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zoom RSS バロック木管の木材の鋸引きは骨が折れます

<<   作成日時 : 2007/05/03 16:27   >>

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画像楽器のつくり方 (74) 2007/5/3

バロック木管つくりは、とても楽しいものです。

素材として、緻密で硬い木(硬材)が適しています。 硬材には、どのようなものがあるでしょう。

決まって広葉樹の種。 具体的な材木の紹介と入手法について、→こちらに記しました。 また、いくつかの材の評価について、→こちらで取り上げました。

これら硬材は、どのように木管に適する角材に仕上げられるか、その過程を概観してみます。

木は伐採され、製材されます。 国外のもは、製材されたもののほか原木のまま材木業者が輸入。

原木であれば、業者が木取りにあたっての目利きを行い、目的ごとにどのように製材するかを決めます。 テーブルの天板、床柱、敷物用の輪切り、フローリング材、ベニア材、通常の板、角材などさまざま。

製材の後には、自然乾燥あるいは人工乾燥。 このとき、ひび割れが起きぬ工夫がなされます。

この過程を経て、以下示す形状の市販材を購入することとなります。

●丸太: 直径20cmどまり
●半丸太: 直径20cmどまり(→こちらを参照)
●柱材: 辺の長さ10cm程度まで
●板材: 板厚が35/40/45/50mm程度
●角材: 35□/38□/40□/45□/50□mmなど

購入した材は、木管つくりに適するように下加工をします:

●角材: 1.5インチ角(38□mm)が一般的な木管に最も便利。 木工旋盤にて即、丸材に加工できます。(→こちらを参照)
●板材: 厚さによらず、幅は1.5インチ(38mm)の角材にし、その後で丸材に加工。
●柱材: オーボエやクラリネットのベルに使用。 直接丸材にします。
●丸太/半丸太: 1.5インチ〜2.5インチ(63mm)の角材に相当する木取りを行い、鋸引きします。 必ずしも角材である必要はなく、断面がいびつなものでもOK。 その後、丸材に加工。(例は、→こちら

まとめると、木工旋盤による丸材への加工の前段階として、鋸引きが必要となります。 たとえ適する寸法の角材を入手した場合でも、鋸引きは必要。

硬材は、文字通り硬く鋸引きは骨が折れます。 木の種類にもよりますが、これに比べて木工旋盤加工は、容易です。

木管楽器、たとえば4分割のトラベルソであれば、頭部管、上管、下管、足管の各部の寸法にマージンを加えた長さに切断するため鋸引きを行います。 (→こちらを参照)

鋸引きには、手で行うほか、電動鋸の類を用いる方法があります。

手で行うと、例えば、トラベルソ用に角材を4箇所切断するだけで、ゆうに30分はかかります。 それほどまで、黄楊やローズウッドなどの硬材は硬く、鋸引きは楽ではありません。

ところで、手持ちノコには、「縦引き」用と「横引き」用があるのをご存知でしょうか。

針葉樹、なかでも軟材を切るとき、木目に沿って縦に切るときに「縦引き」を、木目と直角に切るとき「横引き」を用いますね。 両者の違いは、歯の大きさと、形状。 横引きでは、歯が小さく並んでいます。

木管に適する広葉樹の硬材は、緻密でとても硬いのです。 木理(木の細胞列)が真っ直ぐでなく交錯しているものが多く、縦と横の区別がない均一構造。 縦に切ろうが横に切ろうが同じ。 この硬材に対しては、横引きノコが適しています。

フォト左端は、硬材の例として、欧州黄楊の半丸太を手で鋸引きしたもの。 その右どなりは、キング・ウッド板材を購入する際、業者に依頼して2つに縦切りしてもらったもの。

さらに、フォトの右隣の順に、切断用の手動ノコ、および電動ノコを示します。

●西洋ノコ(スウェーデン製): 歯の数は、15個/インチ。 歯は前後方向に対称。 押しても引いても切れます。
●高速ノコ(日本製): 歯の数は、16個/インチ。 引くときに力を入れます。
●電動ノコ(米国製): 歯を取り替えられ、また歯の取り付け方向を90度変えられます。 手動ノコのように押したり引いたりするほか、歯を付け替え、さらに90度変えていわゆるジグソーに、また鉄ノコにもなります。 ただ、歯は大きめ(11個/インチ)で、柔らかい木(軟材)用。

わたしは、もっぱら手動ノコを用います。 電動ノコの歯は、硬材を扱うのには大き過ぎ。 また真っ直ぐ切るには、コントロールが少し難しく思うからです。 (刃を研ぐ場合でも、意外と手動が電動よりやり易いのと似ています。→こちらを参照)

望ましいことは、業者から材を購入する際、製材加工を依頼して目的の角材を入手すること。

業者は、大型の丸ノコ、バンドソーほか専用の設備を持っており、硬材であっても短時間に切断します。 どうせ、木工旋盤で丸材にするわけですから、表面をきれいにするプレーン処理(かんながけ)を依頼する必要はありません。

とにかく、手による鋸引きは、骨が折れます・・・・ハイ。


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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
僕ももっぱら手で挽いています。
ノコの目立てについては知識も技術もないので、替え刃タイプを使っています。
硬木用のものがあり、縦でも横でも使えるので便利です。
オーボエ好き
2007/05/03 20:08
オーボエ好きさん、こんばんは。 ●替え刃タイプのノコは、最近、ずいぶんと性能の良いものがありそうに思います。ノコは、結構の長さと厚さがないと、厚い板が切れません。最初は、小さくて短く、とても硬材を切れるようなものではありませんでしたが、今や、変え刃といっても、昔ながらの鋸と変わらぬ大きさですね。これなら、目立ても不要ですね。 ●コメントを読んで気づきましたが、挽材のようにノコでは「挽く」が正しいですね。わたしのタイトルや本分の字では、単に「引く」だけで、ノコで挽き割るの意味は出ませんね・・
woodwind 図書館長
2007/05/03 22:52
このところ木の癖が気になります。作った後にソケットが楕円になったり、足部管があっちへ向いたり。。。。
ハードメープル製のオーボエのベルはソケットがなかなか落ち着かず、3月に削ったのですが未だ収縮しています。
そこで変形を二種として製作工程を考えてみたのですが、woodwindさまはどう考えていらっしゃるのでしょうか?
ご教授頂ければ幸いです。

1)木を乾燥させておく間、作る楽器のパーツの寸法に合わせて切断し、乾燥と変形の落ち着きを待つ。
2)丸材にした後、下穴をあけてリーミング。そのままで変形を待ち、再リーミング。数回期間をおいてリーミングし、ボアの変形がおちついてから外径切削。
オーボエ好き
2007/05/17 22:26
オーボエ好きさん、こんばんは。
●答えは決まっています:ただただ乾燥あるのみ10年間。
●二種とも、短期の乾燥材を何とか木をだます方法。無理です。
●長期乾燥が目的で、いかに早く乾燥させるかなら、二種とも正しい。
●パーツ寸法の切断では木口からの乾燥が速まります。ただ木口の蝋処理なしでは割れがおきます。下穴あけ方式は、実際に楽器メーカーが採用している方法。何年間も乾燥させます。いずれも空気の当たる表面から、2〜3cmくらいしか乾燥しにくいことによります。
●30年の乾燥材でも、板材を角材にすると初めて空気に触れた表面が乾き始め暴れます。最初から角材で30年乾燥なら良いのですが・・。
●ハードメープルでも暴れますか?ベルを取るなら65〜70mmの角材で、永年の乾燥が必要。
●暴れるのは、何と言っても黄楊。製材後、購入し数ヶ月での楽器製作では、曲がるは、曲がるは・・。
●原因は、縦に走る繊維が曲がっているのを真っ直ぐ製材するのと、柾目にできず板目になっているため。
woodwind 図書館長
2007/05/17 23:21
ご指導ありがとうございました。
長期間かけて乾燥させるのが最も良い手段なのですね。
そのための方法として活用するとします。

★ハードメープルでも真円に削ったソケットが楕円になっていきます。
これはココボロでも材によって同様です。
ご指摘通り、製材して数ヶ月後の材からさらにベル用に切り出し直ぐ使ってしまいました。
★表面から2−3cm位しか乾燥しにくいとの事。なるべく空気に触れる様にしておくのが良い様ですね。
★黄楊の場合は大胆に曲がるのですね。だから原木から手ノコで木取りするのでしょうね。
★時間のかかる仕事だと改めて思います。
オーボエ好き
2007/05/18 08:40
続きです:
●乾燥を早める方法は人工乾燥。木工旋盤 wood turning の月刊誌は、英国では豊富で、木材の乾燥に関する記事もあります。
●自宅でできる方法が載っています。一人暮らし用の冷蔵庫のようなイメージ。ヒーターとファンをつけます。乾燥させる木材(角材とかカットしたもの)を重ね、まんべんなく温風が当たるように隙間をつくります。
●私自身やったことはありませんが、材木販売店ではkiln dry と言って、part seasoning ものを売っています。人工乾燥で、例えば10倍早くなるなら1年で、30倍早くなるなら3ヶ月で乾燥する計算となります・・。
●ただ、乾燥には十分注意して行わないとひび割れを強要することにも。材の種類で、乾燥のしやすさが違います。ブビンガは kiln dry が利きます。
●一方、黄楊は、日光を避ける注意が必要。グレナディラもココボロも、ゆっくりでないと表面にひび。黒檀は、小さければ乾燥しやすいものの、大きくなると割れ、全面に蝋を塗ります(特に青黒檀)。キングウッドは、油性のため乾燥が遅く、表面にひび、木口の割れが起きます・・
woodwind 図書館長
2007/05/18 22:49
★木の種によって世話の仕方が異なるのですね。
★自宅でも人口乾燥ができるとは!人工乾燥後さらに自然乾燥させるのが良いと聞きます。
★ハードメープルは人工乾燥のものを使っていますが、角材を丸材にしたところ表面がひやっとします。
オーボエ好き
2007/05/19 07:45
オーボエ好きさん、お早うございます。朝早くからコメントいただきました。
●ハードメープルは、ベルが取れるようにもともと寸法の大きな角材を入手され、それをベルのほかに、寸法の小さな上下管用角材に鋸挽きされたのでしょうか。そうだとすると、確かに足管も曲がったりしますね。
●わたしも、トラベルソを足管の方から一直線にあるかどうか見てみると、1998年につくった黄楊製のものですが、頭部管から足管まで、順に曲がっています。とくに頭部管がまがり、これはソケットの内繰りの角度を変えて上管とを真っ直ぐにしました。ところが上管392Hz用が大きく曲がり、そのほかもわずかにあっちこっち・・。
●元々、Bate Collection への寄贈用につくりましたが、材の入手後すぐに製作したのでダメでした。ただ、足管は長さ4インチ(100o)の材(この長さは多数入手できる)を購入。乾燥度合いが異なったのか、それ自体の曲がりは少なかったです。オーボエ好きさんの方法(1)の各パーツごとに乾燥させるのは、とくに足管用は早まりそうですね。
woodwind 図書館長
2007/05/19 10:52
★なるほど!そういえば曲がったクラリネットの画像も拝見しました^^

★今回新たに入手したハードメープルは45角材を上下管用に、80角材をベル用に購入しました。このベル材は年輪が細かいです。これはtonewoodです。
★以前購入した建築資材用のハードメープルはファゴットを作れそうなサイズを細かくして上下管用にも木取りしています。年輪は夏目が結構大きいです。woodwind様の上記コメントによるとこちらが曲がりそうですね。
★パーツ毎の乾燥は、海外のtonewood専門木材店siteでそのように木取りされたモダン用の材料を見たからなのです。オランダの女性のリコーダー製作家のsiteでは丸材で下穴を開けた状態で積まれた材料の画像がありました。
オーボエ好き
2007/05/19 21:12
オーボエ好きさん、こんにちは。
●いわゆるtonewoodは、バイオリン(やギター)のサイドと裏板など専門材ですよね。とくにバイオリンの裏板用は、真ん中で合わさる2枚の隣合わせで木取りしたもの。figured maple の横縞の杢目の美しいものは、見ていても気持ちがいいですね。
●わたしのファゴット用のイタヤカエデですが、横縞でなく変わった杢目が美しく、乾燥中。・・いまだに、つくり方のアイデアは未完成。
●オランダのリコーダー製作家ばかりか、大手の楽器メーカー、とくにモダンオーボエでは、グレナディラを丸材にしガイド穴をあけた材をうず高く棚に積み上げているフォトを多く見かけます。完成オーボエの価格を考えると、ゆうに1億円を超える価値のもの。角材でなく丸材ですから積み上げたとき、互いに隙間があり空気が通りやすいのです。
●わたしの場合は、つくるものが種々あり、パーツ切り出し乾燥方式もあるものの、一般的に、長いものは1mくらいの角材のまま乾燥させています。
woodwind 図書館長
2007/05/20 12:34

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