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zoom RSS フルートダモーレ:下管の加工は、トラベルソの頭部管並み

<<   作成日時 : 2009/12/05 17:58   >>

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画像楽器のつくり方 (110) 2009/12/5

連載のフルート・ダモーレつくりを進めましょう。

これまでの記事は以下:

 ●使用する材料 →こちら
 ●足管の加工  →こちら
 ●足管の実物  →こちら

今回は、下管つくりです。

フォトの中央はダモーレ下管。 象牙マウント付きソケットの加工を終えたところ。

材に貼った管理ラベルを見ると1997年。 ダモーレ用に12年間も寝かせたことになります。

下管つくりの要点を見てみましょう:

●下管に必要な材の長さ

下管の左奥に見える長さ 130mm の足管と比べかなり長く、マージン 25mm を含め長さ 216mm。

マージンが必要な理由は、木工旋盤に材を固定するチャックによります。 (チャックは、→こちらを参照)

わたしが使用するチャックは、結わえ径 1 インチ = 25.4mm の固定方式。 この形式では、材の片側を結わえ径の 25-26mm に削ります。

通常のトラベルソ下管のテノン(足管ソケット凹との結合部凸)の径は 20mm。 1 インチに削った結わえ部分が無駄にはならないのです。 それは、テノン部として単に 20mm に削り直すことでOK。 したがってマージンは不要。

ところがダモーレでは、下管のテノン径が 23mm。 結わえ径 25.4mm との差が小さく、十分な余裕がとれません。

チャックを用いた木工旋盤による穿孔作業において、寸分違わず材の中心に加工できるのであれば問題なし。 ところが実際には、かなり中心からズレます。

材長 216mmというの は、通常のトラベルソ頭部管や A=415Hz 上管の長さである 220mm に近いもの。

フォトでは、比較のためトラベルソ頭部管を下管の右に並べています。

材長が長くなるとそれだけ加工が難しくなり、また芯間距離が短い木工旋盤では加工すらできません。

内径の穿孔のためロングドリル作業においては、材の倍以上、実際には両端のチャック長も含めて相当の長さのベッドも必要になるのです。 →こちらのフォトで直感できます。

今回のダモーレ下管の材長では、通常のトラベルソ頭部管や上管つくりと同程度の加工ですみました。

●下管に必要な材の径

ダモーレの最大径は、象牙マウント部で 37.6mm、木部で 33.2mm。

象牙マウント部に対しては、39mmΦの人工象牙(→こちら)を使用。 フォトの下管の左側中央に見えるのが人工象牙材。 その手前の筒状がマウント。

マウントは、39mmΦ象牙材から、最終加工径 37.6mm を確保しますが、中心からのズレの許容値から、ギリギリ。

木部は、通常の 1.5 インチ(38mm) の角材でOK。

もし、入手した角材が 35mm□ならちょっと不足。 その場合は、最大径のベッド(飾りの山型部)を象牙マウントにゆだね、木部の最大径を 31mm に押さえるとよいでしょう。

●下管のソケットと象牙マウント部削り

上管テノンと結合するソケットの内径は、25.2〜25.3mm。 これに対して手持ちの中から、最も近い 25.4mm (1インチ)のフォスナー・ビットを使い加工しました。 フォトの右から2番目のビット。

正確にソケット径をつくりたい場合は、内径よりも小さい、24mm 径のビットであけた後、自作ソケット加工リーマにより拡げるか、小刀などによる内径拡げを行います。

問題は、マウントの象牙材加工と、マウント取り付け木部の加工。

オリジナル楽器の図面を見ると、象牙マウントは外せる構造なのかマウント内側にネジ(メス)が切ってあります。

実物を手に取り見せていただいたときは、そこまで確かめはしませんでした。 ちなみに、これからつくる予定の上管や頭部管にも、同様のネジが切ってあるのです。

今回は、そのネジ加工を省略し、通常の接着剤による固定とします。

マウント内径(オリジナルは、28.6〜29.1mm)ですが、加工できるビット径として、1-1/16 インチ(27mm) が近く、これを用いました。 フォトの最右端のビット。

これは、通常のトラベルソ頭部管の象牙マウントをつくるためのビット。

しかし、これら2本のビットにより加工すると、木部に割当てられる厚さは、27-25.4=1.6mm 。 片側、わずか 0.8mm。

フォトをクリックし拡大してご覧いただくと分かりますが、下管のマウント取り付け部の木部の厚さがとても薄く、今にもヒビ割れそう。

さすがにこれでは薄過ぎ。 そこで、象牙マウント内径を小刀で削り拡げ木部の厚さを確保。

それでも木部厚さ 1mm ほど。 この部分の加工については、→こちらを参照。

●下管の内径つくり

ダモーレ下管の内径は、18.3〜15.4mm のテーパー状。 この径は、通常のトラベルソの上管に当たります。

したがって、下管内径の加工は、通常のトラベルソつくりと同程度ですみました。

ただ、今回は下管ソケットとテーパー内径の同心を保つために、ガイド穴あけによらない方法で試みました。

通常、木管つくりの工程は、以下の手順をとります。

 @角材から丸材への加工       (→こちら
 A丸材へのガイド穴あけ        (→こちら
 B階段状の内径拡げとソケットつくり (→こちら

小さな径のガイド穴あけから始まり、次第に大きな径へと段階的に径を拡げ、ソケットをつくります。 この段階加工の内径差にあたる部分に対して加工が必要ですから、その分加える力が少なくて済むからです。

ただこの手順では、同心の確保がやや難しい。

その理由は、先に空けたガイド穴のために、次工程において、ドリルやビット先端を当てる「材の中心」が削られてなくなっているために、中心を失った状態では、ビットを当てるときにズレが生じやすいため。

手順を逆にし、必ず「材の中心」を残すようにすると、ビット先端ズレをなくすことができます。

ただし、「材の中心」を残して次工程に移すためにビットをとっかえひっかえして、少しずつ作業を進めることになります。

フォト左は、使用したロングドリル群。 径は、左端から順に、7/16インチ(11mm)、1/2インチ(13mm)、14mm、15mm、16mm。

フォト右は、使用したフォースナー・ビットまたはソー・トゥースビット群。 径は、右から順に、1-1/16インチ(27mm)、1インチ(25.4mm)、19mm、18mm、11/16インチ(17mm)、16mm、1/2インチ(13mm)。

これらを適宜、何度も取り替えて加工した結果ですが、やはり最遠端での中心ズレは起きました。 その値は、 1.5mm。 実際に見た目には、倍の3mm もありますから、ずいぶんとズレてます。

足管に続いて、下管つくりを見てきましたが、ともに内径つくりのリーミング作業を残しています。

それらリーミングの課題も多そうですが、工夫しながら進めていくこととしましょう・・・


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丸材の中心に、ガイド穴をあけましょう
ガイド穴あけの次は、内径を拡げ、ソケットをつくります

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
象牙マウントがネジ式とは恐れ入りましたです。
オーボエ好き
2009/12/15 17:00
オーボエ好きさん、こんばんは。
●問題は、ネジ式のようにしてマウントを外せるようにしないといけないのかどうかです。結構、径が太く、その場合、接着剤で固定すると、水分吸収した木部の膨張や乾燥時の収縮に対して、接着剤による「強制」の固定では、木部が割れるかもしれません。
●わたしの使用する接着剤は、固定せず、粘りのあるゴム質のような感じななので、大丈夫と思っています。もしこれが瞬間接着剤のようなものでは、強力すぎで(ダメで)しょうね・・
woodwind 図書館長
2009/12/15 21:03

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