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zoom RSS バロック木管の木材:暴れるだけ暴れさせます

<<   作成日時 : 2007/05/26 20:31   >>

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画像楽器のつくり方 (76) 2007/5/26

木には、乾燥が欠かせません(→こちらを参照)。

十分な乾燥をさせずに木管楽器をつくると、後になって徐々に変形します。

丸いはずの管が楕円になったり、真っ直ぐな管が曲がります(→こちらを参照)。

変形度合いは、木の種類による乾燥の速さばかりか、木取りにも大きく関係します。

木は伐採され、枝を刈られ、丸太の原木にて自然乾燥されます。 原木から、柱、テーブル天板、ギターの表裏イタ、板材、角材などに最も適するよう、目利きをして木取りを行います。

柱では、芯(木の年輪の中心)持ちにするとか、芯を外して貴重な四方柾目(四つの面が全て柾目:縦に走る平行線の木目)を取るとか。 残った端材を薄い板や細い角材に製材します。

柱以外では、一般に板状の挽材にします。 そして細木で隙間をあけ、重ねて自然乾燥を続けます。 乾燥が速く進む木口には、急激な乾燥を抑える蝋を塗ります。

バロック木管楽器では、オーボエ、トラベルソ、クラリネット、リコーダー用に1-1/4インチ(32o)〜1-1/2インチ(38o)の角材が適します。

リコーダーの場合は、さらに頭部管と足管用として1-3/4インチ(45o)〜2インチ(50o)が、またクラリネットやオーボエのベルには、2-1/2インチ(63o)〜3インチ(76o)の角材が適します。

したがって、厚さ 35/40/45/50/65/70/75o の板材か、35□/40□/45□/50□/65□/70□/75□の角材を入手することとなります。

板材の場合は、さらに乾燥を続け、後で角材にする方法と、先に角材にし乾燥する方法とがあります。 空気に触れる表面から乾燥させるので、触れる面積が大きいほど適し、後者が良いと言えるでしょう。

木材業者から板材を入手する際に、それまでの乾燥過程と期間を尋ねることが重要。 原木、挽材、板材での乾燥期間を把握できれば、入手後に必要な乾燥期間の目安が得られます。 一般に、自然乾燥で10年。

フォトは、業者から角材でなく板材で入手した4種の材。 乾燥期間でどのくらい変形するか、左から順に見てゆきましょう。

フォトをクリック。 新ウィンドウ中のフォト右下に現れる拡大アイコンをクリック。 拡大すると木口の年輪など、詳細を見ることができます。 

●キングウッド(ブラジル産): 全長720o、乾燥2〜3年

- 購入する際、業者に縦に切断し、角材にしてもらったもの
- 切断し、空気に触れさせ1ヶ月
- 木口の年輪から分かるように、左側は柾目に近く、右側は芯寄り材
- 左側は木理が真っ直ぐ、右側は木理がかなり屈折
- 屈折した右側は、空気に触れると暴れ始め、
   中央では、右側の黄楊に接する方向に湾曲
- 真っ直ぐな左側と、湾曲した右側との間に隙間が見え、その量3.8o
- 屈折量の全長に対する比率: 0.52%

●黄楊(中国産): 全長1060o、乾燥数年

- 木理は、かなり真っ直ぐ
- 板材を購入し、手挽きにより半分に切断して角材を得る予定
- 各所の真ん中に印を付け、鋸挽き用のガイド線を鉛筆書き
- フォトでは、鉛筆書きが右方向にスライス(ゴルフ用語)しています
- 平らな床に置いたとき、浮き上がる屈折量は、3.5o
- 屈折量の全長に対する比率: 0.33% 

●本紫檀(ラオス産): 全長820o、乾燥30年

- 板材ものを購入する際、業者に縦に切断し角材にしてもらった4本の中の2本
- 左右とも木理はやや屈折している
- にもかかわらず、切断し空気に触れ1年経つも、曲がりは極小
- 奥の方でピッタリと木目が合い、手前でごくわずか離れる
- 離れる量は、1o以内
- 屈折量の全長に対する比率: 0.12%以下
- さすがに30年ものと分かる
- ただし、角材4本のうちフォト外で木理が屈折した1本は、
   30年ものと言えど、空気に触れてすぐに暴れた

●黄楊(ミャンマー産): 全長1056o、乾燥数年

- 木理は真っ直ぐ
- 板材を購入し、自分で手挽きで角材に(木口で故意に0.5oずらして撮影)
- 各所の真ん中にガイド線を鉛筆書きし切断:
   たいへん骨が折れました(→こちらを参照)
- 平らな床に置いたとき、浮き上がる屈折量は、1.4o
- 屈折量の全長に対する比率: 0.13%

これらから、目的寸法の乾燥角材を購入するか、板材なら角材にしてから乾燥させるのが良いこと、また、できる限り木理が真っ直ぐで、四面柾目に近いものを入手すると良いことが分かります。

目的の木管モデルを決め、各部の長さに切断したあと丸材加工(→こちら)と、ガイド穴あけ(→こちら)を終えてから乾燥させると、穴あけ丸材の外と内から乾燥するので、期間を短縮できます。

いずれにせよ、乾燥過程で暴れるものは暴れさせます。

作品をつくる際に、再び外形丸削りとリーミングを行い、曲がりを取るようにすると良いでしょう。

バロック木管、たとえばA=392Hzのトラベルソ1本をつくるに必要な材の全長は、780o。 この長さの材から、頭部管、上管、下管、足管へと木目の流れが自然につながるよう、各部に「上」と印をつけて木取りを行う(→こちら)と、各部は同じ方向に揃って曲がります。

十分な乾燥がなく、屈折率0.52%で、長さ780oの材を用いるとどうなるでしょう。 湾曲は、4oにもなり、目で見てすぐ分かるほどです・・・・ 


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
woodwindさまこんにちは。
曲がるものですね。自身のトラベルソでソケットが楕円になったときは”これほどか!!”と驚きました。

キングウッドは興味を持っている材です。乾燥が十分なものが入手出来ないので、すぐ作りたい僕にはまだ手を出せない材です。
オーボエ好き
2007/05/28 13:51
オーボエ好きさん、こんばんは。
●曲がりますねー。ソケットが楕円になったとのこと。250年前のオリジナル楽器で楕円になっているのを見かけましたが、わたし自身はソケットの楕円は経験していません(程度問題ですが・・)。
●キングウッド(ヴァイオレットウッド)は、いいですねー。ただ、どんな木材でも、緻密さはバラバラ。比重もバラバラ。和竿の竹と同様、ぐんぐん伸びるのではなく長い時間かかって生育したものが緻密で楽器には向いていますね。インド・ローズの人工栽培のソノケリンは、見た目は良くても、やはり楽器には荒すぎる。種に依ります。
●したがって、緻密な種で、木理が通り、曲がりにくいものを目で見て探せば、乾燥期間がある程度短くても曲がる可能性を抑えることができそうです・・でも、取り寄せてみないと分からない点が困ります。
●やはり、10年以上倉庫で眠っていたような材を選ぶしかないでしょうか。
woodwind 図書館長
2007/05/28 22:00

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