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zoom RSS 木管つくりは、木取りから始めましょう

<<   作成日時 : 2005/08/14 11:25   >>

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楽器のつくり方 (25) 2005/8/14

一般に、木管楽器はいくつかに分割されています。 こうすれば、持ち運びに便利。

木管楽器は、ルネッサンス時代の一体型から、バロック時代には分割されてきたようです。 本体部分の分割数を、いくつか見てみましょう:

 @フルート(トラベルソ)  4分割
 Aオーボエ         3分割
 Bリコーダー        3分割
 Cファゴット         4分割
 Dクラリネット      4〜6分割

これら、バロック〜クラシカル初期の木管の各部は、同一木材を用いてつくります。 異なる材を用いる例として、クラリネットのマウスピースがありますが例外と言えるでしょう。

使用する木材の種類により、短いものしか入手できないものもあり、バロック時代から多く使われてきた黄楊(つげ:ボックス・ウッド European boxwood)が、その代表です。 

成木でも直径が15cm程度。 真っ直ぐでなく、枝が四方に伸びる広葉樹。 節もあれば、灰色がかった部分が混じり、長い良材が多く取れません。

普段見かけるのは、4〜12インチ(10〜30cm)あたり(→楽器のつくり方(2))。

この黄楊を入手し、分割型の木管1本をつくることを考えましょう。

入手材は、おそらくバラバラ。 色(うすい黄色〜灰色っぽい白に近い黄色)、密度(年輪で分かる)と比重、小さな節とか硬い塊りのようなもののが含まれる、縞(灰色の縞が入る)、乾燥度、などなどが異なるのです。

仮に色が合ったとしても、比重が極端に異なると、木管全体のバランスが狂うことがあります(→「ツートン・カラーのトラベルソの音色はいかに」)。

黄楊の色を魅力的なものにするため、バロック時代から、酸によるステインが用いられました。 濃いオレンジ色や、こげ茶(栗色)のオリジナル楽器も多く現存します。

わたし woodwind は、ステインを掛けず、黄楊の持つ本来の美しさを引き出すために、プレーン仕上げにしています。

この場合は、組み合わせを考え、「木組み」をします。

フルート・トラベルソの場合では、4分割の各部の長さが取れる材の中から、さらに、色、木目、密度、雰囲気が良くあったものを選びます。 異なる色や木目を用いると、出来上がったとき、バランス上、何かしら違和感が混じることがあります。

入手難となった黄楊対し、代替材が世界中から求められてきています。 ただ、名称が似ていても、植物分類上、異なるものも多いですね。

黄楊のほかにも木管に適する材も多くあります。 いわゆる唐木と言って、奈良の正倉院に多くの工芸品が伝わったようにアジア産の広葉樹のほか、アフリカ、中南米からも、幹の太くて大きな材もあります(→楽器のつくり方(19))。

フォトは、入手したアフリカ産のローズ・ウッド。 45mm角で長さも90cm近くあり、トラベルソ1本分を「木取り」しました。 左から順にトラベルソの、「頭部管」、「上管」、「替え上管」、「下管」、そして「足管」のためのもの。

木目の美しさを引き出すべく、木目や色、節の有無を調べて切り出すのです。 木目をどのように活かすか、上下どちらにするか、外径削りの結果得られる「板目」部分の流れの方向は、などを考えます。

1本の材を「連続して用いる」と、木目や雰囲気がつながるように仕上がります。 分割した各部分や木口に、「上」と記入し、次のプロセスに備えると良いでしょう。

●黄楊など、短い材を入手した場合には、 「木組み」 。 これに対し、

●比較的に、長い材が入手できた場合は、「木取り」 をするのです。

「木組み」も「木取り」も、仕上がりを想像しながら行うもので、楽器つくりの中の楽しいプロセスなのです・・。




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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
フォトには「上」とマークが入っていますが、「末」のことを表しているのでしょうか?
私はこれの見分け方が分からなかったので、1号機はその点がごまかされています。
オーボエ好き
2005/08/14 23:40
きわめて専門的な質問ですね。
木の根か梢かの方向は、わたしはわかりません。
記事では、トラベルソの北側(頭部管のキャップ側)を上にし、南側(足管側)を下と仮に呼んだだけです。 「上」でなく「北」でも「A」でもなんでもかまいません。
そもそも、黄楊など広葉樹ですから、針葉樹のように真っ直ぐの木目でないでしょう。グネグネ曲がっていますよね。枝も、1本上に伸びるのでなく、横に伸びた太枝も使うとすれば、切り出した角材の方向性はあるのか知らん。
短いものしか入らないと、どちらが木の末の方か識別できるのか知らん。そして、それが意味あるものか分かりません・・。 いかが思われます?
わたしは、気にせずに使用しています。
woodwind 図書館長
2005/08/15 00:05
その意味を知りたい訳なんです。
日本の著名なモダンフルート製作者がインタビューで、これについて述べており、それによると導管が水分を吸い上げていた方向と逆向きに息が入るように作るということでした。
それで気になっていたのですが、見分け方がサッパリなのです。
日本の笛は必ず「末」から「元」へ向かって息が流れるように作っているので、何らかの意味があるのではと。
オーボエ好き
2005/08/15 13:27
とてもハイグレードな話ですね。深みにはまりそうな「問題」かもしれませんね。
日本の笛は竹(篠)でできていますね。 尺八も、たしかに末から元へですね。 竹の場合は、節があればどちらが末かを見分けられますよね。 それで、それを縦に切り出し、再び笛に組むときも、末の方を意識して組むことができる。
ただ、木の場合はどうか。一度、両方の木口に水その他をつけてみて差があるとかで、区別が付かないのか知らん?
その製作家の言われる「息が入る」方向というのは、トラベルソの場合、どちらに向ければいいのですか、大雑把に言うと、頭部管キャップが末で、足管側が元にするのですね。しかし、頭部管の歌口から入った息は、コルク側にも向かいますが・・(反射します)。
この答えを見つけるのには時間が掛かりそうですね。 和楽器とか、笛とかの資料だけでなく、木に関する資料とか、音響学などの書物を調べるうちに、いつしか、ふと答えが見つかるような気もします・・・。   
woodwind 図書館長
2005/08/15 23:15
ぐっと初歩的な質問ですが、ローズ・ウッドとは赤い木の総称であるとか聞いた覚えがあるのですが、どうなのでしょうか?
また、写真にある木は「どこで」「どういう状態で」買えるのでしょうか。
オーボェの場合、45mm角の他に、ベル用の70mmも必要ですね。
オーグスト
2005/10/06 16:08
●オーグストさん、こんばんは。木に限らず動植物名称は正確ではありません。Webで木の図鑑、材木辞典のキーワード検索で紹介あり。
●ローズ・ウッドは、植物学術名でDalbergiaが付く広葉樹でマメ科です。ブラジルのローズウッド(ハカランダ)、中南米のココボロ、東南アジア紫檀、キングウッド、バイオレット、ソノケリンなど・・。なんと、オーボエやクラリネット材のグラナディラ(African Blackwood)もローズ・ウッド。真っ黒なので、黒檀と言われますが、黒檀Ebonyとは異なる種。
●一方、ローズ・ウッドと呼ばれながらそうでないのは、メキシコ産ボコテ、サントス・ローズウッドなど。
●鯛は魚の王様。これにちなみ、金目鯛、エボ鯛とかなんでもタイと呼ぶのは商売上の原理。一方、漁師さんの地方呼称が、他地方と異なり混乱も多し。木もしかり。同一名称で全く異なる種もあり混乱します。
●日本/世界の材木店、とくに木工旋盤のお店で角材を購入。一般材木店では、原木/製材の挽き材を角材に。自然/強制乾燥で購入。
●オーボエ用の70〜75mm角を探すこと:これが実に大変です、ハイ!

woodwind 図書館長
2005/10/07 23:34
オーダーメイドでポマー、バロックオーボエを請け負ってくれる工房を紹介してください。
knight-salon@tbc.t-com.ne.jp
宮廷楽隊隊長
2005/10/15 22:13
宮廷楽隊隊長さん、バロック木管図書館へようこそ。ポマーやバロックオーボエ自体、製作家は多くいないと思います。さらに、オーダーメイドとなると・・。ただ、「オーダーメイドの意味」にも依ると思います。材質変更とか、装飾リングの有無とかでは、オーダーを受けてくれる製作家がいるかもしれません。ベストなのは、直接製作家に当たってみられることと思います。Christopher Monk Instruments; Jeremy west、とかSand Daltonとか。Web検索あるいは、リンク集に載せましたバロックーオーボエ関連者のHP等のリンクから少数ですが見つかると思います。もしよろしければ、オーダーメイドの「仕様がなにか」教えてください。今後の参考にいたします。
woodwind 図書館長
2005/10/16 00:04
woodwoindさん
人工象牙とココボロの件では、大変お世話になりました。
特に材のアレルギーについては未然に災難を防止できて感謝しております。
このトピックスも5年以上前のもののようですが、今の私は材選び、木取り、乾燥と
木管ワールドの入り口に居るようなものですから、ここから入らせていただいて、順次みなさんに追いついていきたいと思います。
今は、とにかく材料集めと製作品の品質が判定できるようにトラベルソ(モーレン製)の練習を再開いたしました。
モダンとの両立がなかなかうまくいかないのですが、根気よくやっていきたいと思います。
どうか、よろしくお願いいたします。
しらぱぱ
2011/12/19 16:54
しらぱぱさん、バロック木管図書館へようこそ。
●材木探しも結構楽しいもので、とくに木目や色合いの美しいものを見ると楽器としてつくってみたくなります。しらぱぱさんも木取り、乾燥と楽しい世界に入られたご様子。今後ともどうぞよろしくお願いします。
●モダンの吹奏暦の長い方も吹き分けておられるみたい。モーレンのトラベルソとのこと。わたしが紹介しておりますT.Lotは、とくに歌口が楕円で大きく、モダンからの持ち替えがし易いとの印象を受けています。
●一方、T.Lotの初期のものは元来歌口が小さく、わたしなどは上手く吹けない気がします。材料選びの楽しさのほかに、つくるモデル選びの楽しさもあるようです。
woodwind 図書館長
2011/12/21 21:09

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