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zoom RSS マニュアルとオートマ、どちらがお好きですか

<<   作成日時 : 2005/09/23 13:13   >>

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楽器のつくり方 (31) 2005/9/23

車と言えば、いまやオートマチックの時代。

自動車運転免許にも、マニュアル、オートマの区別があり、自動車教習所では、それにしたがって練習します。 マニュアル教習生にとって、教官から終了ハンコがもらえるかどうか、とても心配なのが「坂道発進」。 でも、オートマ教習生は、そのような事態があることすら一生知らずに過ごすことになりそう。

オートマはオートマチック(自動・自働)の略。 D (ドライブレンジ) に入れ、アクセルを踏むだけ。 ギア操作が不要で、面倒なクラッチそのものがない。

では、ギアってなんなのでしょう。 「ギアを切り替えて、車のスピードを変えるのでしょう? ローでは遅く、ハイでは早く」って答えが返って来そう。

正解は、「ギアを替え、エンジンから車軸に伝えるトルク(回転させる力)を変えること」。 結果として車の走行速度が変わります。

慣性の法則により、静止している1トンもある物体を少しでも動かそうものなら、とても大きな力(トルク)が必要。 1人で押してみればすぐ分かります。 でも時速100kmで走行中であれば、何もしなくてもその速度で走るくらいで、ほんの少しのトルクを加えればいいのです。 最初のが、ロー(1速)、後のがハイ(4〜5速)。 必要とする場面で、このトルクを自動的に変えるのが、オートマ。 オートマチック・トルク・コントロールのことで、「トルコン」とも略します。

オートマ全盛にあって、なぜマニュアル車があり、F1のレーシング・カーがどうしてマニュアルなのでしょう。 わざわざ、苦労してマニュアル免許を取ろうとする教習生にとっては、実に当たり前の話で、 「だって、マニュアルは車を自由に操れる。 操れないのは車ではない。」

フォトは、木工旋盤のノミを研ぐ、砥石2種。

いずれも、水でぬらしながら研ぐタイプで、日本の文化が西欧に伝わっています。 摩擦熱で刃がなまるのを、水で冷やします。
 
左は電動で、研ぐ刃の角度を固定する冶具を併用すると、オートマとなります。 デンマーク製。 回転方向は、前後に切り替えが可能。

右は、中砥石と仕上げ砥石が張り合わせてあり、とくに中砥石は丸くへこんできたら専用の石、あるいは、平らなコンクリートに押し当てて削って平面を取り戻します。

ところで、砥石で刃を研ぐにはコツが必要です。 刃の角度を一定に保ち、前後に動かします。 このとき、押すときに力を入れるか、引くときか、それとも両方か?

微妙ですが、わたしは押すときに力を入れています。 押すと、押し返され刃が削られる感覚が伝わります。 右のような砥石では、力の入れ具合と、押す速度が自由にコントロールでき、もっぱらこれを用います。 自分で「操れる」のです。

一方、左の電動は、木工旋盤の刃研ぎ専用です。 通常のベンチ・グラインダーは、回転速度が速すぎ、微妙な刃研ぎのために、遅めのものが開発されました。 それでも、わたしには、回転速度が速く、とくに「手押し」に相当する「前回転」モードは、ノミがはねられそう。 結局「手引き」相当の「後回転」モードで使用しますが、これでは、わたしが砥石で研ぐときの、「押すときに力を入れる」のとは反対。

ふ〜む。 電動は便利と思って購入したものの、砥石で十分。 というか「手加減」のできる方が実は便利とわかりました。

これは、どうやら、ものづくりの本質のようです。

話しは、それますが、真っ直ぐの定規。 どうやって作るのでしょう。 決まっているではありませんか、真っ直ぐに動く機械で削れば終わり。 では、その機械は、どうやって作られたのでしょう。 それは、機械をつくるための機械、すなわち精密工作機械で作ったのでしょう。 ではその基準となる直線部分をどうやって誰が作ったか?

実は、平面精度の高い平らな面や直線、あるいは高精度のレンズは、人の手により作られます。 キサゲとか磨きの作業です。 1mmの1000分の1とか、それ以上の精度の世界。

わが国には、それができる匠がおり、その技を世界に発信しています。 これは、ほんの一例で、そのほかの匠の領域があり、それを支えるのは、いわゆる町工場とか小さな会社で、世界中の製造会社があてにしています。

今や、大量生産の工業化社会。 自動車でもなんでも高精度ロボットが、穴を空け、溶接を行い、数分に1台製造でき、それを思うとなんでも自働化できると思いがち。

でも、楽器は違います。 バイオリンやギターは、ほとんど手づくりの手工製品。 部分的に機械化したものは安価ですが、演奏家は手工を求めます。

木管楽器も同じ。 演奏家が何年待ってでも手に入れたい、世界最高峰のファゴットとかオーボエ。

その製造現場は、さぞかし最新鋭の高精度自働化マシン設備が入っているのだろうと思いきや、見ると、エー、うっそ〜。 昔ながらの機械のほか、作業台には、ヤスリとか各種の小刀類とかねじ回しとか・・・・・。

ファゴットの材質は、1本ごとに異なるメープル。 この目利きにより、どのような工程で、どのように削れば、最高の音色が出るかを決め、1本1本異なる作業に取り掛かかるそうです。 そのノウハウは、代々伝えてきた家族のみが知る。 とても自働化の世界ではありません。 1年に多くは作れません。

楽器つくりの楽しみは、機械でなく、人の手によりつくりだされる「ぬくもり・暖かみ」を手にできること。

自由に操れ、手加減ができるマニュアルの世界です・・。











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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
私はもっぱらダブルヘッドディスクグラインダーです。
ココボロと言う木は結構固く、仕上げるまでに何度か刃を研ぐので手間のかからないものを選びました。
オーボエ好き
2005/09/24 14:02
オーボエ好きさんは、金工旋盤でしょうか。ディスク・グラインダーというのは、その金工旋盤のバイト研ぎのことかと思います。そのとき、角度決めはてかげんでしょうか、それとも冶具押さえか何かなのですか?
ココボロも硬いですよね。もっと硬いのもあるし、とくに刃がなまりやすい木の種類があるみたい。
woodwind 図書館長
2005/09/24 17:14
木工用バイトもディスクグラインダーで研いでいます。
金工用バイトを研ぐことから、木工用もハイス製なので、同様に研いでいる次第です。
角度決めは手加減です。
毎回、少しづつ変えては試しています。
オーボエ好き
2005/09/25 17:49
角度決めですが、木工用は角度を手で自由に変えることができるので、研ぐ角度も変えてもよさそう。でも金工用は、バイトを固定するので、刃角など角パラメータは適切値があり、大きくは変えられないのでしょうか。金工旋盤の経験がないのですが、とくに金属切削の場合にこれが重要な気がします。種々の試みで、何か分かりましたら色々と教えてください。
woodwind 図書館長
2005/09/26 22:59

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