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zoom RSS フルート・ダモーレつくりの挑戦を開始

<<   作成日時 : 2009/09/13 12:31   >>

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画像楽器のつくり方 (105) 2009/9/13

フルート・ダモーレって楽器をご存知でしょうか。

バロック時代のD管トラベルソより、長3度低い移調楽器のフルートです。

一般に、木管の音程が低くなると落着いた響きとなります。 ダモーレとは、「愛の」ですから、「愛の響きのするフルート」ってところでしょうか。

フルートのほかに、「愛のオーボエ」、オーボエ・ダモーレがあります。 C管のバロック・オーボエに比べ短3度低いA管の楽器です。 わたしの作品では、→こちらを参照ください。

オーボエ・ダモーレの音色は、なんとも言えない素朴でぬくもりのある、また憂いも伴うような雰囲気を持ち、J.S.バッハは多くのカンタータの作品の中で多用しています。

一般に、楽器の調が低くなればなるほど、管長や管径が、それだけ大きくなってきます。(→こちらも参照)

それに伴い楽器つくりの場面において、作業が難しくなるところが増えてきます。 (→こちらも参照)

理由は、管長が長くなり木工旋盤のベッド長や、穴あけに必要なロングドリルも長さが足りなくなるからです。

また径が太いために質量の大きな材の加工に必要な馬力も増し、太い径のドリルとか結わえるチャックが必要となります。 通常のチャックは、シャンク径13mmどまり。

このバロック木管図書館で紹介する「楽器のつくり方」には、基本姿勢があります。

「アマチュア」が、「普通の機械・工具類」でもって、妥協することなく「価値ある木管」をつくるために、不足する分を「工夫でカバー」することです。

このフルート・ダモーレの連載では、少し大き目の中型楽器つくりの要点を取り上げて行きます。

つくるモデルは、オクスフォード大学のベート・コレクション所蔵のステンズビーJr.。

●足管のつくり方

通常、トラベルソの足管(フット・ジョイント foot joint)の長さは、モデルによらず、申し合わせたように約100mm(4インチ)。

これに対して、ダモーレでは、130mm(5インチ)。 工作するには、さほど違いがない領域に見えます。

フォトは、木工旋盤での作業風景。 旋盤の主軸部(ヘッド・ストック)のチャックに結わえられた材を回転させます。 そして、削る刃物の方をテール・ストックの取り付けたチャックで固定して用います。

フォトの刃物は、フォースナー・ビット。(→こちら) ソケット部分を切削しています。

木管つくりでは、一般にガイド穴あけをします。(ガイド穴あけは、→こちら) 通常のトラベルソの足管の長さ100mmは、短い部類に入りガイド穴あけを省略し、いきなり長いフォースナー・ビットで目的の内径つくりを開始できます。

しかし、ダモーレではそうはいきません。

外径が足管端で30mm。 通常のトラベルソの25mmなら、わたしの木工旋盤のチャック(1インチ=25.4mm専用)にぎりぎり取り付けられ、チャック取り付けのための「のりしろ」部分が不要。 したがって、材の長さも100mm丁度でもOK。

一方、ダモーレ外径がチャック径を越え、のりしろ部分が必要。 結局、材の長さが130mm(5インチ)でなく、150mm程度(6インチ)が必要となります。

そのために、フォスナー・ビットでは長さが足りず、ガイド穴あけを施し、ロングドリルであけました。

次に、内径。 トラベルソの13mmΦに対しダモーレの15mmΦ。 15mmΦというのは、トラベルソでは、足管でなく上管(アッパー・ミドル・ジョイント:左手管)に相当します。

そのほか、ソケット内径、象牙マウントの内径もトラベルソより2回り大きく、ビットやドリルも必要に応じて買い増しが必要で、また径の大きな象牙丸棒も必要となります。 (マウント用の人工象牙は、→こちら

開始早々、これら差異が見つかりました。 でも短い足管ですから、なんとか通常のトラベルソと同様の加工範囲に収まりそう。

ちなみに、使用材は欧州黄楊。 購入後、11〜12年ほど乾燥。 足管用には、欧州黄楊独特のバール(渦巻きというか流れ模様)を含むものを選んでいます。

頭部管には適さない、欠陥部分のバールであっても、「あやしい」雰囲気によりむしろ魅力が引き出せるような気がするのです。 完成が楽しみです・・・


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

魅せられて30年:バッハのカンタータが聴こえてきそう
木管の長さに比例して内径も太くするのでしょうか
バロックフルート・ダモーレは、2回りも大きいのです
フォーストナー・ビット:きれいな穴あけができます
ガイド穴あけは管(くだ)の始まり
象牙のほかにもイミテーション材があります


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
自作Steady restが新しくなっていますか?
僕は金属で自作しましたが、オーボエのベルを固定出来る程の大きさでは無いので、オーボエ製作には苦労しています。
クラリネットやオーボエのダモーレは球根型のベルによって、柔らかい音色が実現されていますが、トラベルソのダモーレの場合、狙っているのは柔らかい、鼻のつまったような音色なのでしょうか?完成が楽しみですね。
オーボエ好き
2009/09/16 21:26
オーボエ好きさん、こんばんわ。
●自作のSteady restは以前のもので変わりがありません。オーボエ・ベル用は確かに大変ですね。最近のオーボエ製作は、相当量をされているのでしょうか。
●トラベルソ・ダモーレは、中村忠さんのビデオ教則本で演奏されているのを聴いただけで、実際に吹いたことはありません。したがって、楽しみです。
フォトの足菅は、両側の象牙マウントも付けて、大体の削りを終えました。結構大きなものです。
ただ、いつ完成するのか、先々、問題も多そうです・・
woodwind 図書館長
2009/09/16 23:01

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