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zoom RSS いずれも魅力ある2種の材のクラシカル・オーボエ

<<   作成日時 : 2010/06/20 11:38   >>

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画像甲府にて楽器を展示しました(→こちら)。

楽器展示により得るものは多く、嬉しく思うことも多し。

もっとも嬉しいことは、展示した復元楽器を試奏していただけること。

興味を惹かなければ誰も手にとることはありません。 今回の展示では、トラベルソよりオーボエの方に人気がありました。

フォトは、展示した復元楽器のうちクラシカル・オーボエ。 材質が異なる2本。

一般に、オーボエを手にしたときわたしが感じることは:

@モダン・オーボエ:
  ・どの機種でも、ほとんど同じ。
  ・重くて右手親指の支えにタコができそう。
  ・両手指に金属キーの触れる感じが伝わる。
  ・グラナディラ(アフリカ産ブラックウッド)が汗を吸ってくれる。

Aバロック・オーボエ:
  ・モデルにより少しずつ異なる。
  ・多くは欧州黄楊。 モダンから持ち替えると軽い。
  ・オイリングにより、オリジナル楽器では表面がニス仕上げのよう。
  ・厚い表面処理では汗を吸う量は少ない。

B:クラシカル・オーボエ(多鍵でない場合。多鍵の例は→こちらを参照)
  ・とにかく上管が細い。
  ・材の種類により変わるも、とにかく軽い。
  ・指穴が小さく、とくに上管ではどこにあるか探るコツが要る。
  ・ベル側に重心が掛かる。

外観の違いは、例えば、→こちらや、→こちらを参照。 とくに上管の太さの違いをご覧ください。

バロック・オーボエやオーボエ・ダモーレ(→こちら)の上管の太さは、ほぼ同じ。

展示楽器を手にされた方の表情からも、クラシカル・オーボエのこれらの特徴の違いを感じ取られたことが分かります。

フォトの2種の材と重量を紹介しましょう。

 左: イエロー・ウッド Yellow wood    213g (→こちら
 右: エボニー (黒檀) African ebony  291g (→こちら

いずれも重量は、モダン・オーボエの約1/3ほど。 ちなみに、モダン・オーボエとの比較の詳細は、→こちらをご参照。

楽器の重量で1/3といえばとても軽い。

その軽い2本と言えど、2種を持ち替えてみると大きく感じが異なります。

 ・エボニーはずっしりとし、音色は芯があり硬くしっかりした輪郭を持ちます。
 ・イエロー・ウッドは、柔らかくそれでいて独特の魅力があります。

このクラシカル・オーボエ、英国オックスフォード大学のベイト・コレクション楽器展示館に所蔵されています。

アンソニー・ベインズ Anthony Baines 著の木管楽器とその歴史 Woodwind Instruments and Their History の p.216 の図24 XXIV にも載っています。 (参考文献集は、→こちら

わたしは、実物もよく見てきましたが、フォルムがとても魅力的。

クラシカル・オーボエのフォルムは独特。 丸い逆さオニオンが上管につき、ベルの2段フレアが特徴。

他の例で替え上管を持つものもは、→こちら

これらクラシカル・オーボエの中でも、コーザック T. Cahusac のこのフォルムは、とても魅力的。

演奏だけでなく、その気品あるフォルムは置物としても十分でしょう。

ふさわしい場所として、ホテルロビーや洒落たレストランの壁に彫られた四角い空間。 適度な照明が施されたイメージを想像するだけで、なぜかリッチな気分に浸れます。

そればかりか、このオーボエの面白さは、そのピッチにあります。

1780年頃の作品と見られ、後期バロックからクラシカルへの移行期。 そのためでしょうか、復元してみると A=415Hz のピッチを持ちます。

A=415Hz といえばバロックピッチ。 バロック演奏仲間と合わせるとき便利。

とくに、リコーダと合わせるとき、大きな音量のバロック・オーボエに代えて、柔らかく音量の小さなイエロー・ウッドが適します。

展示会場でも、とても興味を惹き「是非ほしい」と言われた方もいらっしゃいました。

また、楽器のお貸出しにおいても、再度、借りられる方が2人もあります。 (お貸出しは、→こちら

これら魅力あるオーボエ、さらなる復元楽器つくりに挑戦してまいります・・・


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
八角形のC-keyを見た時、その加工の見事さに驚嘆したのを憶えています。
オーボエ好き
2010/06/20 21:36
オーボエ好きさん、こんばんは。
●ありがとうございます。わたしも、この八角形については、最初見たときからいいデザインだなあと思いました。
●甲府での展示会でも、この八角形を目ざとく見つけて、魅力的だと感想をもらした方もいらっしゃいました。
●今回、久しぶりにオーボエの記事を書きました。ほとんどすべてのオーボエの関連記事を網羅するようにしました。そうしてみると、まだまだ極めなければ成らないことのの多さに気づかされます。
●今後ともいろいろ教えてくださいますよう・・
woodwind 図書館長
2010/06/20 22:55
館長ご無沙汰してます。再度お借りしているものの一人です(笑)
リードを削っていてコメントが遅くなりました。
改めて2つの楽器をお借りして並べてみると感無量という他なく
細かい装飾の凝り方もさることながら全体のフォルムの美しさに感激しました。特に華奢な感じの上管が自分は好きです。
イエローウッド製と黒檀製両者を比較してみると、
黒檀製はずっしりとした重量が頼もしく、音色で材質のせいかモダンに近いのかなと思いました。
イエローウッドはいかにもクラシカルといった音色で一音一音の表情に味があって
吹いていて楽しいのはこちらかな〜と思いました。
黒檀は息の使い方にコツがいるようで、まだうまく鳴らせていない感があります。
まだまだ十分に吹き込めていませんが、今のところ、手にしてしっくりくるのが黒檀、音色の豊かさはイエローと言った印象でどちらも甲乙つけがたい魅力を感じます。館長、近い将来多鍵オーボエの復元もぜひお願いしますね。

ぐる君
2010/06/21 23:13
ぐる君さん、こんばんは。ご無沙汰しております。
●やはり2本一緒に手にし、比較することは面白いですよね。コメント(ご評価)ありがとうございます。吹き込むうち、いくつか欠点も見えてくるでしょうから、厳しい評価の方もお願いします。たとえばイエロー・ウッドの第一指穴のアンダーカット処理のせいか、C音の音抜けが少し不十分。
●この細い第一指穴のアンダーカットについてどのように行うべきか、いろいろと検討中。読者の方で、実際にバロックオーボエをつくっておられる方に工房を見せてもらったところ、その細い指穴用の削り工具などあり。わたしは、別のアイデアを実行予定。
●多鍵のオーボエ、いいですね。キーの取り付け法が課題でして、初期のクラシカル多鍵ものでは、台座により、その後ではキーポスト。克服すべき技量が多々あります。長い目で乞うご期待・・・
woodwind 図書館長
2010/06/22 22:22

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