パイプオルガンをご覧になったことがありますか。オルガンと聞くと、学校の音楽の時間に先生が弾いてくれたものを思い出す方も。 その大きさは、電子オルガンとか、電子ピアノ程度のもので、たいして大きくはありません。 教会に行くと、決まってオルガンがあります。 電子オルガンくらいの小型のものもあれば、高さ数mの大型のものも。 まさに、「据え付け」てあります。 コンサートホールにもパイプオルガンが据え付けられ、壮大なオルガン音楽を楽しむことのできるところもあります。 奏者席には、複数段の鍵盤やペダル。 しかし、なんと言ってもその背後にあるの大小さまざまの数え切れないほどのパイプ群が目を奪います。 オルガンの裏方では、大きなふいごを多くの人々が動かし、現代では電動モーターがそれに取って代わり、パイプに送風します。 ふいごからパイプに至る配管や開閉装置など、とても大きな仕掛けですから、楽器と言うより建物の一部と言えるでしょう。 そのパイプ群。 良く見ると、短いものは鉛筆くらい。 長いものは、数mにも。 管の長さで決まる基音を、最低音から最高音まで5オクターブにわたり出すためでしょう。 管の種類には、フルー管とリード管が、また開管と閉管があります。 閉管では、実長が開管の半分の長さで同じ基音が得られますが、偶数倍の高調波を含まず、そのためか、半分くらい閉じた管もあります。 フルー管の発音原理は、リコーダーと同じ。 リコーダーを逆さまにし、下からのふいご送風により音が出ます。 リコーダーは、内径が先にゆくにつれ狭まるテーパーをなし、円筒に比べて高調波を多く含みます。 パイプオルガンは、円筒の金属パイプを多く見かけますが、木製の四角いものや、様々な形のものも混じり、全体で豊かな響きを得ています。 指穴の開閉により管の実行長を変え、異なる音の高さを出すリコーダーと異なり、各音ごとに長さが違うパイプを用意します。 不思議に思うことは、パイプの太さです。 短いものは細く、長いものは太いのです。 音の高低をつくるのであれば、太さが同じで長さが異なるものをズラ〜っと並べてもよさそうなもの。 パイプの長さに比例して、内径が太くなっているのでしょうか。 メンズールのオルガン設計では、長いものは径も太くします。 一般に、ド(C音)から、オクターブ上のドを過ぎてミ(E音)まで、10度高くなるにつれ、径を半分にします。 一方、長さは波長に関係し、半分にすると8度(オクターブ)高くなります。 フルー管が、リコーダーをひっくり返した構造となっているならば、ルネッサンスやバロック時代のリコーダーの内径設計はどのようなものでしょう。 フォトは、わたしの所有するバロック・リコーダーを、パイプオルガンのように並べてみました。 中部管上端の内径/エッジから2指穴までの長さは、左から順に: ・ソプラニーノ F管 11.1mm/86mm ・ソプラノ C管 12.9mm/118mm ・アルト F管 18.2mm/176mm ・バス F管 33.4mm/334mm 確かに、低音の出るバスに向かって管が長くなり、また太くなっています。 いずれも、A=440Hzで同じピッチ。 長さと内径をちょっと調べてみましょう。 【長さ】 管長は基音の波長に比例し、ピッチ(周波数)に逆比例します。 ・理論値 1 : 1.34 : 2 : 4 ・実測値 1 : 1.37 : 2 : 3.9 【内径】 メンズールの基本仕様となっているならば、 ・理論値 1 : 1.24 : 1.68 : 2.81 ・実測値 1 : 1.16 : 1.63 : 3.01 だいたい合っています。 実際には、各リコーダーの内径のテーパー度合いや、指穴位置の設計が異なり、また現代(モダン)用に設計されています。 この数値を見ると、バスは内径が太めで、ソプラノとアルトが細めです。 バスが太目なのは、アンサンブルに適する設計なのでしょう。 バスは、やわらかく包み込むようなしっかりした低音を受け持ち、高音部は、テナーやアルトに任せばよいのです。 一方、ソプラノとアルトは独奏用にも使えるよう、やや細め。 高音部で響くように設計されたのでしょう。 ルネッサンス時代から、リコーダーの室内アンサンブルが楽しまれたと想像します。 後期バロック時代では、ソナタや協奏曲で、ソプラノやアルトが独奏楽器となりました。 このため、とくに高音域でよく響き、音の通りが良いことが望まれたでしょう。 リコーダーに限らず、バロック木管は、内径設計が時代とともに変ってきています。 クラシカルになると、管が細めとなりました。 オーボエもそうですが、とくにフルート・トラベルソでは、バイオリンなど他の高音楽器と対抗できるようにされたようです。 でも、管を細くして高音を出しやすくしても、反対に低音が犠牲になります。 協奏曲では、トラベルソの低音は聞こえないですよね。 モダン・フルートでは、内径設計が根本的に変わりました。 管は円筒で、足部管に至るまで太いまま。 歌口も指穴も大きく、全体的に大きな響きが得られるようになりました・・ 【関連記事】 ・木管のピッチはどうやれば変るのでしょう ・クラシカルとモダン・オーボエを比較してみました ・木管の音響特性を決める鍵は内径にあり ・おおきくて、やっぱり低い音が出ます ・音響理論→文献集 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
自作Quantzは内径がとても太いのですが、購入したロココのトラベルソは細いです。 |
オーボエ好き 2005/11/05 15:38 |
●Quantzは、モダン・フルートの19mmよりも太く、20mmもありますね。T.Lotも19.6mmで太く、ともにベルサイユピッチあたりがバランスよく、豊かな低音が出て、また最低音Dが気持ちよく出せると思います。 |
woodwind 図書館長 2005/11/05 22:04 |
自作のQuantzはLow Dはやや低く、管を外側へ回して音程をとる必要があります。最低音の発音はロココの方がいいですが、基準のピッチが392と430なので、なんとも言えません。また低音域のクロスフィンガリングはロココの方が大きい音がして、オープンフィンガリングとのバランスは取りやすいと感じています。ただやはりG#はだめですね。やっぱりkeyがいるか!という感じです。 |
オーボエ好き 2005/11/07 23:24 |
上記の振動の状態についての見解のヒントになったのはモダントロンボーンの太管、細管で、細い方がオーケストラに適しており、太い方がソロに適しているというものとモダンオーボエのチューブの底の直径が4.7mmと4.8mmでは明らかに高音の発音のしやすさに差がでたと言う経験とチューブの先端が狭い方が表現が豊にできたという経験からきています。結局私はチューブの先端は細く、底は大きいものを使用し、内径に対して入り口を小さくすることによって、内径でのエアーの充実度をコントロールしやすくしていたと言えるのではないかと考えています。 |
オーボエ好き 2005/11/07 23:33 |
●一般にトラベルソの最低D音は低いようですね。T.Lotも低いです。低音域のほうで、最低音の発音と音が大きいのはロココの方とのこと。そうですか、わたしも一度、Quantzのトラベルソもつくって見たいですが、なんせ気が多く、つくりたい木管リストは増える一方。フルート・ダモーレなどは、Boxwoodを丸材にしたまま、眠らせて(乾燥させて)います。 |
woodwind 図書館長 2005/11/10 00:54 |
しばらく気管支炎で笛を吹いていなかったのですが、今日久しぶりにちょっと音を出したら恐ろしいくらいの雑音!Quantzの雑音は素晴らしく多いです。 |
オーボエ好き 2005/11/10 23:26 |
●気管支炎、お気をつけて下さいますよう。めっきり寒く、秋は通り越して冬ってな感じです。このようなときは、楽器つくりからはなれ、理論書とかの関連情報収集をやるとか、内径のデータ図面を比較するとか、に当てるのもいいと思います。無理をなさらぬようにお願いします。 |
woodwind 図書館長 2005/11/12 10:39 |
”副次波”自体が理解できませんでした;歌口のエッジは落としてあるので、そう雑音は生じないはずですが、輪郭をぼかすような音が入っています。久しぶりに吹いたのでその量に驚いたわけです。所有しているボアの細いトラベルソとは大きく異なります。 |
オーボエ好き 2005/11/12 23:35 |
●休養中は、リード研究とかに当てられれば良いのではないかと思いますが、やはり楽器に手が伸びてしまい様子が伝わってきます・・。 |
woodwind 図書館長 2005/11/13 11:03 |
”副次波”了解しました。部分音等のことですね。 |
オーボエ好き 2005/11/13 14:54 |
●グルントマンのコピーとのこと。ピッチはいかほどなのですか。それに、もしリード・チューブとリードが付いてきたのなら、バロックものより幅の狭いものなのですか?リードが命ですよね。 |
woodwind 図書館長 2005/11/15 00:15 |
リード幅は8-8.5mm。バロックよりもちょっと細いですね。ピッチは430と440hzの替え管です。現在は440hzで使用中。 |
オーボエ好き 2005/11/20 00:12 |
詳細な情報ありがとうございます。E/Fis/Gの件、第二オクターブは、噛んでだせても、第一オクターブはやはり低いままなのでしょうか?オケで、音量が大きすぎるとありますが、それほど大きいのですか?オーボエのリード、チューブそれに楽器、これらのパラメータの組合せが大きすぎますよね。製作する側からは、どれを基準とするか悩むところ・・・・ |
woodwind 図書館長 2005/11/20 11:53 |
1オクターブは演奏上気になりません。といってもFisはやはり低い。音量はとても大きいです。製作者は交響オーケストラ用と言っていました。ミュートすれば他の楽器と合わせられそう。この方が性能も落ち着くので扱いやすい。 |
オーボエ好き 2005/11/22 23:51 |
まだ推測の域をでませんが、オーボエのリードのチューブは55mmがバロックもクラシカルも基準かもしれません。そしてリードの木部も24mm以下が基準かも。リードの幅と木部の長さは楽器に合わせて調整するのではないかと。 |
オーボエ好き 2005/11/22 23:52 |
●オーボエ好きさんの、豊富なご経験に基づくデータありがとうございます。参考となります。@リード幅、Aリード長、Bチューブの形状と長さについて、一般的な特徴を整理いただきました。 |
woodwind 図書館長 2005/11/23 14:30 |
情報ありがとうございます。 |
オーボエ好き 2005/11/24 22:42 |
●Bruce Haynesの記事がWebでも見ることができますが、バロックオーボエつくりに関してまとめています。5つのパラメータがあり、3つは能動的、2つは受動的。上記、オーボエ好きさんの、ご経験に基づくリードのパラメータと同様な記事になっていますが、Haynesはやや一般的に解説。いずれにせよ、参考となる記事ですよね。 |
woodwind 図書館長 2005/12/06 23:58 |
ROMはRead only Memberのつもりでした。失礼しました。コメントはしなくても読んでおられる方は大勢おられるのではないかと思いましたので。コメントを呼びかけてみた次第です。 |
オーボエ好き 2005/12/09 17:50 |
わたしの専門が電気工学でして、ROMは当然、Read only Memory。ちょっと違いましたね。ひょっとして、オーボエのリードに関する、グループとか機関とか何かがあるのかと思いました。DRS:Double Reed Sciety、とかから想像すると、Reads and Oboe Membership とかなんとかかと・・ |
woodwind 図書館長 2005/12/09 23:37 |
はじめまして、ステインズビーの研究をしているものです。 |
gomale 2006/02/18 05:47 |
変な改行になってしまいました。すみません。 |
gomale 2006/02/18 05:49 |
●はじめまして、gomaleさん。当図書館へようこそおいでくださいました。内容の、トローンボーンに関してわたしは、知識がありませんが、細い方が、輝きのあるような、太いほうが落ち着いた低音を支えるような音なのでしょうか。 |
woodwind 図書館長 2006/02/18 09:00 |
●トロンボーンの音色の違いは、およそおっしゃる通りです。 |
gomale 2006/02/19 05:57 |
●gomaleさん、なかなかのステンズビーのご研究のご様子。トラベルソの歌口のエッジは、わたしはほんの少し削る、と言うか、なめるようにしています。そのほうが、変なとんがりある音色にならないように感じます。Bate CollectionでのSchuchartの実物の試奏でも、歌口が決してとんがったものでもなかったように記憶します。ポッターでは0.6mmも円いものもあります。当時からか、後からかは分からないものの、色々ですね。いずれにしても、古楽器(演奏)の楽しみ方が、現代では色々だと言うことでしょうか。 |
woodwind 図書館長 2006/02/19 13:04 |
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