楽器の書棚 (19) 2006/7/15音楽史上、ルネサンスの1450-1600年、バロックの1600-1750年、と150年周期があります。 フルートの歴史も、ルネサンス・フルート、バロック・フルート(トラベルソ)と分類されています。 ただ、初期バロックから後期バロックでは、音楽様式も大きく変わり、使う楽器にも変遷が見られます。 初期のバロック・フルートは、どのようだったでしょう。 それまでのルネサンス・フルートは、(基本は)分割のないワンピースの円筒型フルート。 キーもなく、指穴は両手の指の6つ。 対するバロック・フルートは、内径がコニカル(円錐)となり、次第に分割型となったことが特徴。 頭部管が分かれ、2分割(ツーピース)となり、円筒型の内径から生まれたようです。 ●ツーピース - リシュー Lissieu ウィーン キーなし 円筒型の内径 これに対し、リコーダーのように、足管が分かれ、3分割のものが残っています。 ●スリーピース - ハッカ Richard Haka オランダ 1キー 円錐型の内径 - デンナー Denner ニュールンベルグ C#キーの替え足管つき A=413Hz バロック音楽では、先行のイタリアが劇的な感情表出で、対比的な表現と歌う旋律で発達しました。 対するフランスでは、抑制を効かせた感情表出で、語る旋律とバランスの取れた表現が発達しました。 フルートにおいても、その音楽感情表現が出せることが望まれたでしょう。 オトテール家(一族)は、当時の楽器製作の中心であったようですが、独特の3分割(スリーピース)の、いわゆるオトテール型バロックフルートをつくりました。 頭部管の先のヘッドキャップには、長く丸い頂華を持ち、足管は卵型をしています。 頭部管と、中部管との間のつなぎ部分には、対称をなす飾り(フェール)があり、両方から寄り添う型をしています。 この飾りの片側だけを眺めると、その後の4分割トラベルソでのつなぎ部分の基本的な装飾の形に活かされているように感じます。 高い装飾性は、緻密に描かれた絵画にも残され、独特のスタイルをしています。 現存数は少なく、わずかに以下のものが挙げられる程度: ●オトテール型(スリーピース) つくられた年代は、1680-1715ころ。 - オトテール Hotteterre 3本現存 (本物/コピーの議論あり) ・ サンクト・ペテルブルク A=400Hz ・ ベルリン A=400Hz ・ グラーツ A=392Hz - リペール Rippert グラスゴー c.1700 - ノース Naust - シェバリエ Chevalier ボストン - ブレッサン Bressan ワシントンDC 円筒型足管 - ブレッサン Bressan ロンドン フォトは、オトテール型のトラベルソのうち、シェバリエを復元したもの。 オリジナルも、フェールは頭部管に固定。 頭部管と中部管の両方とも差し込むのではなく、中部管のテノンを差し込みます。 復元してみた結果は; ・他のオトテール型より、ピッチがいくぶん高め。 ・歌口が大きく、アンブシャーによりピッチは変わるものの、実測では A=410〜415Hz。 ・内径のテーパー度は、幾分緩やか。(オトテール型の特性の音色とピッチと類似か) ・重量バランスは、頭部管寄り。 頭部管が厚く持ち重りを感じる。 ・第一オクターブ(低域)は、メローで豊かな響き。 ・第二オクターブ(高域)は、軽めの音色で響く。 ・第三オクターブ(最高域)は、F以上で発音が困難もあり。 その独特な形状がかもし出す雰囲気と、分厚い頭部管から出てくるメローな響き。 バロック初期のスリーピース・トラベルソを、あなたも手元に1本置きたくなりませんか・・・ 【コピー】 材質: 欧州黄楊 European boxwood イミテーション象牙マウント 真鍮製のキー No.0628 A=(410〜)415Hz 【オリジナル】 所蔵: ボストン美術館 #17.1846 製作: Chevalier c.1700 楽器: フルート・トラベルソ 黄楊 boxwood 全長694o 真鍮製のキー A=410Hz あたりか 【関連記事】 ●主要寸法データ:「アマチュア楽器メーカー」→文献集 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
ちょっとお聞きしたいのですが。 |
チッチの父 2006/07/15 19:00 |
●チッチの父さまのHPで、5種類のパイプの記事を、本日拝見したところでした。スピネットのほか、ポルタティーブオルガンまで製作されるとは、意欲的で、感心させられます。 |
woodwind 図書館長 2006/07/15 20:53 |
●本文、一部改版:2006/7/17 |
woodwind 図書館長 2006/07/17 18:47 |
情報有り難うございました。 |
チッチの父 2006/07/17 23:19 |
●早速のブログの記事の掲載は拝見しました。次々の制作意欲には感心させられます。 |
wppdwind 図書館長 2006/07/18 07:53 |
3本継ぎの性能が向上したとのこと、ちょっと興味でてきました。 |
オーボエ好き 2006/07/19 10:59 |
●オーボエ好きさん、反動からバッハの作品に取り掛かり落着いてよかったですね。ただ、バッハのトリオソナタをトラベルソで演奏するのは難曲中の難曲ではないでしょうか。そのあとのb系のソナタも簡単ではないですよね。クロスフィンガリングの持つ音色を楽しんでおられる様子。いいですね。 |
woodwind 図書館長 2006/07/19 19:54 |
☆bが問題ではなかったのです^^それは問題にするに値しない。臆してもなお手を出す事が肝要かと思いました!(ずっと若い人から学んだのです!) |
オーボエ好き 2006/07/19 22:25 |
●オーボエ好きさんは、呼吸法のマスターとか、困難なパッセージの演奏を克服されているご様子。たいそう、うらやましいです。まあ、わたしは、演奏より楽器つくりの方に回っていますが。 |
woodwind 図書館長 2006/07/20 18:22 |
☆「自分を打ち震えさせる、心底自分を感動させる演奏をする」というのが僕の目指すところですが、他人からフィードバックがあればより良いことはおっしゃる通りと思います。良いフィードバックをくれる人物はかけがえのない存在です。 |
オーボエ好き 2006/07/22 09:50 |
●オーボエ好きさんのお考えが少しづつ分かって来たように思います。うらやましいのは、わたしは演奏が不得手で、オーボエ好きさんは得意ということ。 |
woodwind 図書館長 2006/07/22 10:37 |
☆woodwind様の”心を動かすような感動を与える演奏(仮に上手くなくとも)”これが自分自身に対してできれば、泣きじゃくって吹けなくなるかもしれません。 |
オーボエ好き 2006/07/22 23:15 |
●やはり、オーボエ好きさんは、心底自身を感動させることに主眼がありそうですね。その自身へ向うエネルギーのすごさを感じます。 |
woodwind 図書館長 2006/07/23 09:07 |
●本文、一部改版:2006/7/29 |
woodwind 図書館長 2006/07/29 19:27 |
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