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zoom RSS 外形を削ると杢(もく)の美しさが現れます

<<   作成日時 : 2007/12/24 00:48   >>

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画像楽器のつくり方(90) 2007/12/24

オトテール・トラベルソつくりを見てきました。

青字クリックで過去の記事を参照できます:

象牙の足管つくり
象牙のヘッド・キャップつくり
象牙のバレルつくり
象牙のヘッド・キャップとバレル用のマンドレルつくり
象牙の磨き
頭部管つくり(内径)
中部管つくり(内径)

今回は、外形削りにより現れる美しい杢(もく)を見てみましょう。

外形削りでの杢

頭部管と中部管の外形削りを終えました。 外形削りの一般的な工程については、→こちら、および→こちらを参照ください。

フォトは、アジア黄楊によるオトテール・トラベルソの上管および中部管。 前後に付く人工象牙部分を仮にかぶせています。

すぐさま眼に飛び込んで来るは、美しい斜めの縞模様。

杢(もく)、あるいは杢目(もくめ)と呼んでいます。

木には年輪があります。 角材や板に製材すると、年輪が平行な模様となる柾目(まさめ)、模様が楕円や山形になる板目(いため)の面が生まれます。

板や角材を木管用に丸材にすると、柾目対応の平行線がある面と、板目対応の山形が連なる板目の面とが現れます。

これら曲線は、木目と呼ばれます。 木目は人の眼を楽しませ、また、安心感さえ与えてくれます。 人は、何故か、そのぬくもりを感じます。 木管楽器に適する広葉樹の硬材のいくつかを見てください。 →こちらにあります。

木目の美しさに加え、さらに魅力的な模様が現れることがあり、それが杢です。 杢は、自然の育成条件における化学変化なのでしょうか、すべての材にあるとは限りません。

杢の種類は多く、トラ目などとも呼ばれるフォトの縞模様のほか、鳥の目のようなバーズ・アイ(鳥眼杢)などがあります。 一枚板のテーブルの鳥眼杢やこぶ杢など惹かれます。

楽器では、バイオリンのサイドや裏板に縞模様のあるメープル figured maple が使われます。 また、木管では、ファゴット材のメープルにも杢の美しいものがあります。

でも、杢が美しく現れるのは、なんと言っても黄楊です。 黄楊の魅力は、→こちらにいろいろあります。

ところで、黄楊の杢は柾目に現れます。

フォトの杢を見ると、トラベルソを構えたとき右上から左下への斜めの縞。 柾目ですから、裏側はどうかと言えば、反対に、左上から右下に斜めの縞。

頭部管と中部管で同じ流れを得るため、元の角材から連続して木取りを行います。 その際、どちらが上か、材の各々に「上」の字を鉛筆書きしておくと便利。 (木取りの様子は、→こちら)

木取りした角材を丸材加工し、穴あけ、穴広げ、外形削りとしますが、常に杢目が気になります。 「果たして、この木取りで美しく現れるだろうか。」

途中で幾度となく、杢の様子を確かめながら工程を進める「わくわく感」があります。

外形削りのあと、リンシード・オイル(亜麻仁油)でオイリングを施すと、みごとな杢が浮かび上がりました。 杢の模様は、木の中から透き通って見えます。 見る角度で、さまざまな表情を見せるのです。 フォトは、その表情のひとつしか紹介できずに残念。

杢のある柾目は2面あり、どちらを歌口や指穴がある上面にするかを決めます。 決定には、杢の表情、雰囲気、木目との関係、木の各部色具合などを総合して行います。

演奏するとき、目に飛び込む美しさ、親しみ感からフォトの面を選びました。

縞模様の多さと美しさからは裏面のものも捨てがたいものの、赤みがかった黄楊の色合いから表面の方が何故か落着くのです。

黄楊の木管つくりでは、木の内に宿る杢の美しさを引き出すことが、何にも代えがたい魅力を持っているのです。

このような美しさに出会うと、わざわざステイン(着色)がけをすること自体が、せっかくの黄楊材を安易に汚してしまうような気もしてきます。

わたしが黄楊には無着色を選ぶ理由でもあります。

あなたも、木目と杢目の美しい黄楊の楽器を持ってみたくなりませんか・・・


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

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木管の外形仕上げはセンタ間削りで
外形削りで所定の長さに切り落とします
木の内に宿る美しさいろいろ
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木管つくりは、木取りから始めましょう


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これは美しい!!
こう言うのも良いですね。黒檀でつくって白と黒のコントラストというのも良さそうですが、木の暖かみは断然こちらから感じます。
出来上がりが楽しみです。
オーボエ好き
2007/12/24 21:33
オーボエ好きさん、こんばんは。
●ありがとうございます。杢のある黄楊を狙い定めて購入したものです。丁度、裏側もとてもきらびやかな杢の縞模様があります。欧州黄楊と違って、白っぽいところがなく、少しステインがけしたような色合いなので、人工象牙も上手く色合いが合いました。
●残りの2本は、黒檀とキングウッド。黒檀は白黒の対比が美しいし、またキングウッド(バイオレッド・ウッド)も風格があると期待しています。出来上がりましたらまた掲載します。
woodwind 図書館長
2007/12/25 21:46

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