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zoom RSS トラベルソの音つくりは、リーマーによる内径仕上げから

<<   作成日時 : 2005/12/03 00:05   >>

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楽器のつくり方 (39) 2005/12/3

1本のトラベルソつくりを見てきましたが、ここからは音つくりに挑戦しましょう。

【木管の音つくり】

 ステップ9: 内径のリーミング仕上げ

【これまで:木管のかたちつくり】  青文字クリックで記事にジャンプします。

 ●ステップ1: 木取り・木組み
 ●ステップ2: 角材を丸材へ
 ●ステップ3: ガイド穴あけ
 ●ステップ4: 内径とソケットつくり
 ●ステップ5: テーパー削り
 ●ステップ6: マウント取り付け
 ●ステップ7: 外形削り
 ●ステップ8: オイリング

フォトは、外側に仮のオイリングを施した、トラベルソ1本と替え管。

替え管の前には、3本の木製リーマーが見えます。 材質は、鉄刀木(タガヤサン)。

トラベルソの内径は、結構複雑なテーパーをしています。 

トラベルソに限らず、バロックの木管である、オーボエ、リコーダー、ファゴットでも同じ。 単調なテーパーとは限りません。 これら、複雑なテーパーにより、結果として音色や吹奏感が変りますが、各音の音の高さ(ピッチ)にも影響します。

木管の各音のピッチを決める要素は、木管の実行長。 この実行長を決めるパラメータが一つではないのです。 ある指穴に着目したとき、以下のすべてが相互に関係します。

 ●内径関係
   @指穴より上の内径の大きさ
   A指穴より下の内径の大きさ
 ●指穴関係
   B指穴の位置
   C指穴の大きさ
   D指穴のアンダーカット量
 ●他の指穴との関係
   E他の指穴の@〜D

こんなにあると、各音のピッチをどうやって調整してゆけばよいのでしょう。

博物館に現存するモデルの復元には、全パラメータを測定データどおりにすればよいハズ。 しかし現存の楽器寸法が当時のまま残っているか疑問が残ります。 変形もあるし、後の時代の保有者が変えていることなど大いにあります。

ある程度近いものから始めるのが実際的。 指穴関係パラメータの調整に先立ち、まず内径関係を定めます。

内径のリーミングは、そのためです。

フォトは、上管(替え上管)用の分割形の木製リーマー。 内径のテーパー度合いが、管の場所で異なるため、3本に分けて、近似しているのです。

リーマーの作り方/入手法は、製作家によりさまざま:

 A. テーパー状のスプーンのような刃物:バロック当時
 B. テーパー状の丸棒の断面を90度カット:フライス盤がほしい
 C. テーパー状の丸棒の断面を180度カットし半月にする:金工旋盤で
 D. 鉄板をテーパー状にカットし、断面がDの文字に削る:手づくり可
 E. 木工ドリルのように螺旋刃がついたテーパー刃物:精密機械による
 F. 工業用テーパーピン・リーマーの特注

以上は金属(鋼鉄または軟鉄)。 このほか、もう一つあります。

 G. 木製テーパー部に刃物をつける

内径を削る部分が刃物であればいいのです。 適当な刃物を見つけて、それをテーパー状に加工した木材に取り付けるのです。 文献集の文献では、古い鉄ノコの刃を利用。

元はと言えば、ベルリン楽器博物館を訪れたとき。 木製のリーマーを発見。 多分、ファゴットか、ファゴッティーノだかバスリコーダーのものか。

テーパー状の木部に鋼鉄らしい金属の刃(錆びていませんでした)がつき、削りカスを溜める溝部分もありました。 2枚刃だったと記憶します。 側にはもうひとつ、クラリネットかオーボエのベル用と思われるカーブを描く内径用のリーマーもあり、同様のつくり。

木製リーマのいいところは、手軽なこと。 木工旋盤で、30分もあればできてしまう。

それに、なにより試行錯誤しやすいのです。 取り付けた刃物はそのままで、木部の内径に刃があたる、丁度裏側をヤスリなどでで削り、テーパーの微調整ができます・・・

【関連記事】

 ●トラベルソの内径は、複雑なテーパーです
 ●歌口の大きさで、実行長が変ります
 ●唐傘のお化けではありません、リーマーです
 ●玉磨かずんば光なし、木管磨けば光あり
 ●リーマーの作り方→文献集









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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
木製リーマーはじめて見ました。
僕はまだ試したことはありませんが、オーボエを製作するときは試してみようと思います。刃と本体はしっかりと接着されている必要がありますね。
オーボエ好き
2005/12/06 12:31
●木製リーマーってのも面白いでしょう?ファゴットなどのリーマーを想像してみてください、長いリーマーを通常の金工旋盤でも作れませんよね。でも木工旋盤ならできそう。
●オーボエでは、上管は細すぎて、木製リーマーは無理。わたしは、金属リーマーです。下管では、トラベルソとほぼ同様。
●そのうち、オーボエつくりの連載記事を計画しています。
こんごとも、どうぞよろしく。
woodwind 図書館長
2005/12/06 23:27
オーボエ製作の連載とは凄い企画ですね。わくわくドキドキ!です。
これは楽しみだ!
実はオーボエも作ってみたいなぁと思って図面を集めているところです。Tertonがいいなぁと探しましたが、Berlinのは数値だけで図面がないので困っています。
オーボエ好き
2005/12/07 15:44
●わくわくドキドキされ、期待されると、とてもモチベーションがあはります。と、同時に、「連載」としてできるだろうかのプレッシャーもかかります。
●わたしの、ここ2〜3年の生き方・考え方は「有言実行」です。やることを、あえて他人に話してしまうのです。そうしておいて、実行する気持ちを持ち続けると、なぜかできてしまうのです。
●トラベルソの連載をひととおり完成させたと仮定し、オーボエとかクラリネット、リコーダーなどその他の木管について、共通部分を省き、その木管に独特の要素を取上げるようにする計画です。
まあ、どのくらいのペースでやってゆけるか、自分でも分かりませんが・・
woodwind 図書館長
2005/12/07 21:49
有言実行は僕もやってます。効果ありますね。
トラベルソの今後の連載記事はチューニングに関してのものが欲しいですね。アンダーカットの法則とかチューニングの手順とか。
オーボエ用の材を探し始めました。プレッシャーをかけるわけではありませんが、僕自身とても楽しい気分になってきました。
オーボエ好き
2005/12/10 08:59
●とても、プレッシャーがかかりますね。実際。通常は、メールなどで、読者の方から、ご質問などを受けると、どのようなことに興味があるのか分かり、しばらくしてから、それを記事にしたりしています。したがって、話題も飛びます。
●ところが、コメント欄でいきなり、連載記事へのご希望を述べられますと、そのようにできるか、となります・・
●それはともかく、できる範囲で記事の連載を続けるつもりです。
woodwind 図書館長
2005/12/11 02:25

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