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zoom RSS きわめて薄い象牙マウントを持つステンズビーのダモーレ

<<   作成日時 : 2010/03/07 12:19   >>

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画像楽器のつくり方 (113) 2010/3/7

フルート・ダモーレの下管つくりを進めましょう。

これまでの連載記事は以下のとおり:

 ●使用する材料 →こちら
 ●足管の加工  →こちら
 ●足管の実物  →こちら
 ●下管の加工  →こちら

今回は、とくに下管ソケットの薄さを見てみます。

ステンズビー・ジュニアのトラベルソは、マウントの取り付け方に特徴があります。

通常の4分割(4ピース)のトラベルソの構造は、頭部管にソケットを持ち、上管にテノンを持ちます。

ところが、英国の特色ともいえるのか、ステンズビーのトラベルソの特色なのか、ソケットとテノンの持たせ方が逆となっています。

頭部管にテノンが、そして上管にソケットがあるのです。

このタイプでは、上管の替え管をつくるとき、替え上管のそれぞれにソケットを持つこととなります。

ソケットの木部は薄くて、ソケットを挿入したとき割れを避けるために象牙や牛角などのマウントをはめます。

そのため、替え管ごとに象牙マウントを持つより、頭部管に持つ方が経済的なのでしょう、普通は頭部管にソケットとそのマウントが施されるのでしょう。

ステンズビーのトラベルソには別の特徴があります。 象牙マウントの内径がわにネジ構造があるのです。

少なくともフルート・ダモーレの例では、ネジ構造があるのです。

頭部管のヘッドキャップ側、上管のソケット、そして下管のソケットのいずれもネジ構造があります。

●オリジナル楽器のデータ

フルートダモーレのオリジナル楽器は、英国オックスフォードにあるベイト・コレクション(楽器博物館→こちら)所蔵の管理番号#1015。

図面から、下管のソケットとして以下のデータが得られます:

 − ソケット内径      25.16o
 − 象牙マウント最小径 29.16mm

その差4o。 片側2o。 そこにネジ溝が施されるので象牙マウントの最も薄い部分は、1oも満たないものといえるでしょう。

●復元中のデータ

フォトは、復元製作中のダモーレの下管と足管。 それぞれ外形削りを終えたもの。

今回の製作では、つくりやすさを考慮して下管ソケットのネジ構造を省略しました。 さらに、手持ちビット類の制約から、下管のソケット内径を1インチ=25.4mmとしています。

問題は、やはり人工象牙のマウントの薄さ。

ソケット外径をデータどおりとすると、厚さ(薄さ)は、最も薄いところでは、(29.16-25.4)/2=1.88mm しかありません。

この値は、木部と象牙マウントの合計値。 そこで、木部に1mmを割当てます。(1mm厚のソケット加工は、→こちらも参照)

そうすると、割り当て後の人工象牙は、わずかに0.88mm。

実際に、ソケットの外形を寸法どおりに削ってみると、人工象牙がうすくて、なんと木部が透けて見えます。

フォトをクリックして拡大すると、マウント部のくびれ部分の白い人工象牙が透けて、木部の色に近づいているのが分かるでしょう。

ネジ構造としなかったので局所的に薄くなるのを避けたのですが、それでも人工象牙が薄すぎ。

●検討

外径をオリジナルどおりとせずに、若干太めにつくるほうが実際的かも。

ただ、外径の値を設計しなおした場合には、流れるようなステンズビーの外形が崩れますから、他の部分も太くするなどの工夫が必要でしょう。

今回の下管ソケットの薄さの問題は、上管でも同様に起きます。

すこしだけ太くすることも視野に入れてみることにしましょう・・・


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バロックフルート・ダモーレは、2回りも大きいのです
フルート・ダモーレつくりの挑戦を開始
フルートダモーレ:実物はやはり大きい足管です
フルートダモーレ:下管の加工は、トラベルソの頭部管並み
活動の原点はオックスフォードにあり
わずか1mm厚のソケットに、象牙マウントを取り付けます


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
薄いですね。
テノンの厚みに余裕があるのならそちらを削って、ソケットに厚みを持たせてやりたいです。
オーボエ好き
2010/03/10 13:35
オーボエ好きさん、こんにちは。
●そうですね。テノンの厚みは余裕がありそう。ただ、あまり薄くすると、とくに縮みがおきそうで心配になります。なんせ、ひどく変形する黄楊ですから。
●わたしはまだ試みていないQuantzの頭部管のバレル構造ですが、あれも結構薄い木部となると思います。どれもこれも割れそうですね。
woodwind 図書館長
2010/03/13 11:34
おぶさたしております。

いつも疑問に思っているのですが、
 フルート・ダモーレって、

415HzのH管の楽器ではなく、
 392HzのC管の楽器ではないでしょうか???

H管のフルートを想定したオリジナル曲って、
 あるのでしょうか???

あと、全然別の話題ですが、
 象牙をマウントする代わりに、

グレナディラ(?)をマウントしたフルートを見たのですが、
 割れやすくないのでしょうか???
わたにゃん
2010/06/26 22:20
わたにゃんさん、お久しぶり、こんにちは。
●ベートにあるオリジナル楽器の計測図面には、A=415のBb管とあります。Stanesbyは英国で活躍していますし、時代が時代ですからA=392ではないと思います。
●またモダンのフルートの慣わしから、現代では、コンサート・フルートのC管を基準として2度、あるいは短3度低い、Bb管、A管が販売されています。
●しかしバロック時代ですから、トラベルソはD管。したがってBb管は短3度低い楽器。結局、A=415のBb管と表記しているベートの計測図面に賛成します。
●問題は、この楽器で何を演奏したか?その後の時代では、バンド楽器が登場し、種々の移調楽器のオンパレードの感あり。でも後期バロックでの曲で何があるかわたしも知りません・・
●グレナディラのはか、見た目も面白いために、管体と異なる木材でマウントしたものを見かけますが、割れる場面ではわれると思います。水分の扱い次第でしょう。
woodwind 図書館長
2010/06/27 10:37

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