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zoom RSS 唐傘のお化けではありません、リーマーです

<<   作成日時 : 2005/07/03 19:49   >>

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楽器のつくり方 (21) 2005/7/3

木管の内径(ボア)つくりにはリーマーが欠かせません。 ガイド穴あけのあと、ロングドリルや、ビットで拡げたら、リーマーで目的の内径の形状(プロファイル)に仕上げます。

DIYのお店でよく見かけるものに、唐傘のお化けのような形をしたハンドリーマーがありますが、その用途は、穴を拡げること。

これに対し、工業用リーマーの用途は、下穴あけの後、精度を高めながら径をきれいにするものです。 テーパー穴の場合は、テーパー・ピン・リーマーを使うこととなります。

ところで、木管の内径のプロファイルは、どうなっているのでしょう。

部分で異なりますが、円柱のごとく真っ直ぐ平行なもののほかに、だんだん拡がったり、狭まったりするテーパーが付いたりしています。 また、ベルでは曲線的な拡がりや、円弧を描くように狭まるものもあります。

楽器博物館に所蔵されている、18〜19世紀のバロックからクラシカル初期のオリジナルの木管の内径を調べてみると、テーパー度合いが楽器や製作家によりさまざまです。

一般に、足管に向かい次第に狭まるテーパーをつけると、楽器の実質の管長さを短くすることができます。 そのとき、倍音の含まれ方も変わってきます。

この時代の木管は、キーはほとんどなく、指穴を両手の指で直接に開閉しました。 人が使う道具ですから、指穴の間隔は、手の大きさでおのずと決まりました。 間隔が拡がってしまう、ピッチの低い木管では、手の大きさに合わせる工夫がなされました。

指穴の大きさや、テーパー度合いを変えて合わせるのですが、結果として管の部分部分でテーパー度合いが変わる、独特のプロファイルとなっています。 それぞれの部分の内径に合ったリーマを用意する必要があるのです。

リーマーの入手方法や、つくり方は種々あるでしょう:

 @ 工業用リーマーで(ある程度)代用する
 A リーマーを自作する
 B 精密加工メーカーに発注する

今回は、@をみてゆきましょう。

フォトをご覧ください。 工業用リーマーのいくつかと、一般工作用のハンドリーマーを並べてみました。

フォト上から斜め下に向かって順に紹介しましょう:

【自在リーマー】
 6枚の刃が、両端の留め具を緩めると可動。 刃の内側のテーパーと、本体芯部分の逆テーパーとが勘合し、スライドさせると、刃の外周の直径を連続的に変えることができる。 (→楽器のつくり方(13)参照)

 ・18.25〜19.75mm   ヘッドジョイントのボア仕上げ

【テーパー・ピン・リーマー】
 8枚の刃。 JIS規格で、テーパー度合いは1/50。 (英国では1/47) 先端の細い部分の直径で呼称。 先端15mmのものでは刃長は220mmで、220x1/50=4.4mmだけ直径が増し、手元の直径は、 15+4.4=19.4mm となる。

 ・15mm  ・13mm  ・11mm  ・8mm  ・6mm   ミドルジョイントなどボアのラフ削り

【市販ハンド・リーマー】
 6枚の刃。 DIY店で売っている。

 ・3〜12mm  あまり使用しない

【ハンド・リーマー】
 6枚の刃。 錆びていますね。 これは英国の古物商で見つけ、二束三文で手に入れたため。 歌口や指穴などの広げに使用することも。 in=インチ

 ・3/8in  ・19/64in  ・9/32in  ・1/4in  ・3/16in  ・13/64in

これらの工業用リーマーは、加工精度がきわめて高く、とても高価です。

ところが、木管の望む内径と、径やテーパー度合いが必ずしも一致するわけではないで、およその内径つくりに使用します。

また、刃数が6〜8枚と多く、ボアの内側にぴったりと接するので、切削には大きなトルクが必要。 鉛筆を手でまわす小さな鉛筆削り器のように、1枚刃では小さなトルクで削れますね。 リーマーも1枚刃なら、操作しやすくなります。

内径つくりの仕上げには、望む径のリーマーを、AやBの方法で入手することが必要となります。

PS リーマーは刃物です。 今回も、ずらーっとリーマーを並べると、かなり不気味な感じがしないでもない。 そこで、すこしだけ、それを和らげる工夫をしてみました。  


   

 






  

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
いよいよリーマーの登場ですね。
いくつかの異なるモデルを製作するにはアジャスタブルリーマーが便利なようですね。
テーパーリーマーのネタも楽しみにしています。
オーボエ好き
2005/07/04 10:22
オーボエ好きさん、こんばんは。
そうですね。自在リーマーの19mmは、トラベルソのヘッドジョイントに、使えますね。そのほか、14mmはクラリネットボアへの適用もよさそう。

「いよいよ・・登場・・」「・・ネタも楽しみ・・」など、楽しみにしていただき、うれしいやら、ご期待にそう記事になるか、と心の迷いがでるやらですが、これからも続けてまいります。

ネタ集のリストの項目が一つ消えてゆくのと同時に、新しいネタが生まれています。ただ、まとめようとすると、あれこれ調べたり、確認したりすることが多く、一方で、その過程で頭の整理になっています。
テーパー・リーマーにしても、なぜそれが必要か、そもそもボア設計とか、原理などはどうなっているか、などもまとめようと言う気になります。
それほど、木管楽器とそのつくり方は、いろんな多くな要素が絡んでいることを、書き綴るにつけ、再発見しています。


woodwind 図書館長
2005/07/06 23:02

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