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help リーダーに追加 RSS 十分乾かしてからバロック木管を保管します

<<   作成日時 : 2008/04/13 00:54   >>

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画像モダンのオーボエやクラリネットには、ボアオイルを管の内壁に塗布します。

割れを防止するためです。

材質は、アフリカ産のブラック・ウッド、通称、グレナディラ。 とても緻密で硬い材質。 使われる理由は、もっとも良い音色を奏でる材のひとつだから。

メンテナンスには注意が必要。 木管楽器が乾燥しすぎてストレスが掛かると、ピシーと音がして割れるとのこと。 幸い、わたしのモダン・オーボエでは経験していませんし、経験したくもない。

演奏のたびに内壁には水分で濡れます。 水を含むと木は膨張し、乾燥部分との間でストレスが掛かり割れるのです。

バロック木管では、どうでしょう。 使用材により、割れややすいものとそれほどでもないものがありますが、ハード・ウッド(硬材)ですから、緻密で硬い材が一般的(→こちらも参照)。

リコーダーのブロックだけは別で、割れません。 水分を吸収しやすいレッド・シダー(赤杉)と言うソフト・ウッド(軟材)を用いています(→こちらを参照)。

木管楽器には、これら硬材を十分乾燥させてから使用し、完成後に曲がりなどが起きないようにします(→こちらを参照)。

今回は、メンテナンスのうち、水分対策を取り上ます:

●小まめに水分を除きます

木管を演奏したあとは、小まめに水分を除くようにします。 トラベルソでは、棒に毛羽立たない布をつけて管内に通して、水分を取除きます。 オーボエでは、内径が小さく、鳥の羽根も用います。

問題は、演奏の合間に休憩を取るとき。 水分が濡れたまま放置しないこと。 各部を分解して水分を除くようにします。 濡れたまま木管を机の上に置くと、たいてい天地が同じ向きとなり、特定部分に水分がたまります。

とくにテノンの糸巻き部分は、とても濡れます。 糸巻き部分は、しっかりと拭くようにします。

●乾燥させてからケースに仕舞います

演奏後、管内の水分をよく取ってからケースに仕舞います。 このときも、すぐケースに仕舞わず、しばらく乾燥させてからにします。

ハードケースは、プラスティックでできており外部からの水分とか圧力に耐えます。 しかし逆に、機密性が高いため外部と遮断され、水分のある楽器は中で蒸れた状態になりそうです。

フォトは、化粧箱としてつくった保管箱。

軟材を使用し、硬材の木管を直接仕舞っても、キズはつきません。 箱の外側は、オイリング、あるいはニスを塗布し水分から保護しますが、逆に内側は、乾燥するオイルを1回塗布したのみ。 (→こちらも参照)

楽器から不要な水分を吸収し、あるいは吐き出して調節してくれます。

実験を行い検証したわけではありませんが、木製の保管箱は、ちょうど奈良の正倉院の校倉つくりとか、桐の和箪笥に類似した効果が期待できるものと思っています。

フォトの保管箱は、トラベルソの下管と足管を継いだまま仕舞うタイプ。

頭部管と上管、あるいは上管と下管との間のテノンとソケット部は水分がたまりやすいですが、長く演奏した後は、下管と足管部にももちろん水分がたまります。 分解して良く拭き、乾かしてからに保管するとよいでしょう。

●糸巻きを頻繁に調節します

演奏のあとテノンを触ると、巻き糸がしっかり濡れています。 テノンが少し膨らんでいるようにも感じます。 実際、膨張しています。

この状態では、テノンとソケットとの合わせがきつくなり、ソケットの内側から押し広げ、抜けなくなります。

抜けても、そのままではきつく、再び無理に入れようとすると、1oほどの薄いソケット部(→こちらを参照)の木が割れます。 さらに、割れにくくするための(人工)象牙マウントすら割れてしまいます。

このようにきつくなるのは、演奏後の水分ばかりか、湿度の高い季節にも起きます。

乾燥する時期では、逆にスカスカとなります。 欧米の多くの地域では、空気が乾燥するあまり、カーペットを歩きドアのノブに手をやると静電気により火花が飛ぶほどです。 信じられないくらい、スカスカになります。

これらソケットとテノンの合わせは、糸巻きの「巻き足し・巻き解き」により調整します。 糸は絹糸でなくともかまわず、細めの糸が適します。

小まめな巻き糸調節は、バロック木管には重要ですから、自分で試みてみましょう。

●オイリングを施します

バロック木管は、材にもよりますが、一般には、製作段階でリンシード・オイル(亜麻仁油)を含浸させます。 リンシード・オイルは粘度の高いオイル。 含浸のためにオイルを暖めたオイルバスに漬ける製作家もいます(→こちらや、こちらを参照)。

リンシード・オイルは、乾燥に時間が掛かるものの、水分や酸から楽器を守ります。 

この作業は、材が十分乾燥した状態で行います。 そうでないと水分を逆に材に閉じ込めてしまいます。

ここでは、完成楽器のメンテナンスですから、リンシード・オイルは用いません。

代わりに、乾燥するオイルを塗ります。 楽器が乾燥している状態で、オイリングしないと、やはり水分を閉じ込めるわけですから注意が必要。

使用オイルですが、人により推奨するものがさまざま。

ただ、特定のオイルが全世界一律に適するかは一概に言えません。 欧米の乾燥地域と、多湿の我が国では異なり、また赤道直下のもっと高温多湿の国々では事情が大きく異なるでしょうから。

わたしは、もっぱら食用のオリーブ・オイルを使用します。

割り箸の隙間にティッシュ・ペーパーを挟み、そのまま巻きつけます。 軽く輪ゴムで押さえるとよいでしょう。 小皿に、オリーブ・オイルを小さじ一杯分注ぎます。 ティッシュにべっとりと付け、木管の内径に塗ります。

内径がすむと、管の外側に少しつけます。 別のティッシュでよくこするように塗り拡げます。 微量でも、十分塗り拡げられます。 ティッシュを見ると汚れが落ちているのが分かります。 トラベルソでは、とくに頭部管の歌口周辺や、上・下管の指穴周りなど、結構汚れているのです。

オイリングにより、水分に対して材にしみ込みにくくし、また乾燥しすぎることがないようにするのです。

大切な木管楽器にヒビ・割れが起きないよう、ここにあげた水分対策のメンテナンスを心がけられてはいかがでしょう・・・


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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
☆僕もオリーブオイルを使っています。
モダンオーボエにはアーモンドオイルを使っていましたが、水分に寄って落ちやすいので、毎回必要でした。オリーブオイルも十分に染込むまでは毎回必要でしたが、ある程度まで塗ってやると数日は良い状態を保ってくれています。
☆テノンの糸には蜜蝋を塗っているのですが、完全に水分を遮断してくれている訳ではありません。やはり演奏や練習の間には分解して水分を拭っておく様にしています。
オーボエ好き
2008/04/13 21:19
オーボエ好きさん、こんばんは。
●アーモンドオイルはオリーブオイルに比べて、粘度は高いですか?それとも低いのでしょうか。市販のクラ用のボア・オイルと比べてオリーブオイルは粘度が高いですよね。
●蜜蝋を塗るのは、水分をはじくほか、テノンとソケットがスムーズに合わさることを目的としていると思いますがいかがですか。その場合、巻き糸の端っこを見つけるのは大変ではありませんか。
●オイリングの音質に対する影響度合いは、本稿のメンテナンスと直接関係がないので書きませんでしたが、別途研究が必要と感じています。よろしければ、効果のほどを教えてください。
woodwind 図書館長
2008/04/15 00:23
woodwindさま、こんにちは!
☆使っていたアーモンドオイルはオリーブオイルよりも粘度低かったです。
☆蜜蝋の目的はおっしゃるとおりです。蜜蝋を使う事によってテノンとソケットがきつくなり過ぎすのを防ぐ事ができています。
巻き糸の端を見つける必要はありません。ソケットの縮みをリーマーで修正すれば、テノン側は糸を巻いていくだけなのです。
☆僕の体験ではオイルを塗る事によって高次倍音が増し、全体によく鳴り響くようになってきます。音質はwetになって生命感が感じられ、密度の高い音になり、密度の低い音から高い音まで使える幅が広がるようです。
音量が大きくなるようで、それを目安にオイルを続けて塗るかどうかを判断しています。とこんなところです。
オーボエ好き
2008/04/15 10:13
こんにちは。

woodwindさまのトーマ・ロット392Hzをお借りしてますが、
ジョイントの糸には、蜜蝋が塗られてるのでしょうか?

私は、自分の楽器に絹糸を巻いて、蜜蝋を塗ってますが、
その感じとずいぶん違うようです。
わたにゃん
2008/04/15 14:08
オーボエ好きさん、こんばんは。
●糸の端を見つけることが不要とのこと。でも、少し事情が異なるように思うのですが。オーボエ好きさんは、自作のトラベルソのことかと思います。そうであれば、ソケットが縮むのは材の乾燥の問題で、それならばリーミングで広げ、また、もしテノンも縮んだら再リーミングで広げれば、たしかに糸の端を見つける必要はないですね。
●しかし読者の方は、乾燥された市販のトラベルソですから、縮むのでなく水分による「膨張」の対処法を気にするわけです。リーミングは無理で、もし試みると、どんどんソケットを広げてゆかねばなりませんよね。
●音色・音量の変わり具合の情報ありがとうございます。参考になります。
woodwind 図書館長
2008/04/15 23:45
わたにゃんさん、こんばんは。
●お貸し出し用のT.Lotが到着されたとのこと。糸に蜜蝋をつけていません。読者のひとりから、特性の蜜蝋(とオイルとの混合)をいただいていますが、つけていません。
●わたしのLotですが、良いと思われる方法でメンテください。蜜蝋の糸で巻きなおすとか、糸の上から蜜蝋を塗るとか、・・お任せします。
●いずれにしましても、Lot392はエボニー製ですので、黄楊の楽器といろいろな点で異なります。もしよろしければ、音色や吹奏感につき、お知らせください。
woodwind 図書館長
2008/04/15 23:52
こんばんは。

カラオケ屋で20分だけ吹いてきました。

バッハの「オゥボエとヴァイオリンのコンチェルト ハ短調」の第1楽章、
オゥボエのパァトを全音高く移調吹きしました。

415Hzで吹くと、かん高い感じがしますが、
392Hzだと落ち着いた感じで良いです。

音は出しやすいと思いました。
(歌口の小さいウェイネは、慣れるまでが大変でした。)

まだ、音色については分かりません。
もう少し、吹き込んでみたいと思います。

392Hzより、さらに半音低い替え管って出来るのでしょうか?
415Hzで全音低いダモォレを開発してみたいです。
クラリネットのように深くて、暗い音の出るフルゥトです。
わたにゃん
2008/04/16 02:36
読者のことをすっかり忘れていましたm_ _m
水分に寄る膨張は糸に水が染込んだ時に経験しています。
テノンには何重にも糸を巻くのですが、組み立て調整の時に巻き足す場合、一回毎に糸の色を変えています。しっかり見れば、一番上の糸を色によって見つける事ができ、それだけを除く事もできます。
これであれば膨張時に糸を解いて調整する事ができると思います。

オーボエのベルのソケットの縮みはかなり大きいようです。下管のテノンの糸の量を減らすのが市販のものを買った場合の対策ですが、さらに縮んで裸のテノンもきつくなってきたら、メーカーに送って再リーミングしてもらうのがよいのではないでしょうか。
オーボエ好き
2008/04/16 18:09
わたにゃんさん、こんばんは。
●392のLot、落着いた感じでしょう?これが好きなんです、わたしは。またエボニーがよい。全音高く移調吹きとはまた器用ですね。直接音を読み直すのですか?それとも楽譜に移調して落とすのですか?いずれにしましても、392で全音高く移調して、実音で440となりますね。
●ダモーレですが、T.Stanesby,Jrのは専用で管が太いのですが、Schererのは、そうではなく、392の楽器に長い替え管のようなイメージ。ただし下管が長く、T.Stanesby,Jrの専用下管と同じ長さに見える。したがって、392の下管を用いて、上管のみ替えるだけではきつそう。
●Lot、引続き、音色など結果がでましたらお知らせください。
woodwind 図書館長
2008/04/17 00:05
オーボエ好きさん、こんばんは。
●糸の色を変えるノウハウいただきです。よく、同じ糸がないので違うものを巻いたりするのを見かけますが、もっと積極的に色を変えるのですね。
●オーボエのベルのソケットはそんなに縮みますか?いまのところ経験はありません。裸のテノンでもきつくなったら、テノンを削るほうが簡単か。ソケットを再リーミングするとき、ただでさえ薄いソケット木部が今にも割れそうって感じはありませんか・・・
woodwind 図書館長
2008/04/17 00:11
☆結構縮むので驚いています。購入したクラシカルオーボエはテノンにまばらに糸が巻いてあるだけです。テノンを削る方が楽なのですが、オリジナルサイズを維持したいので縮んでいるソケットを処理したい訳です。

オーボエベルのソケットの木部は以外に厚いです。想定ているモデルはStanesby Sr.no62です。象牙装飾ないですし。
☆糸の色を変えるのはおっしゃる通りです。蜜蝋を使って糸をとめ、いつも一方向にテノンとソケットを回して接続、分割していれば結ぶ手間さえ要りません。
オーボエ好き
2008/04/17 09:05
こんにちは。

ロット392Hzですが、感想は以下に。
http://woodwind.at.webry.info/200702/article_3.html

移調吹きは、楽譜は作らず、その場で全音高く吹いています。

私の推測ですが、
ヴェニィシャン・ピッチのヴィヴァルディのコンチェルトなどで、

低いピッチのF管アルト・リコォダァを
Es管アルトとして用いていた可能性があります。

それを実証するため、
全音高く移調吹きする練習を始めました。

ヴェニィシャン・ピッチを便宜的に440Hzとし、
392Hzのアルトを使ってみようと思っています。

バロゥク弓を使ってくれる、
モダンのチェリストがいれば良いのですが…。
わたにゃん
2008/04/18 12:57
フルゥト・ダモォレですが、
415Hzで、H管ではなく、C管の楽器が欲しいです。

世界の製作家さんのカタログでは、
たぶん、サイモン・ポラック氏のハッカだけです。

あとは、デンナーのダモォレ管。

低音域がよく鳴る392Hzの楽器の半音低い替え管として、
いつか、作ってみたいと思います。

それから、430Hzより全音低い、
383Hzくらいの替え管も作ってみたいです。

クラシカル・オォボエなどの曲を吹くためです。
わたにゃん
2008/04/18 12:59
オーボエ好きさん、こんばんは。
●クラシカルフルートですが、お持ちのものはGrundmannでしたでyそうか。そうであれば、ベルの膨らみが最大35.8o、ソケット外側で29.1o、ソケット内径が22.3oですから、厚さは片側3.4o〜最大6.7oほど。これが縮むのですね。象牙マウントがなければ確かに薄くはないですね。したがってテノンでなくこちらを削るのですね。納得。
●糸ですが、一定方向だと解けないばかりか、蜜蝋を塗ってあると、その中にもぐりこみ、あえて結ばなくても良いのでしょうね。わたしも蜜蝋方式にするかなあ。
woodwind 図書館長
2008/04/21 23:13
わたにゃんさん、こんばんは。
●楽譜をつくらず、いきなり移調吹きとは、うらやましい限りです、ハイ。
●アルトリコーダーの392Hzはそれほど多くは市販されていないような気がします。他のピッチ、400とか403とかが多いのでは・・結局、ご自身でつくられるのが一番ですかね。
●415Hzのフルート・ダモーレですが、短3度でなく、2度の楽器がほしいとのこと。A=370HzあたりのD管でしょうか。今お手もとにあるわたしのLot392ですが、25oほど長い替え管ができればいいのですね。う〜む、最低音が上手く出るのか知らん。または、ダモーレを25oほど縮めるか??
●430の2度低い方は、Lot392から10oほど長くすれば良いのでまだましか?
●しかしまあ、色々な時代の曲を、楽譜を変えずに「楽器を変えて」吹きたいのですね。ある意味、誰にとってもほしいものではあるかも知れませんが、まあ、多くの人は、そこまでバラエティに要求なさらないと思います。やはり、ご自身でお作りなさるのがよさそう。色々できましたら、そのときは紹介ください。
woodwind 図書館長
2008/04/21 23:28
☆クラシカルオーボエはGrundmannです。数値もおっしゃる通りです。
オーボエ好き
2008/04/22 19:23

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