楽器のつくり方 (59) 2006/6/4欧州黄楊の半丸太からつくってきましたオーボエダモーレも、音つくりの段階へと進みました。 前回までは、外形を削ったあとで、リーミングと指穴をあけました(→こちらを参照)。 音つくりのための次の工程は、キーつくりです。 バロック・オーボエ類のキーの数は、通常3つ。 1鍵トラベルソのEbキー相当のものが2つと、C/C#音を出すキーひとつです。 縦に構えるオーボエ。 右利きと左利き用に、Ebキーが左右にひとつずつ。 C/C#キーも、左右の手で操作できるよう、フィッシュ・テール(魚の尾ひれ状のキー)が両方に伸びています。 クラシカル以降、下管は右手操作が優勢となり、右のEbキーだけが残りました。 モダン楽器では、右手操作のデザインが生きています。 バロックのオリジナル楽器の複製では、製作者/メーカーにより異なり、使わない側の左Ebキーを省略することも多いです。 この連載のオーボエダモーレではEbキーはひとつ。 基となる複製(コピー)楽器にならいました。 EbキーとC/C#キーと合わせ、必要なキーは2種(2個)となります。 ●キーメカニカル構造 オーボエ/ダモーレでは、Ebキーは常時「閉じ」の構造で、トラベルソと同様のつくり。 Ebキーにはバネがあり、キーを押さえるとパッド側が上って「開き」ます。 キーを離すと、バネの力で戻ってパッドを「閉じ」ます。 C/C#キーは、これに対して常時「開き」構造で、2つの個片からなります。 フィッシュテールの形のキーにはバネがあります。 キーを押さえると、キーパッド個片の連動接点側が浮き上がり、パッド側が下がってキーを閉じます。 キーを離すと、バネの力で連動接点側が下がり、パッド側が浮き上がってパッドを「開け」ます。 フォトは、キーつくりに必要な材料と工具および、キー取付け台座を加工した様子。 ●キー材料(フォト右下) 方眼紙にキーの形を描き、両面接着テープでキー材の真鍮板に貼り付けたもの。 真鍮板は、厚さ1oを使用。 このほか、フォト外ですが0.3o〜0.4o厚の燐青銅板をバネに用います。 ●キー取付け台座の加工(フォト中央) 下管には、台座用のベッドが2つあります。 なぜか北側にあるEbキーおよびC/C#キー取り付け台座は、断面が半円でなく四角い形をしています。 バロックオーボエ類に共通なデザイン。 これに対し、南側の台座は、あきらかに装飾の一部で、半円の装飾ベッドとなっています。 C/C#キーパッド個片の取付け用。 これらの台座に幅5oの溝を掘ります。 使用する工具は、4.5oの彫刻刀と切り出し小刀(フォトは左利き用)、および平ヤスリ。 台座の南北にもオーバーランして溝を掘り、キーのバネの当たる部分を形成し、メカニカル動作ができるように加工します。 この工程では、彫刻刀や小刀ではなく、小型のルーターとか、本格的なフライス盤があれば、きれいに溝堀ができることでしょう。 ●キーパッド当ての平面加工 キーパッドの当たる面は、正確に平らなことが重要。 キー取付け角度も、この平面に正確に当たるように、あとで調整します。 この平面は、切り出し小刀を用いて削り、平ヤスリで仕上げます。 ●キーつくりと組立て まず、キー材料を万力(バイス)で固定し、金鋸で各個片に大まかに分断します。 個片を万力に挟み、金工ヤスリで削って仕上げます。 このとき、両面テープで貼り付けた型紙をそのままにしておくと、不要な傷がつきにくく便利でしょう。 キー台座には、ピボットのピンを貫通させる穴をあけます。 次に、つくったキーをキー台座に当てがい、穴あけ位置を確かめてから、ピンの貫通穴をあけます。 ピンの径は1.2o前後。 この穴あけ作業は、径が1o〜1.5oと細く、微妙な力加減を加えないと、すぐに細いドリル刃が折れます。 わたしは、超小型の手回しドリルを使用しています。 このあと、キーにバネを取り付けます。 バネの調整は、あとで実際にピンでキーを取り付けて、硬さを確かめて調整します。 キーパッドには、皮をパッドの形に合わせて切り、貼りつけます。 キー全体を組立ててみると、キーパッドが、たいていパッド当ての平面と平行にならないでしょう。 単純なEbキーであれ、C/C#キーやその連動部分は、「合わせ工事」が必要。 キー自体を微妙にまげて調整し、パッドとパッド当て平面が隙間なくピッタリと合わさるよう微調整を行います。 場合により、キーパッド高さが合わないときは、皮の厚さを変えます。 また、C/C#キーでは、連動接点部分の各個片小の曲げ具合を変えてスムーズに開閉するように調整します。 2つのキーメカニズムが完成すると、音つくりの命であるピッチ調整へと続きます・・ 【関連記事】 青字クリックで記事へジャンプします。 ●木管もキーは金属でできています ●トラベルソの音出しのためには、Ebキーが必要です ●オーボエダモーレ:リーミング、オイリングと指穴明け |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
☆キー取付け台座の加工に小型の金工用卓上フライス盤を使用していますが、ご指摘通り、きれいに仕上がってます。 |
オーボエ好き 2006/06/05 08:41 |
●オーボエは音つくりが難しい。トラベルソと異なり、オーボエが音を出すと言うより、リードが音を出している。 |
woodwind 図書館長 2006/06/05 18:56 |
☆自作バロックオーボエは来週から他の楽器との合奏に使用します。迷惑になるのが始めの内だけになる様に調整に励むつもりです。 |
オーボエ好き 2006/06/06 13:09 |
●自作バロックオーボエで合奏とはいいですね。私自身はあまり演奏しませんので、そのような楽しみがありません。使用リードは、気に入ったものがつくれているのですか? |
woodwind 図書館長 2006/06/06 21:09 |
☆リードは未だ実験の域をでませんが、楽器の抵抗感が強いのでリードを軽くしないと吹けたものではありません。他人の演奏から感性の力を借りて調整の方向にヒントを得ようとしているわけなのです。やはり自分一人の能力だけでは限界があります。同時代を生きている他人が存在することうれしいし、幸せなことだと感じています。 |
オーボエ好き 2006/06/07 08:35 |
●わたしもリードが硬く感じます。柔らかいと高いオクターブで踏ん張りが利かず、音程がとれないうちにひしゃがってしまうし、硬いと規定の音の高さまで踏ん張れず低めの演奏になってします・・・ |
woodwind 図書館長 2006/06/08 07:15 |
☆Quantz1号機はボアテーパーはオリジナルですが細かいデザインは独自のものです。その辺りもオリジナルに近いQuantzも作ってみたいと考えています。 |
オーボエ好き 2006/06/08 07:42 |
●オイリングですが、オリーブオイルを「ボアに」それとも「外側に」のいずれが、鳴りの良さを増しているのか教えてください。わたしも、こまめにやってみようか知らん。 |
woodwind 図書館長 2006/06/09 08:46 |
☆ボアへのオイリングですね。常に水玉ができる程度には塗っておくということです。細い棒にウエスを巻き付けてオイルを塗っていますが、この作業自体で内径が滑らかになってないが良く鳴ると考えられるのか?わかっていません。 |
オーボエ好き 2006/06/09 11:11 |
●オーボエ好きさんの、今後の計画(=方向性)ですが、バロックの復元ではなく、時代のことなるものでしょうか?それとも、その新しい時代をヒントに独自性のあるもフルート製作なのでしょうか。 |
woodwind 図書館長 2006/06/10 10:11 |
☆方向性を問われることはwoodwind様に限らず多い訳ですが、正直言って私は特に考えていませんし考えるつもりもありませんからコメントのしようがありません。暴言ではないですよ。 |
オーボエ好き 2006/06/10 22:47 |
●Prattensの件、了解です。ニコルソンあたりということで想像できます。まあ、ホールは大きいですよね。右手左手一体型は、長すぎて旋盤他の制約が多いですね。わたしも、今、オトテールタイプの3本継ぎのトラベルソを削っています。ドリルと旋盤長さが足りず、その分、片方向から、手回しで穴をあけるといった始末です。トホホ。 |
woodwind 図書館長 2006/06/10 23:27 |
☆Kirstぐらいのシンプルシステムなら、1keyトラベルソよりもキーワークが楽で豊富で面白いと感じています。1keyのフィンガリングで回避できるし。まだ鳴りが十分ではないのですが、1,2オクターブのGis Bbのフィンガリングが同じでいけるところなど飛躍的に演奏を楽にしてくれるのが魅力。high Fも楽だし。 |
オーボエ好き 2006/06/11 11:15 |
●演奏が楽な点では、確かに、1オクターブ、2オクターブが同じ運指というのは、分かりやすくていいですね。 |
woodwind 図書館長 2006/06/12 07:33 |
☆オーボエのリードの件。本日からオーボエ練習開始。リードへブラスワイヤーを巻く事を止める。水道管工事用シールテープをフィッシュスキンの代わりにリードに巻き付け息漏れをなくす。息漏れは著しく性能を損なう上、気づきにくい問題だったりするので、始めから対応しておく。 |
オーボエ好き 2006/06/13 10:20 |
☆フィンガリングが思いのほか複雑。中途報告。 |
オーボエ好き 2006/06/13 10:21 |
☆Low C D Eって小さな音量にするの難しくないですか?さらに音量大き過ぎませんか?トラベルソやリコーダーに比べて。どうもベルが軽すぎて暴れている印象。かといって寸法通りに作っている訳だし。ということでベルにフェルトようもう(羊毛)詰めてみたところ、全体的に柔らかな渋い音と控えめな音量、低音域のコントロールしやすさ、適度な抵抗感、オーバーブローイングのしやすさ。が手に入ってしまいました。ミュートする事が通常だったのかなぁ?クラシカルでも羊毛を詰めると良い結果が得られています。ただしリードが大分弱ってきたら羊毛無しでも使える程度の性能に収まってきています。 |
オーボエ好き 2006/06/13 14:51 |
●詳細な報告ありがとうございます。リードは、それだけで1冊の本が書けそう。 |
woodwind 図書館長 2006/06/14 08:18 |
☆リードのサイドの件。言い換えると堅かろうが柔らかかろうが振動しにくい状態を改善するために削ります。言語を駆使するのはやはり難しい。反省! |
オーボエ好き 2006/06/14 16:43 |
☆ダモーレにおけるLow C,D,Eの発音の困難さについては経験ないのですがオーボエにおいて私流ならリードの削り過ぎ、鳴り過ぎ、軽過ぎと思います。多分作り直します。全体に暴れるようなら木部の寸法を詰めると改善されます。歴史的にみてリードの木部とチューブの長さの関係は木部が短くチューブが長くなって発展しているようです(Nora Postのレポートhttp://www.idrs.org/Publications/Journal/JNL13/JNL13Post.html) |
オーボエ好き 2006/06/14 16:44 |
読み返していて思い出したのでもうちょっと。 |
オーボエ好き 2006/06/14 22:31 |
●リードに関して、とても内容の濃いコメントありがとうございます。ひとつひとつどれほど、(頭でなく)体で理解できているか、あやしいです。 |
woodwind 図書館長 2006/06/15 06:37 |
☆woodwind様の問題、私の場合のLow Eの問題はフィンガリング123 45-esで解決、リードの幅は広くしました。吹奏感ではesのせいで抵抗が抜けた感じ。今のリードのティップ幅ってどれくらいですか?ちなみにSr 9.6mm Grundmann 8.6mmでいけてます。幅広にする効果はとてもおおきかったです。始めは8.6mmでSrのチューニングに手を付けましたが、結局行き詰まりでした。製作されているダモーレの年代はどれくらいでしょう?幅広でミドルスクレープが答えの時もあるようです。 |
オーボエ好き 2006/06/15 07:50 |
☆サイドの件まとめてくださってありがとうございます。サイドを削る時に感じる問題は音がメタリックすぎるとか開きが強過ぎ、輪郭がはっきりし過ぎ、太いとかです。サイドを削ると音色が細くなり繊細な印象で張りも弱まるしコントロールしやすくなりますが、薄ければ良いというものではありません。ティップよりは厚いようにしています。でないと開きなさ過ぎです。私の場合ハートにこれといって厚みを設けないのでこことサイドを削って全体になだらかな丘陵地帯を作る様に削っています。等高線がうまく描かれるかというところがポイント。実際のリードの表面は可能な限り滑らかです。 |
オーボエ好き 2006/06/15 07:50 |
●オーボエ好きさん、色々とコメントありがとうございます。まだ十分、リードについて実験がすすんでいません。それに、りーどについての経験の浅さで以って、どちらの方向性で行くべきか、他人に教わりながらやっています。リード幅は10oですが、幅広と言うのは、それ以上です。 |
woodwind 図書館長 2006/06/15 22:49 |
☆リード幅10mm以上。それはまだ手を出した事がなく何とも言えません。モダンでは私のRigoutat oboeは7.6mm幅でダモーレサイズだねそれと言われていたので、オーボエとダモーレの間で大きく幅が異なる訳ではないのかもと想像していました。 |
オーボエ好き 2006/06/16 07:41 |
●わたしの意見でなく、読者の方からの情報ですが、バロックオーボエ・ダモーレでなく、バロックオーボエですら、幅広リードを結構使うらしい(プロ奏者が)。新しく、掲載しました記事(オーボエダモーレ:ピッチはリードで決まる)のふぉとに載せましたように、幅広リード、あれでも狭いのだそうです。・・モダンとは異なるわ。 |
woodwind 図書館長 2006/06/16 08:00 |
☆ナイフの件おっしゃる通りです。うなぎと切り出しは右手左手用を同じ様に分けていますが、リード用とは逆です。 |
オーボエ好き 2006/06/16 20:33 |
●うなぎは好物です。背開きと腹開きの違い。直接焼く関西と、一度白焼きにする関東。ところ変われば、何もかも変わるが、まさかうなぎ用の刃についても、関東と関西で違いがあるなんてことがあるのか知らん:あるかもしれない。ではその場合、どちらのものがオーボエナイフに使えるか?まさか、両刃だとやりにくい。 |
woodwind 図書館長 2006/06/17 00:15 |
☆うなぎは私も好きです。ナイフの形状は関東関西で異なるようです。どちらかがかなり大きいサイズになったのではないかと思います。私のはリード用ナイフに近いサイズです。 |
オーボエ好き 2006/06/17 19:51 |
●Stanesby Srは、Edinburgh大のNo.62ですよね。ピッチは409-415Hz。問題は、内径6.5oで、井戸が30oしかなく、そのあと、さらに50oもこの径が続く。ということは、リードチューブのテーパーをいくらにしようが、そのリードの先の50oも6.5oが平行に続くリードと等価。 |
woodwind 図書館長 2006/06/17 22:56 |
☆リードチューブを差し込む長さは井戸の長さより-5mmから井戸の長さまでの様です。 |
オーボエ好き 2007/09/04 22:10 |
オーボエ好きさん、これは相当研究された成果ですね。 |
woodwind 図書館長 2007/09/06 23:01 |
☆リードを長く使っているとだんだん柔らかくなってきます。またピッチも低くなってきます。これを使おうとしてみたら良い結果が出ました。 |
オーボエ好き 2007/09/15 22:31 |
オーボエ好きさん、お早うございます。 |
woodwind 図書館長 2007/09/16 08:38 |
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