったものを台なしにしてしまいます。

ノミの刃の構造や特性も重要です。 刃角では、パーティングの両25度、チゼルの25度、ガウジの35度、45度と55度、スクレーパーの80度などなどがあり、角度の違いにて、それぞれの役目があります。 要は、刃物を材にどのような方向から近づけ、どのような高さと角度で用いるかです。 (→文献集ご参照)

いろいろなノミを言葉で説明するのはむずかしく、フォトでご覧いただくのがいちばん。

フォトをクリックしましょう。 フォトの右下あたりにカーソルを動かし、拡大アイコンが現れたらクリック。 最大状態にして刃先をご覧ください。 撮影のため、にわかに全部研ぎました。

カメラの広角レンズのいたずらで遠くの柄(にぎり)が短く見えます。 実際は長く、右から4番目のものなどは、にぎりが38cmもあり、てこの原理でコントロールがしやすくなっているのです。

大きく分けて4つあります:

@ガウジ gouge 丸ノミ: 刃が直線でなく丸いので、研ぐのがむずかしい。
Aチゼル chisel ノミ: 刃が直線で、丸材にあたる部分はごくわずか。 操作がむずかしい。
Bパーティング・ツール parting and beading tool: 切断のほか一般削り。使いみちが多い。
Cスクレーパー scraper: 表面を、こすり取ってきれいにする。

フォトを左から順に紹介しましょう。 丸数字@ABCは、上の種類:

1. 1/8インチ 3mm チゼル: A キー取付け溝加工など、細部削り。
2. 1mm マイクロ パーティング: B 溝 groove 掘り。 切断にも便利。
      材を1mmしかムダにしない。 各種装飾部分の山や谷をつくる。
3. 1/8インチ 3mm パーティング: B 切断用。 一般削りとして多用。 
      直角面もサイドを使用。 ゆったり曲面なら、これで仕上げもできる万能。
4. 1/2インチ 13mm チゼル square end chisel:
      A カンナ plane 掛け作用、表面でこぼこを平らにする。
5. 1/2インチ 13mm ガウジ roughing out gouge:
      @ 荒削り。 角材から丸材にする際の必需品
6. 1/2インチ 13mm スクレーパー half round scraper:
      C 曲面削りや仕上げ。 ベル内側削り。
7. チップ型スクレーパー chipped scraper:
      C 先がチップで角度が変えられ、目的の曲面に対応できる。
8. ウェッジ wedge tool: @ABCを合わせたようなもの。 使うのに慣れると万能。
9. チゼル skew chisel: A 細部仕上げ。 コントロールがむづかしい。
10. ボール・ガウジ deep bowl gouge: @ ボール(お皿)づくり用。
11.〜13. パーティング/スキュー・チゼル/スピンドル・ガウジのセット:
      BA@ 一般木工旋盤用。

これらは、刃物です。 よく切れる状態でないと、きれいな仕上がりになりません。  木と言えど、硬材の中には、刃をすぐになまらせるものもあります。 使う前によく研ぐことが必要となります・・。  
 

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コメント(6件)

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パーティングツールを確認しました。
以前に買ったMiniature Turning set(木工バイト5本セット)の中にあり、私も持っていたことを今更ながら知りました!
上記ではパーティングツールを一般用途にも使用されているとのこと。私も本日試してみたところ、表面の仕上がりがよかったです。
今日困ったのは削ったあとのエッジの処理でした。角が出るところ(端とかテノンの段差部分)に削りクズが残るのをどうやってきれいに処理しようかと考えていました。
サンディングでは丸くなってしまいます。結局、初心者向きの木工作業を説明した本に出ていた方法を試してみました。削りくずを手のひらにすくって、回転させている材にこすりつけることでした。こんなことでも表面がきれいになったので驚きました!
Woodwind様はどんな方法を使っておいででしょうか?
オーボエ好き
2005/06/03 23:59
パーティングが「ミニチュア・セット」にあったとのこと。わたしは、おそらく50%以上は、これ1本でまかなっている気がします。米国キャサリン・フォーカスのHPをご覧ください。彼女が、刃物を研いでいますが、ほとんどわたしのと同じように見えます。ちなみに砥石は、日本のWater Stoneがいいのですよ。
おがくずの件、木工旋盤ではよく使われます。角に削りクズが残る、の意味が正しく伝わらず、とんちんかんな返答になるかも知れませんが、わたしはサンディングも使いますよ。ただし、番手を選びますが・・。
woodwind 図書館長
2005/06/04 00:42
「角に削りクズが残る」は、”カエリ”のことと思います。
金工旋盤での加工でエッジに残るものです。
細かい目のペーパーで当て木をした方がいいのかなぁ。
オーボエ好き
2005/06/05 08:47
カエリの意味了解です。すでにお持ちかもしれませんが、金工ミニ旋盤の使い方でとても参考になる図書があり、文献集に今載せました。
そこで、カエリ処理法がP.95にあり、いわゆる面取りですが、専用のものを自作するとか、あるいは、低速回転で、手バイトあるいは細かいヤスリを軽く当てるとあります。
ところで、「段差」部分の切削で、カエリが出るのは、金工ではバイトを水平に移動しているからでしょうか。わたしは、段差は垂直に行います。したがって、カエリは出ません。その後、水平移動すればいいのでしょうか。金属加工では金属の性質を利用して、水平移動削り場面が多そうですが、木工ではほとんど垂直削りしかしていません。ヒントになりましたでしょうか。
woodwind 図書館長
2005/06/05 12:16
バイトを使う方向に違いがあるのですね。ご指摘通り水平移動が主な動きです。
垂直だとカエリがでないのですね。
私の場合、水平移動が多かったのでパーティングツールを使う機会がなかなかなかったのかも知れません。
ヒントありがとうございました!
オーボエ好き
2005/06/05 14:10
カエリはいつも、削られる材自身の「押さえ:支え」がなくなるところでおきます。たとえば、アルミ板のドリル穴あけでは、あけた後、「裏側には」カエリ(バリと言う)が出ます。でも、自身の支えのある「表側には」バリがないですよね。
垂直では、カエリが出ないと言ったのですが、段差つくりでは、「表側での」作業だからカエリがないと思います。
木材での水平移動では、たまたま木目が走る方向に平行なため、木材自身の「押さえの効かない」作業だから、木材自身で支えきれずに割れてしまうと思います。木管つくりでは、材の方向は決まって、この方向で加工しますから。
金属では、縦横どの方向にも均一な素材ですが・・。
woodwind 図書館長
2005/06/05 14:57

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