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zoom RSS ロングドリル: 鋼鉄と言えど曲がります

<<   作成日時 : 2005/06/05 19:49   >>

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楽器のつくり方 (18) 2005/6/5

木管の内径つくりでは、まず、ガイド穴をあけます。(→楽器のつくり方(6) 2005/3/6)
次に、望む内径近くまで広げることとなります。(→楽器のつくり方(11) 2005/4/11)

このとき、ロング・ドリルで作業できる範囲のものを見てゆきましょう。

フォトは、いわゆる木工用ドリル(の刃)を並べています。

@ 通常の木工用ドリル (左端の5本) 径: 4, 5, 6, 8, 10mm

木工には、しばしばハンド・ドリルが用いられますが、わたしは木管楽器つくりでも使用します。

ハンドドリルは、手でハンドルを回しますが意外と便利。 特徴は、自分で回転速度と力(トルク)をコントロールできること。 とくに、キー台座の軸穴(ドリル径 1mm〜1.5mm: フォト外)をあけるとき、小回りが効く超小型のハンドドリルも用います。

もちろん、ボール盤に結わえて使うこともできますが、コントロールがうまくゆかないことがあります。 たとえば、指穴あけに木工ドリルを使用するとき、木管の表面がささくれ(木割れ)たり、貫通時に大きな力がかり、押さえが効かず、持って行かれたりします。

A オーガー (左から6〜8番目の3本) 径: 6, 16, 19mm

チャック取り付け部分(シャンクと呼びます)は6角形。 長さ、200mmと300mm。

いわゆる、軟材の板や柱への穴あけには威力を発揮します。 先端のらせん状のほら貝のようなネジ切り部分が、木をしっかり捕らえてぐいぐいと進むからです。 ところが、硬材の木管楽器つくりでは、そのような速さでは、材自体の切削が追いつかず、スタックしやすいので、先端のほら貝を、ヤスリで削り落として用いるひともいるそうです。(わたしは試していません)

B リップ・スプール・ロングドリル: インチ系列 (左から9〜13と15番目の6本) 径: 1/4, 5/16, 3/8, 7/16, 1/2, 3/16 インチ

木工ドリルの長いもので、長さ、300mm。 一般に、ロングドリルには、長さが200/300/450mmなどがあります。

英国では未だに、長さの単位にインチも使います。 メートル法が施行され、学校教育でもメートルと言いながら、定規はインチ in と、センチ cm の両方の目盛りとなっています。 1インチ=25.4mm。 12インチ=1フット(フィート)=304.8mm。

問題は、10進法でないこと。 0.5インチでなく、1/2インチなのです。 これは、まだいいとしても、3/8インチとか、63/64インチなど、ピンときません。

でも、木管の複製において、種々の径の刃を準備するとき、メートル系列と、インチ(インペリアル)系列の両方をそろえると、微妙なステップを確保できたりもします。

C リップ・スプール・ロングドリル: メートル系列 (14番目から、15番目をとばし右端までの9本) 径: 3, 6, 8, 10, 12, 13, 14, 16, 18mm

メートル系列であることを除き、Bと同じ。 長さ、300mm。 右端2本は、250mm。 シャンクは12mm以上のものは、10mmと13mm。

ロング・ドリルと一般ドリルの違いはなんでしょう。

一般ドリルの用途は、薄い板の穴あけ。 手の届かない奥行きあるところの板の穴あけに、ロングを使います。

ロング・ドリルも同じ鋼鉄でできていますが、長さが長いのです。 ドリルチャックに結わえた根元部分は、しっかり固定されていますが、先端は横方向に力が加わると曲がります。

一般に、ドリルは径と長さの比を一定にしています。 細いものは短く、長いものは太いのです。 ところが、長さの必要なロング・ドリルでは、細い径と言えども長くする必要があり、先端は曲がります。 フォトの細いのは径が3mm、長さ300mmで、比率100倍。 簡単に曲がります。

右端のは、径が18mmもあり、頑健でとても曲がりそうに見えません。 でも、もし長さが3mもあったとしたら、垂直加工でなく水平加工時では、自重だけでも垂れ下がりそうですね。 要は、比率の程度問題。

硬材を用いる木管の深い穴あけ作業で、いちど曲がった穴を、元に戻すのは困難です。 チャックから遠くで曲がったものは、木の内径により、力を「横方向から受ける」ためで、どんどん曲がります。 ところが、回転する材の内径に対し、鋼鉄製のドリル自身は元に戻ろうとし、結果として内径にぴったりとくっつきスタックします。

ロング・ドリルは、使用が少々むずかしいものです。 それに、「大は小を兼ね」ません。 300mmで済むものを、長い分にはいいだろうと考えて、450mmで行うと、ますますコントロールが効かないのですから・・・。

【PS】 ところで、フォトに撮って気づきました。 鋼鉄製の刃物だけを、ズラッと並べると、とても冷たく恐ろしいですね。 フォトの中に、少しでもいいから木材が入ると違います。 楽器のつくり方(17)では、同じ刃物のフォトでも木製の柄があり、手前にもボコテの丸材があり、その「木のぬくもり」のおかげで、すこしは緩和されているように感じるのは、わたしだけでしょうか・・。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私も木があった方が柔らかい印象を感じます。
私は下穴穿孔にオーガー(木工用ドリル)を使用しています。
先端のネジ山をヤスリで落としているので、材に食いつかずに削れます。
これでもやはり多少曲がります。
以外だったのはした穴とリーマーで穿孔した穴のセンターもずれていたことです。
オーボエ好き
2005/06/05 23:49
次からは、なるべく「木のぬくもり」を感じさせるフォトに工夫してゆきますね。
曲がった穴を正す方法には、ロングドリルでなく、フォーストナー・ビットなどで、大きなガイド穴を数cm空けます。その正しくなったガイド穴に、ロングドリルで進むと、ずれがなくなります。この方法は、ロングドリルのある程度太いものしか効果がないですが・・。
もし、これによらず、少しずつ径の大きなドリルで順番に広げようとしても、すでに空いている曲がった穴が、「ガイド」となり曲がり。そして、それが「ガイド」となり、の繰返しとなるようです。
woodwind 図書館長
2005/06/06 22:44

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