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zoom RSS バイオレット・ウッドの木取りはいかに

<<   作成日時 : 2009/10/18 23:54   >>

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画像楽器のつくり方 (107) 2009/10/18

バイオレット・ウッド(ブラジル産キングウッド)は魅力にあふれています。

オトテール・トラベルソをバイオレット・ウッド材でつくりましたが、強く惹かれるものを感じさせます。(→こちら

一方、本紫檀でつくったT.Lotトラベルソですが、外観の持つ雰囲気、音色ともとても満足できる仕上がりを見せました。(→こちら

そこで今度は、本紫檀に負けない魅力的な木目や色合のバイオレット・ウッド材を用いて、世界初(?)のT.Lotトラベルソをつくってみたくなりました。

バイオレット・ウッドの角材ですが、長さ600〜800mmのものが多く販売されています。(材の入手は、→こちらを参照)

この長さは、トラベルソ1本分の各部材が取るか取れないかです。 したがって、通常1本でなく2本の材から取り、ことに替え管(上管)付きトラベルソの場合は必ず2本の材に分かれ、異なる角材を組み合わせることとなります。

そこで、購入した材の中から、替え管付きの1本分をどのように「木取る」かを検討しました。 

一般に「木取り」とは、伐採し乾燥させた材を見極め、目的の木目を持つ角材や板材を取るように切出すこと。

木には年輪があり、木口では輪がいくつも見えます。 製材後の板材や角材を縦に見ると、年輪が平行な線として見える柾目(まさめ)が重用されます。 この柾目ですが、木の芯を含めるようにして切出すと、4面全てが柾目となる四方柾目の角材や、柾目の板材が取れます。

柾目の板材は、年輪に対して直角となるよう、芯から放射状に切出すと得られます。 この木取りでは、クサビ(三角形)状の無駄な端材を多く含み材の有効利用が図れません。 そこで一般に材を単に平行スライスします。 この木取りでは、芯を通る1枚だけが柾目で、あとはすべて山形模様を描く板目(いため)となります。

角材は、板材を縦に切出して得ます。 やはり四方柾目の角材は材木から1本取れるだけ。 あとは角材の2面が柾目となっても、残りの2面は板目となります。

木管つくりの場面では、入手した角材から、どのように木管各部を切出すか、あるいは組み合わせるかを見極めることとなります。 前者を「木取り」、後者を「木組み」と呼ぶこととしています。(→こちらも参照)

バイオレット・ウッドに限らず、木目が明確な材を用いて木管をつくるとき、柾目や板目の模様をいかに楽器の美しさとして見せるかが重要となります。 このことは、木管つくりを楽しくさせる要素を持っています。

T.Lotトラベルソのための木取りについて、今回の例を少し詳しく見てみましょう。

フォト手前には、他より長い1本のバイオレト・ウッド角材が見えます。 長さは1020mmあります。

替え管付きトラベルソ1本分に必要な長さは、約1m(1000mm)。 T.Lot替え管付きの各部(欧州黄楊製)の最終的な長さに加えて「のりしろ」部分が必要です。 フォトでは、そののりしろを考慮して少しずつ隙間を空けて並べました。

この例のように、替え管付きトラベルソ1本分を、「1本の角材から取る」ことは理想的です。

理由は、トラベルソの各部に対して、材の緻密度・色合い・模様が同じとなるから。

紫檀とかバイオレット・ウッドなど、 木目が明確で、その「木目の流れ」の美しさを強調してつくられる木管の場合は、全体的な流れるさまや各部のつながりが重要となります。 うまくつながらない場合には、全体としてバラバラの印象を与えてしまします。

量産楽器メーカでは、各部に対して同じものを多数つくり、後で木目や色合いが合うもの同士を組み合わせます。 ところが、材は相当のばらつきを持ち、組み合わせても楽器全体としてみるとしっくりこないこともあります。

フォトをクリックし、現れたウィンドウ中のフォトをクリックし拡大してご覧ください。 手前の1本の材は、ほぼ柾目を見せます。 しかし中央あたりに「節」による曲がりが見えます。

曲がり部分は、ヘアピンカーブのようなうねりとなり、丁度、替え管の真ん中あたりにうねりが入り込みます。 このように木取りを行うと、奏者が楽器を持ったときの違和感がたいへん気になることでしょう。

そこで、曲がり部分を替え管でなく、足管(長さ100mm)に適用することに決め、2つの部分に分けて木取りを行う計画としました:

 @ 頭部管+392Hz上管
 A 415Hz替え管+下管(右手管)+足管

このようにしたとき、今度は分断した同士で、全体の流れが継続できるかチェックが重要。

1本の材の片方を「上」、他方を「下」として木取るとき、各部の木口に「上」の文字を記入しておくと、切出してからどちらが「上」だったかがすぐわかります。(→こちらを参照)

理想的には、フォトに示したトラベルソ各部を材の左から順に取り、それぞれ左側を「上」とすればよいのです。

しかし2つに分断したので、木取りしたあとの木目が上手くつながるか何度もよくを観察し、@とAで「上」の方向を逆さまにしてつなぎ合わせることとしました。 最も自然につながりそうな方向を選んだのです。

さて、このように木取りを行ったバイオレット・ウッドのT.Lotトラベルソが、最終的にどのような魅力を見せるか、今からワクワク感を抱いています・・・


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