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zoom RSS オイリングもなかなか楽しいものです

<<   作成日時 : 2008/11/08 23:11   >>

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画像オイリングは、バロック木管のメンテナンスのひとつ。

木管にとって、ストレスが加わることは望ましくありません。 楽器をあやまって床に落としたり、かどにぶつけたり、外部からの衝撃はもちろん、内部からのストレスも少なくなるようにしたいもの。

バロック木管は、水分がとっても苦手。 プラスティックではなく、文字どおり、木でできているからです。

水分を含むと木は膨張し、乾燥すると逆に収縮します。 そのため、木管は、急激に膨張したり、乾燥すると割れることがあります。 部分的に膨張し、その他の部分はそのままでは、ひずみが生ずるからです。 急激な乾燥時も同様。

これを避けるため、また材質を固める意味で木管楽器は、製造時にオイル・ハーデント(含浸)や(→こちら)、その後の仕上げ用のオイリング(→こちら)を行います。

これである程度、割れは防げます。 ただ、楽器は、使用するたびに水分を含み、また乾燥を繰り返します。

そこで、ときどきオイリングをすることが推奨されています。

使うオイルの種類やオイリング方法は、演奏家や愛好家により異なります。 また、製作家や楽器販売店によっても違うことでしょう。

わたしの、オイリング方法を紹介しましょう。

フォトは、欧州黄楊のトラベルソと、オイリングのために使うものを揃えました。

●オイル

わたしが使うオイルは、食用の普通のオリーブ・オイル。

これ1本あれば、おそらく数年分は持つでしょう。

楽器販売店には、木管用の「ボアオイル」とか、そのほかのオイルが売られています。 5〜10ccほどの小さな容器に入っているのが普通。 でもオリーブ・オイルなら、料理の合間にときどい借用できて便利。

●オイリング用具

毛羽立たない布でオイリングをするのもよいでしょう。 しかし、もっと便利なのは、ティッシュ。

割り箸に、ティッシュペーパ(2枚重ねなど)を折り、割り箸の間に差して、くるくると巻きつけます。 わたしの場合は、経験上、ティッシュを輪ゴムで止めています。

●塗り方

楽器の各部を分解します。 トラベルソであれば、コルクも抜くと良いでしょう。

【注】 リコーダーの場合、ブロックには、オイリングをしてはいけません。 赤杉(レッド・シーダ)でできたブロックは、水分をよく吸収します。 演奏時の水分を積極的に吸収させ、チャネルにつく水分で演奏が困難になることを防ぎます。 オイリングを行うと、せっかくの水分吸収力を阻害してしまいます。 リコーダの構造は、→こちらを参照ください。

小皿にオリーブオイルを少量(小さじ1パイほど)取ります。 割り箸に巻きつけたティッシュに、オイルをどっぷりつけます。 そして、トラベルソの内側に、割り箸を前後に出し入れして塗ります。

その量ですが、べっちょり、という言い方が適当。 たとえオリジナル楽器であっても、思いっきり塗ります。 また、テノンやソケットにも軽くオイルをつけます。

塗り終わったら、新しいティッシュを使って余分なオイルをふき取ります。

今度は、トラベルソの外側も塗ります。 割り箸の先のティッシュについたオイルを外側に軽く1〜2ヶ所、チョンチョンとつけます。 新しいティッシュを使って塗り拡げるようにします。

この場合、塗ると言うより、よごれを落とすといった感じ。 こするようにします。 とくに唇が当たる歌口周辺は、結構汚れており、念入りにこすります。

●乾かし方

オイリングのあとは、楽器を組み立てずに乾かします。 このとき、楽器立てがあると便利。

フォトは、トラベルソ専用の楽器立て。 実は、読者の方の自作品をいただきました。 木目も美しく、どっしりと安定感があります。

わたしは一度に数本のオイリングをします。 そのため、実際にはピアノの上の敷物の上に何本か直接置いています。 (→こちら) オイルが家具等につくのを気にしなければこのような方法もあり。

また、皿置きなど、100円グッズにも適当な楽器立てを見つけることも出来るでしょう。(→こちら

●オイリングの頻度

オイリングの頻度は、ひとにより異なるところ。 楽器を頻繁に使用する方と、そうでない方とは異なるでしょうから一概には言えませんが、1〜3ヶ月に1回くらいでしょうか。

●注意事項

オイリングは、「乾燥した楽器」にオイルをしみ込ませ、水分をはじくためのもの。 したがって、楽器をよく乾燥させてから行います。 水分を含んでいる楽器にオイリングを行うと、逆に水分を木の中に閉じ込めてしまます。

オイリングはメンテナンスのひとつ。 大切な楽器の手入れにより汚れも落ちます。 オイリングにより、さらに美しく輝く木管を眺めることも、楽しみのひとつなのです・・・


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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
☆僕もオリーブオイルを使っています。1番絞りは香りが良くよだれが垂れるので避けています。
オーボエ好き
2008/11/09 10:40
こんばんは。

化粧品のお店から通販で買った
 アーモンド・オイルを使っています。

ほとんど香りがありません。

ちなみに、伸縮しない包帯で塗っています。
1ヶ月に2回くらい行っています。
わたにゃん
2008/11/19 18:48
オーボエ好きさん、わたにゃんさん、こんばんは。
●塗る頻度と楽器の鳴りとの関係について、ご経験等ありましたら、他の読者の方にも紹介していただきたいと思いますがいかがでしょう。
●包帯・・なるほど。それも良いかもしれませんね。やはり、割り箸か、あるいは掃除棒のようなものに巻きつけのでしょうね。最初、包帯と聞けば、長い包帯を、そのまま環に通して、上下に引っ張って塗るのかと思いました。
woodwind 図書館長
2008/11/19 22:03
こんにちは。

塗る頻度と楽器の鳴りの関係は、まだよく分かりません。

15年以上使ってる、南米ツゲのアルト・リコーダーは、
 ・全く、オイリングしない時期
 ・リンシード・オイルを2ヶ月に一度くらい塗ってた時期
 ・アーモンド・オイルを1ヶ月に2回くらい塗ってる現在
があり、

楽器の状態が良くなったのか、
演奏技術が上達したのか、

よく分かりませんが、最近、非常に良い音がします。

ちなみに、2〜3日吹かないと思われる時には、
 乾燥を避けるため、オイリングしています。

新しい楽器(or 替え管)に関しては、
 1〜2ヶ月はリンシード・オイルを用い、

その後、アーモンド・オイルに切り替えています。
わたにゃん
2008/11/20 13:29
☆管体材がオイルを含みやすいものであれば、リンシードを塗り、余分な油が残っていないのを確認して、完全に乾燥させます。その後日々吹く前に薄くオリーブオイル(食用)を塗っています。
☆リンシードの役割は普段使用するオリーブオイルを必要以上に吸収させないために使ってます。そうしないと管体表面に滲み出てきます。
リンシードオイルを塗るのは1年に1度位で良さそうです。頻繁に使うと内径に膜を作ってしまうので、内径が狭くなります。僅かに狭いうちは性能が良くなったかの様に感じますが、さらに狭くなると性能が落ちます。re-reamingが必要と思います。
☆オイルを含みにくいものであれば、リンシードは使いません。吹く前に薄くオリーブオイルを塗るだけです。
☆オリーブオイルを吹く前に塗れば、深く潤いのある音色で抵抗感が少し増えます。以前は数ヶ月に渡って大きな変化が見られましたが、自作ではあまり変化がありません。
☆割り箸に綿のウエスを巻き付けて塗布しています。
オーボエ好き
2008/11/22 17:25
わたにゃんさん、こんばんは。 情報ありがとうございます。
●メインはアーモンドオイルだそうですね。リコーダに関する書籍にもアーモンドオイルが載っていますが、入手は容易でしょうか。
●気になるのは、しばらくは、リンシードオイルを塗布されるとのこと。中々乾燥しないオイルですが、これがある程度管内部に浸透したころあいを見て、アーモンドオイルに切替えるという理解をしました。交互に塗っているのではないですよね。
●しばらく吹かないと、楽器は鳴らないですねー。わたにゃんさんのリコーダも、オイリングを繰り返し、吹き込んだので良く鳴る状態にあるのだと思います。
woodwind 図書館長
2008/11/26 22:57
オーボエ好きさん、こんばんは。 情報あいがとうございます。
●以前にも、お聞きしましたが、オリーブオイルが、「染み出してくる」のは、相当なものなのでしょうか。すくなくとも、わたしの経験では、染み出してくることはないのですが。そもそも楽器をほとんど演奏せず、かつ、オイリングもめったにしないからかもしれません。
●それとも木の材質によるのでしょうか。そうであれば、読者の方への新たな情報ですね。欧州黄楊とモパーンMopaneでは経験がありません。
●吹く前にオリーブオイルを塗る件ですが、「潤いがある音」は経験しています。ただ、抵抗感が増していますでしょうか、あまり感じていません。いつも読者の方に、楽器のお貸出しのためにお会いするとか、楽器を宅配便で発送する前には、必ずオイリングをしています。持った瞬間、手にオイルがつくのが分かるくらいにしています。そうしないと、乾燥したままの楽器では、「なんだ、この楽器、鳴らないな〜」との第一印象で評価されてしまう危険性があるためです。
woodwind 図書館長
2008/11/26 23:09
☆僕は表面にはオイリングしません。内径だけです。これは材によりません。どれでも同じです。今のところ。
☆ココボロは高密度な材ですが、日々オイリングしていると時折、表面に油がうっすらと滲み出ている事があります。グラナディラではまだ滲みだしを経験していません。オイルを塗った後の内径を数日観察しても染込んでいなさそうなので、これは吹く前に薄く塗ると言う方法で良いと判断しています。
☆抵抗感の増加も感じています。それは音色のコントロールのしやすさ、ダイナミクスレンジの付けやすさなどに表れています。
オーボエ好き
2008/11/30 18:38
オーボエ好きさん、こんばんは。
●日々オイリング、きっと頻度が高いのでしょうね。ココボロですが、オイル分を多く含んだ木の種類のうちのひとつかも知れません。
●手持ちのカタログでは、マダカスカルのVipolet Rosewood:Darbergia louveliは、オイル分が多いとのこと。わたしが入手したマダカスカル・ローズウッド、連載のT.Lotですが、このオイリングでは、他のものと感じが違っていました。導管も多く見え、外部表面の仕上げオイリングが上手くゆかなかったのです。ひょっとして、ココボロがそのような性質のものなのかも・・
woodwind 図書館長
2008/12/07 20:55

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