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zoom RSS オイリング: トラベルソの化粧は、たったの1秒!

<<   作成日時 : 2005/07/24 22:56   >>

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楽器のつくり方 (22) 2005/7/24

木の内に宿る美しさを引き出すことは、とてもエキサイティングです。

フルート・トラベルソやオーボエなど木管楽器は、材質が木でできています。 硬くて、緻密な木を用いますが、バロック時代から用いられたものに、黄楊、黒檀、コーカスウッド、ローズウッドなど広葉樹があります。

ところで、天然資源である木は、生育するまでに永い時間が掛かります。

どれくらい永いかというと、100〜200年以上です。 木には年輪があり、その輪の数で樹齢が分かります。 緻密なものは、1mmに2〜3本ぐらいですから、2〜3年掛かって半径1mm、直径にして2mm幹が太くなるのです。

幹の直径が20cm(200mm)ある広葉樹は、1年に1mmとして、樹齢200年と言うことになります。 黄楊などは、20cmもあれば太い方。 普通は、まあ15cm程度。 木管楽器の材に用いるとき、広葉樹独特の真っ直ぐでない、たったの15cmの幹からは、多くが取れないことが分かります。

つぎつぎと伐採すると、枯渇という表現を通り越して、「絶滅の危機」となります。 そこで、代替の材が求められ、今では、世界中から種々の広葉樹で木管楽器がつくられています。 

これらの材は、大切に使いたいもの。 使う以上は、見た目にも美しい楽器に仕上げ、そしてその美しさをずっと維持したいですね。

どうすればいいのでしょう。 演奏のたびに水分を吸収するのを防ぎ、また歌口などを、酸から守るためにオイリングを施します。 アフリカン・ブラックウッド(グレナディラ)のように、木の種類によっては、オイル分が多いものもありますが・・。 

このオイリングですが、一般に木の表面に塗ると、木の色とイメージが変わります。

フォトは、ローズウッド近似種のモパーン Mopane にリンシード・オイル(亜麻仁油)を塗る前と、塗った後の違いがわかるようにしました。

塗った瞬間に色と雰囲気が変わり、その間、1秒もかかりません。

(もちろん、オイル・ハーデントといって、染み込ませるには1秒ではすみませんが。)

異なる木を撮影しているのでは?と疑いたくなるほどです。 信じられない方は、その完成品のフォトをご覧ください。 ここです→楽器の書棚 (5) 。 どうです、同じ木でしょう?

オイル仕上げは、木管楽器に限らず、一般に家具の世界で多く用いられ、実際の仕上げイメージを持って家具は製作されているのです。

木管楽器つくりにおいても同様。

世界中の広葉樹の中から探し、内に宿る美を求めるとき、このオイリングによる「お化粧」の効果がどうなるのか、とてもわくわくします。

それを計算に入れ、楽器つくりを行うこと。 それが楽しみのひとつなのです・・・。









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コメント(26件)

内 容 ニックネーム/日時
オイリングだけでもずいぶんと色が変わりますね。
私が今作っているものはココボロなので、削った直後と1日後では色の濃さがとても変わってきます。だんだん木目がはっきりしなくなってくる位色が濃くなってきます。
オーボエ好き
2005/07/26 20:56
そうですね。濃くなるのが一般ですが、それだけでなく質感が良くなるように思います。黄楊 boxwood では、ものにもよりますが、きれいな黄色になるのはとても感じが良いです。ココボロもも濃くなりますね。わたしのは、削ってオイルを付けた部分は赤紫っぽい濃い茶色。ですが、オーボエ好きさんのはどんな色ですか。木目が見えないくらい濃くなるものって、ほかにも多いですね。すでにリンシード・オイルのどぶ付けを済ませたものなのですか?
woodwind 図書館長
2005/07/26 22:54
オイルをつけた部分は赤紫っぽい濃い茶色です。
すでにリンシードオイルのどぶ付けを済ませました。
指穴、歌口穿孔前に浸けています。
オーボエ好き
2005/07/27 08:01
同じ色ですね。時がたつとさらに濃くなります。
ところで、リンシードオイルには、通常のものとボイルドとがありますが、オーボエ好きさんはどちらを使用されていますか。まあ、とても粘度の高いオイルですので、木管を立てても中々降りてこないし、乾かない。テレピン油で半分に薄めるとありますが、わたしは薄めていません。
woodwind 図書館長
2005/07/29 22:50
リンシードオイルは生を使用しています。また薄めていません。
1ヶ月ほどタッパで浸けてから、取り出し、綿のウエスで全体を拭っておき、乾かしています。
シェラックを使用する接着などで、管体が暖まると導管からオイルが滲み出てくるので、1,2ヶ月では乾かないことがわかりました。1年くらいはかかるそうですね。
オーボエ好き
2005/07/30 14:47
ボイルド・リンシード・オイルは普通のものより乾燥が早くなるようにしたものだそうです。タッパ使用のこと。わたしもタッパにいれていますが、縁に付いたオイルは何年たっても乾かないですよね。
woodwind 図書館長
2005/07/31 00:04
何年も乾かないのですか!
それならば、漬込みにもボイルドの方を使用した方がいいかもしれませんね。
ただリンシードは、空気にふれて乾くもの出そうですから、管体にしみ込んだ分はなかなか乾かないのかもしれませんね。それならばボイルドでも同じになりはしないでしょうか?
それならば、漬込み後、桐油を表面に塗り、乾かしてリンシードを閉じ込めてしまってもいいのではないでしょうか?
ボイルドは身体に良くない成分が含まれていると言うことなので、私は警戒しています。
オーボエ好き
2005/07/31 16:03
そもそもオイル・ハーデントにおいて、乾かないといけないのでしょうか。家具の表面のオイル仕上げやフレンチポリッシュなど、乾いてほしいわけですが、木管楽器のボアは、いつも乾燥させる必要があるのかです。極度の乾燥による収縮や、水分の吸収による膨張により管が割れたり、変形するのを防ぐ目的でのオイリングでは、100%乾燥が必要かどうか。
わたしは外側は、通常、タングベースのオイル仕上げです。
woodwind 図書館長
2005/07/31 18:11
乾燥性のオイルを使用するので乾かして当たり前と考えていました。
オイル仕上げでも材の呼吸は妨げられないと木工関係のサイトで読んだことがありますが、そうだとするとオイルが乾燥していなくては管の収縮、変形を防止するための補強となり得ないのでは?とも思います。

外側は今回亜麻仁油を数回塗布後、最後に桐油を使用してみました。
私は内側は常にオリーブオイルで濡れている状態にしています。
オーボエ好き
2005/08/01 08:01
オイリングも議論百出。 どれが良いやら、悪いやら・・。
リンシードオイルを数回塗布とありますが、そのたびに乾燥させたのですか? わたしは、外側のタングベースのオイルでは、乾燥に24時間かかりますから、上塗りのときは1日、間をおきます。
わたしは、桐油に詳しくないのですが、その特徴はどんなところにあるのでしょうか?
外側のオイリング仕上げは、水と酸から木管を守ること。その際、害のないものを使用しています。
常に内側は、オリーブオイルでぬれているようにしているとのこと。普通は、例えば1ヶ月に1回くらい塗る程度と考えています。
木の種類にもよりますが。 リコーダーとかの取り扱い書に書かれていることに従えばの話ですが。これも色々な考え方がありそうですね。
woodwind 図書館長
2005/08/01 22:21
桐油はタングオイルと同じものだったと思います。防水性がリンシードより高く、乾燥が早いです。表面の艶はリンシードの方がいいです。
リンシードオイルは1日に1回塗布しサンディングを数日繰り返しています。家具のオイルフィニッシュと同じです。その後桐油を塗布し数日乾燥させます。この工程だけで2週間程かかっています。

オリーブオイルは1演奏(練習を含む)につき1回です。毎日吹けば月に30回くらいですね。このくらい塗布すると鳴りが悪い楽器でもそこそこ鳴ってくれるようになっています。
モダンオーボエの時もこんな具合にアーモンドオイルを塗っていました。アーモンドオイルとオリーブオイルを比較すると、近所のスーパーで入手可能な点、剥がれやすさ、単価を考慮してオリーブオイルにしました。
オーボエ好き
2005/08/01 23:15
桐油というのがタングオイルだとWebで確かめました。英語で、China wood oilと言うのは知っていましたが、中国産で桐油というのですね。
モダンオーボエ(グラナディラ)でも毎日塗るとは、通常そんなものですか。わたしがクラを吹いていたときは、セルマーだったかの市販のボアオイルを塗っていたものの、毎日だった記憶がない。
鳴りが悪い楽器でもそこそこ鳴ってくれるとのこと。わたしの経験では、オイルを塗るかというより単に吹き込めば鳴るようになるし、しばらく放置していると全然鳴らないと感じていますが、オイリングが効くのでしょうか。オリーブオイルをどっぷり内部に塗り、余分なものをティッシュでふき取るようにしています。外部は、ティッシュで拭き、汚れを落とすようにしています。結構汚れが取れますよねー、これが・・。
woodwind 図書館長
2005/08/02 22:04
モダンオーボエの場合、奏者によっても制作者によってもオイリングについては意見がバラバラなことがあります。プロ奏者でグラナディラ製の楽器を使用している方で全く塗らない方もいらっしゃいます。私の場合いろいろ試した結果が毎日のオイリングだった訳です。
私が毎日のオイリングに踏み切った原因は、数ヶ月毎日吹き込んでも全く納得のいかない状態だったからです。
オリーブオイルは、棒にウエスを巻き付けたものに指で薄く塗り、それでボアに薄く塗るという感じです。どっぷりではないですね。
オーボエ好き
2005/08/02 22:22
参考になりました。奏者によっても、考え方が異なるのですね。ということは、奏者である音大の先生などによっても異なりそうですね。
製作家でなく、演奏家の要望とか意見は楽器つくりにおいて重要です。
オイリングによって、納得がいくようになった点は、音質面でしょうか、それとも吹奏感を含め演奏面でしょうか?
woodwind 図書館長
2005/08/04 00:01
両面ですね。
音質も密度と潤いが増し、適度な抵抗感がコントロール性能を良くしてくれました。
何より毎日吹こうと言う気にさせてくれるところがよかったです。
オーボエ好き
2005/08/04 07:28
オーボエ好きさん、今晩は。
毎日吹こうと言う気になる位と言うのは、ずいぶんと効果が合ったということですね。オイリングの効果が、それ程とは知りませんでした。
当然、冬場の乾燥時期でも、ヒビ割れは経験しなかったことでしょう。

woodwind 図書館長
2005/08/07 23:19
ひび割れの経験は全くないのです。
知らないだけに余計に怖いですね。
オーボエ好き
2005/08/09 09:45
聞いたところでは、割れるときは「ピシー」と音がするそうです。

リンシード・オイルの話に戻りますが、どぶ付けで、管全体を付けるとかがありますが、製作家によっては内径だけのオイルハーデントをする方がいらっしゃいます。その方法は、管の底や指穴をマスキングテープ等で塞ぎます。そして、管を立てた状態でオイルを上から注ぐと言うもの。終わったら、管をひっくり返して、オイル入れにオイルを戻すと言うもの。
いろいろありますね・・。
わたしは、内径はにはハーデントの効果と水分防止を、そして外側には、水分や酸などから守る皮膜と化粧の働きをすればよいと考えています。したがって、外側はタング・オイルを、内径はリンシードオイルを、そしてメンテナンス用に、外側と内径ともオリーブ・オイルを使用する組み合わせに結果としてなっています。
woodwind 図書館長
2005/08/09 23:32
おぉ、コワっ!聞きたくない音ですね。
内径だけのオイルハーデントなんてできるんですね。
私は外側はRod Cameronのフルートケアシートにあるカルナバポリッシュも使うことがあります。これを使うととても微妙な変化ですが、音色が充実し、操作性が良くなります。
カルナバといってもオイルフィニッシュと見た目は変わりません。
表面の輝きを求めるなら高級車用のワックス(ザイモールだったかカルナバ50%程度使用)でもいいかもしれません。値段はとても高いですが。
オーボエ好き
2005/08/10 17:52
貴重な情報ありがとうございます。
微妙ながら音色が「充実」するそうですが、次の「操作性が良くなる」とは、どのようなことを意味するのか分かりません。
カルナバはワックスに使用されるものと思っていましたが、人体の影響はないのですか。知りませんでした。
woodwind 図書館長
2005/08/10 23:54
充細かい音形のパッセージでも音が並びやすい、
クレシェンド、ディミニュエンドしやすい。
発音じの反応がよい。(立ち上がりが良い)と言う具合です。
私の場合、30分くらい吹き続けるとちょっといいなぁと実感してきます。さらに練習したくなります。
オーボエ好き
2005/08/11 18:36
すばらしい感性と演奏技法をお持ちのようですね。
やはり、演奏家と楽器製作家とは互いに補完の関係にあるようで、その点、オーボエ好きさんは、1人2役で、いいですよねー。
woodwind 図書館長
2005/08/11 21:25
オイルに関して、気が付いたこと、自分が試したことなどを書かせていただきます。
●ボイル油は、鉛などを乾燥剤として使用している場合があるので、注意が必要です。
●カルナバはかなり硬いワックスですので、良くも悪くも音に影響すると思われます。(東急ハンズで固形のカルナバ売ってます。 私も使いますが、自動車用のは、石油系の溶剤が臭いので、 固形のものをテレピン(石油系でない、画材であるターペンタイン)で熱を加えて溶かしたものを使います。(それだけだと硬い気がするので、蜜蝋を適宜混ぜたりします)
●今市販されている油のほとんどは、化学的に溶剤を使って抽出されたものです。 無論昔は圧搾だけでしたから、woodwindさんなら圧搾法作られたリンシードなどはいかがでしょう。
●オイルバス(温度を上げてから冷ます段階でオイルをしみこませる)で鳴りが急激に変わることもあります。
gomale
2006/02/20 01:46
●gomaleさん、こんばんは。貴重な情報ありがとうございます。鉛の件は知りませんでした。
●カルバナとターペンタイン、それに蜜蝋を混ぜたものを、木管の表面(外側)に塗布するのですか?
●オイルバスでの効果ですが、当然、鳴りが急激に良くなると言うことですか。不思議なものですね。
woodwind 図書館長
2006/02/21 20:13
●オイルバスについては、木質内の気体がオイルと入れ替わるからかもしれません。 メックのメープルの楽器などは、多分真空乾燥機を使って強制的にワックスをしみこませている様に思えますが、あれは木の音というより、もはやワックスの音かもしれません。一種類のものを含浸すると、それによるピークは避けられないように思います。またグレナディラなどは、もともと含む樹脂のピークを強く感じますが、ステインズビーに関してはその辺を上手にコントロールしていて、癖を感じさせません。

どうも、「こうなんだ」と言い切る文は書けないようです。お役
に立たないかもしれませんが、今度自分が楽器を作るときには、オイルとワックスと樹脂を数種ずつターペンタインで溶かしてからオイルバスをしつこくやってみようかと考えています。
gomale
2006/02/26 06:34
●真空乾燥による強制含浸については、わたしもメックだったかのカタログか何かで20年ぐらい前に見たことがあり、きっと含浸速度を速めるためだと、そのとき思いました。
●一方、リンシードオイルは粘度が高いので、ターペンタインで半分に薄めるとの文章を読みました。どぶ付けで有効かは分かりませんが含浸が早まるかもしれず、わたしも購入してきました。
●こんど製作されるときというのは、gomaleさんの場合はステンズビーmのリコーダーのことでしょうか。
woodwind 図書館長
2006/02/26 12:33

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