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zoom RSS 測定しながらトラベルソの内径をつくります

<<   作成日時 : 2009/06/14 23:23   >>

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画像楽器のつくり方 (102) 2009/6/14

じっくり仕上げのT.Lotのトラベルソつくりも完成に近づきました。

せっかくつくるのなら、満足できるものにしたいとの思いから、良材を用い、かつじっくりと仕上げることとしました。

●良材の選択

新しい良材を求めてサンプルを入手し、試し削りによる評価と、色や木目のほか、緻密さ、比重、磨き、オイリング効果などを調べました。 (材の評価は、→こちら

この評価により、30年(乾燥)ものの本紫檀を入手。 紫檀で一度はバロック木管をつくりたいとの思いを実現させる意味もありました。

●材の乾燥

30年ものとは言え、楽器にするために加工を始めると、あらたな加工面から乾燥が始まり狂いだします。 (どの程度狂うかは、→こちら

それを意識し、各工程間で乾燥期間を置き、その間に出るわずかな曲がりも取り除くようしてきました。 (工程間の乾燥は、→こちら
 
●外形削りとサンディング

外形寸法より大きめに削ったあと、加工による表面の凹凸をなくすよう入念なサンディングを施し仕上げます。 (→こちら

●オイリング

リンシードオイルによる、いわゆる「ドブ漬け」と、その後の乾燥を今回は2回しました。 リンシードオイルの乾燥は時間が掛かります。 乾燥していると思っても表面はオイリーさが残っている感じ。 (オイリングは、→こちら

●内径削り

ガイド穴あけ後、階段状に径の細いものから太いものまで内穴削りを済ませ、大まかなリーミングを施します。 今回は、大まかなリーミング後も、自然乾燥による材の安定化を図りました。

●測定とリーミング仕上げ

じっくり仕上げですから、「内径の測定」と「リーミング」とを交互に繰り返します。 手間の掛かる作業です。 3回ほど繰り返すと、ほぼデータどおりとなります。

リーミングは、木管作りの中では重要な工程のひとつです。 そして、もっとも辛抱が必要な工程です。

扱う相手が硬い、硬材(ハードウッド hard wood)。 ノコ引きやカンナがけも簡単ではありません。 ただ救われるのは、たいていの硬材は、旋盤加工が比較的楽にできます。 もちろんそれは「外形削り」のこと。

「内径削り」の工程であるリーミングは大変です。 なぜなら手が管の中に入らない。 リーマやその他の刃物の類のコントロールが、管の外からしかできず、いわば遠く離れた作業となるからです。

使用するリーマですが、刃渡りの長いものは、内径の長さ方向の全てに密着します。 とても大きなトルクが必要となることから作業を困難にさせます。 そこで、刃の長さを短くした分割リーマがバロック当時から使われたみたい。

リーマは、工業用のリーマのほか各種自作のリーマを使います。 (リーマは、→こちらや、→こちら。 木製リーマは、こちら

リーミングが行えるものなら何でも使用します。 最も手軽なのは、長さのあるヤスリ。

ヤスリによるリーミングは量産には向かないものの、どのような内径にも対応できます。 ただ、どこまで削れたかが確認できず、内径の測定を伴う工程となるのです。

●内径データ

バロック時代のトラベルソの内径は、複雑なテーパーをしています(→こちら)。

その独特な構造により、よい音色が生まれるのかもしれません。 当時の分割リーマは、スプーンのような形状の刃物に長い軸が付きます。 それを径やテーパーが異なる何種類も用意したものと想像します。

管の中にスプーンリーマーを出し入れする際に、少しでも押し込みすぎると多く削れてしまうこととなります。 現存トラベルソの内径が複雑なテーパーをなす理由の一つは、「制作上の誤差」を大いに含むのではないかと考えます。

事実、現代の製作家の内径を調べると、あきらかにリーマの入れすぎと分かるほど、いびつな内径が見られます。 思い通りのテーパーを作ることは、昔も今も大変だと言えるでしょう。

内径データですが、製作中のT.Lotのトラベルソは、ベート・コレクション所蔵の#1139。

この内径ですが、複雑な形状ではあるものの結構素直。 とくにA=393Hzの上管は、入り口から50mmほど内径19.1mmが続き、そこから出口までは、ほぼ傾斜1/50で絞られるテ^パー。

1/50の傾斜と言えば、わが国の工業規格のJISに沿う工業用テーパー・ピン・リーマの仕様と合致。

幸いなことに、現存するT.Lotトラベルソのうち、このモデル#1139は、市販リーマによるテーパー削りが出来るのです。

フォト手前が、A=392Hzの上管。 入り口には、工業用リーマが見えます。

リーマはいわゆる先端の細い部分の径で呼びます。 フォトは、15oΦ (実際は、先端から15oは細くしています)。 刃渡りは、220o (実行長では205mm)。 テーパー度 1/50 ですから、実行刃渡り 205o を掛けてるとテーパー4,1o増。 手元の最大径は、15+4.1=19.1mm となりピッタリ。

したがって、入る限り奥へ奥へとリーマを入れるとおよそ内径データどおりとなります。

ただ少し残念なことは、シャンクが短いこと。 あと1〜2cmJIS規格が長ければ、作業がやりやすく、データ値に近づけることができるのですが・・・


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