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zoom RSS エボニー:音色のしっとり感は材質から来るのでしょうか

<<   作成日時 : 2008/06/29 14:27   >>

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画像楽器のつくり方 (95) 2008/6/29

エボニーという木をご存知でしょうか?

「黒い木でしょう?」って、答えが返ってきそう。 でも、黒い木はほかにもあり、グレナディラも見た目は同じ黒。

わたしは、西アフリカ産のエボニーを使用しています。 すこし、詳しく見てみましょう。

●学術名 Ebenaceae ファミィー

エボニー ebony の仲間は、Diospyros、Euclea、Royena、Tetraclis の4つ。 種にして、300を越えます。 伐採されて利用されるのは、ほとんどが Diospyros のようです。

●産地

西アフリカ産のものは、ナイジェリアからカメルーン、ザイールに至る地域、さらにガボン、コンゴにまで見られます。

森林に自生の原木を伐採しても、重すぎて運びようがなく、短い材にて人手による運搬がなされます。 たいへんな作業と想像できます。 長い材が輸出されることは、そもそもありません。

●色

エボニーの色は黒、と思われがち。 しかし、多くは心材 heat wood が縞、あるいはまだら模様の茶色が混じります。 これに対して、辺材 sap wood は、反対色の白。 製材され太陽光を浴びるとやがて薄茶になります。

ところで、心材がどうして黒くなるのでしょう。 成長して、幹が太くなるにつれ、中心部は養分・水分を運び蓄える機能がなくなります。 その結果、化石化に似た現象色により濃い材質に変わります。

●材の特徴

成木の高さは7.5〜15m、径は40〜90cm。 硬材 hard wood の割には、成長が早く、成木まで60〜80年。 欧州黄楊(→こちら)では、200〜250年くらいですから、硬材の中では早い方と言えるでしょうか。

比重は、1.03〜1.2、平均で1.1。 均一で細かな材質。 木理はまっすぐ。 年輪はインチあたり4〜8本、ただうすれています。

●乾燥法

乾燥はかなり早く、表面にヒビが入ります。 これを避けるため、わざと乾燥を遅らせます。 送風乾燥で早まるものの、溶けた蝋につけ、直射日光を避け、室温を下げ、風も当たらなくすることが推奨されています。

●使用目的

最高品質の黒い材は、バイオリンやギターの指板、ベニア、そして木管。 縞模様のものは、ブラシにも。 そのほか高級家具、ピアノの黒鍵など。

●粉塵が健康へ与える影響

西アフリカ産のものは、粉塵による炎症性は低いとのこと。 これに対して、インド、スリランカ、マダカスカル産のものは高くて注意が必要。 粉塵対策は、→こちらに記しました。 十分注意しましょう。

わたしは、この西アフリカ産のエボニーを、英国在住時にいくらか確保しました。 すべて、真っ黒な1級品。

ロンドンから、ヨークシャーの材木店まで車で。 驚くべきことに、エボニーと欧州黄楊、その他の材が大きな倉庫に一杯。 とくに、エボニーの量は膨大。

帰国後、追加入手すべく問いあわせると、会社に代わって法律事務所から、破産状況の手紙を受取り、ただただ残念。

フォトは、製作中のオトテール・トラベルソ頭部管。

ベルリン、サンクト・ペテルブルク、そしてグラーツの博物館にオリジナル(コピーの議論あり)が現存し、このうち、サンクト・ペテルブルクのものを復元中。 エボニーのほか、黄楊(→こちら、完成品は→こちら)およびバイオレット・ウッド(→こちら)も用いています。

エボニーは、磨きによく耐えます。 逆に言うと、使用するサンドペーパーの番手を12000番ぐらいを使用しないと、細かなスジが残ります。 結果として、通常は、半ツヤに見えます。 (半ツヤの磨きは、→こちらを参照)

エボニー(黒檀)は、わが国では、紫檀とともに仏壇の材として使われいます。 いずれの材も、磨き上げることができます。 しかし、その一歩手前の磨きと言うのでしょうか、なんとも言えない、しっとり感のあるぬくもりが、内側から透けてくるような仕上げにすることが多いようです。

エボニーのトラベルソの音色は、材の表面仕上げと同様、なぜか「しっとり感」を持つ気がします。 (→こちらも参照)

エボニーに似たものに、グレナディラがあります。 同じ黒色の材で、モダンのオーボエやクラリネットの材。 しっかりした、輪郭の明確な音色を持ちます。

エボニーがグレナディラと音色が異なるのは、表面仕上げの「半ツヤ」と「ツヤあり」の違いからくる印象とダブってしまいます・・・


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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
☆早く乾燥させて笛にしたところですが、エボニーの場合は逆に時間をかけてやる必要があるのですね。
☆どうもエボニーは扱いが難しいようです。割れに対処しながらつくるのは難しそうです。
☆ココボロでも人工乾燥をかけたものは作業している間に割れてきます。そのため削ったら直ぐ処理をして割れを防ぎ作業を続けています。
しかし、木工用ボンドで木口を処理しておいたココボロ材に対角線上に日々が入っていました。他の処理方法を検討しなくてはと考えています。
オーボエ好き
2008/07/02 18:32
オーボエ好きさん、こんばんは。
●その後、ココボロなどでオーボエつくりを進められていると思いますが、いかがですか。
●木工用ボンドで木口を塞ぐとどうなるかなあって思いました。対角線に入ったヒビは、木口でしょうか、それとも角材の表面?木口のヒビなら、ボンド自体の収縮?か、膨張かが原因でしょうか。やはり蝋ほか専用のものを用いられるのはいかがでしょう。
●トラベルソでは、ダモーレを作り始めました。内径が太く長い材の加工をどうやって克服するかです。勢いあまって、ファゴットの連載も考え始めました。ただし、寄せ木つくりの手法です・・
woodwind 図書館長
2008/07/02 22:20
☆ココボロでのオーボエは悪くはないです。音色に甘さがかけるのは仕方ないというところです。
☆ヒビが入ったのは角材の断面の木口です。
☆ダモーレはQuantzが著書の中で良いフルートとして上げていますね。完成が楽しみです。
☆ファゴットは興味深いです。作ってみたい楽器ですが、旋盤以外の木工技術や金工技術が多いでしょうからなかなか手がでません。
☆バセットホルンも作ってみたい楽器ですが、これもファゴット同様難しそうです。
オーボエ好き
2008/07/03 10:41
オーボエ好きさん、こんばんは。
●ココボロのオーボエには、象牙マウントをつけているのでしょうか。いずれにせよ、ベルのために結構分厚い材が必要だったと思いますが。それから、各音のピッチ合わせと、低域のE,Ebのビビリなく作れているのでしょうか?
●エボニーに限らず、木工旋盤加工では、一度削り始めたら、一気に仕上げることが鉄則のようです。もちろんそのあとオイリング等の処理をするのですが。そうはいいながら、木管の場合は、管の内側からも乾燥させたいので、そのまま中断しますよね。
●クヴァンツの著でフルート・ダモーレが出てくるのは、何章あたりでしたっけ?わたしも、どんな音なのか楽しみです。
●バセットホルンも下管の真鍮製ベルとそのつなぎの部分の箱型あたりが、難しそうですね。まあ、ファゴットもぼちぼち取り掛かります。
woodwind 図書館長
2008/07/03 20:52
☆75mm角くらいの材を使っています。
☆一応象牙マウントを付けました。おかげで変形が少ないのではないかと思います。接着にはエポキシを使いましたが、接合面は水洗いしてから、アセトンで十分拭って油分や汚れを可能な限り落としています。
☆ピッチ合わせはしていないです。合うリードができてからで無いと危険です。
問題はBb(1-3 ---)です。高過ぎます。それ以外は吹いていて特に問題を感じません。mid C-2- ---)は低いですが、アンブシュールでなんとでもなりますし。
☆Low Eのビビリが最初はしていたのですが、今はしません。これはリードの問題の様で、合うリード作れたら問題は発生しないようです。
☆一度削り始めたら一気に仕上げるという手法でいくとできあがった直後の精度はとても良いでしょうね。
金工旋盤で金工作業ならそれで申し分ないと思いますが、木材は変形していくので、それを最小限に食い止めるために少しづつ作業しては、材を休ませて変形させてやらないとと思います。
☆第1章17節。
オーボエ好き
2008/07/04 14:59
オーボエ好きさん、こんにちは。
●ココボロの75o□が入手できているとのこと、いいですねー。油分の多い木?の場合でしょうか、接着が効きにくいものもあるみたいですね。最近、わたしは2種類を合わせるエポキシ系を使用していません。もっぱら、乾燥後も弾力性のあるものとしています。割れ対策。
●最低音Eのビビリは経験していますが、確かにリードによりその程度が違いますね。ダモーレも、テナーオーボエでも経験しています。テナーオーボエの場合は、まとまなリードチューブおよびリードが出来ていません。
●1章§17を見ました。短3度低いダモーレがベストってありますね。次の§18には、材がありますね。黄楊、エボニー、キングウッド、リグナム、グレナディラ。よく黄楊が用いられるとるものの、エボニーが最もクリアで美しいとさえ言ってますね・・
woodwind 図書館長
2008/07/05 14:42
☆ココボロの場合です。それしか使っていないもので。
☆ココボロ75角は高価です。しかも作っている間にどんどん割れてきます。。。。
☆J.F.Beaudin氏が参加しているCDにはafrican blackwoodを使っていると載っています。
グレナディラとエボニーはきっちりと区別されていたのでしょうか?疑問です。
☆リグナムバイタは試してみましたが、匂いが耐えられません。気分が悪くなります。途中で放棄しました。
オーボエ好き
2008/07/05 17:18
オーボエ好きさん、お早うございます。
●ココボロの3インチ□は高価ですよね。割れが多いとのこと。売り物として人工乾燥を施した half seasoned ものを入手し、さらに寝かすしかないでしょうか。わたしも購入するときは気をつけてみたいと思います。
●「グレナディラとエボニーを区別」するとあるのは、バロック当時のことでしょうか。区別していたと思うのですが。主流はエボニーだったでしょう。
●現代の製作家も区別する人は、しっかり区別していますよね。BeaudinのHPでは記載があるか確かめられなかったですが。(CDって何ですか:トラベルソとかオーボエの掲示板?)平均比重がグレナディラの方がありますから、重いと感じるほどだと思いますが。
●リグナムバイタが耐えられないほど匂うとは知りませんでした。当面使用する気はありません。探し続けているのは、良質のMopane。これも個体差が激しいですが。
woodwind 図書館長
2008/07/06 10:59
☆Compact Disc。NAXOSからリリースされているQuantzのsonataを納めたものにBeaudin氏も2nd flutistとして加わっているのです。そのブックノートにあります。
☆グラナディラとエボニーの区別の話はバロック当時のことを考えていました。アフリカから輸入されてくるならば現地で製材する方が効率的。角材をみて見分けていたのかなぁと思うのです。
☆一度エボニーで笛を作ってみたいと思います。
オーボエ好き
2008/07/06 19:16
オーボエ好きさん、こんにちは。
●Beaudin氏が演奏されるとのこと、知りませんでした。オーボエ好きさんがつくられたクヴァンツだったかキルストのトラベルソには、彼の測定データを用いられたでしょうか。氏は、かなりの数のオリジナル楽器の測定をされていますよね。
●この中で、3本継ぎの楽器とかかなり面白そうなものもあります。オーボエ好きさんは彼から図面を入手されているのでしょうか。
●フォトの頭部管に対し、つくっている中部管をリンシードオイルづけを終えましたが、真っ黒となり、すこしの縞模様は見えなくなりました。
●エボニー(黒檀)ですが、DIY店にあるものはかなり荒く、専門店から購入するのが良いと思います。また、アジア産では最近、縞黒檀も多く、これでつくるのも面白いかと思っています。

woodwind 図書館長
2008/07/12 12:17
☆Beaudin氏の書いた図面でQuantzもKirstも作っています。Kirstは他にも図面を持っており、参考にしています。
☆3本継ぎの図面も1枚持ってますが、作る予定は今のところありません。
☆完成に近づいていますね。楽しみにしています。
オーボエ好き
2008/07/14 14:14
オーボエ好きさん、お早うございます。
●Beaudin氏の図面とのこと。彼のHPあるいはDaytonのHPにQuantzの図面がありますよね。プリントアウトしても読みづらいですが。
●この3本継ぎ、なかなか面白いです。あとで記事にしますが、とくにVioletのものは魅力的な演奏感です。わたしの好きなT.Lotよりも魅力的なものにも感じています。3本揃うのが楽しみです。
woodwind 図書館長
2008/08/02 11:57

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