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zoom RSS オーボエの化粧箱つくりは、立体幾何学の応用で

<<   作成日時 : 2006/06/29 19:47   >>

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画像楽器のつくり方 (62) 2006/6/29

楽器を購入すると、たいていは保管/キャリングケースがついてきます。

それらを大別すると、2種類:

●分割部分の「内型」に収容するタイプ

木管楽器では、部分に分割した形状そっくりにつくりつけた「内型」の中に、スッポリと納めることが多いようです。

リコーダー、フルート、ピッコロ、クラリネット、オーボエ、コーラングレ、ファゴット、・・

●楽器の形状のケースの内側に接して収容するタイプ

金管楽器や弦楽器では、楽器の形状に似たハードケースの内側に接して、収める構造となっています。

トランペット、サキソフォーン、ホルン、バイオリン、ギター、リュート、マンドリン、・・

連載により、つくってきましたバロック・オーボエダモーレはどうでしょう。 楽器のタイプからすると、木管の分割型ですね。

でも、各部分の形状をスッポリ入れる「内型」をつくるのが大変そう。

そこで、新たな構造のものを考案しました:

●分割部分の「要所を支え」、「内型」に収容するのと等価なタイプ

各部分の形状をスッポリ収める代わりに、要所を押さえても固定できるハズ。 実際に、ファゴットなどの大型木管楽器では、この考え方に近いでしょう。

フォトは、オーボエダモーレの3つの部分を、それぞれ、わずか2点で支えています。 要所の2点の支持部さえあれば良いのです。 あとは、空中に浮かんでいるイメージ。

この考案による、化粧箱のつくり方を紹介します。 材料/寸法と作り方の要点です。

●使用材/寸法

DIY店の工作用に製材された薄い木の板と、角材を用います。

@上と下の蓋用の薄板: アガチス 3o厚 x 幅90o。 長さ430o。

A上と下の蓋周囲枠用の角材: ホワイトラワン 9o x 30o。 長さ430o、72o。

B下蓋(本体)の支持部の角材: ヒノキ  8o x 20o。 長さ72o。 (計3箇所)

C下蓋(本体)の両サイド当て板: ヒノキ  4o x 20o。 長さ72o。 (計2箇所)

D上蓋の支持部押さえの角材: ヒノキ   8o x 20o。 長さ72o。 (計1箇所)
                    バルサ 10o x 30o。 長さ72o。 (計2箇所)

E蝶番:    金色の飾り仕様 (計2個)

F留め金具: 金色の飾り仕様 (計2個)

G家具等のキズよけシート: 1.5o厚/2.5o厚 若干。

●つくり方

箱の幅(430o)に、@の薄板、Aの枠を曲尺を用いてスミイレし、精密ノコで正確に切り出します。 少しの狂いはヤスリで仕上げます。

これらを、接着剤で留め上下の蓋の形が完成。 上下の蓋をピッタリと合わせ、各部の出っ張りを、ヤスリで削り、寸分なく「箱」に仕上げます。

Bの要所の支持部は、適する箇所をダモーレ管体から見出し、管の直径を計ります。

上下蓋との内側の深さは、60o。

この60oの中に、支持部で管体を浮かせるべく図面を描き、支持部に切り欠く円弧の寸法を割り出し、円弧部分を削ります。

DもBと同様ですが、一部バルサを使用し、「抑える部分」をつくります。 「押さえる部分」には、片面が接着剤のついたGのキズよけシートを使用します。

椅子の足の底とか、オーディオ・スピーカーの底面に張り、床にキズがつかないようにするためのもの。 弾力性のあるフェルト素材でできています。

Cは、飾り的な要素で、楽器がずれた場合の「当て」で、下箱の両サイド内側につけます。

BCDを接着剤で所定部に留めます。

上下の蓋の底部のベルが当たるところに、Gの2.5o厚のシートを適切な寸法に切り、貼り付けます。

また、Dの上蓋からの支持部の押さえには、Gの1.5o厚のシートを幅に合わせて切り、貼り付けます。

このようにすると、要所が固定され、キズよけシートにより適切に抑えられます。 箱を揺らしても、中の楽器の各部分が、カタカタとすることはありません。

次に、箱全体にサンドペーパーを当て、外側と内側にオイリングを施します。 フォトでは、レモングラス・オイルを使用。

最後に、Eの蝶番で上下をつなぎ、Fの飾り留め具をつけて完成。

完成したオーボエダモーレ(→こちら)も、化粧箱に入れると、扱いやすくなりました。


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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
☆オーボエもそうですが、ダモーレも上管下管の長さがほぼ等しいので、箱を作る時にwoodwind様のアイデアの様な配置で無駄なく収まりますね。
☆ようやく2号リードを作り始めています。今回はチューブの先端を真円で2.5mmの径として、1号より大きいものを作ってみます。大味になるのは想像できるのですが、予想外の発見を得たいのです。
オーボエ好き
2006/07/01 14:43
●オーボエ好きさん、ケースはどうされていますか?わたしが見た限り、申し合わせたように、どのオーボエも上下管の長さはほぼ同じ。
最初、ベルの処理をどうするか迷い、上下管のうち、1本をベルの中に入れるとか、ベルの両側に上下管を少しダブらせ、箱の全長を短くするとかの設計もしました。しかし、長さが同じなのに1本だけ処理できても仕方がない、ダブらせると箱の横幅が急に大きくなる、と言うことで、フォトのように落ち着きました。今後の、オーボエ類は、この基本設計でやってみる自信がつきました。
●自作、オーボエいかがですか。真円にすると、ケーンのまきつけ部分が窮屈で割れそうにならないのですか?テーパー度も変えるのですか、そうでないと全長が長くなるような気がしますが。色々とカットアンドトライをするしかないですね。成功をお祈りします。
woodwind 図書館長
2006/07/01 17:19
☆チューブの先端は楕円です。真円で大きさを決定してから適度につぶします。おっしゃる通り、真円ではケーンの巻き付け部分に入る割れが派手になります。
☆テーパーは変えていません。全長も今のところは見合わせています。最高音やmid Cがぶら下がらなければ長い方が良いと思います。
☆トラベルソが手元にあるとなかなかリードを準備してまでオーボエを吹こうという気にならないところが問題です。接続してすぐ音が出るトラベルソはとても便利です。
☆カットアンドトライ、試行錯誤ですね。中学生だった折に町にやってきた大学オケのフルート奏者から教わった言葉です。今は私流に日々精進です。
オーボエ好き
2006/07/01 20:04
●楕円の件、了解しました。6/15の記事で、A.O.さんが、先が真円に近いか楕円に近いかでイントネーションも変わるとコメントしてくださっていますね。したがって、適度につぶす量も、測定し記録しておいた方がよさそう。
●A.O.さんもオーボエ(ダモーレ)奏者ですから、あらゆることを試みておられることでしょう。Bruce Haynesに言及されていますが、わたしは読者のある方から、現在、The Eloquent Oboeと言う書物を借りています。相当の情報量なので、このあたりのことも載っているかも。高価な本ですので、別の読者の方などは必要なページだけある方からのをコピーし研究しています。要は、バロックオーボエは大変だと言うこと。
●トラベルソに手がすぐ伸びてしまう件、大変理解できます。ところが私の場合、貸し出しばかりで鳴らすものがない。いま、オトテール型のトラベルソ製作中でこれを自分用にするか・・
woodwind 図書館長
2006/07/01 22:13
きれいな化粧箱ですね。こんなのは始めてみました。いいなぁ。
The Eloquent Oboe の第2章は、特に館長様のような製作家にとってはとても重要な情報の宝庫ですね。リードについては99ページから詳しくのっています。 テーパード・ガウジング(厚さがのどから先端に向かって縦方向に、またリードの中心からサイドに向かって次第に薄くなっている)も試してみましたが、手でガウジングするのはちょっぴり力がいるのでなんとテニス肘になってしまい...中止しています。いまはガウジング済みのケーンを買っています。
A.O.
2006/07/02 15:51
●A.O.さん、こんばんは。ありがとうございます。割とうまく楽器が納まったので、結構、自分では満足しています。A.O.さんのオーボエ、とくにダモーレのケースはどうしておられるのでしょうか。よくあるのは、ロールバッグで、中に綿のようなものが入ったビニールケースで、各部を収容できる区割りがあるもの。リコーダー、トラベルソなどと共通で市販されています。製作者によると、厚手の生地の同様の布製ロールバッグもあり。
●The Eloquent Oboeの2章は読み始めました。p.99〜は確かにリードですね。Bruce Haynesの他の記事もリードを扱ったものあり、研究熱心です。
●バロックオーボエ用、テーパーガウジング済みのものは国内で入手されていますか?それとも海外の専門店から?(テニス肘、気をつけてください)
●フォトの、ダモーレを試奏していただける可能な日程が決まりました。詳細は、メールで連絡します。化粧箱に入れて送りますので、お手持ちのダモーレが、この化粧箱に入るか合わせて見てください。各部が3〜5mm以内の差しかなければ、この化粧箱を、一般用に適するものにできる気がするからです。
woodwind 図書館長
2006/07/03 20:21
 私の楽器は、友だちがパッチワークとキルトで楽器に合わせて作ってくれた特製のケースに入れた上で、CD用に市販されているファスナー付きの塩ビ(?)ケース(CDを入れる部分を外して)に入れています。持ち運びには軽いし、強度も十分です。何しろいつも大荷物になるので、軽い方がいいのです。(テニス肘だし...) ですが、ダモーレの方はやはりベルが出っ張ってしまい、収まりが悪いですね。
 家に置いている楽器数台は、木でできた靴箱(オランダの?)に布に包んだ上で入れています。手に入れたときいずれもこの同じ箱に入っていたのです。とても頑丈だけど重い!
 オーボエのケーンですが、テーパード・ガウジングしたものは市販されていないのではないでしょうか。買っているのは普通の、サイドのみ薄くなっているものです。(海外にネットで注文)テーパード...は、肘が治ったらじっくり試してみます。
 ダモーレ、楽しみにしています。

A.O.
2006/07/03 21:59
●いい友達がいるものですね。塩ビケースに入れ、持ち運びに便利なのは何よりです。わたしの化粧箱では、これ全体をなにか、布製の袋か、バッグ化に入れる必要があります。ただし横幅43cmはでかい。
●オーボエとダモーレはいつもペアで持ち運ぶのですか?モダンのオケのオーボエ奏者はオーボエとEHとペアが必須のような感じがしていますが、バロックではそうではないのかな?
●海外でも、今やネットですから便利で注文もできますよね。オーボエ・リード、とくにケーンの情報などこれからもよろしくお願いします。
woodwind 図書館長
2006/07/04 21:28
 いつもペアで持ち運ぶということはありません。でも場合によっては(バッハのカンタータなんかだと)オーボエとダモーレとダカッチャを持って歩くということもあるでしょう。
 ダカッチャって持ち運びにくふうがいるんです。大体ケースがないのですが、以前に借りた楽器が木のケースはいっていたことがあります。とんでもなく重くて大きくて...。本体はとても軽い楽器ですが、何しろ急カーブに曲がっているしベルがとても大きいので、ケースを作るのが難しいのでしょう。バスタオルにくるんでスポーツバッグという人もいます...。ちょっと危険かも。館長さま、いつかダカッチャのケースも考案してくださいませ。
A.O.
2006/07/05 22:19
●A.O.さん、結構、楽器運びが大変そうですね。オーボエケースひとつだと、フルートについで楽な部類かと想像していました。モダンの100人のオーケストラ、演奏会ともなると大変。コントラバス8台とかパーカッションなど相当なもので、専用トラックでの運搬。積み込み、荷下ろしなど大変だそうです。
●オーボエ・ダカッチャ・・う〜む。あれって、ベル部分は木製であれ、金属製であれ外せましたでしょうか?それによっては、アイデアが異なります。・・その前に私の製作(中)のWijneのテナー・オーボエのケースをどうするかが先決。ダカッチャよりは、楽だろうなあ。いつしか、ダカッチャにも挑戦するか・・
woodwind 図書館長
2006/07/05 23:21
 オーボエ・ダカッチャはベルの部分だけが外せます。将来オーボエ・ダカッチャの製作にもぜひ挑戦してください。
A.O.
2006/07/07 19:37
●いいことを聞きました。外せれば、もう、こっちのもの。立体幾何学を応用して、コンパクトにできそうですね。 ベルを平面状に置き、その上(の中空)にダカッチャの曲線部分が、襟巻きのように巻きつく構造でいけそうですね。
●そのような機会があれば、そうします。4月の甲府であった古楽コンクールの楽器展示会で、Dalton氏に話を伺い、ダカッチャのつくり方を教えてもらった。結構大変な工程です。直線の木管部を、いくつもの小部分に台形にように切り落とし、それらをつなぎ合わせると、あのカーブが出るのです。わたしがつくるとしたら、やはりベルは木製でいきたいなあ・・
woodwind 図書館長
2006/07/07 21:59
 あのカーブはそうやって作るんですかね。初めて知りました。ぜひ製作工程を見てみたいです!木管図書館でアップしてください。きっと世界初ですよ。20年ぐらい前ですが、ポンセール氏の工房で木製のベルを見ました。とてもきれいなベルでした。でも完成した楽器を吹いたことも(人が吹いているのを)聴いたこともありません。どうしてだろう...。館長さんはどこかで聴かれましたか?
A.O.
2006/07/08 10:58
 The Eloquent Oboe の第6章にダカッチャのことがのっています。(379ページ)具体的な作り方はありませんが、いろいろ興味深いことがのっています。あの「曲がり」が作り手の精神の中にあったのでは?とBruceは書いています。つまりは「バロック精神」というようなことだと解釈しているのですが、このあたり、英語力の問題もあるのか、ちょっと「??」なので、ぜひご意見を伺いたいです。ご一読を!
この楽器の金属ベルの内側が黒く塗られているのは、狩りのホルンを模したからだそうです。後ろにいるハンターに太陽の光が反射して眩しくないように。なるほどっ。
A.O.
2006/07/08 11:25
●ポンセール氏の工房をご覧になったとのこと。さぞかし面白かったことでしょう。木製のベルもいい思ています。木製ですが、残念ながら聴いたことはありません。でも、黒の革張りも結局は。音の柔らか味に貢献しているのであれば、あえてラッパ(狩のホルン)のような響きではなくて、包み込むような音色でいいのではないかと勝手に思っています。
●P.379〜読みました。なぜ曲げたかはやはり疑問が残ります。狩のホルン的なイメージにしたかったのか。テナーオーボエの仲間(タイユも)の長さですが、私も作ってみましたらボーカルさえ曲げれば、なんとか両手が届きます。ただ、ダカッチャのように丸ければば、それなりに演奏しやすいでしょう。クロムホルンの長いものは曲がっていますね。その延長で創作した人が曲げたのでは。結果として、曲がっているから面白い。「ゆがんだ真珠」のバロックの意味から「バロック精神」につながるのかも知れませんが、そこまでは読み取れませんでした。
woodwind 図書館長
2006/07/09 09:05

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