楽器の書棚 (22) 2007/2/25トラベルソなど、バロック木管のピッチは、国・地域でさまざまでした。 中でも、豪華絢爛で栄華を極めたフランスのベルサイユ宮廷にて演奏された音楽は、そのピッチが低いものでした。 国王ルイ14世は音楽を愛し、その趣味に合わせ、宮廷楽団を抱えていたようです、 ピッチは低めで、A=390〜405Hzあたり。 その他の地域の中庸のA=410〜420Hzのものに比較すると約半音の差があります。 (ちなみにモダンピッチA=440〜442Hzとは全音の差) 現在のバロック音楽は、当時のオリジナル楽器のほかに、それらを元に設計し直したA=415Hzのコピー楽器で演奏されることが通常行われています。 この半ば標準化されたA=415Hzのバロックピッチに対して、主としてフランス・バロック音楽に対しては、半ば標準としてのA=392Hzに設計し直されたコピー楽器を用いて演奏されます。 この約半音の差異が聴くもの、あるいは演奏するものへ与える影響は大きなものがあります。 わずか半音ですが、とてもやわらかく落着いた響きを持ちます。 当時の、ベルサイユ音楽を支えていた、木管製作・演奏家にオトテール一族があり、中でもオトテール・ル・マンと呼ばれたJ.M.オトテールは、教則本も書いています。 当時のフルート・トラベルソは3分割でした(→ここを参照)。 オトテールのほか、18世紀前半のパリにおけるフルート製作家には、ノースがおり、その頃トラベルソも4分割となりました。 その後継者としてデレラブレ、さらにその工房を引き継いだのが、トーマ・ロット。 デレラブレの時代からの王室御用達も継承し、その後18世紀後半、バロックからクラシカルへの移行期間まで、優れたトラベルソをつくりました。 フォトは、そのトーマ・ロットのベルサイユピッチの替え管を持つトラベルソを復元したもの。 実物は、オックスフォード大学のベート・コレクションにありますが、替え管はA=396〜425Hzまで、4本現存します。 ロットは、刻印として斜字体の T.Lot の下にライオンのマークを入れ、上管にはその下に何番目の替え管かを示す小さな点をその数だけ入れています。 例えば、三番目では、ドットが3つ。 ところが、最も高いピッチの四番目A=425Hzの替え管は、あきらかに二番目A=407Hzの替え管の両端を削り、短くした跡が伺えます。 四番目にはドットがありません。 替え管は一番から三番まであったものが、後の時代の要請のためか四番目以降が必要になり、つくりかけの二番目に手を加えたと考えられます。 これ考えると、18世紀前半でのベルサイユピッチである一番目のA=396Hzを主体に、徐々に高くなってきたピッチ対応に、短い替え管が用意されたと思われます。 替え管によるピッチ替えは、長さの異なる上管によります。 一方、下管は共通にただ一本用意されただけ。 上管と下管(+足管)の組合せにより、最も豊かな響きや正しいピッチを持つ組合せがあり、それ以外は少し妥協をしているのです。 ロットの楽器では、A=396〜407Hzを基本とするようで、下管が長いことで分かります。 フォトは、A=392Hzにてつくったもの。 柔らかい落着いた音がします。 とくに材質のエボニーが影響しているのか、少ししっとり感も加わります。 現代の愛好家の中には、1本でベルサイユピッチ(A=392Hz)から、クラシカルピッチ(A=430Hz)までカバーするトラベルソができないだろうかと考えたりします。 フォト手前は、そのために設計し試作した五番目と言うべきA=430Hz用の替え管。 四番目のA=425Hzより高く、管はますます短かくなり、A=392Hzに比べると48mmもの差があります。 下管と勘合される南側で、指穴3の位置が下管にくっ付きそうなのが見えます。(フォトをクリックし、拡大してご覧ください) 実際、左手薬指の先が、下管の(人工)象牙部分に当たりました。 A=430Hz替え管の試みの結果は、どうなったでしょう。 やはり少し無理があるようで、第二オクターブにてピッチが高めとなる音があるほか、第三オクターブで発音が困難な音(Fなど)が出てきます。 現代、フランスものの演奏にはA=392Hzの専用トラベルソを用い、また替え管もバロックピッチA=415Hzどまりとすることが現実的と思われます。 【コピー】 材質: エボニー African ebony イミテーション象牙リング 洋白銀製のキー No.0212 A=392Hz (手前は、試作のA=430Hz用替え管) 【オリジナル】 所蔵: オックスフォード大学 音楽学部 ベイトコレクション #1139 製作: トーマス(トーマ)・ロット Thomas Lot パリ 1750頃 楽器: フルート・トラベルソ 黄楊 boxwood 象牙リング 銀製のキー 換え管が現存 A=396/407/419/425Hz 全長668mm(A=396Hz) 【関連記事】 青字クリックで、記事にジャンプします。 ●オトテール型のバロックフルートをご存知でしょうか ●黄楊のT.Lotトラベルソのオリジナルの音色はいかに ●材質によってトラベルソの音色は変わるのですか ●木目も鮮やかなトラベルソはフランス宮廷の香り ●連載トラベルソ:完成したバロックの風格 ●バロック/クラシカル/モダンピッチのトラベルソを揃える楽しみ |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
★Lotにはこの頃急に関心が強くなっています。4本目の替え管の件貴重なお話をありがとうございました。 |
オーボエ好き 2007/02/26 20:17 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/03/01 21:39 |
★QuantzとLotの内径をグラフで比較してみてLotに感心を抱く様になったのです。フランスのトラベルソとドイツのトラベルソの違いを体験してみたいというところです。KirstとQuantzよりQuantzとLotの方がボアプロファイルが似ています!! |
オーボエ好き 2007/03/02 21:18 |
●クヴァンツの頭部管の内径はずいぶん大きかったと記憶します。ロットも大きいです。でもロットは、ベルサイユピッチを出す替え管があり、その内径は、頭部管の円筒形を(径はそれより小さいが)引き伸ばした形になっています。 |
woodwind 図書館長 2007/03/02 23:13 |
こちらにもお邪魔します。 |
わたにゃん 2007/12/13 11:14 |
少し、脱線するかも知れませんが、 |
わたにゃん 2007/12/13 13:53 |
わたにゃんさん、こちらへもようこそ。 |
woodwind 図書館長 2007/12/13 21:15 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2007/12/14 13:22 |
こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/14 23:54 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2007/12/15 00:40 |
わたにゃんさん、お早うございます。 |
woodwind 図書館長 2007/12/15 10:24 |
こんばんは。 |
わたにゃん(男の仔) 2007/12/16 00:46 |
こんにちは、わたにゃん(男の仔)さん。長くなるので、(男の仔)の部分なしでゆきましょう。(女の仔)とは容易に区別が付くでようから。 |
woodwind 図書館長 2007/12/16 16:21 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2007/12/17 16:31 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/19 22:10 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2007/12/19 22:25 |
わたにゃんさん、こんにちは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/23 13:17 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/04/18 12:33 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/04/18 23:29 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/04/21 00:12 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/04/29 21:12 |
わたにゃんさん、こんばん。 |
woodwind 図書館長 2008/04/29 21:48 |
また、こんばんは。 |
わたにゃん 2008/04/29 22:52 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/05/07 10:34 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/05/07 22:18 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/05/10 21:04 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/05/10 21:58 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/05/11 21:52 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/05/12 21:13 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/05/13 17:08 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/05/20 22:54 |
ピッチは、チュゥナァで調べたところ、 |
わたにゃん 2008/05/20 22:58 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/05/21 00:01 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/06/18 13:13 |
それから、ジャクリーヌ・ソレルさんのアルト・リコォダァ、 |
わたにゃん 2008/06/18 13:13 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/06/20 22:51 |
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