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zoom RSS フルートダモーレ:頭部管穴あけのひと工夫

<<   作成日時 : 2010/04/04 23:10   >>

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画像楽器のつくり方 (115) 2010/4/4

ダモーレの頭部管ともなると、内径が大きくなります。

これまでの連載記事は以下のとおり:

 ●使用する材料 →こちら
 ●足管の加工  →こちら
 ●足管の実物  →こちら
 ●下管の加工  →こちら
 ●下管マウント  →こちら
 ●上管の加工  →こちら

頭部管の内径は、23.9o。 これほどの径は、通常のトラベルソではお目にかかりません。

フルートダモーレや、テナー・オーボエ、あるいはファゴットつくりでは、分割された各ピースでさえ長くて太い内径を持ちます。

それら中型以上の木管つくりには、使用する工具・冶具類が異なってくるでしょう。

それを用いないで、手持ちのビットやロング・ドリルで加工するために、種々の工夫を凝らします。 上管の例では、長い管の両サイドから穴をあけることで、手持ち旋盤とロング・ドリルで済ますことができます。(→こちら

●頭部管の穴あけをどうするか(ビット使用)

23.9oの径に最も近い、24oΦのフォースナー・ビットを用いることを検討します。 (フォースナー・ビットは、→こちら

フォースナー・ビットは、通常、長さが数cmのビット部に、数cmのシャンクが付いたもの。 使用目的は、板にきれいな穴を空けること。 そもそも長いビット部を持つ必要がありません。

少し奥の板に穴をあけるためでしょうか、全長が 15cm もの長めのものがあり、木管つくりでは、長いビットを揃えることができればそれに越したことはありません。

さらに手の届かない遠くの板に穴をあけけるためでしょうか、ビットを「延長」する「エクステンション」が売られています。

フォト手前の2本が、その「エクステンション」。 黒色のは、長さ 120o、シャンク径 9.5o 用。 その奥は、長さ 227o、シャンク径 13o 用。

長さ 227o エクステンションと全長 15cm のビットを組み合わせると、ビット長さが約30cmに伸びます。

すると理屈の上では、長さ 259.5o の頭部管の穴あけ加工ができます。

ただしエクステンションは、手の届かない遠くの 「穴あけ用」 であって、木管つくりに必要な深い 「穴掘り用」 ではありません。

13oΦのシャンク接続は、3本のネジ固定。 ネジ頭の飛び出しを考慮すると、接続部の最大径が大きいために、大きな径の加工にしか適用できません。

通常のトラベルソつくりに必要な 19o 以下の穴あけには使えません。 ダモーレ頭部管の 24o 径加工で初めて適用できることとなります。

実際に使用できたか? 残念ながら成功ならず。

理由は、手持ち 24oΦ のフォースナー・ビットのシャンク径が 7.9mm。 9.5oΦと 13oΦ のいずれのエクステンションにも接続できません。

ならばシャンク径 13o、長さが 15cm の 24oΦ ビットがあれば成功したでしょうか?

実際に、フォトの18o径のビット使用時では、チャック結わえからビット先端までがあまりに長く、ビット先端が振動で暴れ使用不能でした。

●頭部管の穴あけをどうするか(ドリル使用)

一方、24oΦのロング・ドリルをDIY店で見つけ、購入しました。 ロングというよりミドルサイズ。 この長さでは、頭部管の長さ 259.5mm にマージンをとった 300o の穴あけには、上管のときと同じく両サイドから穴をあけるしかありません。

●チャック結わえの工夫

問題は、欧州黄楊材の径と、内径、そしてチャック結わえ径との関係。

わたしの使用するチャックは、1インチ径の絞りタイプ。 (チャック類は、→こちらを参照)

径が 37o ほどの丸材の端を、1インチ (25.4mm) 径に削って結わえ部をつくります。 丸材の両サイドからドリルで穴をあけるためには、両端にそれぞれ1インチの結わえ部が必要。

ところが、あけたい内径は 24o。

1インチより太目の 26o としても、その結わえ部自体に 24o 径の穴をあけるのですから、穴をあけた後の結わえ部は、わずか1o厚となります。 フォト中央、黄楊の丸材の左端がその結わえ部。

(クリック、現れるウィンドウの中のフォトをさらにクリック、拡大してご覧ください)

この1o厚では、材を結わえるには薄すぎ。

そこで、もっと大きなチャック結わえへの適用を検討します。

フォトの3枚の羽根を持つのが、わたしの2番目のチャック。 このチャックの外側は、2インチ (50.8mm) の「あり継ぎ」構造。 手前に細くなるように削った材を強固に締め付けます。

50o 径の丸材に 24o の穴あけを行う場合には適します。

しかし問題は、欧州黄楊材の径は、37o。 50o ありません。

そもそも、50o (2インチ)、長さ 300o (12インチ) の欧州黄楊材は、入手が困難。 しかも、チャック結わえのためだけに、50o径の材を用いることは、不経済。 最終的に 36o 径の頭部管を削りだすだけですから。

●チャック結わえに別の材を接着(その1)

そこで、37o 径の材の端に、50oの円盤をボンドで接着して結わえ部分をつくると加工できないか試みました。

フォト手前の円盤がそれ。 円盤を材の片側に接着剤で固定し、見かけ上 50o 径を得るのです。

片方の端に 50o の円盤をつけたまま、24o 穴あけを行いました。 ひとまず成功したように思えました。 フォトは、中央に 24o 穴があいた 50o 円盤(あとで切り離したもの)。

次に、反対側から穴をあけるために材を反転させ、穴のあいた円盤部をチャックの外側の「あり継ぎ」構造へ結わえ、穴あけを試みました。

結果は、みごとに失敗。

穴あけの途中で、あまりの大きな力が掛かったのでしょう、接着材で固定したハズの円盤がずれました。 ずれは簡単に戻らないくらい、接着力が強固。 結局、この方法をあきらめ、円盤を切断。

●チャック結わえに別の材を接着(その2)

一晩考え、別の方法でトライしました。 円盤を接着するために、丸材への加工時に用いた1インチの結わえ部分(フォトの丸材の奥にある丸い階段状のもの)を利用できないか?

この結わえ部分を、すでに頭部管の片側半分が 24mm 径の加工を終えた側へ接着して固定。

もとの1インチ結わえチャックに戻し、穴あけを継続。 24o フォースナー・ビットのガイドに、24o ロング・ドリルを滑らせ、貫通。

両サイドからあけた 24o の内径は、真ん中でずれることなく、かなりの精度で出会いました。

●ビット、ドリルの紹介

@人工象牙マウントの内径削り用ビット: 1-1/8インチ(28.68mm)
A内径つくり用ビット:  16mm, 18mm, 24mm
B内径つくり用ドリル: 16mm, 18mm, 24mm


こうして、穴あけを終えることが出来ました。

やってみて、失敗してみて、いい工夫ができました。 一度切り離した結わえ部を、再び接着して穴あけ加工し、最後にまた切り離すのです。

欧州黄楊材の購入したのが1998年6月。 ダモーレつくりを計画して7年。 以来、穴あけ方法を考えてきましたが、やってみたら、答えが出ました。

わずか、長さ 300mm、24oΦの穴あけですが、わたしにとっては、中型・大型のバロック木管つくりの第一歩となりました・・


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
素晴らしい^O^
木工用ドリルはガイドを作ってやれば精度良く働いてくれるようですね。
フォスナービットの代わりにC型木工用ドリルを使っています。
オーボエ好き
2010/04/07 14:47
オーボエ好きさん、こんにちは。
●C型木工ドリルをネットで調べました。何故C型と呼ばれるのかご存知ですか。わたしの通常使う木工用ドリルがこの形をしており、フォトのドリルは、オーガーと呼ばれるものです。
●フォースナービットによるガイドは有効ですね。こうすると暴れも少なく、最初のガイド穴あけもせずにできます。
●24oの径は大きく、あまり欲張ると熱を持ちます。やはり順番に広げる方がよいですね。
woodwind 図書館長
2010/04/11 15:46
☆C型Concarveだと決めつけていました。
オーボエ好き
2010/04/11 19:31

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