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zoom RSS 本紫檀の内側からも乾燥させます

<<   作成日時 : 2009/04/12 01:23   >>

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画像楽器のつくり方 (98) 2009/4/12

30年もの本紫檀でつくるトラベルソは、どんな音色がするのでしょう。

材となる木には、乾燥が欠かせません(→こちらを参照)。

木を材とする楽器には、ピアノ、弦楽器、そして木管楽器があります。 楽器メーカは、乾燥を十分に行った材から厳選して使用するとのこと。

木材を乾燥させるには、とても永い時間が掛かります。 時間より年月と言った方が適切でしょうか。 30年ものは、30年間もの間、寝かしてきたということ。

直射日光を避け、風通しのよいところでの自然乾燥を基本とします。 原木のままでは乾燥しにくく、板に製材し、間に隙間ができるように木片をかませます。 木口は乾燥速度が早くて割れやすく、ロウなどを塗って速度を制限します。 もっぱら板の表面からの乾燥を期待します。

乾燥速度は、材の種類で異なります。 また材により、表面にヒビが入るもの、木口が割れるもの、割れなくとも湾曲するものなどがあります。

それら、乾燥期間でどの程度曲がるのかを先の記事でとりあげました(→こちら)。

なかでも30年もの紫檀は、曲がりが少なくきわめて安定しています。

一方、変形する材の代表格は、黄楊 box wood。 わたしの作品でも、以下があります:

 @初期のクラリネット(→こちら): 角材の購入後すぐ使用。 もっとも変形した例。
 AT.Lotのトラベルソ(→こちら): 角材の購入後すぐ使用。 完成後2〜3年で変形。
 Bシェバリエのトラベルソ(→こちら): 半丸太材(乾燥2年)から木取り。 完成後2.5年経って少し変形。
 Cオーボエ・ダモーレ(→こちら): 半丸太材(乾燥2年)から木取り。 完成後2.5年経ってわずかに変形。

購入時のラベルに販売日があるものは、乾燥期間の目安となります。

@、Aは乾燥期間が1年に満たないもの。 またB、Cは半丸太(乾燥期間2〜3年)からの木取りのため、初めて空気に触れ乾燥し始めた材。 これら@〜Cでは、完成後2〜3年で曲がりが見られます。

それならば、各工程(プロセス)間で適宜乾燥させ、暴れがあれば暴れさせると、完成後の変形が少なくなるハズ。(各プロセスでの乾燥は、→こちら

これまでの内径つくりに続き外形仕上げを行うことに対して、さらなる乾燥を試みてみました。

管の内側からも乾燥させるのです。

●フォト左:エボニー African ebony

角材から丸材とし、ガイド穴をあけ、人工象牙マウントを取り付けた状態で乾燥。 現在まで、2.5年。 購入後から、11年。

●フォト右: 本紫檀

ガイド穴あけに続き、リーミング後に乾燥。 現在まで、2.5年。 30年ものですから、現在まで32年以上。

いずれも、T.Lotのトラベルソ用の良材で、392Hz用上管、415Hz用上管、下管そして足管。

このうち本紫檀について、製作を再開。 象牙マウントの寸法出しと外形の荒削りを完成したところ。 (対応する頭部管は、→こちら

楽器つくり当初は、早く削りたいあまり購入後に乾燥させることなく取り掛かり、出来上がった結果は曲がるばかり。

エボニーやローズ・ウッド系では、欧州黄楊ほど曲がった経験はありません。 それでも安定したものを得たいがために、「じっくりと時機を待つ」ことを心がけているのです。

本紫檀も成木まで100〜150年。 それから30年以上も経ちました。

バロック木管は、かように完成するまでに永い年月が掛かかります。 

30年もの本紫檀でつくるトラベルソ。 安定した音色と、良い響きを期待して・・・


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
☆仕上げた笛はなるべく変形せずにいて欲しいものです。
☆作り始めた頃は実験したい事だらけで乾燥を待つのがとても苦痛でした。
☆角材にひいてもらったばかりの材で頭部管を一気に作ったところ見事な楕円になりました。乾燥の必要な事を痛感しました。
オーボエ好き
2009/04/12 19:49
オーボエ好きさん、こんばんは。
●やはり楕円になりましたか。わたしは黄楊のオリジナル楽器で、楽器店にあるものや博物館では見かけましたが、考えてみると黄楊以外の例はあまり見かけた記憶がありません。
●ココボロか何かでしょうか。その場合、材木店でのそれまでの乾燥期間は長くなかったのでしょうね。板にしてからすぐだと、曲がりますよね・・
●本年のモーットーは、新しいやりかたで、新しいことを行う、です。この「じっくり乾燥の、丁寧仕上げ」のトラベルソつくりも、このうちの一つです。
woodwind 図書館長
2009/04/13 21:09
☆ココボロです。
☆新しい事は楽しいですね。”じっくり乾燥&丁寧仕上げ”は良いですね。
オーボエ好き
2009/04/14 09:06

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