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zoom RSS 王室御用達のT.Lotにどこまでも近づけたい

<<   作成日時 : 2010/01/24 15:52   >>

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画像楽器の書棚 (29) 2010/1/24

楽器は美しい道具です。

単に美しい音楽を奏でるための道具であるばかりか、楽器そのものが装飾品のように美しい。

トマ・ロット Thomas Lot は、バロック当時、パリにあった楽器を製作するメーカの中のひとつで、優雅なトラベルソをつくりました。

T.Lotによるオリジナルのトラベルソは、現在いくつかの楽器博物館に所蔵され、あるいは個人により所有されています。

なかでも、フランス王室が所有されたと思われる楽器が現存し、美しく気品のある趣を持っています。 英国フルート協会 British Flute Society:BFS 発行の雑誌記事で紹介されています。 (文献集を参照→こちら

その姿、カラー印刷で見ると、外側は優雅な曲線を描き、ヘッド・キャップやキーには豪華な黄金装飾が施されています。

材質は、バイオレット・ウッドと見られています。

パリの楽器には、それまで、オトテール一族が製作した3本継ぎトラベルソがあります。(→こちら

つなぎ部分には象牙のバレル(→こちら)が使用され、バレル両端には飾りベッド(細い帯状の山:凸)による装飾が施されています。

その後、3本継ぎから4本継ぎ(4分割)のトラベルソが主流となっても、多くの楽器の頭部管や下管のつなぎ部分にはこのバレルの装飾が施されました。

ただ、バレル部分自体は総象牙でなくなり、10〜15mm幅の象牙マウント(リング)となり、残りの部分は木部そのものでつくられました。 結果として、元のバレルのベッド位置に、装飾ベッドのなごりの帯だけが見られるデザインに変わりました。

その後、さらに頭部管や下管の木部から、なごりの装飾ベッド帯もなくなり、全体として滑らかな曲線を描くものが多くなりました。

フランス王室用と見られる上述のトラベルソは、そのなごり帯がなく、バイオレット・ウッドの木目とあいまって全体として流れるような華麗な美しさを放っています。

各部には装飾が施されています:

 − ヘッドキャップ: 丸型の象牙キャップに黄金の彫金部が付く
 − 足管: キー取付けベッドに黄金のリングを装着
 − キー: 黄金のキーは、貝殻模様のような優雅な装飾の彫金が施されています

このような美しい王室用のT.Lotに対して、わたしのT.Lot復元作品をどれだけ近づけられか。

材質にバイオレット・ウッドを用いて美しい木目の流れを表現しようと試みました。

フォトが、その目的を持って復元したT.Loのトラベルソ。 (フォトをクリックし、拡大してご覧ください)

ただし、復元したものは、上記のオリジナル楽器とは異なり、英国のベイト・コレクションに保存される管理番号#1139のもの。 わたしがベイト・コレクションにて実際に手にし、わたしの最初のT.Lot復元品(→こちら)と比較をしたモデルです。

フォトに見られるように、共通した特徴である、@丸型のヘッドキャップや、A頭部管から飾り帯が取れていることが分かります。

ただし下管の飾り帯は残っており、デザイン的には移行期のものなのでしょうか。 歌口も楕円形で、上記王室のほぼ丸型だった歌口から、さらに後期の楕円形への移行のものかも知れません。

バイオレット・ウッド(ブラジル産キングウッド)の美しい木目の流れを生かすために、木取りの工程(→こちら)から指穴位置決め(→こちら)に至るまで、美しさを引き出すことに留意してきました。

1本の材から、途中ヘアピン・カーブのようにうねった木目の流れ部分を足管に割り当て、残りの部分を全体としての流れを維持するように計画したとおりに実現できました。

この王室御用達のT.Lotの雰囲気にできるだけ近づける復元を進めてきました、バイオレット・ウッドのT.Lotのトラベルソ。

このベイト管理番号#1139モデルの復元楽器、バイオレット・ウッドを用いたものでは世界で初めてかもしれません・・・



【コピー】

材質: バイオレット・ウッド(ブラジル産キングウッド)
     イミテーション象牙リング  洋白銀製のキー
     No.1035  A=392Hz/415Hz  重量277g (A=392Hz)

【オリジナル】  

所蔵: オックスフォード大学 音楽学部 ベイトコレクション #1139 
製作: トーマ・ロット Thomas Lot パリ 1750頃
楽器: フルート・トラベルソ 黄楊 boxwood  象牙リング 銀製のキー
     替え管現存 A=396/407/419/425Hz 全長668mm (A=396Hz)



【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

●王室用T.Lot→文献集
バイオレット・ウッドのオトテール・トラベルソの響き
左右対称のオトテール・トラベルソのバレル
木目も鮮やかなトラベルソはフランス宮廷の香り
バイオレット・ウッドの木取りはいかに
指穴の位置決めと穴あけの緊張感


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いつもながら美しいフォルム。
木目の美しさを楽しめるのが良いですね。
オーボエ好き
2010/01/26 12:24
オーボエ好きさん、こんばんは。
●ありがとうございます。オーボエ好きさんのココボロの美しさを見て以来、ずっと、「美しい木目の楽器をつくりたい」との想いをいだいてきました。
●最近の製作活動ですが、「落ち着いて、つくりたいものを納得がいく」ように試みること、としています。そのモチベーションがだんだんと強くなってきました。
●今製作中の、フルート・ダモーレもしかり。次につくりたいのは、ローピッチのバロック・オーボエです。さらに図面が欲しいと思っているものとして、ファゴッティーノと、バリトン・オーボエです。図面ないか知らん?
woodwind 図書館長
2010/01/26 21:24
☆バリトン・オーボエ!?テナーやダカッチャではなくて?ファゴッティーノ共図面のありかはわかりません。
☆ココボロは結局数年に渡って呼吸器系アレルギーを及ぼして遂に吹くのもままならなくなったので止めました。製作の練習には良い材料だと思います。バイオレットウッドではオーボエのベルがとれる大きさの材が入手できないので困ります。
☆ローピッチのバロックオーボエは僕も作りたいです。
オーボエ好き
2010/01/28 12:41
オーボエ好きさん、こんばんは。
●呼吸器系アレルギーの件、大変でしたですね。知りませんでした。どうかお気をつけていただきますよう。わたしは1本のみココボロもっていますが、家族へのアレルギー関係で削っていまっせん。
●バリトン・オーボエは、モダンで言うとバス・オーボエ。ただし格好が全く異なり、ファゴットのように折り返され、折り返しは1.5回分。なんとも魅力的で、ベルは真鍮でできています。ファゴットは大型すぎのため、これら中型の、折り返しオーボエ族の製作から始めたいのです。
●ロー・ピッチオーボエですが、ネットにあるサイトからデータが得られますが、まずはそれをつくりたい。
woodwind 図書館長
2010/01/28 22:56

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