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zoom RSS リコーダー頭部管は、独特で微妙な構造をしています

<<   作成日時 : 2006/09/03 17:12   >>

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画像リコーダーの音出しは、とても簡単。

では、その発音機構はどのようになっているのでしょう。

詳しく、構造を調べてみましょう。

フォトは、一例のモデルについて、寸法を含めた関連部分の図を示しています。

フォトをクリックし、現れた新しいウィンドウを最大にしてご覧ください。 

●頭部管断面構造【図A】

頭部管の、口にくわえて息を吹き込む「くちばし」近辺の構造の断面を示します。

頭部管本体は、この例では、内径(ボア)18.15oに対して、ブロック(栓)の入る部分の内径19.65oの、2段階の擬似テーパーにボアが加工されています。

ブロックの入る内径19.65oは、図では点線で描かれた仮想部分。 ブロックの天井は、このボアより低く、左側にあるエッジの下部とほぼ等しい高さにあります。

ブロック天井と、頭部管本体のウィンドウェイ底との隙間は、チャネルと呼ばれます。 チャネルの高さ(厚みは)場所により異なります。

エッジの断面は、三角状に尖っていますが、鋭利ではなく少しの厚み(0.2o〜)を持ちます。

チャネルのエッジ側の最右端は、本体およびブロックとも角度45°に面が取られます。 その量は微妙で、リコーダーにより異なります。

●頭部管上面構造【図B】

上部から見ると、トラベルソの歌口に相当する窓があけられます。 窓の右端は、エッジ先端に当たります。 エッジ先端の厚さ0.2o〜に至るまで、外部は削り込まれます。 この部分をランプと称します。

チャネル断面がアーチ型のモデルでは、エッジもアーチ型。 このときランプも平らでなく、アーチ型をつくりだす凸面に削ります。

●ブロック構造の概観【図C】

ブロックの基本は、円筒型の上に突出部を持つ、複雑な構造をしています。 突出部の天井は、チャネルの底にあたります。 天井部も、アーチ型ウィンドウェイの場合は、凸面となっています。

天井までの高さは、エッジ寄りで19.1o。 ブロックの円筒部の径の19.65oより小さい値を持ちます。 この高さは、場所により異なります。

天井の幅方向は、チャネルの幅となります。 このモデルでは円筒部の径と同様、幅は一定です。 一般には、くちばし寄りに広がるテーパーとなっています。
 
●チャネル構造の断面モデル【図D】

図は、誇張してありますが、本体のウィンドウェイの底(チャネルの天井)側は、平らでなくエッジ側から、1/3あたりが凹んだ曲線となっています。 その量も、微小です。

同様に、ブロックの天井(チャネルの底)も平らでなく、チャネル天井と対称的に凹んでいます。

図の左からチャネルに吹き込まれた息は、凹部の部分で空間が広がり、そのあと絞られる形となってエッジに向います。

エッジ先端は、名刺ほどの厚さ(0.2o〜)で斜め上に向って広がり、当てられた息は、上側に分かれることとなります。

エッジの下側は、ブロック天井の高さと等しいか、ほんの少し高い位置にあります。

●アーチ型ウィンドウェイ断面【図E】

ウィンドウェイ(チャネル)断面は、長方形のほか、このモデルのようにアーチを描くものがあります。

くちばしの先端側から、チャネルを覗きましょう。 反対側から光も入り、その様子は図のように平行なアーチ曲線が幾本か見えます。 下から順に:

@ブロック天井(チャネル底)の表面
Aエッジ先端のうすい部分の下部面
Bエッジ先端のうすい部分の上部面
Cウィンドウェイ溝の底(チャネル天井)の表面

ウィンドウェイ溝掘り、ブロック天井削り、エッジ削りの工程では、この図のようになるよう、各作業を進めることとなります。

●エッジ削除部分の詳細【図F】

エッジ先端の下部は、元々本体のボア(内径)18.15oの真円から、不要部分を削除してつくります。 アーチ型エッジの曲率半径は、元のボアより大きいく、両サイドを削ります。

削りには、ブローチあるいはそれに代わるヤスリ等で慎重に削ります。


これらウィンドウェイとエッジの寸法関係により、吹き込まれた息が微妙な空気の流れとなり、エッジに当たります。

空気の流れがエッジで2分されるとき生ずる変化により定在波が生じ、独特の音色となって発音されます・・


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
オルガンの木管作りが、お盆休に以降進んでいませんが
ちょっと気になることが御座います。
私が今作っているDiapasonタイプの、リコーダーでいう、ブロック天井面と、エッジの下端のラインが、構造上、同一面です。一方チャンネル天井面が、大きくドーム状になっています。自分でも、作りながら、「リコーダーだと、こうじゃないのにな〜」と思いながら作業しています。オルガンの木管は、私の手持ちの資料ですと、大なり小なり、この構造です。
リコーダーに似た木管も試しに作ってみようかとも思っていますが、音にどんな違いが出てくるものなのでしょう?
チッチの父
2006/09/08 10:32
●チッチの父さま、こんにちは。ポルタティーブオルガンの各製作過程を拝見させていただいております。さすがに、木工加工技術レベルの高いことが読取れ、すばらしいですね。
●各種タイプで音色が大きく異なるとのこと。今おつくりのDiapasonタイプは、フルートに似た音ではと想像します。
●大きなドームの件。リコーダーでは、奏者の口蓋がドームに相当すると考えられませんか?ドームは送風管からのふいごの息の圧力の乱れを、「一旦吸収」し、細いチャネルを通し上唇に向うのではないのでしょうか。リコーダーでは、口蓋に息を溜め、息圧調整が可能。その後、チャネル隙間からベルヌーイの法則で、早くなった息が出ると思います。また奏者の演奏表現は、口蓋ですこし行える。
●リコーダー管は逆テーパー管ですが、やはり近い音がする気がします。製作、楽しみにさせていただきます。
woodwind 図書館長
2006/09/09 09:19
すみません、もう一つ・・・・
Diapasonタイプは確かに、倍音の少ないフルート系の音です。
エッジの角度(先端の面取りが同じとして)なのですが、例えば水平角が
10度と15度では、音色がどのように変化するのでしょう?
チッチの父
2006/09/10 21:09
●残念ですが、わたしは答えを持っていません。
●文献集に載せました「音楽の物理学」にオルガンの発音原理がありますが、その中から、少しでも関連するものを取り上げます。
●エオルス音p.160:空気の渦が障害物の両側で交互にできるときの振動数は、障害物の幅に反比例します。これから、単に最初に発生する音は、15度の方が引くなります。ただし、実際のオルガンの筒の長さで決まる共振周波数で響くでしょうから、10度との差は、隠れてしまうと思います。
●エッジ音p.161:隙間とエッジまでの距離により、空気の渦の出来具合が異なります。このとき、エッジの角度が、とても大きなものだとすると、あきらかにその影響度合いが変わってくると思います。しかし、実際に音を出しやすいエッジの角度はある程度小さいものですから、10と15度での差異は、おそらく、エッジまでの距離が長くなる方向でしょうか。わずかに音が下がる方向ではないでしょうか?実験が必要かもしれません・・。
woodwind 図書館長
2006/09/12 19:43
有り難うございました。
Milne著の「Small Organ・・・」の本には、エッジの角度の事についての言及が無く、歌口の幅と立ち上がり(木管を縦に見て)の寸法が、ほぼ同じ、となっていて、木管
の大きさに応じて相似形にすべき、と書いています。
これですと、管の板厚が同じとすると(音域が広いときは勿論、低音部は板厚)高音部に行くに従って、エッジの角度がどんどんきつくなっていくのです。
でも、ネットで、色々、木管の写真を比較してみると、なかには、高音部に行くに従って、
歌口と立ち上がりの比率が段々大きく(細長く)なっているのも見られますので、作り手によって、様々なようです。ということは、さほど影響が無いのかもしれませんし・・・
私が試作したときも、エッジの角度の僅かな差は、私自身、区別がつきませんでしたけど・・・
チッチの父
2006/09/16 11:54
●わずかな差はつかないのは、音(色)を決める要素が、歌口だけでないからでしょう。エッジで発する、源音に対し、木管で決まる低在波で鳴る訳ですから、元の源の差が現れにくいと想像します。
●同一厚さなら、高音に行くに従って、角度がきつくなりますね。角度を一定にすると、立ち上がりを長くする必要がありますね。 そこまですると、今度は、エッジまでの距離が長くなるため、発音モードが異なる気がします。
●いずれにせよ、6オクターブにもわたるオルガンでないのであれば、それほど高低の差は気になさらずに、つくり進められてはどうでしょう。そのあとで、次は、Diaprson以外のもの差異を楽しまれるとかいかがでしょう・・・
woodwind 図書館長
2006/09/16 15:04

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