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zoom RSS バロック木管の木材は、どこで入手できますか

<<   作成日時 : 2005/11/26 15:25   >>

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楽器のつくり方 (38) 2005/11/26

バロック木管は、主として木からつくられます。 楽器としてふさわしい木が選ばれるのです。

今回は、材料となる木材の入手と保管法を見てゆきましょう。

木管の歴史は、ルネッサンス、バロック、クラシカル、モダンと変遷があるものの、主要材は変りません:

 ・梨(ペア pear) オーボエ
 ・楓(メープル maple) リコーダー/ファゴット
 ・黄楊(ボックス boxwood) リコーダー/トラベルソ/オーボエ/クラリネット
 ・黒檀(エボニー ebony) リコーダー/オーボエ/トラベルソ
 ・コーカス(cocus wood) トラベルソ
 ・グレナディラ(African blackwood) リコーダー/オーボエ/クラリネット

すべて硬材(ハードウッド hard wood)と呼ばれる広葉樹。 緻密で細密加工にすぐれ、比重の高いものは明瞭な音色を生み出します。

広葉樹は、一般に低木で陽の光を受けるため、縦横無尽に枝を伸ばし広い葉を広げます。 そのため細い枝と節だらけで、真っ直ぐには伸びません。 

これら硬材は、どこで入手できるのでしょう。

「当然ながら、材木店でしょう」 の答えが返ってきそう。 でも材木は、家を建てる柱、壁、床など建材を指すことが多く、いわゆる軟材(ソフトウッド soft wood)。

軟材は、杉や桧などの針葉樹。 陽の光を求め、高く真っ直ぐ上に伸びます。 柱や板に適するように、枝を刈り、節のないものに育てます。 日曜大工材も、ほとんどが軟材。

木管楽器に適する硬材を、建材店、床材店、日曜大工店、DIY店で見つけるのは、やや難しい。 それじゃ、どこで扱っているの?

キーワードは以下。 世界中から、ネットでも十分見つけられます:

 ●ウッドターニング(木工旋盤) wood turning: 世界中の硬材あり
 ●楽器材: ギター・弦楽器・管楽器・三弦(三味線)
 ●唐木/銘木: 仏壇、家具、高級テーブル材
 ●硬材: 黒檀 ebony、紫檀/ローズウッド rose wood、黄楊 boxwood ・・
 ●古楽器販売: キットや材料あり

仮に、目的の硬材が見つかったとしても、問題は3つ:

 @緻密で無欠陥: 緻密度はバラバラで、節や割れもあり。
 A乾燥度: すぐ使用できるものは少なく、10年の乾燥が必要。
 B所要の厚さ: オーボエ/クラリネットのベルの厚さがとれるか。

専門店では管楽器用として販売もしていますが、欠陥がなく無事に乾燥させるとなると、歩留まりが悪く、付加価値が付いている分、とても高価。

世界の大手ピアノ楽器メーカーなど、大量の材を何十年と寝かし、その中から厳選しているものと想像します。

購入した材を保管し寝かせるにも、種類によっては注意が必要。 急激な乾燥や直射日光を嫌うものもあり、材料店からの情報入手が肝要です。

幹の中心を含む丸太(ログ)は、まずひび割れを起こします。 建材の柱で、上から下まで中心に届くスロットを切っているのは、ひび割れ対策なのです。 ログの保管には、ビニール袋に閉じて暗部にてじっくりと寝かせるのも手。

原木のログは、板に製材しますが、急激な乾燥を防ぐため、木口に蝋などを塗布してから乾燥させます。 黒檀(エボニー)では、木口だけでなく全体に塗布することもあります。

製材により柱や板にしますが、硬材では、もっぱらテーブルの天板、仏壇の板、ギターの裏板など、厚さは7〜15mm、30/40/50mm程度。 この板を切ると角材が生まれます。

木管楽器には、たいていの場合、1.5インチ(38mm)角材が適します。 

ところが、オーボエ/ダモーレ/ダカッチャ/クラリネットのベルや一部のリコーダーでは、2.5〜3インチ(63〜76mm)が必要。

この厚さともなると、「板」でなく「柱」の世界。 硬材の柱は少なく入手が困難。 黄楊 boxwood などは、この太さ自体が珍しい。 ではどうするか? 扱うお店に、「端材でいいから、どこかにころがっていないか」と尋ねるのも手。

フォトは、わたしが入手し、寝かせている硬材のいくつかを並べました。
(フォトをクリックして、拡大してご覧ください)

最後部あたりの、黄楊の半ログと、その手前の厚さ80mmの本紫檀(30年もの)は、ベルが取れる貴重なもの。 特別の楽器の製作用に寝かせています。

参考までに、手前の左から右、そして後ろの順に材の種類をあげてみます:

 ●アマゾン・ローズウッド Amazone rosewood やや粗い
 ●鉄刀木(タガヤサン)と紫檀: DIY店扱い 木製リーマに適
 ●レッド・ランスウッド Red Lancewood: オーストラリア産
 ●ボコテ Bocote: メキシコ産 ローズ名あるもローズウッドでない
 ●イエロー・ウッド Yellow wood: 丸材はベル用
 ●ココボロ Cocobolo: メキシコ産 ローズウッド種
 ●黄楊 European boxwood: 良品 立ち並ぶはベル用
 ●黒檀 Indian/African ebony: 上の1本はインド黒檀 最高級材で
    特別の頭部管用に寝かせている 黒檀は真黒な1級と、灰色や
    茶が混じる2級あり フォトは全て1級品 立つ材はベル用
 ●モパーン Mopane: アフリカ産 比重1.2
 ●マダカスカル・ローズウッド Madacascal rosewood
 ●楓 hard maple: 北米産 ファゴット用
 ●本紫檀 Asian rosewood: 30年もの 後ろの80mm厚はベル用
    特別の楽器製作用に寝かせている
 ●黄楊 European boxwood: 半丸太 直径20cm近くの良質 
   テナーオーボエ、クラリネットなどのベル用
 ●黄楊 European boxwood: 丸太 直径2.5インチ
 ●ブビンガ Bubinga: アフリカ産

これらの硬材は、多くは比重が1以上あり、水に沈みます。 重いものは、1本10kg近くあり、フォト撮影のために並べるのも一苦労。

入手後、8年以上寝かしているものがほとんど。 これら木材から、すばらしい音色の木管が生まれることを、とても楽しみにしているのです・・・

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
8年も寝かせたら材もいい具合に乾燥して、安定しているのでしょうね。うらやましい。
私は製作を始めたばかりなので、乾燥についてはどうこう言っていられません。これが残念なところ。少しづつでも木を買って寝かしておこうと考えているところです。
オーボエ好き
2005/11/29 13:50
●乾燥はむつかしく、例の30年ものの紫檀ですら、乾燥止めが板全面にぬってあり、それを角材にしたもの。入手後、みるみるうちねじれと曲がりが出てくるのです。楽器用には、この暴れが安定するのを待ちます。
●したがって、楽器メーカーが行っているように、ガイド穴あけ後に何年間か保管するのがベストか。
●1年で表面から1cmしか乾燥しないとするなら、半加工の状態で安定化するこの方法が良いと思います。たしか、わが国の300年(以上)前の木造建築物を解体し、その柱を切ってみたところ、まだ水分が残っていたと言うこと。乾燥とは、これほどかかるもの。なるべくも管に近い状態で安定化させるのがよさそう。
woodwind 図書館長
2005/11/29 19:21
木を新月の時に切り出せば、水分の含有量が少なく丈夫で長持ちする材木になるそうですが、実際にはそこまでやってないのが通常かもしれないですね。
私が使っているココボロも木の芯まではなかなか乾燥しないということです。日本の木だとサクラは変形が出やすく曲がる力が強いとのことでした。建築資材用のサイプレスを最近入手したのですが、リードケースやグリスケースを作るのにはよいです。
オーボエ好き
2005/12/02 23:24
●「新月の時」というのは、事実関係は別として面白そうですね。動植物が新月、満月で影響を受けるのは事実ですから。
●サイプレス:オーストラリア産のひのきで、耐防虫性が25年もあるみたいですが、緻密さはどうでしょう。
●いろんな木があるもので、デザートアイアンウッドは、砂漠で立ち枯れ200年で半化石化し導管が全くなく、密度の高さは木で最高。わたしが見たところ「石」です。高熱の砂漠で自然乾燥200年なら、そうでしょう。この木の木管製作は大変そう。1本の材料費が10万円。まあ、いろいろあるは・・
woodwind 図書館長
2005/12/03 13:20
サイプレスは年輪も緻密です。細かい細工には耐えませんでしたが、旋盤にはかかります。掃除棒も作ってみましたが10mm以下に細くするとたわんで今にも折れそうでした。また細かい割れ、少々の変形が出やすいです。磨いて光ると言うことはあり得ないという印象。割れやすいので釘やビスを使うときは要注意。
オーボエ好き
2005/12/04 23:13
●リードケース?や、コルクグリースケースなどは、エボニーなどがよろしいのではないでしょうか?わたしの、リグータRIECのモダン・オーボエもグリスケースが付いています。
●サイプレスは、磨きに耐えないとのこと。木の種類っていろいろですね。
●フォトには、載せませんでしたが、サテンウッドも良い木です。逆に、木管に使えないのは、ゼブラウッド:粗すぎます。
●ローズウッド系は、見た目のよさが価値です。ところが楽器用となると、それだけではダメで、アジア産ローズウッド紫檀の、栽培版のソノケリンは、美しいけれど、無理やり生育を早めているので、粗いのが特徴。
いろいろですね・・・
woodwind 図書館長
2005/12/06 23:37
こんにちは。

佐渡の実家で、
虫がついたというサクランボの木を切りました。

木管楽器が作れる材だと思うので、
寝かしてみることにしました。

製材してもらった方が良いのでしょうか?

わたにゃん
2008/05/07 10:41
わたにゃんさん、佐渡ではゆっくり出来たでしょうか。
●桜の木は、確かに木管が作れますよね。自分で伐採から乾燥させたことはありませんので、えらそうなことは言えませんが、寝かされるのなら、木口の割れ対策をされてはいかがでしょうか。
●年輪の中心;芯を含む材は、割れます。年輪に直角な方向に。もし、桜の木の径が太いのであれば、芯を含まないように最初から木取りをしておくのも手。少なくとも、半分に割り半丸太の状態で扱われては。これでも芯を含んでいるので割れますが。
●作るものにも依りますが、トラベルソなら38o□、オーボエベル材用に65〜76o□に製材されると扱いやすいのでは。直射日光が当たらず風通しがよい場所があればいいですね。
woodwind 図書館長
2008/05/07 22:30
こんにちは。

実家では、以前にもサクランボを切ったらしく、
かなり大きな材も製材所に預けてあるらしいです。

ただ、薪として、親戚にあげてしまったものも多いとか…。
かなり残念です。

取りあえず、残ってるものを
1.5インチの角材にしてもらいます。

それから、フルゥト・ダモォレとか、ハッカ用には、
50mmくらいの角材が必要でしょうか?

製材する機械がないのですが、
持ってた方が良いのでしょうか?

ともかく、木管製作の第1歩のような気持ちです♪
わたにゃん
2008/05/09 14:04
わたにゃんさん、こんばんは。
●いいですねー。大きな木では、わたにゃんさんの一生につくる楽器の材もとれるかも。プロ製作家は、1年間で2人で50〜60本。高い品質を保つにはこの程度が限度。1人では30本。アマでは5本ぐらい。30年で150本。ねっ、大きな桜だと1本切り倒すと、この程度は取れるかも。
●ダモーレの場合、象牙マウントを使うと最大径は1.5インチでOK。マウントを使わず木で作るときは、確かに50o:2インチが必要。リコーダーでも。でも、オーボエとクラリネットでは、3インチがほしくなります。したがって、製材するとき、基本を3インチ厚で行い、3インチ□と、1,5インチ□とを1:10位の割合で確保するのはいかがでしょう。
●木管つくり、良いスタートが出来ますよう。応援いたします・・
woodwind 図書館長
2008/05/09 22:52
こんばんは。

以前切ったのは、サクランボではありませんでした。
交通の障害になってた「ヤマザクラ」の大木らしいです。

直径50cm近くあり、4〜5mくらいに切ったものが3本。
製材所に預けてあるそうなので、今度、見て来ます。

ヤマザクラで、フルゥトができるかどうか分かりませんが、
バラ科サクラ属と云うことで、チェリーと似てるのだと思います。

プラム、チェリー、ペアーは、性質が似てて、
メープルとツゲの中間くらいの感じだと、どこかで読みました。

ウェイネのオリジナルは、果実系の材(ペアー?)らしいです。
まずは、ウェイネのコピィを作ってみます。

うまく寝かせれば、練習も、試作も、いくらでもできそうです。
いろいろなダモォレとか、アルト・フルゥトとか。

面白いことになってきました♪
わたにゃん
2008/05/11 21:40
わたにゃんさん、こんばんは。
●径が50cm、長さ4mが3本とはすごいですね。長さ30インチの1.5インチ角材が28x4x5x3=1680本。歩留まり60%としても、1000本。したがって、トラベルソ換算で、1000本できますね。十分ですね。\2,000@ としても200万。
●おおいに製作され、作品をご披露ください・・面白いことになってきましたね。
woodwind 図書館長
2008/05/12 21:05
こんにちは。

ようやく、ヤマザクラを見ることができました。
想像より小さく、実際は、3mが3本でした。

でも、直径は、50cm以上あります。

まだ、製材してないのですが、
よく計画を立ててからでないと大変ですね。

また、いろいろ教えてください。

上手く寝かせることができたら、
若干でも、お譲りしたいと思います。
わたにゃん
2008/06/12 16:43
わたにゃんさん、こんにちは。
●一度に3本とも製材されなくてもよいかも。計画的に製材しないと、あとで用途が変わるとたいへん。
●径が50cmもあれば、木管で必要な、1.5インチ□と3インチ□の角材だけでなく、たとえば、オーボエ・ダカッチャの朝顔部分。通常、真鍮板ですが、木製もあり。この応用では、材の「輪切り」が必要。
●とても、面白くなってきましたね・・
woodwind 図書館長
2008/06/14 14:54

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