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zoom RSS 黄楊の着色は、やはり易しくはありません

<<   作成日時 : 2006/11/26 13:06   >>

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画像楽器のつくり方 (68) 2006/11/26

バロック時代の木管楽器には、フルート・トラベルソ、バロックオーボエ、ファゴットなどがあります。

これら木管の材質として、木肌が白っぽい黄楊とか楓(メープル)が多用されました。

重厚に見せるためでしょうか、酸(硝酸)による着色が施されたものが多く現存しています。

黄楊や楓は硬材で、緻密で硬く、とくに黄楊は着色剤が十分染みません。

これらの材に、各種の着色剤を施した結果は、→この記事を参照ください。

着色に関する、わたしの好みとしては、現存するオリジナル楽器の中で、ロッテンブルク(G.A.Rottenburgh)があります。 赤みが掛かった栗色で、まだらの濃淡が見られます。

硝酸の塗り重ね度合いで、まだら模様にしていると想像します。

現代の製作家の中には、まず「墨汁」でまだらに塗った後、旋盤にて薄く表面を削り、その後で硝酸で仕上げ、上手い具合にまだら模様を得ている人もいます。

硝酸は、とても危険な薬品です。 これを使わない方法として、日本古来の天然染色剤である柿渋ではどうなるか試みました。

フォトは、着色の度合いを比較したもので、材質は何れも、欧州黄楊。
(フォトをクリックし拡大してご覧ください。)

●左(硝酸): 英国の製作家のウェルズ(Charles Wells)氏の作品で、みごとな赤みがかった栗色をしています。

●中央(水性の着色剤): 栗色の着色剤を、故意にまだら模様とすべく、筆で何度も塗り重ね濃淡を出しています。

●右(柿渋): 塗り重ねの効果を見るために4段階の実験をしました。 指穴1までは、6回、指穴2までは4回、指穴3までは2回塗り重ね、それ以降、端までは無着色。

結果として、柿渋は、黄楊には上手く仕上がらないことが分かりました。 黄楊の木目模様に沿って、やや濃く仕上がる程度ですが、見た目には美しい着色にはなりません。

水性の着色剤の塗り重ねは、フォトでは分かりにくいですが、表面が凸凹となります。 また、硝酸の持つ独特の仕上がりに近づけることは、やはり容易ではありません。

もう少し、他の着色法を探してみる必要がありそうです・・・・。


【関連記事】  青字クリックでその記事にジャンプします。

黄楊を着色するのは、それほど容易ではありません



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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
館長さん
こんばんは。
柿渋がきれいに仕上がらないというのは、写真のように
ちょっとマダラになってしまうという意味でしょうか。
私、楓のフレームドラムによく柿渋を塗りますが、
タンポで素早くやるときれいに仕上がります。
自分は黄楊を知りません。もしかしたらまた質が違うの
かも知れませんね。
油分が多いとか・・・?
まるな
2006/12/05 00:03
まるなさん、こんばんは。
●楓で上手く行くとのこと。わたしの、別の記事の実験では、北米産のハード・メープルで試していますが、黄楊よりたしかに少しはいいですが、問題ないとまでは行きません。
●仕上げに、関係しているかもしれません。木管の表面ですが、#200〜400程度のサンドペーパーでなく、#2000以上で磨きます。最高では#12000番。そうすると、細かな削りくずで、目を埋めてしまうのでしょうか。つるつるの状態で、柿渋を塗っても、あまりしみ込んだ感じがしないのです。
●普通、着色などは、木材の表面が粗いと直感的には上手く行く気がします。松(パイン)や杉、檜など針葉樹(軟材)では上手く行きそう。しかし、欧州黄楊は、きわめて緻密な広葉樹(硬材)で、おそらく、導管の大きさや密度による気もします。
●油分による効果もあるでしょうが、欧州黄楊は油分はないほうと思います・・・・はてさて、いかがなものでしょうか?
woodwind 図書館長
2006/12/05 20:18
館長さん、こんにちは。
うーーん、なるほど。。 ちょっと考え込んでしまいました。
例えば端材で実験をしてみたらどうでしょう?思いつくまま…
1)柿渋の濃さを水で少し薄めてみる。
2)または濃い目の柿渋を使う。
3)柿渋を塗る前に表面をエタノールなどで拭いて
  油分を完全に取る。
4)柿渋を塗る前に一度、水分を与えて表面を毛羽立たせる。
5)柿渋着色する前にとの粉仕がけをする。これは荒井さんというギター職人の方に教わったのですが、細かい水ペーパーにエタノールを付けてペーパーがけをすると、その材自らのとの粉がけになります。
6)ペーパーがけを少し荒めで終える〜は無理かな。着色後に木目立てで艶出し、と想ったのですが。
着色はタンポでされてますか? 
まるな
2006/12/08 13:59
まるなさん、こんばんは。
●う〜む。柿渋で4倍ぐらい濃いものも市販されています。これでたますべきかな〜。
●もし油分なら、アルコールで拭くことは意味がありますが、それはどうか・・
●との粉方式は、わたしの細かなペーパーがけでできていると思います。
●タンポではありませんが、面棒やティッシュ折りで行っています。
●もう少し、端材で試みますが、おそらくまるなさんの、2)と4)が効果的かもしれません。
●ところで、フレームドラムに柿渋を塗った後ですが、濃淡がなく、均一に着色できているのでしょうか?興味あるところです。
woodwind 図書館長
2006/12/09 00:10
館長さん、こんばんは。
◆楓のフレームに塗る時は均一な仕上がりになりますよ。
ただ、自分はあまり濃色にはしませんが。
◆柿渋は古くなればどんどん濃くなっていきますね。
あまり、長年置いておくと分離してしまいますが…。
◆私は塗料屋さんで昔ながらの一升瓶の物を買うので、
ハンズなどにある、濃さの違う商品は良く知りません。
ただ、水で薄めればよいのでは?と想ってしまいますが。
◆あと、そこそこ熟成した柿渋なら、塗った後、月日と共に
どんどん色が濃くなっていきますよね。だから塗った
直後では厳密には最終的な色はまだ判りません。
上からニス等を塗って酸素を遮断してしまえばそれ以上は濃くなりませんが。
まるな
2006/12/09 02:35
まるなさん、こんいちは。
●均一な塗りが実現できているとのこと。わたしも、トライする価値がありそうです。
●日本古来の染色剤としての柿渋ですが、同時に、種々の染料(顔料)も売っていますよね。こちらの方は、亜麻仁油とか、桐油とかに混ぜて色をつけるように思いますが、上手く行くものかどうか分かりません。
●トラベルソでは、歌口を直接唇で当てますので、人体に害のないように気遣っています。
●柿渋は酸素が当たると、さらに醗酵するのか、日光に当たり色素に影響するもでしょうか、だんだんと色が濃くなりますよね。その場合、どれくらい濃くなるものか?黄楊の木目も見えないくらいにも濃くなるものでしょうか。そのことを自体を期待しているのではなく、あくまでも着色しながらも木目は残すのがわたしの狙うところです。
woodwind 図書館長
2006/12/10 12:14
館長さん、こんにちは。
●種々の顔料とは、どんなものでしょう?日本画材かな。
●柿渋はどの程度濃く変化するか?、というのは
私の経験では、柿渋の質や古さで相当の差があるので
今、お持ちの物で実験するしかない様な気がします。
日光での変化も多少あるような気がしますが、実際それは
あったとしてもコントロールしにくいものなので、自分は
乾かす時、日向は避けます。
まるな
2006/12/12 15:23
まるなさん、こんにちは。
●種々の顔料ですが、わたしの購入した柿渋の販売店の同じ棚で売られているのをWebで見ますと、天然の粉末顔料として、「顔力」、「弁柄」などがあります。日本画材と思います。これらは、柿渋、あるいは亜麻仁油に混ざるものだそうで、それならば使えるかもしれません。
●柿渋は、通常のものと、濃いものの2種類があり、通常のものを購入したのですが、まるなさんの購入される一升瓶入りのものが、どの程度濃いものかは、比較のしようがありません。
●「天然の無害」ということがわたしには意味があり、各種顔力を混ぜて、目的の色も出せそうです。試みてみる価値はありそうです。
●洋画の油絵に使うのは、確か、亜麻仁油。これに何かしらの顔料を混ぜたものが、各種絵の具だと思います。
woodwind 図書館長
2006/12/16 12:51

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