楽器のつくり方 (40) 2005/12/10トラベルソであれオーボエであれ、バロック木管のつくり方の基本は同じ。 木の管(くだ)であることに変りはありません。 でも、発音原理も姿形も違うので、つくり方の要点が異なります。 オーボエつくりの要点をみてゆきましょう。 フォトは、1本のオーボエに必要な木材を、角材と、半ログ(丸太)との2通りから準備することを示しています。 いずれも、欧州黄楊 European boxwood で、かなり入手が難しくなってきている材です: ●木組み(フォト左手前側) ある程度乾燥した part seasoning 角材を入手したものの中から、必要なサイズを選び、かつ、色合いや木目や緻密さなどが、互いにマッチするように、「木組み」をします。 必要な材は、トラベルソと同じように1.5インチ(38mm)角。 問題は長さ。 トラベルソの場合は、足管4インチ(101mm)、下管6.5インチ(165mm)、頭部管9インチ(229mm)、上管9〜10インチ(229〜254mm)。 一方、オーボエは、モデル差はあるものの、上管・下管とも、これらよりも長く、10.5〜11インチ(267〜279mm)が必要。 そのため、木管用として売られている、12インチ(305mm)ものを購入することとなります。 手前の30cmの物指しと比べてください。 ところで、欧州黄楊は、真っ直ぐに伸びる木ではありません。 7〜9インチあたりは、木取りも容易。 でも、12インチは長い部類で、多量は取れず、この長さを扱う業者を探すのが大変。 さらにトラベルソと異なり、オーボエはベル材が必要。 モデルにより異なるものの、2.5インチ(64mm)角で、長さ5.5〜6.5インチ(140〜165mm)。 このサイズの入手は、さらに大変でしょう。 ●木取り(フォト右後ろ側) ログ(丸太)や、半ログのグネグネした材から、良質の部分を探し、かつ目的サイズが取れる部分から切り出します。 「木取り」です。 フォトで、半ログを縦に切り、中の様子を見ています。 と言うのも、ログは必ずひび割れます。 ひびの深さも、削ってみて初めて分かる場合が多いのです。 黒い点とか、灰色の油分の多い部分とか、節(枝が伸びた跡)とか、巣(隙間の空洞)とかもあります。 これらのひびや欠陥をさけ、ベルのサイズがとれるか。 上管・下管用の必要な長さと径が確保できるか。 グネグネした立体から、測りだします。 上の半ログは、ひび割れがあります。 下の2つ割りも、少しひびあり、太さも、取れるか微妙。 幾何学的材とことなり、立体のグネグネ材は、木取りが可能か分かりにくい。 ところで、半ログから木取りを行う場合は、角材にする工程は不要。 オーボエ上管・下管は、径の太い部分(32〜35mm)も、細い部分(21〜25mm)もあります。 ベルも同様。 最大径(57〜62)が必要なのは、ほんの一部。 そこから外れると細い径(38mmあたり)が取れれば十分。 部分により径が異なる、「ひょうたん」のような丸材でOK。 一定の角材が必要でないことが分かります。 肝心のベルを、最も厚い部分から探します。 欧州黄楊は、心材 herat wood と、辺材 sap wood の区別が不明瞭で、表皮近くまで使います。 これら木組み・木取りの2通りのうち、「木取り」材から、オーボエをつくる場合の楽しみを見てゆきましょう。 寸法ぎりぎりの欧州黄楊のオーボエつくりでは、節など欠陥が見つかり、思うサイズが取れないこともしばしば。 適宜、マッチする別の材から、再び木取りを行い続けることとなるでしょう。 寸法余裕のある角材からとは、ひとあじ違う冒険。 これが、オーボエ、オーボエ・ダモーレ、テナー・オーボエつくりの楽しみなのです・・・・ 【関連記事】 青字クリックで記事にジャンプします ●正真正銘の木 ●木には乾燥が欠かせません ●木管つくりは、木取りから ●バロック木管の木材は、どこで入手できますか ●木目も美しいオニオンのついたオーボエ |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
早くもオーボエ製作記事スタートですね。 |
オーボエ好き 2005/12/10 08:56 |
●はい、早くもスタートしてしまいました。もう少し、先々の様子を見ながら、ひとつひとつの記事の完成度を高める方法もあります。 |
woodwind 図書館長 2005/12/11 02:31 |
本日端材のハードメープルを旋盤で試してみました。ココボロより少々表面が荒いですが、ペーパーを使えばいけそう。導管が目立たないようで刃物だけでもまぁまぁ滑らかな仕上がりが得られますね。これはよさそう! |
オーボエ好き 2005/12/11 23:14 |
●わたしの、最初の1本のトラベルソの前に、いくつかの木で、簡易旋盤により切削の練習を行ったことがあります。頭部管はエボニー、上管・下管にメープル、とゼブラウッドなどなど。その記念すべき、第0号は今でも持っていますが、メープルはステイン法が少し難しい気がしています。一様によく磨かないと、ムラが目立つ木です。でもメープルは、大きなものが入手可能ですから、オーボエつくりには便利ですね。 |
woodwind 図書館長 2005/12/14 23:38 |
boxwoodでのオーボエ製作では硝酸ステイン法は企画に入っていますか? |
オーボエ好き 2005/12/23 19:41 |
●またまた、プレシャーがかかりそうな、連載記事へのご注文?相当の質問ですね。いまのところ、ステイン法は取り上げ予定はありません。メープルでは、その他のステイン法で結構いけるのでは。 |
woodwind 図書館長 2005/12/23 23:58 |
ベルギー楽器博物館にはGrundmannのdrawingがあるそうですが、メールを幾度書いても返事が返ってきたことがなく、がっかりしています。 |
オーボエ好き 2005/12/24 11:38 |
●文献集に載せたのは、オランダのハーグ楽器博物館の楽器集の図書。たまたま、ベルギー楽器博物館で見つけただけです。 |
woodwind 図書館長 2005/12/24 12:14 |
ハーグへ直接訪ねてみるのが良さそうですね。 |
オーボエ好き 2005/12/24 16:35 |
●わたしは、Grundmannについては詳しくはありませんが、Webで検索したらドイツ語ですが、以下を見つけました。コピー製作家のページ: |
woodwind 図書館長 2005/12/25 01:20 |
ベルリンなら返事もらえてるのでいけるかも。昨日メールして待っている状態です。 |
オーボエ好き 2005/12/27 14:25 |
●ベルリン楽器博物館で、うまく情報が取れるといいですね。うまくゆけば、また教えてください。 |
woodwind 図書館長 2005/12/27 23:46 |
ベルリンは3点ほどGrundmannらしきオーボエがあるようですが図面は入手不可でした。ここの図面はJ.F.Beaudinのは図がついていますが、それ以外の方のオーボエのを入手したおり内径寸法と管厚、管長だけの情報だったことがあるので要注意です。 |
オーボエ好き 2005/12/29 12:09 |
●貴重な情報、ありがとうございます。図面で、確かに寸法のみで、概観図もなにないものもありますね。わたしも、バロック・クラリネットのひとつをある楽器博物館から購入したときがそうでした。 |
woodwind 図書館長 2005/12/29 17:28 |
E音はファゴットでも問題があるようです。リードチューブの差込については試しましたが、解決にはいたりませんでした。 |
オーボエ好き 2005/12/30 14:16 |
●E音問題は、たしかHaynesの記事にもあった記憶があります。そのチューブ隙間の件。このほか、チューブ自体のテーパー度合いで解決する傾向があるようなことを聞いた記憶もあります。 |
woodwind 図書館長 2005/12/30 18:18 |
チューブのテーパーに関してはE.H.とモダンオーボエのチューブを組み合わせて使っているので、モダンオーボエのチューブをフレンチタイプやジャーマンタイプの数種類のものを使ってみましたが、変化は出るものの解決にはいたりませんでした。ちなみに試したチューブはPizoni Pizoni_DX Rigoutat Glotin ジークラー_D10,D12 Loree_dm。 |
オーボエ好き 2005/12/31 14:27 |
●モダンのチューブは、ロレーもグロタンも管厚の違いがあるものの、テーパー度合いは、それほど変わらないのではないでしょうか。それよりも、もっとテーパー度合いを変え、自作によるチューブを試されるのはいかがでしょう。 |
woodwind 図書館長 2006/01/01 16:21 |
数週間前ラジオでオーボエ奏者は新しい楽器に合うリードを作れるようになるのに2年かかるということが語られていました。 |
オーボエ好き 2006/01/15 22:55 |
●オーボエ好きさんでも、モダンで7年もかかったのですか。それならば、各国の楽器博物館の楽器複製における、リードチューブとリードの再現は、とても時間のかかる作業となりそうですね。 |
woodwind 図書館長 2006/01/15 23:27 |
ボアと指穴の大きさと位置、角度、ジョイントの長さからピッチを割り出すプログラムがネット上のどこかにあったように思います。それだと計算でピッチが求められますね。 |
オーボエ好き 2006/01/16 22:44 |
●ピッチ計算プログラムがあると便利そうですね。どこかのサイトで、インピーダンスまたはアドミッタンスの計算結果を見たことがあります。すべての指穴その他のアドミッタンスの総和を取ればよいのですが、ただアンダーカットの具合とかを数値に換算するのは難しいと思うのですがいかかでしょうか。 |
woodwind 図書館長 2006/01/19 22:50 |
文献集にあるDutch Double Reed Instruments of the 17th and 18th Centuriesの購入について。 |
オーボエ好き 2006/03/08 23:09 |
●オーボエ好きさん、こんにちは。なかなか、面白い情報をありがとうございます。入手おめでとうございます。実質、入手まで3ヶ月。船便ですから仕方がないですかね。でも、本バロック図書館を訪れてこられる読者の方にとっても、有用な経験談にちがいありません。 |
woodwind 図書館長 2006/03/11 10:46 |
とてもためになる本です!まだ全てに目を通した訳ではありませんが、表面のフィニッシュについても新たな情報が得られ、うれしく思っています。 |
オーボエ好き 2006/03/11 23:17 |
今チューニングに入っていますが、問題はフィンガリングです。Stainsby Sr 3321ですが、Low E 123 45- esの様なのです。標準はes無しなのでどうしたものかと考えています。Low Bb 1-- 456も標準ではありません。標準の1-3 ---は音がでません。 |
オーボエ好き 2006/03/12 00:19 |
●実際、内容の濃い図書ですよね。図面ばかり扱う機関がありますが、そのダブルリードのデータ集の、たしか60%ぐらいは、この本に載っていると思います。実寸の写真とか、測定ピッチもあり、とても有用ですね。●チューニング中のものは、ステンズビーのオーボエなのですか?E音が、12345-Esとは?わたしは、図面を持ち合わせていませんので、的確なことはいえませんが、下管の内径削りに関係するかもしれません。 |
woodwind 図書館長 2006/03/18 20:26 |
Stanesby Sr 62と3321はほとんど同じボアでした。オランダのものに比較するとトーンホール径が小さめですね。 |
オーボエ好き 2006/03/19 18:15 |
●ステンズビーの62とボアがほぼ同じだとのことですが、そもそも、62の上管の内径は、他のオーボエと違っている気がしませんか? |
woodwind 図書館長 2006/03/21 10:38 |
上管のボアの件、Jrとも違うようです。ただ62と3321はその辺りも含めてほとんど同じです。ですからテノン部分などボアの縮みと確定しにくい訳です。 |
オーボエ好き 2006/03/23 18:31 |
●貴重な情報ありがとうございます。 |
woodwind 図書館長 2006/03/25 09:40 |
★所有のクラシカルは厚く削ったリードが合います。また5,6とも内径に比較しても実測値も大きいですね。Eのディミヌエンドに問題はありますが、その他上記の様な問題はありません。 |
オーボエ好き 2006/03/26 00:04 |
●ずいぶんと、前進があったようでいいですね。 |
woodwind 図書館長 2006/03/26 09:01 |
★リードについてはまたコメントしますね。なにせ経験しているモデルが少ないものですから汎用性についてはまだまだなんとも言えません。 |
オーボエ好き 2006/03/26 23:21 |
●オーボエ好きさん、また種々の研究結果を教えてください。 |
woodwind 図書館長 2006/03/28 21:37 |
★Dutch double ReedのAardenbergの辺りも読みました。そのような例もあるということが有名人の主張とは異なる方針へ向かう後押しになりました。 |
オーボエ好き 2006/03/28 23:14 |
●オーボエ好きさん、やはりオーボエが好きとのこと。わたしは、木のぬくもりが好きです。したがって、バロック・ファゴットもつくりたい・・ |
woodwind 図書館長 2006/04/01 00:48 |
★ダモーレの完成楽しみにしています。 |
オーボエ好き 2006/04/02 00:37 |
●ダモーレの完成を楽しみにされると、励みになり、うれしいですね。ただ、成功・失敗の波の中で完成すると想像します。 |
woodwind 図書館長 2006/04/02 23:23 |
★この頃オーボエに関するPDFをネットから取得して読んでいますが、その研究内容は深いですね。数年経ってから読み直してもなお得るところが多いのだろうと思います。読み手のフィルタに関してはもっともです。 |
オーボエ好き 2006/04/03 20:30 |
●両端で、同量だけずらせば、楕円となるのでしたっけ?いつも、図に書いて理解しようとするのですが、頭の中で、納得が出来ていません。 |
woodwind 図書館長 2006/04/04 23:07 |
★倣い加工で楕円を削っているように思われる記事を見つけました。現在はCNC旋盤で加工しているのだそうです。 |
オーボエ好き 2006/04/04 23:43 |
●「倣い加工」「楕円」をキーワードにしてWeb検索したら、楕円の定義?とも言うべき、3点(A,B,C)のX.Y軸座標での動きと分かりました。そのままでは応用できるか分かりませんが、参考にしてみます。 |
woodwind 図書館長 2006/04/06 20:12 |
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