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zoom RSS スペリオパイプってご存知でしょうか

<<   作成日時 : 2008/12/14 16:54   >>

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画像リコーダーにスペリオパイプと呼ばれていたものがあります。

フォトをご覧ください。 中央の乳白色の本体に黒い頭部管がついたものがそれ。

このパイプ、丁度半世紀前、小学校3年のとき、わたしが最初に手にした木管楽器。 

小学校の音楽教育として今では和楽器も導入されているそうですが、永い間、教育用と言えばリコーダーが代表格。

我が国の音楽教育にリコーダーが導入されたのは戦後の復興期。 疲弊した国民を励まし、音楽により心の復興をも祈念し、米国GHQの指導によるのだそうです。

そのとき、ドイツ式(ジャーマン式)のリコーダーが導入された模様。 リコーダには、このほかバロック式(英国式)もあり、どちらを導入するかが大きな問題。 違いは、指使い(運指)。 とくにファ音。

この問題を扱い、ドイツ式導入の理由と、バロック式の場合の指導法につき解説しているのが、フォトに示す図書。 (→こちらの文献集を参照)

両方式の本質的な違いを見てみましょう。 (ソプラノの第一オクターブ運指)

●ドイツ式の運指

  ファ 01234−−−    ファ# 0123−56(7)

●バロック式の運指

  ファ 0123−567    ファ# 01234−−−

ファとファ#との運指が、互いに逆。 どちらが楽か。

とくに初学者(小学生の児童)にとって、複雑なクロスフィンガリングは決して楽ではなく、しかも小指でをうまく指穴7を塞がなくてはなりません。

いずれも、クロスフィンガリングと小指操作がファとファ#で現れるなら同じではないかとも思います。 ところが、実際の教育現場では異なる意見もあります。

学校の教育音楽では、決まってハ長調から。 ファ#はめったに現れません。 それらな運指の楽な方が、音楽(器楽演奏)の普及には良いだろう、というのが理由。

こうしてドイツ式が採用されたようですが、現在、いずれを採用するかは教育現場に任されているみたい。

わたしの場合、スペリオパイプ演奏から離れ15年ほど経ってからでしょうか。 バロック音楽が好きになり、再びリコーダーを手にするとき当然のごとくバロック式を購入。

まずは、プラスティックのアルト。 中部管の裏側に、「B」:バロック、または「G」:ドイツ式の区別があります。 その後、本格的な木製を購入。 当然、バロック式。 したがってドイツ式については、あまり意識しませんでした。

ところがバロック木管をつくり始めると、運指の違いが色々気になります。 指穴の位置や大きさは、どのようにして決まるのか、それらを変えると何がどうなるのか・・ (詳細は→こちら

フォトは、スペリオパイプ(ドイツ式)と、その下にバロック式のソプラノリコーダー。

とくに指穴5の大きさをよく比較してご覧ください。

ドイツ式は、指穴4が大きく指穴5が小さい。 バロック式は、それらと反対。 指穴6と7について下のリコーダーではダブルホール式になっており、比較は難しいですが、まあ同じとしましょう。

とくに指穴5によりピッチが決まるのは、ファ音とファ#音。

ドイツ式では、01234−−−によりファ音を出します。 ソ音より半音低いファ#でなく、全音低いファ音を出すために指穴5を小さくしてピッチを下げています。

一方、バロック式の 01234−−− はファ#音。 ソ音より半音低いだけですから指穴5は大きいのです。 一方、ファ音はクロスフィンガリング 0123−567 によりつくり、独特の音色を生み出します。

運指の楽な方向を採るのでなく、あくまでバロック音楽の雰囲気を出すためのクロスフィンガリングをマスターしコントロールすることに価値が見いだされそう。 音楽教育導入とは目的が異なるでしょうか。

バロック音楽演奏の愛好家は、決まってバロック式、しかもモダンピッチ(A=440Hz)のほかにバロックピッチ(A=415Hz)のものを多用します。 (バロックピッチについては、→こちら

さらに、リコーダー愛好家には、種々の律による指穴と運指を持つオリジナル、あるいはそのコピーを使用してバロック音楽を表現される方もいらっしゃることでしょう。

学校教育用と、音楽愛好家用。 材質もプラスティックと、硬材(木)。

わたしが木製リコーダ(→こちら)を入手したとき、「どうしてこんなに高価なんだろう。」

価格を比較し驚き。 プラスティック製の数百円。 木製では数万〜数十万円で、プラスティックの100〜1000倍。

「この1本で、小学校の1学年全員分のリコーダーが買える・・・」


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

●フォトの図書→文献集
指穴の大きさが、いろいろあるのは何故?
バロック/クラシカル/モダンピッチのトラベルソを揃える楽しみ
リコーダーの響きはボイシングで決まります

 

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
指使いが違うような感じがするんですけど・・・。
ごめんなさい。
2008/12/15 01:16
指穴の位置や大きさがハッキリ異なるのですね。
スペリオパイプと呼ばれていたとは知りませんでした。
オーボエ好き
2008/12/15 18:48
【編集:訂正】
ごめんなさいさん、ご指摘ありがとうございます。3箇所訂正しました。
●ドイツ式も、バロック式も運指表を見ると、随分と替指がありますね。
woodwind 図書館長
2008/12/16 00:24
オーボエ好きさん、こんばんは。
●指穴位置と大きさの違いですが、それほど設計の仕方が色々とあると言うことでしょうか。トラベルソの設計でも、作者によって異なる気がしています。「何を採り、何を捨てるか」の問題とは思いますが。
●オーボエ好きさんは、バロック木管の調律について疑問が湧かないでしょうか。どの「律」に、どの音を基音として調律すれば良いのかについてです。わたしが購入したCharles Wells氏のA=415HzのSchuchartモデルですが、そのモダンピッチA=440Hzの替え管では、「平均律」そのものでした。
woodwind 図書館長
2008/12/16 00:33
☆トラベルソはQuantzの様に調律するのが使いやすいです。もっぱらこれです。
オーボエ好き
2008/12/18 11:37
こんにちは。

ワタシは、415Hzの木のアルトを
 ヒストリカル(?)な指使いに改造して吹いてます。

指穴5の上側にワックスを盛って…。

楽器を傷めず、簡単に外せるので、
 ヒストリカルを試してみたい人にはオススメです。

2オクタァヴ目のB(♭)とAsのチェンジがツライですが…。
わたにゃん
2008/12/25 12:18
わたにゃんさん、こんばんは。
●もしかしてオリジナル楽器(または忠実なコピー)かなにかですか。ヒストリカルな運指と、それに指穴7もダブルホールでない、難しいものでは・・
●そのような運指にすると、何が得られるのですか、音色それとも吹奏感、それとも表現力でしょうか。
●博物館にあるオリジナル楽器を複製するにあたり、どこまでオーセンティックであるべきか、種々意見がありそうですね。
woodwind 図書館長
2008/12/25 22:31
こんにちは。

メックの Steenbergen のモデルです。
量産品なので、ダブルホールです。

指穴5をワックスで縮小することによって、
 ヒストリカル運指にしました。

ホントは、本格的なヒストリカル&シングルホールが欲しいです。

シングルホールだと、よりアナログ的になり、
 自然にポルタメントがついたりすると思われます。

試してみたいです。
わたにゃん
2008/12/26 11:41
わたにゃんさん、こんばんは。
●メックのステンベルゲンの発売当初、同じくメックのロッテンブルクに比べてオリジナル楽器の雰囲気を持っている感じを受けました。
●シングルホールでは、ベートコレクション所蔵のブレッサンがありますね。フルートリッヒ・フォン・ヒューネ氏の計測による図面を持っています。このブレッサンを作ってみたくて、わたしはリコーダーつくりを始めたのです。いつか作り、完成しましたときには、評価のほどお願いします。
●本年も残すところ6時間となりました。本年、いただいたご厚情に感謝いたします。
woodwind 図書館長
2008/12/31 17:58

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