トラベルソのピッチは、ラ音(A)で表します。 A=392Hz とか、A=415Hz など。合奏時の音合わせの際、よく基準音に用いられるのが、オーボエのラ音(A)。 いつも いつも、A=442〜443Hz が出せるものでしょうか。 楽器のピッチは、環境により変化します。 気温、気圧、湿度・・・・など。 弦楽器では、とくに弦が伸び縮みし結果としてピッチが変わります。 ピアノやチェンバロもしかり。 木管楽器では管の中の気柱の定在波で決まるピッチで鳴るわけですから、とくに気温が問題となります。 音速とは、媒体を伝わる音の速さのこと。 その種類や状態(固体/液体/気体)、温度、気圧などにより変わります。 よく言われている音速約 340 m/s は、海面上気温での速度。 高い山頂とか、海抜の高い都市では異なり、また、温度には敏感です。 1気圧中の音速Vは、気温T℃にて、 V = 331.5 + 0.61T m/s で求められます。 演奏会場や室内を考慮し、実際的な室温に対しては次のようになります: ・10℃ 337.6 m/s 寒い ・15℃ 340.7 m/s 涼しい ・20℃ 343.7 m/s 快適 ・25℃ 346.8 m/s 少し暖かい ・30℃ 349.8 m/s とても暑い 1秒間に音の波が伝わる早さ、すなわち音速は、実際に空気が流れる速さではありません。 空気の流れる速さは、風速であり、秒速 340m どころか、50m でも暴風。 空気の粒子が押し合って、押された粒子が影響する速さのことです。 楽器のピッチに戻しましょう。 ピッチは周波数で表されます。 A=415Hz とは、1秒間に 415 回振動すること。 気温20℃において、音は1秒間に 343.7m 伝わります。 343.7m の長さに、振動する山や谷の数がいくつあるか計算すると波長λが求められます。 山から谷に向かい再び山へ戻る長さのことで、A=415Hz の例では、λ=0.828m すなわち 82.8cm。 トラベルソの各音に対する気柱の実行長は、歌口と指穴(群)で決まります。 (→こちらも参照) 開管のトラベルソでは、定在波の腹と腹の長さに当たります。 振動の山から谷を経て山に戻る1波長でなく、山から山の半分。 半波長 1/2・λ と呼びます。 A=415Hz では、1/2・λ =41.4cm。 (開管/閉管は、→こちらを参照) 歌口と指穴(群)ですからに固有な物理形状です。 材質が木ですから、指穴間隔自体はそれほど気温の変化は受けません。 トラベルソでは、ラ音(A)の半波長の実行長 41.4cm を、歌口と主に第3指穴で作ります。 実際の歌口と第3指穴間の離は、30.4cm くらい。 長さに差異が認められます。 歌口からヘッドキャップ方向の仮想の点と、第三指穴から足管方向の仮想の点の、距離にして 11cm も長い 41.4cm が作り出されて A=415Hz で鳴るのです。 (仮想点や実行長については、→こちらを参照) ここで実行長による定在波の振動数、すなわちピッチが気温により変化します。 音速の気温に対する変化によるのです。 例えば、気温 20℃で音速が 343.7m/s でも、10℃ に下がると 337.6m/s と遅くなります。 343.7m では、波長 λ=0.828m が415個入っても、337.6m では、407.8 個しか入りません。 407.8個ですから 407.8Hz となります。 7.2Hz も下がるのです。 そのほかの気温の影響も見てみましょう: ・10℃ 337.6 m/s -7.2Hz 408Hz -29セント ・15℃ 340.7 m/s -3.6Hz 411Hz -14セント ・20℃ 343.7 m/s 0Hz 415Hz 0セント ・25℃ 346.8 m/s +3.6Hz 419Hz +14セント ・30℃ 349.8 m/s +7.2Hz 422Hz +29セント こんなに変わるのであれば、木管つくりのピッチ調整段階では、室温に注意が必要ですね。 フォトは、2本のトラベルソ。 モデルは、T.Lot。 1本は、お譲り品のメンテで手元に戻ったもの。 (→こちら) あまり冷暖房をしないわが家では、夏と冬とで室温に差があります。 手作りのピッチ測定シートには、気温と湿度を書き込むようにしています。 左上の、温度・湿度計を使っています。 ピッチが3Hzほど低めということで、測定データを見ましたが記録した室温は常温。 そこで、アンブシャーの差異によるものと判断して、その条件でピッチ再調整を施しました。 それにしても、クール・ビズなど夏でも室温 28℃ に設定して地球温暖化対策をする今日このごろ。 その場合は、トラベルソのミドルジョイント(上管)を多めに抜かないとピッチが合わなくなるかも。 また、教会など、肌寒い中での演奏場面ではピッチを高めたくなることもあるでしょう。 替え管でピッチを変えることができます(→こちらも参照)。 替え管の有用性は、こんな場面にもあるようです。 室温がトラベルソやオーボエなど木管に与える影響に対し、チェンバロなどでは逆に働きます。 固有振動数を作り出す弦が、室温上昇で伸び、結果としてピッチが下がります。 室温上昇でピッチが上がるトラベルソと下がるチェンバロ。 どちらが合わせるべきか。 チェンバロの調律し直しは大変。 演奏会場で観客により室温が上昇したとき、その都度チェンバロ調律を行うのは無理。 せいぜい休憩時間に微調整ができれば良いほう。 そこで、トラベルソでは 5Hz 刻みの替え管をいくつも用意したり、ピッチ調整リング(→こちら)を用意することも必要かも知れません・・・・ 【関連記事】 青字クリックで記事にジャンプします。 ●トラベルソの指穴位置は、どのように決まるのでしょう ●かわいらしくても、とても低い音が出ます ●歌口の大きさで、実行長が変わります ●連載トラベルソ:完成したバロックの風格 ●木管のピッチはどうやれば変わるのでしょう ●バロック木管のピッチ調節リングあれこれ |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
僕の苦手な物理ですね。 |
オーボエ好き 2008/03/10 18:05 |
オーボエ好きさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/03/10 21:03 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/03/11 17:08 |
わたにゃんさんん、お早うございます。 |
woodwind 図書館長 2008/03/15 11:00 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/03/18 14:18 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/03/21 23:39 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/03/25 18:26 |
ちなみに425Hzのルクレーは、 |
わたにゃん 2008/03/25 18:28 |
それから、ルクレーは、 |
わたにゃん 2008/03/25 18:59 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/03/28 22:49 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/04/01 11:48 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/04/02 23:06 |
こんばんは。 |
わたにゃん 2008/04/03 00:14 |
右手管+足部管の重さを測ってみました。 |
わたにゃん 2008/04/03 01:33 |
こんにちは。 |
わたにゃん 2008/04/03 13:18 |
わたにゃんさん、こんばんは。 |
woodwind 図書館長 2008/04/06 00:35 |
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