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zoom RSS 階段状のトラベルソ内径を、テーパーにします

<<   作成日時 : 2005/09/25 11:07   >>

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楽器のつくり方 (32) 2005/9/25

トラベルソつくりの工程も4つ終わりました:

 1番目: 木取り・木組み
    楽器のつくり方(25)
 2番目: 角材を丸材へ
    楽器のつくり方(26)
 3番目: ガイド穴あけ
    楽器のつくり方(29)
 4番目: 内径とソケットつくり
    楽器のつくり方(30)

つぎは、5番目: 階段状の内径を、大まかにテーパー状に削ります。

トラベルソの内径は、複雑なテーパーとなっています。 (→ここを参照)

最終的に、その内径に仕上げるにあたり、この段階では、大まかなテーパーつくりをしておきましょう。 テーパーでなく、円筒となっている頭部管(ヘッド・ジョイント)については、その内径近くまで拡げます。

このために必要な、リーマー作業ですが、旋盤を用いるなら、チャック取り付け部分が残るこの段階がいいでしょう。 木工作業バイトに挟み、手回しで行う場合も、バイトによるキズが気にならない、この段階が適します。 わたしの場合は、手持ちが多く、後の工程段階でもできます。

フォトは、これまでつくってきました1本のトラベルソの5つの部分です。

左から、頭部管、上管、替え上管、下管、足管で、1本の角材から連なるよう、木取りした順に並べています。

今回は、目に見えない内径の作業です。 少しでも様子が分かる工夫をしてみました。 右から順に、それぞれすこし詳しく見てゆきましょう:

●足管  仕上げ寸法: 長さ 97mm/内径13.7-14.7mm

 ・12.7mmの内径から、      
 ・11mmの工業用テーパー・ピン・リーマーで拡げます。
 ・逆テーパーですから、フォトでは向こう側から突き刺さっています。
 ・工業用のテーパー・ピン・リーマーは、こちら→楽器のつくり方(21)
 
●下管  仕上げ寸法: 長さ 162mm/内径15.6-13.5mm

 ・13mm/14mmの段階状の内径から、
 ・13mmと15mmの工業用テーパー・ピン・リーマーで拡げます。
 ・通常のテーパーですから、フォトでは手前側から突き刺さっています。

●替え上管  仕上げ寸法: 長さ 220mm/内径18.8-15.6mm

 ・14mm/16mm/17.5mm/18mmの段階状の内径から、
 ・15mmの工業用テーパー・ピン・リーマーで削れるところだけ削ります。

●上管  仕上げ寸法: 長さ 248mm/内径19.1-15.3mm

 ・14mm/16mm/17.5mm/18mmの段階状の内径から、
 ・15mmの工業用テーパー・ピン・リーマーで削れるところだけ削ります。

●頭部管  仕上げ寸法: 長さ 221mm/内径19.6mm

 ・19mmの内径から、
 ・工業用の自在(アジャスタブル)リーマーで19.55mmまで拡げます。
 ・自在リーマーは、こちら→楽器のつくり方(21)
  また、こちらも参照できます→楽器のつくり方(13)

リーマーで内径をテーパーに拡げる作業は、旋盤を用いるひともいます。 実際にやってみると、スタックもするし、そのたびに外す作業が伴います。 これでは効率が悪く、手作業の方がかえっていいかも。 わたしは、もっぱら手作業。

木を外側からでなく、内側から目的の寸法に削ることは、それほど簡単ではありません。 管の中に手を入れることができないのです。

内径づくりほど、木と対峙する感が強い工程は、ほかにありません。 木とうまく付き合うことができればいいし、そうでなければ、なかなかつらい作業です。 

トラベルソなどのバロック木管に使用する木材は、いわゆる硬材(ハード・ウッド hard wood)。 非常に緻密で硬く、あのすばらしい音色を作り出します。 柔らかい材でつくると、作業はいくぶん楽かもしれません。 ただ、音色は不明瞭となってしまうでしょう。

どれくらい硬いかと言うと、「まるで石のようです」と言う表現が当てはまります。

同じ内径づくりでも、ロング・ドリル(→ここ)とかフォーストナー・ビット(→ここ)による切削では、刃は、それらの先端についているだけで、材に接する長さは〜20mmほど。

ところが、リーマー作業で刃渡りが長いと、ボアに接する分も長くなります。

階段状の穴を拡げる最初の工程では、階段の角のわずかな部分が接するだけす。 したがって、鼻歌まじりの調子の良いいものです。 それが、徐々に、刃渡りの長さにわたり接してゆくのです。

1枚刃ならまだしも、フォトのように、テーパー・ピン・リーマーでは8枚刃、自在リーマーで6枚刃ですから大変なのです。

ではどうするか。 悪い響きがする言葉で恐縮なのですが、 「だまし、だまし」 削ります。

リーマーを目いっぱい奥まで入れず、少し浮かせ、接する部分を少しにして手前側を削ります。 そのあと、今度は、奥側に刃が当たるように、中に入れて削ります。 これを繰り返すのです。

ころあいと言うか、手加減についてですが、慣れてくると、手で持つ管の位置を前後にずらすだけで、どのあたりを削っているか、音を聞いて分かるようになります。

木管楽器づくりは、手づくりの要素が大きいと言えるでしょう・・・。





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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
私は木工旋盤で、テーパーを作っていますが、
左手管、右手管は何度もスタックして、ひどい時は温度が下がるまで30分程放置しておくこともあります。これは刃渡りの長いリーマーを使っていると言うのが原因の様です。
リーマーを作り直すことがあったら、いくつかに分割使用と考えています。
オーボエ好き
2005/09/25 17:55
オーボエ好きさん、こんばんは。そうですか、やはりスタックしますよね。摩擦熱は大変なもので、木材の方がどんどん温度上昇します。それにつれ、ビットやドリル、リーマーの元のほうまでも温度が上がります。それにスタックしたままだと、旋盤がうなるし。小さな旋盤では、そもそも定格容量じゃなく定格時間があるのを見かけました。連続作業時間15分とか・・。
ココボロは違うと思いますが、エボニーでは熱で割れると思います。
分割したり、あるいは先などを丸みを帯びさせるとかして工夫するのも良いと考えています。
リーマー作業は、どの製作家も自分なりのやり方があるのだと思います。
手回し用のリーマー製作記事は多く見かけますが、この場合スタックしても、熱くはなりません。まわすスピードや仕上げ時間を手加減できるからです。効率・能率より材を痛めないというのも、ひとつの考え方かもしれません。
woodwind 図書館長
2005/09/26 22:51
最後の数センチを手作業でリーミングしてみましたが、
旋盤で加工するよりもきれいに仕上がりました。
全て旋盤で加工したものを完成までの工程で再度手作業でリーミングしても、
最初に手作業でリーミングしたものと同程度のきれいな内径にはなりませんでした。
オーボエ好き
2005/09/27 07:46
オーボエ好きさん、こんばんは。手作業が、結構うまくいったということですね。最後の数センチがとくにつらいですよね。バロック時代でも、リーマー作業は同じように大変だったとすれば、部分リーマーによって、色々削り、その結果として、トラベルソの内径の複雑なテーパーの要因となり、それほどなめらかなテーパーにならなかったものとも考えられます。もちろん、そうは言っても、トラベルソもリコーダーも、ほぼ同じような内径の特徴があるのも事実。
精密なリーマーを作ったとしても、それだけで、理想の内径が簡単に実現できるわけではないという気がしています。これについてはいかがですか?
woodwind 図書館長
2005/09/29 22:20
同意です。
内径を作るために重要な影響を与えるポイントを減らすために精密なリーマーは必要と思います。
理想の内径は音を出した結果から内径を調整する技術によって洗練されていくものでしょうから、この辺の技術も要りますね。
デンナーのテナーリコーダーのミドル管は7本のリーマーでリーミングされ、内径に微妙な段差ができ、それが吹き心地に微妙な抵抗感を与え、また高性能であったそうです。
単に精密なリーマーと言うだけではなく、いくつに分割するか、どうやってリーミーングするか、音から判断していかに調整するか、奥が深いですね。
どんなリーマーを作るか、どうやって使うか、一筋縄で
オーボエ好き
2005/10/01 07:43
その通りと思います。調整段階で色々削ったものと考えられます。ただ、指穴の位置や大きさと内径が関係するし、第二、第三オクターブの音程問題もあり、結構大変と思います。ピッチを変える替え上管の場合も、頭部管に近いところがにゅーっと伸ばされた内径となっていることから、変え管ごとに楽器の特性が異なるのは当たり前で、それによってリーミングも変えていると思います。
一筋縄ではいきませんね。
woodwind 図書館長
2005/10/02 00:06

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