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zoom RSS オーボエダモーレ:リードによるピッチ調整はいかに

<<   作成日時 : 2006/06/19 10:32   >>

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画像楽器のつくり方 (61) 2006/6/19

アイヒェントップフ Eichentopf モデルのオーボエダモーレつくりの概要を見てきました。 →こちらを参照。

各音程(ピッチ)を決める要素として、リード/チューブ/ボーカルが大きな影響を持つだろうことを述べました。

種々試みる中、ピッチ調整が一応完了しました。

今回は、実際にリードを変えた場合に、どのようなピッチの変化があったかを取り上げましょう。

結果としてみれば、オーボエダモーレ本体の指穴調整は微小で、リードの影響だけを追いかけてみます。

フォトは、異なる2本のリードを付け替えた、ケース1とケース2につき、得られた結果のピッチを同一グラフ上に表しています。

★フォトをクリックし、新ウィンドウでのフォトの右下コーナーに現れる拡大アイコンをクリックして、データ詳細、およびリード/チューブ/ボーカル寸法の定義を見てください。★

縦軸は、A=415Hzを基準に、セント(Cent)表示でピッチ差を表します。 ちなみに100セント=半音。

横軸は、最低音c'から最高音d’”までの2オクターブを取っています。

ただし、音高表記は、便宜上、バロックーオーボエの運指による音高としています。

ダモーレは、オーボエより短3度低い楽器ですから、「実音表記」では、最低音の c’ は a に、最高音の d’” は b” と読み替える必要があります。

バロックオーボエ/ダモーレのピッチの決定要素(パラメータ)はとても多く、組合せを全て試してみるならば、一冊の本が出来上がりそうです。

ここでは、調整の完成目標である、「各ピッチ差+-20セント以内」の組合せを見せた例としてデータを紹介します。

●ボーカル差しこみ井戸

 −深さ 29o
 −最大径 9.5o@0o
 −最小径 6.5o@29o

●ボーカル(ケース1/ケース2共通)

米国在住のオーボエ製作家Sand Dalton氏の、ダモーレ用ボーカルを購入:

 −ボーカル長 (VL) = 57.6mm
 −ボーカル底径 (D1) = 6.2mmΦ(外形)/5.3oΦ(内径)
 −ボーカル先径 (D2) = 3.6mmΦ(外形)/2.6oΦ(内径)

●リード/チューブ(ケース1): わたしの自作リード

 −チューブ長 (TL) = 26.4mm
 −チューブ底径 (D3) = 6.0mmΦ(外形)/4.6mmΦ(内径)
 −リードチップ幅 (W) = 9.8mm (両端を斜めにカット)
 −リードチップ (TIP) = 3.0mm
 −リードケーン長 (CL) = 26.4mm
 −リード/チューブ/ボーカル総合長 (TL) = 94.6mm

●リード/チューブ(ケース2): 読者の製作リード

 −チューブ長 (TL) = 27mm
 −チューブ底径 (D3) = 5.5mmΦ(外形)/4.6oΦ(内径)
 −リードチップ幅 (W) = 9.8mm
 −リードチップ (TIP) = 2.9mm
 −リードケーン長 (CL) = 25.3mm
 −リード/チューブ/ボーカル総合長 (TL) = 96.2mm

●リードの差異による結果

 各音を鳴らし、チューナーでセント表示で読取ったもの。

 使用した運指は、各音で最良結果が得られるものを採用。

  -ケース1 (赤丸)

  ・第一オクターブでは、ほぼA=415Hzを保つ。
  ・総合長が短いためと、リード厚さのためか、第二オクターブでピッチが上昇。
  ・暴れる度合いは、10〜40セントから、最高音d'"では100セントもずれる。
  ・第一オクターブC/D/Eでのビビリあり。

 -ケース2 (青四角)

  ・総合長が幾分長く、第二オクターブでほぼA=415Hzを保つ。
  ・第一オクターブで、低めの音もあるが-10〜-20セント。
  ・第二オクターブにて、10〜20セントずれる音あり。
  ・第一オクターブC/D/Eでのビビリなし。
 
以上から、ケース2での、リード/チューブ/ボーカルの組合せにて、調整目標範囲+-20セント内に収まり、一応の調整を完了することができました。

管本体の調整としては、わずかに指穴6の極小アンダーカット、および上管のわずかなリーミングのみ。

管本体は、決まった内径および指穴位置と指穴寸法に対して、むやみに調整せず、適切なリード/チューブ/ボーカルを探すことが重要なのでしょう。

一旦、リード/チューブ/ボーカルが決まると、これを【基準】とします。

吹奏感やレスポンスの良さ、音楽表現などの詳細特性については、さらにリードをつくり(変え)、チューブ材質を選び(直し)、場合により、管体の指穴処理や微調整を行うこととなります。

オーボエ吹きは、人生の半分を「リードつくり」に当てると言っても過言ではないでしょう・・・


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

オーボエダモーレ:ピッチはリードで決まる
●The Eloquent Oboe:リード詳細→文献集
木管のピッチはどうやれば変わるのでしょう






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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、ピッチをきちんと表にしてみると一目で傾向がわかりますね。調整の完成目標を「各ピッチ差+-20セント以内」とされたのも、いいと思います。オーボエはリードをまったく同じ寸法で作っても、ケーンの材質によってかなりピッチが違ってくることがあるので、難しいですね。
A.O.
2006/06/19 20:09
●ねっ、「目で見る管理」は効果的でしょう。「高音Eが高いとか低音Gが低い」、などの(基準なし)相対的表現では、実は「高音Eはあってて、低音Eが低いとか、低音Gはあってて高音Gの方が高い」、など逆のイメージを与えたりしかねません。あくまで、「客観性」の導入がよさそう。
●リード/チューブ/ボーカルの【基準】ができたのですが、それでもケーン材質でピッチが変わるのですか?ケーの材質選び(机上に落としてみて音で判断とか、爪で押すとか)のほかに、リード径とリードの厚さにより変わるのでしょうね。事実、ケース1のわたしの自作リードも、寸法データ場は、ケース2とあまり変わらない。しかし、読者のリードの姿(各部曲線と透かしたときの感じ)がとても美しく、わたしも努力が必要・・トホホ。
woodwind 図書館長
2006/06/20 09:02
☆わかりやすーい!客観性の導入は私に大きく欠けているもので、これまで避けてきたのですが、その態度を改めようと思わせる程、はっきりくっきりしています。
オーボエ好き
2006/06/20 19:36
●わたしは、同様の方法をトラベルソやリコーダーでも採用しています。データ取り用の様式を作成した2002年から、一度も変えず、何枚もコピーして使用してきました。
●+−20セントというのは実用上、問題ない範囲かと思います。実際には、リードを強くかむとかで、セントは上昇しますから、グラフ上のデータはわたしのアンブシャーのものでしかありません。
woodwind 図書館長
2006/06/20 20:20

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