![]() リコーダーのボア(内径)は、全体として先に行くほど狭まるテーパーをなしています。 頭部管もしかり。 息を吹き込むくちばしの端が最も広く、息が上下に分かれるエッジの部分に向かって狭まり、そのあとソケットに向いほぼ一定。 リコーダーつくりの要点が、頭部管にあることを述べました。 (→こちらを参照) 今回は、まず頭部管のテーパーとウィンドウェイの形状を見てゆきましょう: ●Stage1: ウィンドウェイのリーミング テーパーが狭まるにつれ、ウィンドウェイ(チャネル)の横幅が徐々に狭まるのが普通です。 この記事では、モデルのリコーダーが、徐々に狭まるテーパーではなく、2段階にて絞られる擬似テーパーを持ち、それに従ってつくってゆきます。 頭部管のソケットから北(くちばし)側へ伸びる主ボアの内径は、18.15o。 一方、くちばし先端では 19.65mm。 階段状のボアの継ぎ目は、開いた窓の北の端。 挿入するブロック(栓)の下端に当たります。 ウィンドウェイに吹き込まれた息が、この点から、エッジに向って押し出されます。 フォト奥は、階段状ボアの広い側の内径 19.65o を自在リーマでに拡げているところ。 それ以前の工程で、主ボアの内径 18.15o にリーミングが完了しています。 フォト手前は、コピー対象の元のリコーダー。 様子がわかるように、途中までブロックを引き抜いています。 自在リーマで拡げるボアの径 19.65o は、この筒状ブロックの直径と等しく、階段状の擬似テーパーでは、ブロックは円筒となっています。 ただし、ブロック断面は、単純な円ではなく、上に突き出る平坦部を持つ独特の形。 通常のテーパーであれ、擬似テーパーであれ、対応するブロックをはめ込みます。 差異が現れるのは、ウィンドウェイの形状。 ウィンドウェイは、ブロックの突き出た天井部分と、くちばし本体に掘られた溝の底部および側面から構成されるチャネルのこと。 チャネル断面は、天井部と溝底部、溝両側面で囲まれた長方形、あるいはアーチ型と呼ばれる曲がった長方形です。 リコーダーのモデルにより異なります。 テーパーを持つものでは、天井と底部の横幅が、エッジに向かい徐々に狭まります。 チャネル幅が絞り込まれながら、エッジに息が当たることとなります。 今回の階段状擬似テーパーでは、チャネル幅は絞込まれず、ストレートな息となります。 チャネルの構造を決める要素としては、横幅のほかに天井と溝底部の高さがあります。 天井と底部の高さは、一定のものもあれば、くちばし先端からエッジに向かい狭くなるテーパーを持つものもあります。 さらに天井部も、底部も凹凸を持つものもあります。 チャネルの立体構造は、断面がアーチ型か、高さにテーパーがあるか、天井や底部に凹凸があるか、横幅に絞込みテーパーがあるか、など種々のパラメータを持つことがわかります。 単純なチャネル構造として、長方形・ストレート幅・一定高さのものは、つくり易く、廉価なリコーダーに採用されています。 これに対して、バロック時代の名器と言われるリコーダーのチャネルを詳細に計測すると、断面アーチ、横幅、天井そして底部のそれぞれが、微妙なカーブを描きます。 独特な固有のチャネル形状により、吹き込まれる息の流れ具合が変わり、音色を左右する重要なパラメータのひとつとなります。 リコーダーの名器を精密に復元(複製)し、すばらしい音色と吹奏感とを手に入れる難しさがここにあります・・ 【関連記事】 青字クリックで記事へジャンプします。 ●自在リーマ:自由自在・ユックリズムでゆきましょう ●リコーダつくりの要点は、頭部管にあり |
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リコーダーって難しいですね。なにしろオルガンのパイプと違ってすべての音域を、一つの歌口でカバーするわけでうからね。 |
チッチの父 2006/07/31 21:19 |
●イヤー、とっても良い楽器製作専用サイトを立ち上げられましたね。ポルタティーブオルガンもそのうち、内容が充実されることと思います。 |
woodwind 図書館長 2006/07/31 22:28 |
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