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zoom RSS 象牙のほかにもイミテーション材があります

<<   作成日時 : 2005/10/02 01:56   >>

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楽器のつくり方 (33) 2005/10/2

ワシントン条約により、輸出入が禁止・制限されているものに象牙(アイボリー)があります。

象牙は、その素晴らしい材質のため昔から重宝され、工芸品に使用されてきました。 高い値段で売買されることから、像の猟が進むにつれ絶滅の危機に瀕しているためです。

昨日の新聞記事。 保護活動の結果、アフリカでは像の数も増え、喜ばしいことと思います。 ただ、記事の内容は、人への害も増えてきたため、他の保護地区へ引越しさせると言うものでした。

工芸品や日用品の櫛などに、種々の動物の材が用いられ、同様に保護されています。

人が使う道具である、楽器もしかり。 バロック木管楽器にも象牙のマウント(リング)が用いられ、また総象牙のトラベルソもありますね。

象牙ばかりか、牛や羊のつの(ホーン)も使用されたようです。

それらの楽器の複製にあたり、、動物保護を目的とした代替品として開発されたイミテーション材を使う楽器製作家が多くいます。

フォトは、それらのイミテーション材を紹介したもの。

前列左の3つがそれ。 左から順に、

 ・象牙(アイボリー ivory)
 ・鼈甲:べっこう(トータス tortoise)
 ・角:つの(ホーン horn)

わたしは最初の象牙を多用します。 色が単に、アイボリー・ホワイトをしたプラスティックではなくて、象牙のごとく年輪のような模様が入っています。

鼈甲や角も同様。 種々の色のプラスティックを溶かし、「適当に」かき混ぜ、押し出し機で形成して固まらせたと想像します。

それらしく見え、うまく仕上げるととてもきれいになります。

後列は元の材。 直径 78mm、39mm、34mm を例として撮影:

 ・78mm: オーボエやクラリネットのベルなど
 ・39mm: オーボエ下管とベル上部、トラベルソ頭部管、クラリネットなど
 ・34mm: トラベルソ下管や足管、オーボエ上管など

このほか、30mmのものでトラベルソ足管などもつくります。

フォト前列の中央のかたまり4つは、トラベルソの頭部管、下管、足管用に加工したもの。

また、右のかたまりは、オーボエその他用に加工したもの。

マウントの取り付けイメージは、ここ→楽器のつくり方(15)
また、マウントの削り方は、ここも参照→楽器のつくり方(27)

これらリング(マウント)のつくり方:

 @棒状の材に、旋盤のチャック取付け部をつくる(フォトでは25.4mm)
 Aテールストック側にドリルチャックを取り付け、
   フォーストナー・ビット(→楽器のつくり方(28))で目的の内径の穴を掘る
 Bテールストック側をセンターに替え、
   センター間削り(→楽器のつくり方(23))の要領で、
   幅1mmの突っ切りバイト(→楽器のつくり方(17)のフォト左から2番目)
   を用いて、目的の長さに切り落とす。 このとき、
   同心に対する直角面を出す(→楽器のつくり方(27)も参照)。
 C切り出した輪状のものを、平らな台に載せたサンドペーパーに当てて
   面を平らに仕上げる。

摩擦熱で熱くなったプラスティック材は柔らかくなり、指でつまむと楕円にゆがむことがあります。 なるべく円を保つように、そっと冷ますことが要点です。

バロック木管楽器は、聴いて美しい音色のほかに、見た目も美しい装飾があると、とても豊かな気持ちになるのは、わたしだけでしょうか・・






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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
イミテーションアイボリーは繊維質の模様等味わいあるようにできていますね。
私の所有しているトラベルソには象牙果が使われています。
これも繊維質がきれいです。
オーボエ好き
2005/10/03 06:54
はじめまして。私は最近趣味でバロックオーボェの制作をはじめました初心者です。
人造象牙はどこで入手できるのでしょうか?
教えていただけるとありがたいのですが。
オーグスト
2005/10/04 10:33
はじめまして、オーグストさん。
ちょっと調べてみたら「alternative ivory」で検索するといくつかサイトが見つかりました。
他にも「Water Buffalo Horn」とか「Tagua Nut」を一緒に扱っているサイトも発見!
結構あるもんなんですね。
オーボエ好き
2005/10/04 21:14
象牙は装飾なのか?
それをずっと考えていました。ある製作家さんが既に出来上がっているリコーダーへ象牙を付け、その前後で明らかに音に良い影響があることを報告しています。
私は今DaytonのQuantzを元にしたトラベルソを作っていますが、オリジナルの象牙部分、金属部分を簡単に取り外しできるようにして、象牙の代わりに真鍮パイプを取付けた時、どんな変化が起こるのか実験をしました。
まず、何もつけない状態では、とても繊細で小さな音量、コントロールが容易で、音の輪郭は淡く、全音域の音調のバランスは良い感じでした。
オーボエ好き
2005/10/04 21:21
その後、図面上で象牙のある位置に、真鍮パイプを足部管の端から順において、変化を確認しました。

足部管の端のみ:低音(E,D)の輪郭がハッキリしました。
足部管ソケット部追加:低音(G,F#,E,D)辺りの響きが豊かリなりました。

右手管ソケット部追加:低音(A)の輪郭がハッキリしました。短いパイプだと低音F#の響きが豊かになりました。

バレル:左手管側にパイプを取付けると全音域にわたって、音の輪郭がはっきりしました。また吹き込むエアーに対しての抵抗感が生まれ、コントロールが難しくなりました。
バレル:頭部管側にパイプを追加すると中音のAが豊かなサウンド、ハッキリした輪郭になりました。これが長いパイプだと全体に暖かいサウンドになり、短いと明るいサウンドになりました。
オーボエ好き
2005/10/04 21:30
ヘッドキャップ:真鍮パイプを取付けると中高音域の輪郭がハッキリしました。

真鍮パイプは適宜サウンドを殺さない程度にサイズを調整しなくては、元々の楽器の性能を低下させてしまいました。0.5mm厚で自作しましたが、ほぼmm単位でオッケーでした。
これらの全行程は、8時間程を要しました。実際わずかな音質の違いを聞き分けるのはとても繊細な作業でしたが、その差は明らかでした。
今回の私の作品がココボロでできており、オリジナルの黒檀よりも比重が高い木です。図面上の象牙の長さよりも、真鍮パイプの長さはとても短くなりました。
面白い結果だったので報告させて頂きました。
オーボエ好き
2005/10/04 21:41
●オーグストさん、はじめまして。ようこそバロック木管図書館にお越しいただきました。バロック・オーボエを製作されているとのこと。素晴らしいですね。本ブログのTopページの「自己紹介欄」に記しましたが、いろんな方と楽しさを共有するのがねらい。是非、色々と教えてください。
●イミテーション・アイボリーですが、@英国の古楽専門店EMS(Early Music Shop)で「アクセサリー」のジャンルにて、ロッドで13-90mm、板で8-25mm。オーボエには、いずれでも可能。URLはリンク集ご参照、そのほか例えばA英国の工具販売店の木工旋盤材料あたりで扱っています。URLは、ここ。http://www.axminster.co.uk/find.asp
●オーボエ好きさんのコメントにあるように、imitation ivory、あるいは alternative ivory などで検索できますよ。
・ただし、ブログは世界中に公開しており、特定のお店の宣伝をしているわけではありませんのでご理解のほど。
woodwind 図書館長
2005/10/05 19:47
●オーボエ好きさん、こんばんは。とても詳細な報告、どうもありがとうございます。これほどの研究成果ですと、コメント欄に記入していただくほかに、なにか「読者の仲間からの記事」としてブログ記事にまとめて載せていただくなんぞも面白いかも知れないと気づきました。もちろん、そのかたからの了解の下ですが・・・
●象牙は、「単なる装飾ではない」とのご意見、とても参考になりました。視角からの美しさに惹かれて来ましたが、やはり演奏家の立場で物事を考える、とてもよいヒントになっております。ありがとうございます。
ただ、わたしがそのような実験をしても、微妙な感覚とか吹奏感まで至らないかも知れず、楽器つくりは、製作家と演奏家の両輪が重要なのでしょうね。
woodwind 図書館長
2005/10/05 19:57

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