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zoom RSS 象牙マウント取付けは、直角面出しがポイント

<<   作成日時 : 2005/08/21 14:49   >>

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楽器のつくり方 (27) 2005/8/21

トラベルソやオーボエ、あるいはクラリネットなどのバロックの木管には象牙(アイボリー)のマウント(リング)が取付けられるていることがあります。

その箇所は、たいてい決まっています。 分割型木管の、各分割における端の部分に見られます。

 @ソケットとテノンによる勘合箇所:

   ソケットの厚さがうすいために象牙などで補強をされたようです

 A管の端の箇所:

   どこかにガツンとぶつけても壊れないように保護しているのでしょう

フォトは、フルート・トラベルソの足管を、木工旋盤によるセンター間削りによりつくっているところ。

この例では、右側は、@ソケット、左側は、Aトラベルソの最下の端です。

フォトのように木材以外に象牙を組合わせる場合と、単に木材だけの場合とでは、つくり方の要点が異なってきます。

木管つくりの要点は、一般的に、一度決めた(回転の)中心(軸)に対する、「同心の確保」 および 「直角面出し」 の2つです。

象牙マウントを取付ける場合には、木材と象牙の両方が、@同心であり、A直角面出しが正確にできていることが望ましいのです。

旋盤を用い、回転軸に対して直角面を正確に出し切り出すと、ピタリと合うハズ。

ところが、どちらか一方でも、直角面出しができていないと、斜めの「隙間」ができてしまいます。

直角面出しが重要ということとなります。

角材から、丸材に加工するとき、必要な箇所に【基準】としての、「直角面出し」をしましょう。 (→楽器のつくりかた(26))

直角角面出しができた、木材の分割部分と、象牙リング部分とを接着剤で固定します。 元の姿はここ→楽器のつくり方(15)

一方、同心が確保されないと、こんどは、木材と象牙マウントのリングがずれてしまいます。

そこで、両端を木工旋盤の円錐形のセンターで挟み、仮想中心点を基準に、木材と象牙とをあらためてセンター間削りをしなおすことにより、同じ円状にピタリと揃えることができまるのです。

センター間削りについては、ここ→楽器のつくり方(23)

ところで、象牙は、現在ワシントン条約で輸出入が禁止(制限)されており、わたしは、プラスティックでできたイミテーションの象牙を用います。

旋盤で加工するとき、プラスティックは、細くてきわめて長い糸状となり、回転する材に絡まりつきます。 わた飴(わた菓子)を目の前でつくるのを見たことがあるでしょう。 あんな感じ・・。

ただし、プラスティック独特の臭いのほか、細かい粉も出るようです。 防塵マスクを着用し、肺への吸入を防ぐようにしましょう。 (→楽器のつくり方(20))

トラベルソの表面仕上げのほか、きわめて細かいグリット(#3200〜#12000)にて象牙を磨きましょう。 (→楽器のつくり方(24)

イミテーションの象牙といえど、磨き仕上げを行うと、ピカピカにでき、本物ではないかと見間違うほど美しいマウント(リング)ができあがります・・・。

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コメント(21件)

内 容 ニックネーム/日時
イミテーションの象牙はそれを取り付けることで楽器の性能に変化はあるのでしょうか?
オーボエ好き
2005/08/23 22:46
なんらかの影響があると思います。ただし、プラスティックのリングと元の木材とを比べたとき、プラスティックの方が比重が小さいこともあるならば、重量に関する影響はどちらがどちらと言えないでしょう。
わたしは、トラベルソの場合は、最初の1本を除き、すべてイミテーション象牙リングつきを製作してきたため、性能比較をしていません。
性能の変化については、どう思われます。微妙な変化を感じ取ることが、わたしは(演奏家の立場で)できず、ぜひともオーボエ好きさんの楽器演奏のご経験から、コメントをいただければたと思います。
woodwind 図書館長
2005/08/24 22:48
おそらく本物の象牙ではリコーダーで一般に言われているように、音質の向上が見られるのではないかと思います。
というのは、それらしいパテントがあるからで、実験してみたところモダンフルートでは見事に再現しました。
<p><a href="http://www2.ipdl.ncipi.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=1&sFile=TimeDir_13/mainstr1125117703891.mst&sTime=0">特許庁DBより</a></p>
上記のパテントのモダンフルート用のものをトラベルソにしてみましたが、ボアの狭い方では効果はありました。ただ吹奏時の抵抗感は増し、疲れやすくなりました。また楽器の性能が安定しすぎてつまらなく感じることもあります。言い換えるとトラベルソなのにモダンに近づいていく用に性能が向上するので、内心複雑です;
オーボエ好き
2005/08/27 13:57
あら!タグが使えませんでした;すみません。
上記の続きですが、最近気づいたことに、ヘッドキャップの締め付け強度と響きの関係があります。つまり、ヘッドキャップが緩い方が、響きがでて吹きやすいということです。
PotterやKirstの図面を見ると、頭部管のヘッドスクリュー側のボアが広がっているのはそんなことと関係があるのかもしれません。
オーボエ好き
2005/08/27 14:07
あらあら、タグはコメント欄では使えないのですね。URLを記載いただくしかないか・・。
オーボエ好きさんの、各種要素が音質に与える影響への研究には、いたく感心します。「トラベルソでありながら、モダンに近くなる」は19世紀のフルート製作家・発明家の目指したところですが、「内心、複雑」なお気持ち、分かります。オーボエ好きさんの楽器つくりは、どちらなのでしょう。トラベルソの復元、それともトラベルソの改良。・・迷うところですね。
もうひとつ、ヘッドキャップの件、コルクの緩みは研究されたことがありますか。そもそも、トラベルソの仮想の終端がコルクの後方ですが、コルク緩みや、キャップ緩みにより変わりそうで、そのことを言っているのでしょうか?
woodwind 図書館長
2005/08/28 08:37
私の場合は今のところ復元ですね。といってもアイデアはいろいろ追加しています。
避けたいのは表現力の低下と吹奏時の負担ですね。
モダンとトラベルソを比較すると圧倒的にトラベルソの方が私の表現意欲を刺激してくれます。

コルクの緩みですが、woodwind様のおっしゃる通りです。私はトラベルソではまだコルクについては確認していないのです。。来月ぐらいにリボーリングしてみるので、その時確認できそうです。
オーボエ好き
2005/08/28 16:37
オーボエ好きさん、こんにちは。
モダンに比べ「表現意欲を刺激してくれる」というのは、どのようなところでしょうか? このブログの読者の方も、とても興味あるところではないかと思います。と言うのは、モダン奏者はモダンしか意識がなくて比較してみようと言う方が、まだ少ない気がしています。モダンとトラベルのどちらが言いかの問題でなく、どちらがどのような音楽表現に適しているかでしょう。
モダンに比べた場合の@音色そのもの、A演奏(反応)性、B感性、Cその他・・よろしければ、教えてください。
woodwind 図書館長
2005/09/03 16:55
以下、私の経験に基づく個人的な感想です。
音色:トラベルソは地味で、音固有の音色を持っており、派生音はクロスフィンガリングでさらに渋いです。音色の補正?そんなものしません!
モダンは派手で、一定のカラーの音色を持っており、そうなるようさらに訓練します。派生音でも音色の補正の必要はありません。
吹くたびに単色の刺激を受けるか、多色の刺激をうけるかというところ。

音量:トラベルソは小さいです。だから聞いていても疲れにくいです。
モダンは大きいです。狭い部屋で大きな声で話されるのは疲れます。
家での練習はトラベルソの方が楽。ホールでの演奏はモダンのが楽。
オーボエ好き
2005/09/03 23:24
続き。
演奏(反応)性能:トラベルソは軽く反応し、音程補正は最低音でもわずかな動作で可能ですが音量はモダンに及びませんし、全ての調を自在に演奏できる訳ではなく、ダイナミクスレンジも狭いです。クヴァンツキーを持つものなら異名同音をフィンガリングで吹き分けられるので音程補正がさらに楽な上、耳も刺激してくれます。
モダンはトラベルソよりも反応が鈍く、音程補正時の動作も大きいですが、音量は豊かで全ての調を自在に演奏でき、ダイナミクスレンジも広いです。十二音音楽やモダンピアノが相手ならこの方が有利と思います。

感性:演奏時にコントロールに裂く意識が少なくてすむので表現に集中しやすいのがトラベルソ。しかし、演奏の難しい調が続出。
逆にジャズでも現代音楽でも技術的限界で断念することなく、表現を追求できるモダン。

その他:トラベルソの方が簡単に自作できる。モダンの自作はキー製作だけでも大変そう。トラベルソはキー調整がほとんど不要。モダンはプロによる定期的チェックが要。
オーボエ好き
2005/09/03 23:25
たくさんの情報、ありがとうございます。わたしも多くは同感いたします。やはり、バロック時代の感性に合った木管で、それを演奏したり聴いて楽しめるのが良いと思います。この場合、単に木管楽器そのものばかりか、演奏スタイルや解釈の違いの差も大きく、何を求めるかに帰着するような気がします。
woodwind 図書館長
2005/09/04 21:42
コルクの緩みですが、頭部管のボアを広げたので試してみました。
問題はきつい緩いよりも空気が漏れるか漏れないかでした。
私にとってはこのコルク材の入手が問題で、調整過程ではワインのコルクを代替に使用しています。
圧縮されていないコルク材が欲しいのですが、woodwind様はどうされていますか?
オーボエ好き
2005/09/06 08:09
オーボエ好きさん、こんばんは。
コルクの件、隙間問題はあると思います。ボアが広がっているのは、当時のリーマーあるいは製作のためと思います。現に、色々あけているうちに、端っこはどうしても広がりがちですから。
ところで、圧縮のコルクではだめなのでしょうか?
コルク材ですが、ロンドンでは、デパートというかスーパーで売っています。その手持ちがありますので、よさそうなのを2〜3個郵送しますね。今、封筒に入れました。今夜は遅いので、明日、投函します。試してみてください。その結果、ワインの栓と、一般コルクとの差が何か分かりましたら、是非教えてくださいね。
woodwind 図書館長
2005/09/07 00:33
ロンドンではデパート、スーパーで売っているのですか!
文化の違いはおおきいですね!
コルク材を送ってくださるとのこと、ありがとうございます。
圧縮コルクですが、シートを持っているのですが、伸ばしておかないと割れてくるほどもろいですね。塊になっているものは大丈夫なのかな?

ワインの栓は調整時の一時しのぎなのですが、適度に水分を吸うとすぐに密着してくれるところがいいですが、外見はきれいでも中身は結構穴だらけなので、寸法を調整するときに困るわけです。

ワインの栓と一般コルクとの差のレポートの件了解です。
オーボエ好き
2005/09/07 08:53
コルク材受け取りました。
ありがとうございました。

ワインの栓と比べるとややかるいですね。
旋盤で加工しちゃっても大丈夫でしょうか?
オーボエ好き
2005/09/09 17:55
色々と試みてください。
確かに、軽めですよね。
トラベルソのモデルによりボアの径が異なるものの、お手元のコルクの径で、大抵は、間に合うものと思います・・。
woodwind 図書館長
2005/09/09 23:43
今日コルクを旋盤にかけてみましたが、ぼろぼろになってしまいました。
穴開けは鉄鋼用ドリルを使いましたが、これもあまりきれいではありません。
表面は突っ切りを使ったのですが、ひどい有様です。

コルクの径を頭部管内径に合わせるにはどうすればいいのでしょうか?
オーボエ好き
2005/09/20 19:16
あらあら、コルクを旋盤に掛けられたのですか?
ものを切るための基本は、切られるもの自体が、「押さえが効く」こと。コルクは、自分自身が支えられないのです。
木管作りは、旋盤や電動ドリルでなく、手づくりの世界です。わたしなどは、ほとんど手作業です。手加減が効くのです。
コルクもしかり:紙やすりを平らなテーブルの上に載せ、コルクをこするだけ。ねっ、単純でしょう。こまめにやれば結構丸くできる。
・・ところで、話は変わりますが、丸くないものを丸くする方法が、この紙やすりです。ころころ、転がしていると丸くなります。この原理は、パチンコ玉などの球形をどうやってつくるかとおなじ。紙やすりに相当するものを容器に要れ、ガラガラとやるだけ。
ドリルは、すこしずつぼろぼろと崩してゆくもの。金属では、自体が支えられるので、原子レベルで可能。コルクは、くずれるだけ。コルクのようなものは、プレスのような刃でガチャンとやるしかないか。
woodwind 図書館長
2005/09/21 00:14
ありがとうございました!
全く基本を理解していなかったわけです;
知識と実技がほとんど結びつかないと言うのが私の特徴(?)ですが、
woodwind様にいろいろと教わっているのに面目ない次第です;
早速やってみます。
オーボエ好き
2005/09/21 22:45
ところで、送付しましたお手元のコルクも良いですが、わたしはワインの栓が気に入っているのです。コルクは柔軟性があり、ワインの栓としては、無理やりビンに入れるので、ぴったりと締まるのです。このぴったり感もおつなもの・・。
woodwind 図書館長
2005/09/22 23:54
やっとコルクをきれいに加工できましたが、送ってくださった3つからできたものは1個でした;
圧搾コルクよりも加工しやすく寸法が合わせやすい、また隙間ができにくいので空気漏れ、水漏れが出にくいと言うことが分かりました。
ワインの栓ですが、ワインを開けてから乾燥させておいて大きく変形してしまうのが問題です。私の手元のワインコルクはあまりに安いからか、大きく変形してくれます。
日本の会社で、woodwind様に送って頂いたのと同じコルクが入手で入手できることが分かりました。これでコルクは間に合いそうです。
オーボエ好き
2005/09/24 14:09
いろいろ試されたそうで、うまくいったことが2つ。@加工に成功、A入手先が見つかり、よかったですね。
とこるで、楽器の製作を試みる方は、結構いらっしゃるみたいです。このブログも多くの方がご覧になっている様子。オーボエ好きさんの体験を、公開していただくと、わたしにも、その方々へも励みになっていると思います。
コルクに限らず、なんでもご相談ください。
woodwind 図書館長
2005/09/24 17:20
象牙マウント取付けは、直角面出しがポイント バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
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