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zoom RSS 木管みがきも、旋盤上でできます

<<   作成日時 : 2005/08/12 21:42   >>

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楽器のつくり方 (24) 2005/8/12

木管の外径削りは、木工旋盤のセンター間削りによります(→楽器のつくり方(23))。

外径削りを終えたら、木管をそのまま木工旋盤に結わえたままで、木管みがきを行うことができます。

フォトは、木管みがきを終えたもの。 

オイリングその他何もしていませんが、表面に光沢が出ているのがわるでしょう。

木の材質により異なりますが、磨きに耐えるものがあります。 フォトは、黒檀(エボニー African ebony)で、磨くと表面がつるつるとなり、また質感がとてもよく出てくる良い材質です。

木工旋盤のセンター間削りでは、手前の刃物台に各種のノミ(→楽器のつくり方(17))を置き、角度や高さを手で調整しながら切削します。

この刃物台ですが、英語ではツール・レスト tool rest 、すなわち「工具乗せ」と言って、工具である刃物を乗せて、(半)固定するためにあります。

この台は、木管みがきの場面でも、そのまま使えます。 サンドペーパーで磨くときに、手を安定させて置くこともできます。 何もない空中で作業するより、この台が、ある意味で回転する材に対する防御壁のような安心感を与えてくれます。

それでは、木管みがきを説明しましょう。

刃物で切削した状態を見ると、外径にはでこぼこがあります。 このでこぼこを取るためにサンディングが有用。

サンディングとは、サンド・ペーパーで磨くこと。 サンド・ペーパーは、磨き砂を紙ないし布に貼り付けたもので、グリット(目)の粗いものから始め、順に細かいものを使用して仕上げてゆきます。

わたしは、グリットを次のように選んで使用しています:

 @ 120〜180番: 荒削り。 きわめて粗い凹凸があるときのみ。
 A 240番: 通常、ここから始める。
         目で見てはっきり分かるキズが、スジとして表面につきます。
 B 400番: スジがすこし細かくなります。
         抑える手に、キズを付けている感覚が残ります。
 C 600番: キズをつけている感覚が、小さくなります。
 D 800番: 省略して、1000番へ飛んでもかまいません。
 E 1000番: 削るというより、磨くという領域に近くなります。
 F 1200番: キズをつけている感覚は、ほとんどなくなります。
 G 1500番: 磨いている感覚です。
 H 2000番: ここまで来ると、たいていの材質は光沢が出てきます。
 I 3000〜4000番: ペーパーでなく特殊な布です。布で擦っている感覚。
         光沢を楽しむ領域です。
 J 4800〜12000番: 人工象牙(プラスティック)の磨きに使用します。
         ピカピカになります。

サンディングの要点は、粗いグリットを用いるとき、十分に行い、次の小さなグリットに進むこと。

もし、十分でなく以降の細かなグリットに進んだとき、全体が光るほど仕上がったと思いきや、部分的に粗いでこぼこが残ることがあります。 結局、ムダ作業をしたことになり、粗いグリットの工程に戻るほかありません・・。

また、サンディングでは、呼吸器系障害のもととなる細かい粉塵が多く舞い上がります。

防塵マスクを着用するとか、掃除機の吸入口を側に寄せ、吸取りながら作業をするようにします(→楽器のつくり方(20))。

ところで、磨くということは、どういうことかを考えて見ましょう。

材の表面を虫眼鏡ないしは顕微鏡で見ると、でこぼこしています。 山谷があるのです。 この山谷より小さい岩石がついたペーパーで削ると、山谷がその岩石程度となります。 次にその岩石の山谷より小さな石がついたペーパーでこすり、山谷の大きさを石程度とし、これを繰返して、砂、砂糖、小麦粉・・などの大きさにしてゆきます。

この結果、山谷が大きいときは、反射する光があちこちに乱れますが、表面が平らになるにつれ、一定の方向に向き、眼に入るとき、光って見えるのです。

ちなみに、フォトの黒檀は、2000番のサンド・ペーパーで仕上げたあと、3000番程度の布で磨いたもの。 エボニー独特の光沢が出て、また触った質感がとても心地よいものとなります・・・。


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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
サンディングだけでも光るものなのですね。
私は400番までは、木工用サンドペーパーがあるのを知っていますが、600以上は耐水ペーパーしか見つけられませんでした。woodwind様は耐水ペーパーも使われますか?
オーボエ好き
2005/08/13 10:00
木工用サンド・ペーパーはほとんど使いません。たまたま手持ちの120〜180番ぐらいのものでしょうか。
通常は、耐水ペーパー、または布地のものです。また、番手が高くなると、サンドペーパーは市販されていませんので、最近は、メッシュになった特殊な生地のようなものとか、マイクロ・メッシュだったかの名称の布生地にグリットをつけたものがあります。
日曜大工センター等では、全てそろっていないことが多いですね。
woodwind 図書館長
2005/08/13 18:09
木工用を使用しないと言うことは目詰まりが多くて作業が進まないのでしょうか?
私は400番までは木工用を使用してそれ以降はオイルフィニッシュの折に耐水ペーパーを使用しています。これだと日曜大工センターで入手できるので。
オーボエ好き
2005/08/13 18:59
木工用でも耐水ペーパーでも、どちらでも良いと思います。 ただ、わたしの場合は、木工用の紙のものは、曲げに弱く、また薄いですよね。 サンディングには、1.5cmx5cm位の切ったものを用意しています。 これを折り曲げて使用することも多く(こうすると角がうまくゆくし、手も熱くない)、耐水ペーパーをいつも選んでいるみたい。 オイルフィニッシュのとき、グラス・ウールを使用する人もいますが、いかがでしょう?
woodwind 図書館長
2005/08/13 21:19
グラスウールの使用は、はじめて聞きました。
発がん性とか大丈夫なのでしょうか?
ググって見たところ、一般に断熱材として使用されるものは大丈夫ですが、それ以外の用途の物は怪しそうです。
オーボエ好き
2005/08/14 09:39
ごめんなさい。筆が、すべってしまいました。グラス・ウールでなく、スチール・ウール steel wool の間違いでした。
この目の細かいものを使用するとき、いつも直感することがあります。「呼吸器系には影響するのだろうなあ」、と。実際、詳細は調べていませんが、相当に細かい粉がまい上がるようです。
スチール・ウールには、キーなど金属磨きにも使用しています。
woodwind 図書館長
2005/08/14 11:07
なるほど!スチールウールでしたか。
確かに呼吸器系に影響するかもしれませんね。私はココボロしか使用したことが無いのですが、はじめの頃は木屑が舞うと咳き込むことがありました。
オイルを使用して耐水ペーパーが良さそうですね。
オーボエ好き
2005/08/14 13:47
オイルを使用して耐水ペーパーを掛ける、と言うのは仕上げ磨きのことでしょうか?
わたしの経験では、木工一般の話ですが、サンディングを終えた木地にステイン(とくに水性)等を塗ると、木地が「立ち」表面の凹凸がでます。年輪の硬いところと柔らかいところの差だったかと記憶します。
同様に、木管でもかなり細かいサンディングでツルツルにしたあと、オイルイングすると表面がツルツルでなくなるようです。
いずれにせよ、サンディングは次の仕上げ工程の下地を平らにすること。オイリング等の塗り重ねで平らに使用としてもうまくゆかなかった経験があります。
完全に乾かし、塗り重ねの途中でサンディングによる磨きを繰返すことでしょうか。漆塗りの手法ですね。 わたしの和竿つくりでも、(簡易)漆を塗り重ねますが、途中で磨きます。
woodwind 図書館長
2005/08/14 22:09
仕上げ磨きのことです。
木地が立つとのこと、次回作の時に注意して観察してみます。
私の仕上げ磨きはオイリングしながらのサンディングですが、サンディングの合間にオイルが完全に乾くまで待ってないです。
オーボエ好き
2005/08/14 23:37
木地が立つのは、軟材(針葉樹)のとき顕著だった気がします。例えば、アガチスなどで、とくにそう思った気がします。
硬材では、黄楊もピカピカになるまで磨いても、オイル塗りでピカピカが消えます。まあ言ってみれば、その瞬間につや消しってな感じ。 もっともオイリング重ねで光沢は出ますが。
完全に乾くまで待たないとありますが、おそらくわたしが誤解しているのでしょう。オイル面の凸凹を取り除いて、次の塗りを行うことによる平面確保はしないのでしょうか:もっともこれはグロス(光沢)仕上げを求める場合の話ですが・・。
woodwind 図書館長
2005/08/15 00:14
完全に乾くまで待たないので、オイル面の凹凸をなだらかにしていないと思います。
しかし、そのため本体の凹凸は繰り返しなだらかにしています。
「完全に乾くまで待たない」を言い換えると「材料に滲み込んだのを見計らって」とも言えると思います。

モダンフルート(金属管)で、長年磨き仕上げのみで通してきたのに、最近になってメッキ仕上げを導入した例があります。メッキの方が音がいい訳です。メッキの方が表面がなだらかなので、これを木材に対応させようと思うとグロス仕上げになるのではないかと考えています。
オーボエ好き
2005/08/15 13:40
メッキのなだらかな件ですが、音質に影響するのはボア側でしょう? それとも、この論議、外径側も関係するのでしょうか? すべては、程度問題ですよね。 主な要素はボア側と想像しますが、いかがでしょうか?
トラベルソのボア側もグロス仕上げをしていらっしゃるのであれば、良い結果が出ましたら、教えてください。 と言うのは、著名な製作家のボアを見ますと木地のままでなく、尺八のように中に塗り込んでおり、ある程度グロスに近かったからです。
木管と、金属管とでは、特性が異なるものもあれば、共通事項もありそうですね。
woodwind 図書館長
2005/08/15 22:59
外径も内径も関係していると思いますし、私も程度問題と思います。
尺八は屋外の楽器だと思いますが、遠鳴りを考慮して作られているのではと考えられます。
内径に漆を塗るのは、その遮音性能を利用して管体内に振動が蓄積される時間を長くしているのではないでしょうか。その結果生じる吹奏時の抵抗感は漆の滑らかな仕上げで緩和されているのではないかと。
つまり管体内に振動が蓄積される時間を長くするのであれば、外側からでも内側からでも手段は問わないのではないかと思うのです。
トラベルソは側鳴りの楽器ですから、操作性を失わない程度に逆を行うのが良いのかもしれません。
オーボエ好き
2005/08/16 10:03
バロック時代のトラベルソは、その時代背景から側鳴りでよかったかもしれません。でも、後期バロックからは、次第にホール演奏が増え、19世紀には、遠鳴りが要求されたと思います。歌口ばかりか、ニコルソンなど指穴は馬鹿でかく大きく、力強く響く要求がされたと思います。この中で、われわれは、トラベルソに何を求めるかです。これは演奏家によってずいぶん意見の分かれるところ。
「管体に振動が蓄積される時間を長くする」とのご意見は、わたしは今のところ答えを持ち合わせていません。少し、時間をかけて研究を続けてみますね。
woodwind 図書館長
2005/09/03 17:03

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