楽器のつくり方 (88) 2007/12/1オトテール・トラベルソは3分割で、独特のスタイルをしています。 (→こちら) 頭部管、中部管、下管からなる3本継ぎ本体に大きなヘッドキャップと継ぎ手のバレルが付きます。 これまで、人工象牙部分と頭部管を見てきました。 青字クリックで記事を参照できます: ●象牙の足管(フット・ジョイント)つくり ●象牙のヘッド・キャップつくり ●象牙のバレルつくり ●象牙のヘッド・キャップとバレル用のマンドレルつくり ●象牙の磨き ●頭部管つくり(内径) 今回は、木材でつくる部分のうち中部管を見てみましょう。 ●中部管つくり(内径) 加工する視点で頭部管は長いですが、中部管はもっと長いと言えます。 中部管の仕上げの長さは、332o。 マージンを見て、342o。 他の、4分割のトラベルソの上管では、たとえば、トマ・ロット 415Hz 用で、220o。 マージンを入れても 225o ほど。 その差は、117mm にも。 フォトに、中部管の長さを比べました。 真ん中は、中部管用のリーマー。 その左側が、オトテール中部管、そして右側がトマ・ロットの上管。 長さの違いが分かります。 ●オトテール中部管: 材質は、アジア産の黄楊(→こちら)。 12インチ 305mm を超えるこの長さともなると、アジア産の黄楊では確保ができても、欧州黄楊となると、かなり困難と言えます。 欧州黄楊で、この長さを確保するには、丸太あるいは半丸太の材を入手し、歩留まりが悪い中、切り出し方をよく考えて木取りすることとなります。 旋盤上での、ロングドリルによる階段状の穴広げ(→こちらを参照)ですが、300o 長のロングドリルでは、チャックで結わえる部分を除いた有効長は、250o 強。 342mm の材の加工は、片方向からではできません。 フォトに見えるように、材の両端にチャック結わえを施します。 わたしのチャックは、1インチ径のパラレル圧縮型。 長さ10〜13mm ほどの結わえを確保します。 ガイド穴あけ(→こちらはその様子)工程でも、この長さとなると真っ直ぐに進まず、芯がずれることもしばしば。 ずれた状態で、ずれた側の端からのドリル穴広げ工程で工夫が必要となります。 先に、チャック結わえをつくり込むと、同心が確保できず。 ずれた穴を「基本」として、センタ間削り(→こちら)を行い、チャック結わえをつくると同心が確保できます。 工程手順による工夫です。 ロングドリル(→こちら)には、300o のほか 450o のものもあります。 この場合は、ドリルの有効長が 400o 強となり、両端からの穴広げは必要がなく、片方向から行えます。 しかし、この場合は木工旋盤のベッド長が問題。 公称センタ間長 24インチ 610mm (→こちらは概観)では足りません。 材の長さとロングドリルの長さを加えた 750mm を扱える 36インチ 915mm が必要となります。 この意味で、木工旋盤は、「大は小を兼ねる」と言えます。 36インチ、さらに48インチのものを購入すると、テナー・リコーダーや、ファゴットつくりにも対応できそうです。 ただし、加工は、ますます難しくなります。 ガイド穴あけや穴広げで使用するシェル・オーガー(→こちら)やロングドリルは、鋼鉄製ですが長くなると鋼鉄と言えど曲がります。 ドリルチャックから遠く離れた刃先は、硬い木管の素材(硬材)の横から受ける圧力に簡単に屈してしまい、ほんの少しでも中心かららブレると、その方向にしか進めなくなるからです。 内径にピッタリとくっ付き、キーキーと悲鳴を上げ、スタックしたりします。 フォト中央は、オトテール中部管用の手製リーマー(→こちらも参照)。 材は、公称 3o 厚の軟鉄。 長さ510o。 とにかく長い。 軟鉄であっても、材質が柔らかく、加工長が短ければ、この種のリーマーでも加工できます。 しかし、黄楊ほか硬材でかつ加工長が長い場合は、あまり有効とは言えません。 使い方は、中部管を木工バイトで結わえ、取っ手を回すのが一般的ですが、わたしは椅子に座り、取っ手を両足で押さえて刃が天井を向くようにし、材を手持ちで「だましだまし」削ります。 ただ硬材には歯が立たず、ヤスリ加工後の寸法合わせとして用います。 管の内部を見て、リーマーの刃の当たり具合を確かめます。 削ると言っても、仕上げ段階で、内部の表面を平らにする程度に使うのです。 内径(ボア)を削るには、欲張らず、刃渡り 50o 程度の部分リーマー、しかも鋼鉄製のものが実用的と言えるでしょう。 ●トマ・ロット上管: 材質は、本紫檀(→こちらを参照)。 黄楊に比べて長さも確保しやすく、フォトのものも長い角材から切り出したもの。 長さ 225o は、オトテール中部管より短いので、穴拡げ工程なども通常の 300mm のロングドリルで行えます。 しかし内径つくりのリーマー加工において、一挙に刃渡りを確保しようとすると、上手くはゆきません。 フォト右端は、そのリーマーの刃。 取っ手は、中央のものを付け替えて用います。 3o 厚の軟鉄製。 長さ 400mm。 これでも、とても長い。 長すぎます。 以上見てきました、オトテールの中部管。 出来上がった作品を、傍から見るとわずかに長いだけ。 長いか短いかなど、通常意識にも上りません。 しかし、バロック木管をつくる視点からでは、どうでしょう。 ほんの少し長めとなるだけで、旋盤やドリル、リーマーといった冶・工具に与える影響が大きいのです。 専用の木工穿孔旋盤など、中型機器設備を導入する製造業者と違い、家庭で使用する小型木工旋盤や卓上金工旋盤などによる加工では、それなりの工夫が必要となるのです。 逆に言えば、工夫すれば加工ができます。 欲張らない刃渡り、時間が掛かり手順を踏む、やや面倒に思える工程を採用するなど、随所で工夫を凝らすのです。 要は、「時間がかかっても、少しずつつくる」精神。 文献集に載せました、「ミニ旋盤を使いこなす本」(→こちら)から、この精神を学び取りました・・・ 【関連記事】 青字クリックで記事へジャンプします。 ●オトテール型のバロックフルートをご存知でしょうか ●オトテール・トラベルソの総象牙のフット・ジョイント ●太くてま〜るいオトテール・トラベルソのヘッド・キャップ ●左右対称のオトテール・トラベルソのバレル ●双方向の同心確保:ピンチャックの応用 ●人工と言えど、輝きは本象牙に劣りません ●オトテール・トラベルソ頭部管は、結構長いのです ●黄楊材の魅力いろいろ ●階段状のトラベルソ内径を、テーパーにします ●ガイド穴あけは管(くだ)のはじまり ●木管の外形仕上げはセンタ間削りで ●木管の命、内径を「掘る」にはロングドリルが必要です ●ロングドリル:鋼鉄と言えど曲がります ●「金工とは無礼千万(せんばん)、われは木工旋盤なり」 ●丸材の中心に、ガイド穴をあけましょう ●木管つくりの手製リーマーいろいろ ●バロック木管の木材:暴れるだけ暴れさせます ●「ミニ旋盤を使いこなす本」→文献集 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
”ミニ旋盤を使いこなす本”には大変お世話になっております。 |
オーボエ好き 2007/12/01 22:12 |
オーボエ好きさん、こんにちは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/02 18:23 |
☆3本同時製作!!とは驚きました。僕は今は複数本の製作をしていません。1本づつで例えば今日は左手管のリーミングと外径切削です。 |
オーボエ好き 2007/12/03 22:31 |
こんばんは。貴重な情報ありがとうございます。良く分かります。 |
woodwind 図書館長 2007/12/03 23:05 |
☆包丁についてはまさにその通りです。僕もオーボエのリード用ナイフが鰻用片刃包丁なので、それで思いついたわけです。 |
オーボエ好き 2007/12/04 21:46 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/10 20:03 |
☆精度よくリーマーを作ることは大切です。よく失敗するのでやり直しが多いです。 |
オーボエ好き 2007/12/12 21:18 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/13 20:26 |
☆ロータリーバンドソーは鋼材を寸法に切り出す時に使います。これが手作業だとやってられません。縦に切るのではないです。それは失敗しています。 |
オーボエ好き 2007/12/14 09:31 |
オーボエ好きさん、お早うございます。 |
woodwind 図書館長 2007/12/15 10:14 |
☆ロータリーバンドソーには、パイプや丸棒等を挟むバイスが付いています。手持ちはとっても厳しいと思います。 |
オーボエ好き 2007/12/15 21:23 |
オーボエ好きさん、こんにちは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/16 17:02 |
☆鋼材をリーマーの長さに切断するのに手ノコですると1日かかって肩が抜けるくらい筋肉痛になりますが、ロータリーバンドソーだと30分位で、後遺症はありません^^ |
オーボエ好き 2007/12/16 22:26 |
オーボエ好きさん |
woodwind 図書館長 2007/12/19 21:39 |
☆ディスクグラインダーではおっしゃる通りです。片側からどんどん削っていきます。使うディスクは砥石ではないです。フィンがたくさん付いている物で荒削り用途のものをつかっています。砥石では切削抵抗が大き過ぎて危ないです。 |
オーボエ好き 2007/12/20 20:37 |
オーボエ好きさん、こんにちは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/23 12:34 |
説明不足かもしれません。こちらこそどうぞよろしくお願い致します。 |
オーボエ好き 2007/12/23 19:34 |
オーボエ好きさん、お早うございます。 |
woodwind 図書館長 2007/12/24 11:36 |
☆材の固定にはバイスを使っています。ボール盤のテーブルにのせるタイプの物でDIYショップで売っています。それを板材にボルドで締め付け、その板材を作業台にC型クランプで固定しています。バイスではもちろん材のシャンク部分を固定しています。 |
オーボエ好き 2007/12/24 21:39 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/25 21:58 |
☆構造材でも工具鋼でも心間距離350mm程度のmini latheでやってます。分割型リーマーにしてからその方が内径がきれいに削り上がることがわかりました。以前はもう少し長い物が欲しかったですが、今は350mmで満足です。 |
オーボエ好き 2007/12/26 14:34 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/28 23:39 |
☆シャンクを付け替え式とのこと。僕は直径8mm程度の工具鋼をシャンクにしています。付け替えるのは面倒なのでそれぞれのリーマー様に用意しています。 |
オーボエ好き 2007/12/29 10:19 |
オーボエ好きさん、こんにちは。 |
woodwind 図書館長 2007/12/31 13:07 |
☆MT部分で滑った事があります。大抵テーパー部分が汚れていたり、差し込みが弱かったりするのが原因です。もし滑るなら刃長を短くして対応しようと思います。 |
オーボエ好き 2008/01/01 11:34 |
オーボエ好きさん、ノウハウありがとうございます。 |
woodwind 図書館長 2008/01/01 12:27 |
☆woodwind様のネジ止めのアイデアを実施してみたところ、自分の方法よりも安定して良い結果が得られています。 |
オーボエ好き 2008/01/17 13:06 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/01/18 22:57 |
☆24mm程度でシャンクも考慮すると220mm位でしょうか?350mmでぎりぎりではないかと思います。最近作ったリーマーは最長で220mmです。チャックで掴む方法ではなく、チャックを外して固定センターを付けて両センターで削れば余裕がでると思います。 |
オーボエ好き 2008/01/24 14:22 |
オーボエ好きさん、こんばんは。寒いですね。 |
woodwind 図書館長 2008/01/24 22:44 |
☆この頃の寒さで製作は止まっていますが、内径だけは作ってあるので自然に起きる縮みを待っている具合です。 |
オーボエ好き 2008/01/25 11:49 |
オーボエ好きさん、やはり寒いと製作の度合いは低くなりますよね。 |
woodwind 図書館長 2008/01/26 12:49 |
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