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zoom RSS リコーダーの調整:管を組み替えてもできます

<<   作成日時 : 2007/12/08 16:13   >>

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画像楽器のつくり方 (89) 2007/12/8

リコーダーつくりの要点は、頭部管にあります。(→こちら)

これまでは、頭部管のつくり方を見てきました。 青字クリックで各Stageへジャンプします。

●Stage1: ウィンドウェイのリーミング
●Stage2: エッジ用の窓あけ
●Stage3: ウィンドウェイの溝掘りの準備
●Stage4: ウィンドウェイの溝掘り
●Stage5: ランプ削り
●Stage6: ブロックのはめ込み
●Stage7: くちばしつくり
●Stage8: くちばしの仕上げ削り

今回は、中部管と足管を見てみましょう。

Stage9: 中部管と足管のピッチ調整

リコーダーの中部管と足管のつくり方は、他のバロック木管、たとえば以下のトラベルソの場合と共通な工程を取ります。

木取り/木組み(→こちら)、丸材加工(→こちら)、ガイド穴あけ(→こちら)、内径拡げとソケットつくり(→こちら)、テーパー削り(→こちら)、象牙マウント付きではその準備(→こちら)、外形削り(→こちら)、リーミング(→こちら)、指穴あけ(→こちら)、そしてピッチ調整(→こちら)。

ところで、一般に木管をコピー(復元/複製)する仕方には、2通りあります:

●図面データによる復元

世界の楽器博物館に所蔵されるオリジナル楽器を復元することを考えます。 その中には、先人による研究がなされ、計測データが公開されているものがあり、多くは図面として入手可能です。

図面データに基づいて復元するとき、ふと気づきます。 分割された各部や替え管をそれぞれデータに従ってつくったとき、最後のピッチ(音程)調整の場面で迷うのです。

指穴調整を行う部分、例えば上管の各指穴の大きさやアンダーカットを行う際の基準がありません。 頭部管、下管、足管など他の部分も完成していないからです。

互いに完成していない部分を集めて、果たして正しい調整ができるのか? 1本の替え管で調整したあと、他の替え管に付け替えて、果たして正しい調整ができるのだろうか?

この迷いは、初めて復元する際に感じます。 試行錯誤を経て、一旦、1本が完成すると、次の複製方法を採ることも可能となります。

●完成楽器の複製

手元にオリジナル楽器、あるいは複製の完成楽器があるときは、事情がやや異なります。 

その楽器を計測し、各部をつくり上げたとき、ピッチ(音程)調整場面で、手元にある楽器自体を用いることができます。 つくった部分を、手元にある完成楽器の他の部分と組み合わせるのです。

組み合わせた状態で、各音のピッチを計測し、指穴広げやアンダーカットにより調整していきます。

フォトは、この様子を示しています。

複製を試みた元の楽器は、メック社製のロッテンブルク J.H.J.Rottenburgh のアルトリコーダー。

この頭部管に、つくった中部管と足管を繋いでいます。

中部管と足管の各指穴調整に、「基準」としての完成頭部管を用いるのです。 まず、完成リコーダーのピッチ計測を行います。 次に、つくった複製部分が同じとなるよう調整します。

ピッチ計測には、フォトで示すようなチューナーを使用します。 元のリコーダーのピッチは、A=440Hzの平均律。 チュナー設定をそれに合わせます。

計測シート上に、完成リコーダーの測定値をプロット(●印)し、つくった中部管と足管の指穴を調整しながらプロット(×印)しました。

最低音域で18セント高くなった他は、ほぼ一致。

これら調整の済んだ中部管と足管を新たな「基準」として用い、今度は、つくった頭部管の音作りであるボイシングを行うことができるようになります。

もちろん つくった頭部管のボイシングのために、逆に、完成リコーダーの中部管と足管を繋ぐこともできます・・・

  
【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

リコーダーつくりの要点は、頭部管にあり
木管つくりは、木取りから始めましょう
木取りした角材を、つぎは丸材にします
丸材の中心に、ガイド穴をあけましょう
ガイド穴あけの次は、内径を拡げ、ソケットをつくります
階段状のトラベルソ内径を、テーパーにします
内径が済むと、外形削りの準備をします
外形削りで所定の長さに切り落とします
トラベルソの音つくりは、リーマーによる内径仕上げから
トラベルソの音つくり:歌口と指穴をあけましょう
トラベルソの調整:指穴の大きさで音程を変えます

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
初めての作品を調律するときはほんと困ります。
完成した複製楽器やオリジナルがあれば、助けになりますね。

最近やった調律では、テノンに糸を巻いた翌日にその部分が縮んでしまい、
息が通りにくくなっていたので、リーミングをやり直してから調律に入りました。
ジョイントが緩くなっても音の印象がかわるので、調律は楽器のコンディションを一定にするだけでも結構気をつかっています。
オーボエ好き
2007/12/11 21:15
オーボエ好きさん、こんばんは。
●本当に、初めての作品の調律には困りますよね。
●テノンの部分が縮んだとのことですが、どれくらいの量なのでしょうか。0.2oを超えているのでしょうか。巻いたために縮んだと言うより、息があたり水滴が付いたからなのでしょうか。
●いづれにしましても、管の変形により楽器の調子は変わってきますね。お貸出しの楽器が行く本か返却されているのですが、少しづつピッチが狂っている感じ・・。
●寒くなってきましたね。楽器を暖めないと正しいピッチ調整はできませんよね。
woodwind 図書館長
2007/12/12 20:05
☆削りカスから想像して0.1mmを超えているところがあります。
☆息を通す前に縮みが見つかります。テノンの小さい径の方がよく縮み、大きい径の方は少しです。しかし大きい径の方は糸を巻いてから1週間くらいするとジョイントの緩みがでて糸を巻き足しています。
☆20度位の室温に慣らしてからでないと、正確にはいかないと思います。頭部管は早く温まっても足部管はなかなか温まらないので、息を通して管体を温めるのは難しいです。
オーボエ好き
2007/12/13 13:18
オーボエ好きさん、こんばんは。
●テノンの小さい方が良く縮むのですか?反対かと思っていました。しかし、大きいほうは緩みが出て糸を巻くくらいですから、こちらも縮んでいるのでしょうね。糸を巻くと余計にきつくなり、テノン部分が縮むのだと思います。
●楽器を暖める「ウォーマー」をご存知ですか?わたしは使わないのですが、リコーダーなど暖めるのに結構時間がかかりますので、ウォーマーなどが便利なのかもしれません。
●室内温度ですが、わたしは冬でも暖房を多用しません。したがって、夏と冬では温度差がはげしく、そのような中で調律してもピッチがあわないだろうな、といつも感じています。
woodwind 図書館長
2007/12/13 20:16

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