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zoom RSS 連載トラベルソ:完成したバロックの風格

<<   作成日時 : 2006/05/06 00:21   >>

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画像楽器の書棚 (16) 2006/5/6

トーマ・ロット Thomas Lot のトラベルソの復元製作を、楽器のつくり方の連載でとりあげてきました。

完成してみると、途中の工程の苦しみなど、もうすっかり忘れ、楽しさだけが、こうして手にした楽器の実体に感じられます。

あなたも、トラベルソをつくってみたくなりましたでしょうか。

トーマ・ロットの工房のあった時期も長く、初期の作品と、後年のものとでは楽器の持つ特色も異なるかも知れません。

連載では、オックスフォード大学の楽器博物館に残るものを復元しました。

通常のロットのまるく小さな歌口ではなく、クラシカル時代へ向けての特色を感じさせる、楕円形をしており、やや大きな音が出せます。

ヘッドキャップもまるく半円球。 下管には装飾ベッド(まるく盛り上がった帯)が見えます。 しかし、頭部管にも通常見られる、この飾り帯がオリジナルにはありません。

バロックの特色の種々の飾りも、クラシカルに近づくにつれて、このように徐々に少なくなってきたのでしょうか。

使用材は、マダカスカル・ローズウッド。 芳香がバラに似ていることから、ローズの名があります。 わたしが旋盤加工している間中、あたりには甘酢っぱい「梅の香り」が漂っていました。

オイリングを施すと、ほとんど赤っぽいこげ茶色の風格あるものとなりました。 ただ、木目はほとんど見えません。 (フォトをクリックし、カーソルを右下コーナーに動かし、現れるアイコンをクリックすると拡大となり、歌口など細部まで見えます)

A=392Hzと、A=415Hz の2本の替え管をつくりました。 長い下管を見る限り、もともと低い管側でバランスがあっていたためでしょうか、とくに A=392Hz で落ち着いた音色となりました。

これまでに復元した同じ T.Lot モデルも、材質によって音色や吹奏管が少し違う気がしています:

・欧州黄楊     比重 0.93: 明るく、豊かな響き
・黒檀(エボニー)  比重 1.03: なぜか、しっとり感の音(→こちら
・ローズウッド   比重 1.07: しっかり、落ち着いた音
・モパーン     比重 1.20: 音量豊かでダイナミックな音(→こちら)


【コピー】

材質: マダガスカル・ローズウッド Madagascal Rosewood
     イミテーション象牙リング  洋白銀製のキー
     No.0625/No.0625B  A=392Hz/415Hz

【オリジナル】  

所蔵: オックスフォード大学 音楽学部 ベイトコレクション #1139 
製作: トーマ・ロット Thomas Lot パリ 1750頃
楽器: フルート・トラベルソ 黄楊 boxwood  象牙リング 銀製のキー
     換え管が現存 A=396/407/419/425Hz 全長668mm(A=396Hz)


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木目も鮮やかなトラベルソはフランス宮廷の香り
材質によってトラベルソの音色は変わるのですか



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コメント(21件)

内 容 ニックネーム/日時
完成おめでとうございます。
また美しいLotが1本増えたわけですね。私は392hzが好きなので、自作のトラベルソもほとんど392hzの替え管で楽しんでいます。
オーボエ好き
2006/05/06 09:38
●ありがとうございます。13回にわたる連載、最後まで、無事たどり着きました。
●Lotも6本目となりました。オーボエ好きさんと同様、392Hzがなぜか魅力的な気がします。
●392Hz買え管は、ほんの少し長いだけですが、製作の立場からは、その壁を越えなければならない感じがします。入手材でも、392Hzの場合は、長さの点で困難を伴います。だからでしょうか、392Hzの魅力は、その苦労に報われた気分が強く働いている気がします。
woodwind 図書館長
2006/05/07 11:07
☆Lotの図面が複数集まりました。
☆woodwind様の復元ではヘッドコルクの位置は唄口中央から何ミリぐらいでバランスがとれているのでしょうか?
僕はまだリーマーを作っている段階です。結局ベースはDaytonにしました。
オーボエ好き
2008/09/19 22:05
オーボエ好きさん、こんばんは。
●コルクの位置ですが、適切なところから、少しでもずれると、とくに第3オクターブの揺らぎが大きいです。そこで、実際に取ったデータをみてみました。すべてBateCollectionのLot。
●フォトのマダカスカル・ローズウッド: 392/415Hz とも 21mm。で、少し上がり気味。したがって、 22〜23mmが適か。
●欧州黄楊のもの:392Hz 27mm、415Hz 25mm でいずれも3オクターブ目が下がり気味。したがって、23〜24mm が良いか。
●ということで、データの残っているものでは、22〜24mmというところ。手元の、幾本かのLotも計れば良いのですが、夜中なのでやまますが、ほぼ同じ結果がでると思います。ただし、これはわたしのアンブシャーの場合ということですから、他の方では異なるかもしれません。
woodwind 図書館長
2008/09/19 22:23
ありがとうございました<(_ _)>
☆コルクの位置は唄口に近い傾向なのですね。その方が低いピッチでも良い反応が得られそうです。
☆Lotの図面は集める程わからなくなってきました。特にアンダーカットはそれぞれに異なるサイズです。これは実際に調整しながら詰めていこうと思います。
☆大胆なアンダーカットはルネサンスフルートを思わせます。唄口に近いコルクも。
オーボエ好き
2008/09/21 15:19
オーボエ好きさん、こんばんは。
●Lotのアンダーカットは、相当なものですよね。一般にアンダーカットによりピッチ調整が出来るという以前に、音のつながりやアタックがよくなると思います。物理的な感覚で言うと、指穴とボアとの段差が滑らかでつながっているからと思われます。
●そこで、調整方法ですが、まず相当のアンダーカットをするため、指穴径を小さめにしておき、各音のピッチ調整はもっぱらアンダーカットでなく指穴径を少しずつ大きくすると良いのでしょうね。
●かく言うわたしは、いつも指穴径が先で、アンダーカットがあとになっている気がします・・
woodwind 図書館長
2008/09/26 23:40
☆僕はアンダーカットと指穴径は同時進行で作っていきます。
☆大胆なアンダーカットの為に道具が必要になってきました。ヤスリと紙ヤスリだけでは限界があるようです。効率よくカット出来るナイフかスクレーパーが作れると良いのですが。
オーボエ好き
2008/10/10 20:45
オーボエ好きさん、こんばんは。
●そうですか。Lotのアンダーカット用に、わたしも刃先付け替えの各種カッターの刃とか、先の細い切出し小刀とか色々試みました。刃先が曲がったものとか、まあ、いろいろと。結論はといえば、刃が薄いのは上手くゆかないこと。刃物は、自身が揺らがないほど分厚いものが要るということ。
●バロック当時からのフレイザーだったかの専用の歯車タイプの刃物を作るのがよさそうですね。試作会社へ特注すれば出来るとは思いますが、わたしは、そこまではしていません。
●うまく行きましたら、是非紹介ください。
woodwind 図書館長
2008/10/10 22:41
☆歯車タイプのものは絵でみたことがあります。
☆図面を見てみると指穴のアンダーカットってはいびつな形状をしているものもあります。表の指穴と同心円状になってしまうのは良くないのかどうか?
☆リコーダーの吹き口を調整するような道具を試してみましたが、結局時間のかかる作業になりそうです。切りくずが大き過ぎると滑らかな面に仕上がりにくく、小さ過ぎると作業時間がかかる。
☆結局細い工具鋼をきりだしただけです。それに紙ヤスリを巻いて使います。
オーボエ好き
2008/10/21 16:17
オーボエ好きさん、こんばんは。
●同心円状でないものもる理由は2つ考えられます。
●オクターブ音のピッチを合わせ:ステンズビーJrのフルートダモーレの太い管のデータを見ると、指穴4でのアンダーカットは同心円でなく大きくずれています。おそらく太い管での原理上、オクターブの上下で合わせるためと思っています。そのうち作りますから結果がでると期待します。
●もうひとつは、調整の「結果として」同心円でなくなったこと。各指穴調整においては、内径削りによってもピッチ調整ができます。これに合わせ、再度アンダーカットを調整する結果、そうなったか。
●ところで、アウロスのステンズビーのプラ管のアンダーカットをご覧になったことがありますか?円錐(台形)でなく、しっかりと段差がある。内側からドリルで拡げたって感じ。プラスティック型から外すためにそうなっているのか、オリジナル楽器がそうなのか、調査未完。
●わたしが刃物で削るとき思うことは、指穴のサイドを削る方向に、当然ですが、順目と逆目があること。順目では大きく削れ、逆目では引っかかってうめくゆかない。この作業は、ダマシ・ダマシ削っています。
woodwind 図書館長
2008/10/21 22:48
☆アウロスのアンダーカット見ました。管体にパーティングラインがないので指穴は管体整形後に加工してるのではと思います。アンダーカット用の刃物を使っているのかもしれません。
☆アンダーカットの同心円でないものの理由、Stanesby Jr.での結果楽しみですね。
☆アンダーカットはもっぱらヤスリでしているので順目と逆目には注意していませんでした。
オーボエ好き
2008/11/18 10:22
オーボエ好きさん、こんばんは。
●確かに、プラスティックの形成ではなさそうですね。材を通常の木材と同様に内径を削り、指穴をあけているのでしょうね。それにしても少し特殊なアンダーカット・カッターでしょうね。
●忙しさにかまけて、Stanesby Jrのフルート・ダモーレつくりが遅れていますが、結果はお楽しみに・・
●切出し小刀、そほてカッターナイフの刃を特殊に曲がったものを使っています。そうすると、穴の東西方向と、南北方向の削りにおいて、逆目に気をつけないといけないのです。作業がヤスリより速く終わりますが、ただ、呼び穴の上部に思わぬ切り跡がのこるくらい削りすぎることとなります・・注意が必要ですね。
woodwind 図書館長
2008/11/19 22:11
☆管体の形成は型に流し込んでするのだと想像しています。なので内径は改めて削る事はしないのではないかと。その方法で指穴も同時に作るとは考えにくいと思ったのです。
☆オリジナルのアンダーカットに刃物痕があるようですから、やはり刃物でするのが良いのかもしれません。
☆Lotコピーとりあえず出来ました。替え管全長235mmで394Hzです。頭部管を少し抜いたら392Hzになりますが、とても音色が悪くなります。コルク位置は唄口中央から20mmになりました。
オーボエ好き
2008/11/20 17:53
オーボエ好きさん、こんばんは。
●プラスティックの成型(型)から抜けるような手法しか使えないでしょうから、いきなり指穴はできないと想像します。同じ、プラ管のグレンザーモデルは、プラ管のリコーダーにように型からつくったような感じを受けますが、ステンズビーはどこか仕上がりも感じが違っている気がしたものですから。
●Lot完成されたそうで良かったですね。気になるのは、394Hzを少し抜きて392Hzに合わせようとすると音色がそれほど悪くなるのですか。恐らくわたしが聴いたら、その差は気がつかないと想像します。コルク位置は、結構短いのですね。頭部管の内径は、19.6o+−0.2o位なのでしょうか。
woodwind 図書館長
2008/11/24 19:33
☆頭部管の内径は19.8mmです。誤差+0.05mmというところです。
☆ジョイント部分にはwoodwindさまがブログで紹介されていた調整用のリングを試してみたいと思います。僅かでも抜くと吹きたい気持ちを起こさせる笛でなくなります。
☆コルク位置は低いHigh Dを持ち上げるために唄口に近くなっています。そのため指穴のアンダーカットも控えめで良い状態なのかもしれません。もう少し深い方がタンギングはしやすいようです。
オーボエ好き
2008/11/25 16:45
オーボエ好きさん、こんにちは。
●ハイDとは第3でなく第2オクターブですよね。持ち上げるためにコルク位置を押し込んでいるそうですが、とくに指穴1の大きさは小さめなのでしょうか?このコルク位置で第3オクターブのDは上手く合ってるでしょうか。D音のピッチ調整は結構難しいですね。指穴1、(および2)を大きくするとC#、C、Hあたりに影響するし・・
●誤差+0.05mmとはすごい精度ですね。わたしは、そこまでの精度が出ているかは分かりません。
●ピッチ調整用のソケット内に入れるリング上手くゆくと良いですね。リングなしで、その2oほどの隙間があると、「吹きたくなくなる」ほどとは、やはりオーボエ好きさんの、感性の高さに驚かされます。
●Lotの替え管は同時に作られたのでしょうか。その場合、ハイDのピッチ合わせ、そしてコルク位置はうまくゆきましたでしょうか。
●わたしのLot製作は、紫檀とエボニーで止まっています(乾燥させていると言った方が良いかも)・・
woodwind 図書館長
2008/11/30 12:20
☆high D (-23 -- 7)です。no.1の指穴は他と比較すれば大きめです。アンダーカットも大胆です。
☆Lotの替え管は現在、作っています。同時には作りませんでした。woodwindさまのと同様に乾燥中です。
☆できれば誤差は0.02mm以内に収めたいですが、難しいです。
オーボエ好き
2008/11/30 18:42
オーボエ好きさん、こんばんは。
●乾燥中の各種作りかけ途中のものですが、T.Lotでは頭部管だけ本紫檀のものが、そしてオトテールのエボニーについては、製作を開始しています。後者では、歌口と指穴調整製です。出来上がりが楽しみです・・
woodwind 図書館長
2008/12/07 20:59
woddwindさま
☆この頃の僕の作品はどれをとっても自信のあるものではありません。ますますそうなってきています。
☆図面の数値が怪しいことがとても気になっています。自分で数値を決めて作った笛は吹き易いのですが、それを答えとして良いのかどうか確信を持てずにいます。
☆演奏の練習をさぼっているからかもしれません。。。。。。
オーボエ好き
2008/12/07 21:12
オーボエ好きさん、こんばんは。
●「自信あるから良い楽器、ないからそうでない楽器」とは良い切れません。「作ればつくるほど分からなくなる」と言うのが最近感じること。逆に「それほど、これまでは知らず・気がつかなかった」ということか。
●最近、わたしは1000Hzあたりで軽い難聴だと分かり、そのためか、1本1本の楽器の差異が分からなくなっているのでは、という感じを持っています。しかし、同時に初期の頃に比べて、何本も作ったために、細部まで神経を尖らせて発見しようという気持ちが薄れているのかとも。初心に帰る必要を感じています。
●自分が信じる設計値の方が良いと思われるなら、その方向で進まれるのはいかがでしょうか。わたしの場合は、自分で十分な評価ができず、愛好家の方々に評価してもらうようにしています。
woodwind 図書館長
2008/12/08 23:17
☆11khz辺りがオーボエの鼻にかかる音色を作っているのだったと思います。音色に関わる高次倍音が聞き取りにくいというのは辛いですね。
☆作品がまぐれ当たりにならない程度に腕が保たれている事の方が重要かもしれません。woodwindさまがおっしゃるように今は自分の判断で設定した数値で作ることがまた次の扉を開けるのに必要なのかも。
オーボエ好き
2008/12/11 16:44

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