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zoom RSS フルート・ダモーレ:装飾性の高い2重メタルのキー

<<   作成日時 : 2010/06/26 09:54   >>

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画像楽器のつくり方 (118) 2010/6/26

キーもダモーレ用となると、大きくまた厚くなります。

フルート・ダモーレの連載記事も、終わりに近づきました:

 ●使用する材料     →こちら
 ●足管の加工      →こちら
 ●足管の実物      →こちら
 ●下管の加工      →こちら
 ●下管マウント      →こちら
 ●上管の加工      →こちら
 ●頭部管の加工    →こちら
 ●外径削り揃い    →こちら
 ●ヘッドキャップ加工  →こちら

キーの材質ですが、わたしは洋白(ニッケル・シルバー)を用います。 (→こちらも参照)

洋銀、洋白銀とも呼びますが、銀ではありません。 銅 (60.0〜64.0%)、ニッケル (16.5〜19.5%)、鉛 (0.8〜1.8%)、マンガン (0〜0.5%)、残り亜鉛からなる合金だそう。

通常 1o 厚を用いています。 オリジナル楽器の計測図面を見ると、どのトラベルソもキーの厚さは 1o ほど。

ところがダモーレともなると、キー寸法もさることながらその構造も違います。

初めて見たダモーレの図面は、Stanesby Junior ベイトコレクションのNo.1015A。

同じく英国ロンドンの1750年ころの Scuchart のトラベルソと寸法を比較しましょう:

【単位= mm】    Stanesby Jr.     Schuchart       比率(倍)

 - 全長       74.5          52.5           1.42
 - プレート     14.08 x 14.35    13.7 x 12.66       1.03-1.13
 - プレート厚    1.35          0.9            1.5
 - 主軸幅      6.84-6.60      3.8-4.1         1.8-1.61
 - 主軸厚      1.73-1.30      1.09           1.39
 - ひょうたん幅   10.6-7.51-13.72  7.26-4.45-9.14    1.46-1.69-1.5
 - ピン穴径     1.6Φ         1.18Φ          1.36

プレートの大きさを除き、長さ、厚さともおよそ 50% 増し。 そこで、キー材料である洋白も厚さを50%増しとして、1.5o厚を買い求めました。

フォトは、その 1.5o 厚の洋白板。

原寸大図面をコピーしてキーの型を取り、切り抜いて両面テープで洋白板に貼ります。 鉄ノコで、すこし余裕を見て大きめの長方形に切り出します。

そのあと型どおりにヤスリ掛けして仕上げます。 (ヤスリがけは、→こちら、仕上げは、→こちら

オリジナルのキーですが装飾性に富んでいます。

プレートは、四隅が小さな四角に段差があり、かつ円形に削られています。 プレート上には、草のような模様が彫金されています。

ひょうたん部は、厚さ1.0o。 その上に2重メタル構造となり主軸部分を構成。 主軸とひょうたんとの堺は、三角山状にデザインされ、とても魅力的。

このような装飾性の高い加工のキー、復元をどうするか。

1.5o厚の洋白の部分を削り、2重メタル構造のようなデザインにするのも意味あるでしょう。 1o 厚と0.5mm 厚の板を張り合わせるのもいいかもしれません。

今回の復元では、そのような装飾は施さず、通常のトラベルソのキーと似たようなものとしました。

普段、あまり気にすることも少ないキーの装飾性。

王室の御用達でしょうか、キーだけでなくキー台やヘッドキャップに金・銀による彫金の施されたものもあります。

それは、気品と高貴な雰囲気を放ち魅了されます。 このような装飾性の高いキー。 彫金を施した復元も面白いでしょうか。

いずれ彫金にも挑戦してみようか・・・


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
洋白と言う材料ですが、
 ワタシが専門の歯科材料の領域では、

ニッケル合金が「金属アレルギー」の原因になることが、
 しばしば、指摘されています。

合金であっても、汗などに溶け出します。

一方、銀は、比較的、
 金属アレルギーを起こさない金属だと言われています。

ところで、オーボエとかバスーンのヴァーカルって、
 ハンダ付けして作るのでしょうか???

バロックとモダンでは、
 違う金属を使ってるようですが???

ちょっと気になります。
わたにゃん
2010/06/26 22:30
誤:ヴァーカル
正:ヴォーカル

モダンは銀色(クロムメッキ?)ですが、
 バロック・バスーンは、真鍮色に見えます。
わたにゃん
2010/06/27 01:28
わたにゃんさん、お久しぶりです。
●さすが専門家といったコメント、ありがとうございます。はじめてネットで調べみました。皮下組織に直接当たるピアス、あるいは皮膚にふれるネックレスなど起き、アレルゲンは金属そのものでなく溶け出したものとのタンパク質の影響とか。
●金・銀でもまったくないわけでなく「程度問題」。程度問題と言えば、口の中の酸の状態と、手指の表面の汗の違いがあるのでしょうか。
●モダンのフルート管体や、オーボエのキーがニッケル・シルバー。直接口に当てるフルートはどうなんでしょう。金管楽器の管体だけでなくマウスピースも真鍮、あるいは他の材質またはメッキ処理。金属アレルギーの方もいらっしゃるのかも。
●ファゴット、バス・オーボエ、ダモーレなどのボーカルは、リードを噛むもののボーカルを直接噛まないけれど、息の水分で金属が溶け出すも。やはり程度問題。ルネサンス、バロック時代にも冶金技術により真鍮が多く用いられていますが、中にはかぶれる人もいたのかもしれませんね・・(門外漢の感想)
woodwind 図書館長
2010/06/27 10:20

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