バロック木管図書館 woodwind

アクセスカウンタ

zoom RSS ガイド穴あけの次は、内径を拡げ、ソケットをつくります

<<   作成日時 : 2005/09/19 12:07   >>

トラックバック 0 / コメント 2

画像
楽器のつくり方 (30) 2005/9/19

1本のフルート・トラベルソをつくりましょう。 その手順は、

 @角材から木取り、木組みをします
   →楽器のつくり方(25)
 Aそれぞれの角材を丸材にします
   →楽器のつくり方(26)
 B丸材の中心にガイド穴をあけます
   →楽器のつくり方(29)

ここまで進むと、できれば自然乾燥にて木を寝かし、そのあとは、

 C内径を拡げ、ソケットをつくります

フォトは、 トラベルソの5つの部分の丸材の中心にあけたガイド穴を基に、それぞれ内径を拡げ、また必要なものにはソケットをつくった状態を示します。

左から順に、頭部管、上管、替え上管、下管、足管。 いずれも、手前側が、トラベルソの上(頭部管のキャップ)側で、奥が下(足管の端)側。

それらの右は、今回の工程で必要な、工具のいくつか;

 ・ロング・ドリル (LDと略→楽器のつくり方(18)
  穴あけの様子は、ここにあります→楽器のつくり方(11)

 ・フォーストナー・ビット (FBと略→楽器のつくり方(28))
  FBでの作業イメージは、ここを参照→楽器のつくり方(1)

ガイド穴は、径が 5/16 in (8mm) のシェル・オーガーであけています。
あけるさまは、こんな感じです→楽器のつくり方(6)
この8mmのガイド穴から、内径を拡げるとき、作業が比較的楽なものとそうでないものとがあります。 それは:

A: 作業アイテムが短いほど簡単

作業アイテムが短い場合は、チャックで結わえるドリルやFBも短くてすみ、しっかり固定できるから。 ところが、長くなると、その分ドリルも長いものが必要。 LDの先端で横からの力を手元のチャックで押さえるのが難しく、また内径と接する部分が長いためです。

B: 拡げるべく、内径が小さいほど簡単

内径が大きなものは、径の大きなLDやFBが必要ですが、そのためには大きなトルクが必要となり、逆に切削の基本条件である、押さえの力もそれに応えるべく大きなものとなるからです。 スタックし、許容範囲を超えると、テール・ストックにてモース・テーパーの摩擦だけで支えているチャックが空回りしだします。

これらA.B.の要素に関して、フォトの5つの部分は、おおむね右から左へと、簡単なものから難しいものの順となっています。 右から、それぞれ見てみましょう:

●足管 (短い) 仕上げ寸法 97mm

 ・内径拡げ: 1/2 in (12.7mm) のFBで一気にあけて終わり
 ・ソケット:  19mm のFB       

●下管 (中くらい) 仕上げ寸法 162mm

 ・内径拡げ: 1/2 in (12.7mm) のFBのあと、
          12mm/13mm/14mm のLDで段階的に拡げる
 ・ソケット:  18mm/20mm のFB       

●替え上管 (長い) 仕上げ寸法 220mm

 ・内径拡げ: 1/2 in (12.7mm) のFBのあと,
          10mm/12mm/14mm/16mm のLDと、
          11/16 in (17.5mm)/18mm のFBで段階的に拡げる

●上管 (きわめて長い) 仕上げ寸法 248mm

 ・内径拡げ: 1/2 in (12.7mm) のFBのあと、
          10mm/12mm/14mm/16mm のLDと、
          11/16 in (17.5mm)/18mm のFBで段階的に拡げる

●頭部管 (長い上に、内径が大きい) 仕上げ寸法 221mm/内径19.6mm

 ・内径拡げ: 1/2 in (12.7mm) のFB のあと、
          10mm/12mm/14mm/16mm のLDと、
          19mm のFBのあと、18mm/19mm のLDで順に拡げる
 ・ソケット: 20mm/24mm のFB  (フォトでは見えない奥側にあります)

内径拡げにおける要点は、「手順」を良く考えることと、「少しずつ」の精神です。

たとえば、長いアイテムに対して、8mmのガイド穴から、19mmの内径に拡げることを考えましょう。 いきなり、19mmのドリルでは、削りとられる木材部分の断面積が広いため、大きなトルクが必要で、なかなか進みません。 そこで、10〜12mm程度の内径拡げからはじめ、それが終わったら、順に14mm、16mm、18mm最後に19mmとすると、小さなトルクですみます。

ところが、なんせアイテムが長いので、それらのドリルがボアと接する面積が大きく、やはりスタックしやすく難しいのです。 長いとか、短いとかの実際の数値ですが、20cmは長く、10cmは短いといった世界のことです。

では、どうするか?

「手順」を考えます。 長い10〜12mmの内径拡げのために、それより大きな14〜16mmの穴あけを少し行います。 すると、大きな径となった部分に関し、それより小さな径のドリルにとって接する部分がないので、アイテムが短くなったこととなります。 すなわち簡単になる方向です。

この考え方により、10〜12mmの拡げが終わると、それより大きな14〜16mmではトルクが小さくてすみ、こんどは、こちらが楽になります。

実際の姿は、10〜12mmと、14〜16mmとを行ったり来たり繰返すのです。 この「少しずつ」が成功の秘訣、いわゆるノウハウです。

もちろん、木材の加工をすばやく効率的に行うために、多額の設備投資を行う、量産木管メーカーでのノウハウは、また別のものとなるでしょう。

1本のトラベルソの5つの部分の内径拡げの要点は異なり、それぞれのノウハウに基いて作業を行うとうまくゆくと思います・・。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
内径を仕上げる前にソケットを作ってしまうのですね。
私は、内径を仕上げてからソケットを作っていますが、これでもわずかに芯がずれてしまいます。この辺り、完璧に芯をずらさない方法ってあるのでしょうか?
オーボエ好き
2005/09/19 23:21
オーボエ好きさん、こんばんは。
わたしの手順は、一度ヘッドストック側のチャックに固定したら、可能な限り同心円が必要な作業をしたいことによります。ズレの原因は2つ:@チャックを外し、再度取り付ける際のズレ、A内径掘りとソケット掘りとで異なるビット/ドリルを使う時のズレ。いつもこの2つが付きまとうので、わたしは@を取り除く方法としての手順を取ります。ただしAの問題は、ご質問の内容そのもの、やはり同心である(仮想の)中心をどのときでも取り戻せるような、ビット、あるいは支えを工夫するしかないか。
種々の工夫で、うまい解が見つかりましたら是非教えてください。
woodwind 図書館長
2005/09/20 01:47

コメントする help

ニックネーム
本 文
ガイド穴あけの次は、内径を拡げ、ソケットをつくります バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる